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ICC KYOTO 2021 REALTECH CATAPULTに登壇いただき、見事4位に入賞した、KAICO 大和 建太さんのプレゼンテーション動画【カイコのタンパク質から経口ワクチンを創出する「KAICO」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS様にサポート頂きました。
▶【速報】均一構造の高分子ゲルで効果的な再生医療の実現を目指す「Gellycle(ジェリクル)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 7A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by KOBASHI HOLDINGS
大和 建太
KAICO株式会社
代表取締役
1991年横浜国立大学経営学部卒業。三菱重工業入社、ブリオ起業、九州大学大学院経済学府MBAコース(ビジネススクール)、同大学大学院特任准教授を経て2018年より現職。
大学卒業後、15年間勤務した三菱重工では長崎造船所で調達、本社で営業や調達部門などを担当。三菱重工勤務時代に調達活動で接した中小企業の経営者がいきいきとはたらいているのを見て自分も経営する立場になってみたいと考えるようになり、起業を決意し退職。起業後はネット通販事業にチャレンジし、九州の特産品を全国にネット販売する事業を開始するも、一度、事業の継続を断念した。その後は働きながら学べる九州大学のビジネススクールに入学し、そこで産学連携マネジメントの講義を受講。そこで九州大学の技術シーズをもとにビジネスプランを練ったのが現在の会社起業へつながっている。
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大和 建太さん KAICO株式会社の大和です。
よろしくお願いいたします。
まず、こちらの虫をご存知でしょうか?
そうです、「カイコ」です。
われわれの社名の由来にもなった虫です。
昨日今日とICCサミットでプレゼンを聴いて、「人間てすごいなあ、こんなことするんだな」とすごく感心したのですが、われわれの会社では、この「カイコ」がすごいのです。
カイコの体内で、医薬品用のタンパク質を作製
皆さん、カイコというと、どんなことを思い浮かべますか?
たぶん洋服を作ってもらえるような、絹を作る虫または化粧品などの原料になる繭(まゆ)を作る虫としてご存知だと思いますが、われわれはこのカイコを使って「タンパク質」を作ります。
それも貴重な医療品の原料となるタンパク質を作っています。
われわれの技術をご説明します。
「バキュロウイルス」というものが世の中にあります。
このウイルスは人間や動物にとっては非常に安全なウイルスで、カイコなどの節足動物以外には、ほぼ感染することはありません。
まず、バキュロウイルスの中に目的としているタンパク質の遺伝子ゲノムを入れてやります。
それをカイコに接種します。
すると4日間でカイコの体内に欲しかったタンパク質を作ることができます。
通常はカイコの体液を取り出して、目的タンパク質をきれいに精製することによって試薬や注射型のワクチンの原料になります。
2021年4月に新しくわれわれが特許を出願したのは、サナギを使って同じような形でバキュロウイルスを感染させて、それを丸ごと粉砕して経口型のワクチンの原料にする技術です。
▶KAICO(カイコ):九州大学、鹿児島大学と「経口ワクチン」の特許を出願(PR TIMES)
われわれは九州大学発ベンチャーですが、なぜ九州大学でカイコなのかというと、100年以上前、開学からずっとカイコの継代飼育をしてきています。
▶遺伝子資源としてのカイコ(1)(九州大学総合研究博物館)
もともとカイコというものは、繭を取るために飼育、継代されてきましたので、途中で病気になったら困りますので、健康なカイコが育種されて選抜されてきています。
しかし九州大学は学問、勉学のためにカイコを飼育してきましたので、いろいろなカイコの系統を保存していて、450系統以上あります。
その中にはウイルスの感受性が高いような、要は病気に弱いカイコがいて、われわれの事業に大きく貢献してもらっています。
液体型試薬や動物用ワクチンの開発からスタート
われわれは2018年に創業した会社ですが、最初は液体型の試薬、また動物用ワクチンを開発してきました。
ただ昨年(2020年)非常に大きく技術革新と研究開発が進みまして、これら4つ(豚バルボ経口ワクチン、豚サーコ経口ワクチン、COVID19ワクチン、ノロウイルス経口ワクチン)の実証の研究開発、商品化をしています。
動物用からヒト用、そして液体から粉末タイプということで、今開発を進めています。
経口ワクチンのメリットとは
われわれが特に開発に力を入れているのが、粉末タイプの経口ワクチンです。
そして時間がかかっても、何としても実現したいものが、「ノロウイルスの経口ワクチン」です。
そもそも「経口ワクチン」とは何かというと、注射ではなくて口から摂取して抗体価が上がるものです。
通常、ワクチンの原料であるタンパク質は、口から入れるとアミノ酸に分解されてなかなか抗体価が上がることはありません。
ただわれわれが開発したカイコのタンパク質は、注射と同じように抗体価が上がって免疫を持つことができます。
そしてなぜ食べること、つまり経口がいいのかというと、まず動物で言えば、今獣医さんが一頭一頭注射を接種しています。
それを餌に混ぜてワクチン化することができたら、非常に人の効率も良くなりますし簡易です。
また人の場合、皆さん注射はそんなに好きではないですよね?
