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ICC FUKUOKA 2023 リアルテック・カタパルトに登壇いただき、3位に入賞した、TopoLogicの佐藤 太紀さんのプレゼンテーション動画【“半導体に続く第4の物質”「トポロジカル物質」を社会実装するプラットフォーマー「TopoLogic」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS
佐藤 太紀
TopoLogic株式会社
代表取締役
HP | STARTUP DB
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修了。6年間マッキンゼー・アンド・カンパニーにて製造業企業のクライアントを中心にマネジメントコンサルティングに従事。その後、産業用ドローンのスタートアップ企業A.L.I. Technologiesにて大企業向けの共同開発や共同事業の構築を実施。2021年11月にTopoLogic社代表取締役に就任。
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佐藤 太紀さん はじめまして。TopoLogicの佐藤と申します。
我々TopoLogicは、「トポロジカル物質(※) 」というノーベル賞級の発見であり、これまでにない物性を持っているこの物質を活かした電子デバイス、半導体デバイスを、どんどん開発することで社会実装していく、それによって新しい価値を創出していく、そういった取り組みにチャレンジしている会社です。
▶編集注:トポロジカル物質とは、トポロジー(位相幾何学)の観点から電子バンド構造や物性・現象が説明される従来とは異なる性質を示す物質。トポロジカル物質が示す常識を超える量子的な特性は、熱や電磁波、化学物質などの多様な物理的現象を捉える「センサ」や、物理的現象を記憶し制御する「デバイス」としての無限の可能性が存在する(TopoLogic)。
半導体に続く第4の物質群「トポロジカル物質」の革新的な物性
このトポロジカル物質は、これまで人類が知って活用してきた「絶縁体」「導体(金属)」「半導体」、これらの物質カテゴリーに並ぶ第4の新しいカテゴリーとして、これまで我々が知っていた物質と全く異なる電子の流れや制御ができる物質として着目されています。
これによって全く新しい電子部品が実現できるポテンシャルを秘めたものです。
もともとトポロジカル物質は1970年代頃から理論の研究は進んでいて、、その研究が2016年にノーベル物理学賞を受賞しました。その頃からいろいろな研究機関で盛んに該当する物質を実際に見つけるという研究が取り組まれてきました。
2016年頃から、特に我々の創業者の一人でもある東京大学の中辻(知)研究チームを中心に、どんどん物質が発見されてきて、我々はここにいち早く着目しました。
我々はトポロジカル物質をデバイス化し、産業実装できる形に落とし込んで、実際にいろいろな企業と実装していく取り組みを行っている会社です。
異常ネルンスト効果で量産に適した高感度・高速応答センサを開発
今、我々はトポロジカル物質の主に2つの物理効果を用いたデバイスの開発に取り組んでいます。
1つが「異常ネルンスト効果」という、熱から電気を発生させる効果(熱電効果)を使ったものです。
今まで我々が知っていた、熱から電気を変換する別の物理効果と全く違う作用があり、その結果として、今までの熱センサと比べ1/1,000以下の厚みのセンサを作ることができました。
これによって、ただ薄いだけではなく非常に高感度・高速応答するものが、しかも低コストで作れるため、組み込みに適した、非常に量産に向いているデバイスになっていることが特徴です。
これを使って、今まで検出できなかったバッテリー、発光半導体、パワー半導体の異常検出や故障予知、反応触媒、光吸収膜を使った非常に高感度なガス・光センサ、工場生産現場の熱マネジメント、あとは室内空間や自動車内空間の熱快適性、温度管理などに活用するデバイスとして、今やさまざまな企業とPoC(概念実証)を実施している状況です。
超高速スピン制御で磁気メモリの2桁速い書き込み・省エネ・低コスト化へ
もう1つ、我々が取り組んでいるデバイスは、非常に高速な、超高速スピン制御ができるデバイスで、非常に小さな電気でスピンの向きを反転させることができるものです。
