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ICC KYOTO 2021 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき、第4位に入賞した、フィッシュ・バイオテック 右田 孝宣さんのプレゼンテーション動画【「フィッシュ・バイオテック」はサバの生食文化を創り、「陸上養殖」で人・自然・サバに優しい漁業を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミットFUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのベクトル様にサポート頂きました。
▶【速報】子どもの好奇心に火をつける!新しい学び場「SOZOW」を提供する「Go Visions」が審査員号泣のソーシャルグッド・カタパルトで優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト&ラウンドテーブル
Supported by ベクトル
右田 孝宣
フィッシュ・バイオテック株式会社
代表取締役社長
1974年大阪生まれ。20代でオーストラリアに、料理修行のため現地寿司チェーン店に就職。24歳で工場長、その後スーパーバイザーへ。入社当時2店舗のお店を、2年間で13店舗まで拡大し成功するが、日本での可能性に賭け、26歳に帰国。2004年居酒屋「笑とり」をオープン。居酒屋で大人気だった「鯖寿司」をきっかけに、2007年さば寿司を製造・販売するさば寿司専門店『鯖や』を設立。2014年にクラウドファンディングで、さば料理専門店『SABAR』をオープン。2017年には、さばの海面養殖などを手掛ける『フィッシュ・バイオテック』を設立。
「フードロスを養殖飼料に換え、サバを育て、天然の水産資源を侵さないサステナブル養殖で世界を救う」ことを目指し、R&D(研究開発機関)として、オープンイノベーションにより、他社のノウハウをまとめ、「養殖」という市場で挑戦・商品化をしている。ICC FUKUOKA 2021 「スタートアップ・カタパルト」優勝。
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右田 孝宣さん サバの陸上養殖で世界を変える!フィッシュ・バイオテック株式会社、サバ博士の右田です。
本日はよろしくお願いいたします。
サバ料理専門店「SABAR」を国内外に展開
まず、我々の既存ビジネスを紹介します。
17年前、私は妻と2人で小さな居酒屋を経営していました。
そこで大人気だったのがサバ寿司でした。
「あなたの作る料理で唯一美味しいのはサバ寿司だから、サバ一本で頑張ってみたら?」という妻の一言で、とろサバ専門店「鯖や」を創業しました。
それが今、皆さんに提供したサバ寿司です。
我々はまずサバ寿司の製造販売卸から始め、8年前にサバ料理だけを提供する、サバ料理専門店「SABAR」をオープンしています。
現在、国内15店舗、海外はシンガポールに3店舗展開しています。
卵から孵化させる、サバの完全養殖にチャレンジ
我々は大きなとろサバ(※) を扱っておりますが、年々とろサバが獲れなくなってきています。
▶編集注:SABARの「とろサバ」は、東北近海(主に八戸前沖・三陸沖)で獲れ、脂質含有量が21%以上で魚体550g以上のサバと定義されている。
これに危機感を持ち、我々の手で最高のサバを育てようと思い、2020年1月より、卵から孵化させる完全養殖にチャレンジしています。
NTTドコモと提携しサバの最適飼育を自動化
2020年6月、NTTドコモと業務提携し、ICTを使ったスマート養殖を始めました。
▶NTTドコモと鯖やグループが業務提携、ICT活用で新たなサバ養殖モデル確立を目指す(食品産業新聞社)
動画にあったように、リアルタイムでサバの環境を見られるようにしています。
たった3秒ですが、我々の取り組みはドコモのCMの中で紹介されました。
一瞬です(笑)。
我々はこのような形でNTTドコモと一緒に、水中カメラと水中ソナーをいけすに設置して、海洋観測、衛生データ計測を行い、サバの最適給餌量の算出と自動給餌にチャレンジしています。
テクノロジーでは解決できない海洋環境の課題
スマート養殖から見えた課題は「赤潮」「台風」「高水温」で、これらは予想はできましたがテクノロジーでは解決できない問題なのです。
2016年には、チリのサーモン養殖で800億円の赤潮による被害が出ました。
また、毎年多くの台風が日本に来て、毎回大きな被害を被っています。
そして、1980年からの約40年間で、海水温度は約6℃上がっています。
