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電気自動車の走行中給電を可能にする「パワーウェーブ」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 Honda Xcelerator カタパルトに登壇いただき、見事優勝した、パワーウェーブ種田 憲人さんのプレゼンテーション動画【電気自動車の走行中給電を可能にする「パワーウェーブ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは Honda Xcelerator です。

【速報】走行中の自動給電を可能にする「パワーウェーブ」と、自律航行で安全な海の実現を目指す「エイトノット」がHonda Xcelerator カタパルト同率優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 3A
Honda Xcelerator カタパルト
Sponsored by Honda Xcelerator

種田 憲人
株式会社パワーウェーブ
取締役副社長
HP | STARTUP DB

大学卒業後、2012年三井住友銀行に入行。2016年に株式会社タスキを設立し、地域の求人情報を含む地域情報メディア「TASUKI」や、地域人材の課題にアプローチする「モグジョブ」を全国の50大学と連携し展開。同年より自治体・大学等と連携し株式会社サイエンス・クリエイトにて起業家育成支援に従事。2021年には豊橋技術科学大学発ベンチャーである株式会社パワーウェーブを設立し取締役副社長を務める。


種田 憲人さん 「世界に動き続ける力を」、パワーウェーブの種田(おいだ)です。

よろしくお願いします。

突然ですが、「2035年には日本国内の新車を100%電動車にする」という国の方針が出ましたが、既にご自身の車をEV(電気自動車)に乗り替えた方は、どれくらいいらっしゃいますか?(挙手を促す)

新車全て電動車の実現は2035年に…菅首相がより明確に提示 2021年1月19日-(レスポンス)

ありがとうございます。

今日ここにお集まりの皆さんは、国内でも新しいものへの感度が高いと思いますが、なぜこれほどまでに乗り替えた方が少ないのか。

それは、EVの給電が面倒ないしは不安だからではないでしょうか。

停止中・走行中でも安定して使えるワイヤレス給電を15年以上研究

実はパワーウェーブは、EVが浸透するずっと前から、この課題に向き合ってきました。

小さな大学研究室から試行錯誤を重ね、15年以上の時間をかけて、とてもシンプルですが、これからの電動モビリティのあり方を変える、1つの答えを見つけ出しました。

波動工学研究室(大平研)が「電化路面から自動車ホイールへの送電実験」に成功しました。(豊橋技術科学大学)

それは、止まっている時でも動いている時でも、あらゆるシーンで安定して使える、新しいワイヤレス給電のシステムです。

動画内のものは、大学内、我々のラボ、連携企業などで実際のモビリティやロボットに、ワイヤレスで給電しながら走らせている実機です。

これは未来ではなく、既に理論から構築した日本の技術となっています。

我々はこの技術をもとに、カーボンニュートラルを目指すこの世界で、電気を「充電する」という概念そのものを無くしていくことを目指しています。

蓄電池普及のボトルネックとは

現在、世界ではCO2排出量を減らす動きから、急速に電動化が進み、電気を蓄電してそのエネルギーで動くアプリケーションが増加しています。

これに伴い、蓄電池の世界市場は拡大を続けていく見込みにあります。

その一方で、蓄電池にはまだまだ未解決の課題があります。

電気の特性上、蓄電池の「容量」と「重量」と「価格」は、どれかを取ると、どれかを諦めなければいけないトレードオフの関係になってしまっている点が、この電動モビリティ普及のボトルネックとなっています。

走行中給電で多くの課題が解消

これが例えば、ワイヤレスで、走りながら給電できたらどうでしょう?

給電しながら電力を消費するので、蓄電の容量はそれほど必要ありません。

バッテリー(蓄電池)は、小さく、軽く、そしてコストも安くなります。

また、バッテリーの課題解決のみならず、走りながらの給電が可能となれば、これまで問題とされてきた多くの課題が解消されていきます。

世界が安心して、カーボンニュートラルに向けて動いていくためには、モビリティの電動化と一緒に、動きながら給電できるインフラが必要になってきます。

場所に応じてバッテリー走行や給電しながらの走行を選択

具体的に、この技術をEVに導入することで、遠出をする時、高速道路で走りながら給電をし、自宅では、帰ってきたと同時に自動で給電が行われるようになります。

全ての道に給電システムを敷設しなくても、自宅と高速道路でワイヤレス給電が可能になれば、普段走る市内は小さいバッテリーを使って走り、遠くに行く時は給電しながら走ることで、EVへの不安は大きく解消されます。

これなら乗り替えを検討できるという人も、少なくないのではないでしょうか。

高周波を大電力で送る技術を独自開発

ではこの技術、何が革新的なのかを一言でお伝えすると、高周波で大電力を送れる点です。

実は我々の技術は、メリットは大きいものの、扱いが難しいのが難点でした。

我々の扱う、MHz帯の高い周波数はこれまで、放送や通信など情報伝達ではよく使われていましたが、大きい電力を送ることはあまり考えられていませんでした。

しかし、走行中給電を実現させるためには、この高周波で電力を送ることが必要とされ、これまで技術が表に出る機会はあまりありませんでした。

そこにパワーウェーブは、大学での波動工学研究室発足から15年、理論の構築と研究を繰り返し、これまで難しいとされてきた高周波で大電力を送ることを可能とし、ここ数年で飛躍的に大きく、そして遠くまで伝送することに成功しました。

電力を合成し大電力を伝送する技術開発に世界初で成功

特に大電力化については、電力を合成して大電力を伝送する技術開発を世界で初めて成功させたため、この技術の応用でより大きい電力を送ることが今後可能になってきます。

一方で、50W~1kW程度の電力伝送は既に技術が確立していることから、どんどん実機への搭載をしながら、量産の準備を行うに至っています。

2030年の高速道路への実装が中期目標

我々パワーウェーブは現在、2030年の高速道路への実装を中期的な目標として、チーム一丸で動いています。

インフラの会社などと一緒に、電化道路(無線給電道路)の開発実装を進め、直近では2024年のテストコースでの実証、翌2025年には実際の高速道路での実証に向けて、具体的に動いています。

企業と連携し製品化へ取り組み

一方で、足元の売上としては、既に実機への搭載、実証を進めている50W~1kWの製品について、2023年10月より受注を開始し、売上を立てていきます。

対象であるパーソナルモビリティ、ロボット、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)に対して、それぞれのメーカー、建設会社などと、製品化に向けた動きを取っています。

海外競合企業と比較し高い優位性

現在ワイヤレス給電の市場において、競合として見ているのは、イスラエルのElectreonとアメリカのWiTricityです。

時価総額はかなり大きく、パワーウェーブに先行して、実証、規格化を進めています。

しかし根本となる技術が彼らとは異なるため、給電可能範囲、発熱安全性、そしてインフラコストの点で、我々は優位性を持っています。

特に、これまでの技術で走行中給電を行う場合、コイルの上で給電を行うので、直線上にそのコイルを敷き詰め、その上を通る瞬間に順次給電を行うスタイルを取っています。

一方のアルミ板の上で直線上に、どこででも安定して給電を行える我々の仕組みとの違いが、よく分かると思います。

電動化が進む世界を給電から牽引

こういう有用性を武器に、今後ますます増えていく世界のワイヤレス給電市場の中でも、2027年には産業機器、モビリティへの給電製品を中心に、1兆円弱の市場にアプローチをし、2031年には高速道路への実装を経て電気自動車産業に広げ、1.5兆円と予測される世界の市場を狙っていきます。

我々パワーウェーブは、大電力かつ広範囲、そして日本の技術として、電動化が進む世界を、給電から牽引していきます。

今後とも、応援をよろしくお願いします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸

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