超高速スピン制御を使うと、これまでは実現できなかった非常に高速な磁気メモリが実現できます。
今までの我々のパソコンやスパコン、いろいろな演算デバイスに入っている磁気メモリと比べて、2桁以上速い書き込み速度、計算するとテラヘルツというあまり聞きなれない動作速度域で動作するような高速演算デバイスが実現可能になります。
これを実現することで、ただ単純に速いだけではなく、低消費電力でコストも抑えられるものが実現できると考えて、我々は開発を進めています。
将来的には、実際に組み込みの1次キャッシュメモリであったり、IoTデバイスへの組み込みといったところから始めていきます。エッジデバイスへのAI搭載のような非常に演算負荷が大きいものを、非常に小さいコンポーネントや部品でできる世界を実現することに貢献していけると思っています。
トポロジカル材料を世界でいち早く社会実装する技術プラットフォーム
我々はトポロジカル物質を活かしたデバイスをいち早く社会実装していく、世界の誰よりも早くやるということに取り組んでいます。我々の製造キャパシティが制約にならないように、我々のエンジニアリングの提供とそれに必要な特許を皆さんにライセンシングするビジネスモデルに取り組んでいます。
実際に素子に落とし込む、そのときの信号処理をどうする、データ処理をどうする、いろいろなガスセンサに組み合わせる、赤外線センサに組み合わせる、こういったエンジニアリングを我々は提供することができます。お客様で製造されない場合は、必要に応じて素子を提供することもしていきます。
目指す市場は300億ドル以上!第2の半導体産業の中核を担う
こういった共同開発を通じて、とにかくいろいろな産業で使っていただくことが我々の喫緊の課題だと思っています。
今ターゲットにしている市場は、異常検出、温度管理、機械監視、ガスセンサ、こういった市場に加えて磁気メモリ(MRAM)の分野で、グローバルで見ると300億ドル以上の非常に大きな市場です。
ただ我々は、ここだけでは正直飽き足りないと思っています。
半導体も発見され使い始められた当時は小さな市場でした。トランジスタラジオや鉱石ラジオ、これでピンとくる方はだいたい年代がばれるのですけれども、このような製品を作っていた1億ドル、10億ドルの半導体市場だった頃から、太陽電池が発明されて、青色LEDが発明されてと、今となっては数千億ドル以上の市場になっています。
我々は、トポロジカル物質も第4の物質カテゴリーとして半導体市場と同じ道を歩んでいくと信じて、開発に取り組んでいます。
我々はまだ熱電変換と高速スピン制御を使ったデバイスしか知りませんが、これから新しい発見、新しい商品の開発等を通じて、どんどんいろいろな用途に溶け込んでいくと思っています。
今後は数十倍、数百倍の市場になっていく、そういった巨大な第二の半導体産業の中核企業としてグローバルに、ありとあらゆる工業製品およびそれらを使う生産設備に、当たり前のように我々の技術が入っていく、そういった世界を目指していきたいと思っています。
幅広い技術提携でともにトポロジカルデバイス産業の構築を
ただ、これを実現するにあたって、我々単独の取り組みでは難しいと思っています。
ぜひこの技術に関心があると思っていただいた企業様、一緒にPoCをして車の部品に組み込んだり、御社の製品に組み込んで、実際にどういったことができるか、こんな新しい製品ができるということを一緒に見つけていきたいと思っておりますので、ぜひそういったお声をいただければと思います。
また我々の製品は、我々単独で製造を全部できるとは思っていません。
もし工場設備で同じように作ることができる、そういったお声がありましたら、ぜひ量産技術の共同開発をさせてください。
また我々は、開発をさらに加速するために、今年は資金調達を検討しておりますので、そういった面でもご関心のある企業がありましたら、ぜひお声がけいただければと思います。
▶東大発量子科学スタートアップ「TopoLogic」1.3億円の資金調達を実施(PR TIMES)
こういった新しい産業の創出は、我々一つの企業ではできないと思っておりますので、ぜひ皆さんのお力をお借りできればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。
▶実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成