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“曲がれる”ロープウェイで、都市渋滞の解決とモビリティの新たな可能性に挑む「Zip Infrastrcture」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変えるに登壇いただいた、Zip Infrastrcture 須知 高匡さんのプレゼンテーション動画【“曲がれる”ロープウェイで、都市渋滞の解決とモビリティの新たな可能性に挑む「Zip Infrastrcture」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。

【速報】長距離ワイヤレス給電で配線のないデジタル世界を創る「エイターリンク」がREALTECH CATAPULT優勝!(ICC KYOTO 2022)


【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

須知 高匡
Zip Infrastrcture株式会社
代表取締役

幼い頃から乗り物が好きで、慶應大学入学直後からロープ走行技術(宇宙エレベータ)の研究を始める。世界最大のクライマーの大会であるSPECに2度出場し、その技術が2021年に特許6889874号として認められる。ロープ走行技術を社会実装するべく在学中にZip Infrastructure株式会社を2018年に設立。その後、自走型ロープウェイZipparの開発を進め、2020年に1人乗りモデルを完成させ、現在は8人乗りモデルの試験を実施中。2021年にはZip Infrastructure社と神奈川県秦野市が連携協定を結び、自治体予算で予備調査が行われるなど、Zipparは自治体からの期待も非常に高い。主な経歴に、Forbes Under 30 30 in Asia選出、News Pics MAKE MONEY Under 24優勝等


ロープが動かないロープウェイ

須知 高匡さん Zip Infrastrcture株式会社代表の須知です。

我々は、自走型ロープウェイ「Zippar」(ジッパー)という新しい交通システムを開発しているベンチャーです。

既存のロープウェイはロープごと動いていて、それに車両が接続している交通システムでしたが、Zipparはロープが固定されています。

直線部では固定されているロープ、カーブ部分ではレールを、車両内部に内蔵したバッテリーとモーターで走行する新しい交通システムです。

「曲がれる」「高頻度」が特徴

では、Zipparの何が良いのか?

「曲がれる」「高頻度」という2つの特徴があります。

「曲がれるなんて当たり前だよね」と、皆さん、思うかもしれません。

一方で、これまでのロープウェイは、実は曲がることができなかったのです。

曲がれることで、都市の道路上空の空間のどこにでも建設することができます。

空と道路の「デッドスペース」を活かす都市型ロープウェイ(PLUGO)

そして「高頻度」という特徴。

1時間あたりに同じ人数を運ぶとしたときに、頻度が高ければ高いほど1台あたりの乗車人数は減ります。

1台あたりの乗車人数が減ると、1車両の重量が軽くなります。

そうすると、それを支える土木構造物も軽量化、さらには安価に作ることができます。

これが2つの特徴です。

自走型ロープウェイ開発に挑戦する理由

では、なぜ我々は挑戦しているのか?

私はもともとSimCityシティーズ:スカイラインという都市の街づくりゲームが、非常に大好きでした。

ずっとこればかりやっていました。

こういう街づくりゲームは、中盤になってくると必ず渋滞します。

当たり前ですが、ゲームの渋滞は解決できるわけです。

現実はどうか?

もちろん現実でも渋滞が発生しています。

しかし、ほとんどの現実の渋滞は、解決できていないのが現状です。

実際に現時点で、「地球温暖化の異常気象による経済損失」は年間8兆円といわれていますが、「都市渋滞による経済損失」は、その3倍の年間24兆円といわれています。

これを「技術サークルで扱っていたロープ自走技術で解決できないだろうか?」というのが、我々のスタートです。

小さなプロトタイプから始まった開発

とはいえ、とても小さなところから始まりました。

こちらが最初のプロトタイプです。

誰にでも作れるような本当に小さいところからスタートして、少しずつ大きくしていき、おととし1人乗りのモデルを小田原で試験していました。

ただ、この時もまだお金はなかったので、自分たちで山の草を刈ったり木を切ったり、地道なところからスタートしました。

その成果が認められて、昨年(2021年)2月には国土交通省から、Zipparを「索道(※) 」、ロープウェイに分類するという正式な回答をいただいています。

▶編集注:索道(さくどう)とは、空中に渡したロープに吊り下げた輸送用機器に人や貨物を乗せ、輸送を行う交通機関である。ロープウェイ、ゴンドラリフト、スキー場などのリフトなどが索道に含まれる(Wikipedia参照)。