海水温が上がると、魚の病気が蔓延します。
我々のサバも昨年、50%以上が死にました。
地球温暖化は止まらず、これから海水温がずっと上がり続けますが、ハマチやブリ、鯛、ふぐなど、日本で養殖されている魚の40%以上は、高温に耐えられません。
このままだと、養殖業はなくなってしまいます。
海洋環境以外にも「魚病」や「海洋汚染」の課題
海洋環境以外にも課題があります。
1つは魚の病気です。
細菌、寄生虫、ウイルスによって、毎年100億円以上の被害があります。
それ以外にも、魚の餌、食べ残し、養殖魚のフンによる海洋汚染という問題もあります。
テクノロジーではどうすることもできないことが、たくさんあります。
天然魚の漁業でも深刻な問題を抱える
また、天然魚の漁業にも深刻な課題があり、この10年で漁獲量は半分以下、漁業従事者は3分の1、魚の自給率は50年間で59%までに下がっています。
漁業の未来は、養殖に向かっています。
しかし、海面養殖は課題だらけです。
「閉鎖循環型陸上養殖」という解決策
「赤潮」「台風」「高水温」「魚病」「海洋汚染」、これら全てを解決できるのが、「閉鎖循環型陸上養殖」です。
閉鎖循環型陸上養殖は、簡単に説明すると、水道水さえあれば、水替え不要で、ビルの屋上でも駅ナカでも砂漠でも、魚が養殖できる方法です。
閉鎖循環型陸上養殖で解決される、生産者と社会の課題はこちらです。
温暖化の影響を受けないことにより、安定生産と供給ができます。
薬品を使わない、アニサキスフリー、魚は病気になりません。
海を汚さない、そして資源を奪いません。
高齢者や障害者にとっても、安全で快適な労働環境です。
そして生産場所を選びません。
今、生産地は消費地から離れていますが、消費地に生産地を近づけることで、我々はローカーボンを実現します。
種苗から育成、出荷、販売まで一気通貫の「養殖DX」
我々は、種苗(※養殖用の稚魚や卵)とエサとシステムをもとに、サバの陸上養殖プラットフォームを築く、R&Dの会社です。
種苗については、今JR西日本が養殖している「お嬢サバ」に我々は種苗を提供しています。
そして、天然資源に一切依存しないエサを、東南アジアで開発中です。
我々は種苗から育成、出荷、販売まで一気通貫の養殖DXを実現することで、スマホで誰でも簡単に養殖ができる未来を創っていきます。
陸上養殖施設を温泉施設、道の駅にも展開
今年の10月には、海なし県の埼玉県で、温泉道場が運営する温泉施設のガレージに、陸上養殖場を造ります。
▶海なし県の埼玉県でサバを育てる。おふろcafe白寿の湯に10月26日、温泉サバ陸上養殖場がオープン(PR TIMES)
来店された方にサバの刺身を食べて頂きます。
2022年には道の駅に、6次産業化(※)モデルの食と体験と学びの施設を作ります。
▶編集注:農林漁業の6次産業化とは、1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、農山漁村の豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組み(農林水産省より)。
このように、釣ったサバをその場で食べられる施設です。
陸上養殖事業は拡大しています。
この5年間で国内260億円、海外7,400億円の市場になっています。
アニサキスフリーの陸上養殖でサバの生食需要に応える
今年1月、前澤ファンドの一次産業代表として、採択されました。
前澤(友作)さんが取った約23万人対象のアンケートでは、「生のサバを食べたことがありますか?」という質問に対し、約65%の人が、「食べたことはないけれど、食べてみたい」と回答しました。
我々が狙うのは、サバの生食需要です。
サバにはアニサキスの課題があります。
日本で養殖されているサバの99%以上は海での養殖ですから、アニサキスの課題を解決できません。
サバを生で食べられるようになれば、2,000店舗ある大手回転寿司で1日20皿のサバの握り寿司を出すことで、144万匹が消費されます。
これは現在、日本で養殖されているサバの全量に匹敵します。
サバの生食需要に供給するには、安全な陸上養殖のサバが必要で、それにより、陸上養殖サバのマーケットが成立します。
結果、ソーシャルグッドな陸上養殖が成立するのです。
人と自然とサバに優しい、サバ陸上養殖のプラットフォーマー
人と自然とサバに優しい、サバ陸上養殖のプラットフォーマー、フィッシュ・バイオテック株式会社です。
皆サバ、養殖サバを食べてください。
おつかれサバです!
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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