また、今回の新型コロナウイルスワクチン接種と同様に、打ち手となる医療従事者が必要で、注射してもらわないといけません。
そして、今回開発している経口薬は常温で管理できますので、アフリカの山奥といったところまで持っていくことが非常に簡単です。
ノロウイルスの経口ワクチン開発が一番の目標
先ほどわれわれが解決したい課題にノロウイルスの経口ワクチンを挙げました。
ノロウイルスというのは、世界で年間7億人以上の罹患者がいます。
日本は非常に衛生環境が良いので、ノロウイルスに感染しても3~4日間ちょっと苦しいですが、それで完治することができます。
しかし衛生環境の悪い国では、年間20万人以上の方が亡くなっています。
そしてなんとその4分の1にあたる5万人は5歳未満の乳幼児で、亡くなっています。
われわれはこの命を助けたい。
ノロウイルスの経口ワクチンを開発することを、われわれの一番の目標としています。
実はノロウイルスのワクチンは、今までウイルスの培養ができなかったので世の中にないのです。
ただわれわれは、カイコでノロウイルスのタンパク質VLP(ウイルス様粒子)を作ることができます。
カイコならできるのです。
新型コロナウイルス抗体測定サービスを開始
ただ、われわれがこのワクチンを開発するのには非常に長い時間がかかりますので、足元では従来の液体の試薬や診断薬というものを開発しています。
2021年9月にリリースさせていただきましたが、新型コロナウイルス抗体測定サービスを開始しています。
審査員の方々のお手元にキットを配らせていただきましたが、これをどういうときに使うのかというと、ワクチン接種して自分が本当に抗体価を持てたのか、また3カ月、半年経ってまだワクチンの効果があるのかを確認するときに使います。
使い方は簡単です。
家庭や会社で採血セットを使用して指先に血液を少し出していただいて、それを濾紙に付けて郵送していただくだけです。
1週間ほどしますとわれわれのほうからご連絡させていただきますので、結果をスマホ、ウェブで見ていただけます。
評価方法も5段階評価ですので、非常に分かりやすいです。
また何回かテストしていただきますと、それが経時的にグラフになりますので、抗体量の落ち方の個人差がよく分かってきます。
パーソナル感染予防システムの構築
われわれKAICO株式会社が目指す未来は、パーソナル感染予防システムを完成させることです。
感染予防というのは、個人個人が大事です。
個人がそれを管理するためにはしっかりデータで管理し、予防していくことが重要だと思っています。
われわれはこのようなパーソナル感染予防システムを完成させることを目指しています。
事業の伸長によって桑園を増やしCO2を削減
最後になりますが、カイコは桑の葉っぱしか食べません。
われわれの事業が伸長すればするほど、桑の木を植えて緑が増えていきます。
医薬品の製造という業態を行いながらも、CO2を削減させることができる業態です。
われわれは今、カイコでしかできないようなタンパク質をいろいろ作って、それをいろいろな業界に提供しようとしています。
パートナーとなってくださる皆さんを求めて、今一生懸命探しており、われわれと一緒にやっていただけるところを求めています。
ぜひよろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成
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