神奈川県秦野市と連携協定を締結

また昨年6月、神奈川県秦野市と連携協定を締結して、実際に今年秦野市の予算で、Zipparによる交通を調査するという業務を、弊社に委託していただいています。

次世代交通システムの開発及びまちづくりへの活用に関する連携協定をZip Infrastructure株式会社と秦野市が締結(PR TIMES) 

 2022年2月には、Ropeway Nepal Pvt. Ltd.とMOU(基本合意)を締結しました。

Zip Infrastructure株式会社は、Ropeway Nepal Pvt. Ltd. 社と基本合意契約を締結 (PR TIMES) 

複数自治体で2025年の営業運転開始が目標

そして、ここからがお待ちかねの最新情報になります。

試験線がようやくできてきました。

このような感じで、試験線と車両ができてきています。

2023年の2月に試験線の試乗会を開始します。(編集注:2022年11月現在の情報です)

皆さん、神奈川県秦野市にある本社に、ぜひ乗りに来てください。

2025年には営業運転の開始を目標として、現在秦野市、上野、長崎といった複数の自治体と交渉を進めています。

そのためには、安全性を認証する第三者委員会も乗り越えなければいけません。

正直ハードルは非常に高いです。

たった1人の思いから世界は変わってきた

実は我々の事業は、創業後3年の間、1人の投資家も振り向かない、そんな事業でした。

研究室や教授、大企業といったところの応援もありませんでした。

ただ一人の世界を変えたい、その思いしかありませんでした。

でも実際、そうやって世界は変わってきたという例を、僕はいくつも見ています。

こういう例を見ると、「我々でも世界を変えられるのでは?」と思います。

そして、そうやって世界を変えることができると信じ、挑戦している人々が、今日この場所に集まっていると、僕は心から確信しています。

1つ、お願いです。

車メーカーの役員さんに、ピッチをしたいです。

我々のZipparの駆動部は、どうしてもベース車両のEVを使う必要があって、ここが今とても苦しんでいるところです。

ぜひ、この後のラウンドテーブル(※)で、お話しできればと思います 。

▶編集注:「リアルテック・ラウンドテーブル」のこと。リアルテック・ラウンドテーブルは、リアルテック・カタパルトのプレゼンターと審査員が小グループに分かれてテーマ別に議論する座談会(ラウンドテーブル)の企画。

勇気づけられてきた、あの乗り物

最後になりますが、我々はいつも勇気づけられる乗り物があります。

作る前は誰もができるとは思っていなかった乗り物です。

今のロープウェイと同じで、斜陽産業と呼ばれていた乗り物です。

世界で4大バカとまでいわれた乗り物に、おそらく会場のほとんどの皆さんがそれに乗って、昨日、今日、この会場に来ています。

新幹線は「世界四バカ」 根強かった不要論(乗り物ニュース)

東海道新幹線です。

1960年代に鉄道は衰退しつつあり、長距離輸送はジェット機や旅客機という流れがありました。

その中で、東海道新幹線が実際に建設されて成功したことで、その流れは変わり、それを真似た他国が次々と高速鉄道を作っていきました。

僕はこれを見ると、すごく涙が出るのです。

東京駅に刻まれた歴史と日本人の誇り新幹線(日本歴史旅行協会)

昔の我々の先輩が、こうやって不可能だと思われていたインフラを実現しました。

だから我々も絶対できると、そういうふうに、乗るたびに力をもらっています。

「全ての都市渋滞を解決し、都市の全てを駅5分以内に」

Zip Infrastrctureです。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美

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