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「Dioseve」はiPS細胞の独自技術で、不妊治療に新たな選択肢を提供する(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 リアルテック・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いたDioseve岸田 和真さんのプレゼンテーション動画【「Dioseve」はiPS細胞の独自技術で、不妊治療に新たな選択肢を提供する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。

【速報】iPS細胞の分化誘導技術で、不妊治療の成功率を高める「Dioseve(ディオシーヴ)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

岸田 和真
株式会社Dioseve
代表取締役
HP | STARTUP DB

1995年生まれ。早稲田大学卒業後、米系投資銀行のHoulihan Lokeyに新卒で入社し、主にヘルスケア、テクノロジー領域を担当。M&Aやエクイティファイナンスのアドバイザリー業務を中心に投資銀行業務に従事。生まれつきの疾患が新薬により完治したことをきっかけに、「先端技術の実装で治療法がない人々を助けたい」との想いから創薬ベンチャーをつくることを決意。2021年にワシントン大学の浜崎氏と株式会社Dioseveを創業し代表取締役に就任。


「5.5組に1組」の夫婦が不妊治療・検査を経験

岸田 和真さん こんにちは。株式会社Dioseveの岸田と申します。

まず、「5.5組に1組」。

この数字は何を意味しているでしょうか?

これは、日本国内で不妊治療または不妊検査を受けたことのある夫婦の割合です。

こちらが不妊治療の実施回数の推移になります。

過去30年間で不妊治療の実施回数は、20倍以上に増加しています。

過去30年間で不妊治療の成功率は低下

それでは、不妊治療を受けている患者の方は、実際に子どもを授かれているでしょうか?

こちらは不妊治療の成功率の推移になります。

過去30年間で不妊治療の成功率は、なんと低下しているのです。

不妊治療を受ける人の数が増えているのに、不妊治療の成功率が下がっている。

このままで不妊の問題は解決されるでしょうか?

私たちは半世紀ぶりの技術革新で、不妊治療の常識を変えます。

iPS細胞を卵子に変える独自技術

事業の紹介になります。

皆さん、「iPS細胞」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

iPS細胞は皮膚や血液の細胞から作製することができ、理論上人の身体のほぼ全ての細胞に変化することができるといわれている夢のような細胞です。

2012年に京都大学の山中 伸弥教授がノーベル賞を受賞したことでも話題となりました。

例えば、肝臓や目の再生医療のために、世界で研究開発が進められています。

私たちはこの iPS細胞を卵子に変える技術を保有しています。

つまり皮膚や血液から卵子を作ることができるのです。

既存技術における期間・費用・再現性等の問題をクリア

左下に既存技術が書いてありますが、実は卵子を作るという技術自体は、これまでも存在していました。

この既存技術は、卵巣の中の環境を体外で再現することによって、そこでiPS細胞を培養し、徐々に卵子に変えていくものでした。

しかし右側の表にある通り、この既存の技術にはいくつかの問題があります。

まずは作製期間が、マウスでも1か月以上かかる。

さらに費用についても、その培養期間中に高額な成長因子を入れなければいけなかった。

さらに、これは誰でもできるというものではなくて、熟練した技術を持った方にしか再現できなかった。

そして胎児の卵巣の組織を採ってきて、一緒に培養する必要がある。

人で例えると、卵子を作るために赤ちゃんの卵巣の組織を採ってきて、一緒に培養しなければいけないというものです。

仮にこれらのハードルをクリアしたとしても、できる卵子の数は限られていました。

弊社の保有する技術は、このステップ バイ ステップの方法ではなく、iPS細胞を直接卵子に変えるというものです。

右側の表にまとめていますけれども、弊社の技術の場合は作製期間も5日程度、さらに高額な成長因子も不要ですし、学部生レベルの方でも再現できます。

さらに胎児の卵巣組織も不要ですし、こちらも大きなポイントですが、iPS細胞を直接卵子に変えるので、 理論上無制限に卵子を作ることができます。

つまり弊社の技術では、短期間に安価に簡単に大量の卵子を作ることができるのです。

新規性の高い発明として『Nature』に掲載

こちらが技術の概要になります。

私たちは、卵子で活性化している遺伝子をiPS細胞に強制的に導入するということをしました。

するとiPS細胞が卵子のような細胞(卵子様細胞)に変わることを確認しました。

ここに精子を入れたところ、なんと受精が開始し、そして細胞分裂を開始しました。

この発明は新規性の高い発明として、世界で最も権威のある科学雑誌である『Nature』にも掲載されました。

▶Nobuhiko Hamazaki, Hirohisa Kyogoku, Hiromitsu Araki, Fumihito Miura, Chisako Horikawa, Norio Hamada, So Shimamoto, Orie Hikabe, Kinichi Nakashima, Tomoya S. Kitajima, Takashi Ito, Harry G. Leitch & Katsuhiko Hayashi: Reconstitution of the oocyte transcriptional network with transcription factors. Nature 589: 264–269, 2021.

そして、この技術(DIOLs: Directly Induced Oocyte-like cells)は世界で弊社だけが持つ独自技術です。

さらに、研究体制としても共同創業者かつ発明者であるワシントン大学の浜崎(伸彦氏)をはじめ、エディンバラ大学や香港大学、ペンシルべニア大学など、世界のトップ大学の研究者が集まって研究を進めています。

さまざまな要因で子どもを持てない人の治療手段として

ではこの技術を用いて、どんな事業を展開するのか?

大きなところでは、不妊治療サービスがあります。

左下にある通り、遺伝的な要因であったり、体質の問題、あとは年齢の問題、さらにはがん治療の副作用、こういったもので子どもを持てない女性が多くいらっしゃいます。

そういった方々が病院やクリニックに受診された際に、その方の組織を採取して弊社の技術で卵子に変えます。

それを病院やクリニックにお戻しして体外受精を行うと、今まで自分の遺伝子を残すことのできなかった、不妊といわれている女性が、自分の遺伝子を残した子どもを授かることができるのです。

卵子原因の不妊に対する画期的治療法

こちらが不妊治療の現状と課題をまとめたスライドです。

不妊の原因は大きく3つに分けられます。

1つ目が「子宮」の問題。2つ目が「卵管」の問題。そして3つ目が「卵子」の問題です。

このうち左2つの「子宮」と「卵管」の問題に関しては、外科的な処置であったり、体外受精を行うことによって、自分の遺伝子を残せる可能性は十分に残されています。

しかし一番右の卵子そのものの問題になってしまうと、ホルモン剤等を投与して治療しますが、それで効果がないと、その後の対処法がないというような状況です。

さらにこの卵子の原因によって不妊となってしまっている女性、世帯が、先進国だけでも3,000万世帯というふうに推測されており、非常に大きなペインが残されています。

もし弊社の技術が社会実装された場合、この大きなニーズに対して提供できる、世界で初めてかつ唯一の治療法になります。

全ての生命に新たな選択肢を

さらに、この技術は他の事業にも展開できます。

例えば家畜の繁殖であったり、絶滅危惧種の保護であったり、ペットの繁殖であったり、さらに社会的な議論が必要ですが、同性カップル同士の子どもを作ることもできるかもしれません。

「全ての生命に新たな選択肢を」

私たちは日本で生まれたこの技術を用いて、世界の常識を覆します。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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