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保育施設と保護者の課題に取り組み、子育てを楽しいと思える社会の実現を目指す「BABYJOB」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 カタパルト・グランプリに登壇いただき、4位に入賞したBABYJOB上野 公嗣さんのプレゼンテーション動画【保育施設と保護者の課題に取り組み、子育てを楽しいと思える社会の実現を目指す「BABYJOB」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。

【速報】活用現場拡大!遠隔指示で働き方を変える「SynQ Remote」(クアンド)がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

上野 公嗣
BABYJOB株式会社
代表取締役
HP | STARTUP DB

武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科卒業。 ユニ・チャーム株式会社を経て、2012年5月に株式会社SSM(現:BABY JOB)を創業。 待機児童問題解決のために保育所事業を始め、現在は全国で45施設を運営。 保護者が抱える登園準備や荷物の多さを解消する為、2019年に紙おむつとおしりふきが保育施設で使い放題となるサービス「手ぶら登園」をリリース。2020年には日本子育て支援大賞、キッズデザイン賞、日本サブスクリプションビジネス大賞グランプリ、2022年に日本サービス大賞優秀賞・審査員特別賞を受賞。 現在、保育園探しサイト「えんさがそっ♪」で保活をスマートにするサービスも開始。 「子育てに関するタスクが多すぎる」という社会課題の解決と、「すべての人が子育てが楽しいと感じられる社会」の実現を目指す。  保育士、幼稚園教諭 全国小規模保育協議会 理事長 日本サブスクリプションビジネス振興会公認サブスクアンバサダー


お母さん人材の活用を目的に保育施設作りからスタート

上野 公嗣さん BABYJOB株式会社の上野と申します。私たちは、「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」を目指してサービスの提供を行っている会社です。

私は新卒で大手衛生用品メーカーに入社し、お母さん人材の活躍を目の当たりにしてきました。

そこで、お母さん人材の活用を目的に起業をしましたが、当初は待機児童問題が深刻で、子どもを預ける保育施設がないから活躍できないという問題がありました。そのため、私たちは保育施設を作るところから始めました

保育施設さえあれば、お母さんたちが活躍できる社会になると思っていましたが、蓋を開けてみると、毎朝保育施設に来る保護者が非常に疲弊しているように見えました。

保育施設は、仕事と家庭を両立させるためのインフラであるはずですが、常に時間がない保護者に、毎日おむつに名前を書いて持ってきてもらったり、金曜に布団を持って帰って干してもらい、月曜にまた持ってきてもらったりと、毎日大きな負荷をかけてしまっています。

また、0~2歳児に関しては、子どもが夜泣きをするので、夜は細切れの睡眠をし、また朝がやってくる、これを延々と繰り返す中で、保護者はものすごく疲弊していってしまいます。

女性の働き方や家庭の形が日々変化しているのに、保育施設は75年間ずっと変わらずにきました。

日本のジェンダーギャップ指数が取り上げられる際、女性の政治参加や管理職が少ないと言われますが、朝保育施設に来る保護者の姿を見ると、キャリアのことを考える時間すらない状況が窺えます。

実際、子育て世代が抱える時間貧困の課題は社会問題になっており、子育てをしている女性の平均労働時間は、無償労働を含めると約16時間にも上ります。

日本の保護者が子どものケアや余暇に充てられる時間は、G7の中でも最短で、時間貧困に陥っている正社員共働き世帯の妻は80%もいる状況になっています。

▶参考:子育て世代「時間貧困」 子のケアや余暇、日本G7最少 – ホームページ (gold-partners.jp)

おむつのサブスクで保護者の負担軽減へ

私たちは、保護者が抱える作業を一つ一つ取り除き、時間貧困をなくすことに挑戦しています。

皮切りに始めたのが、保育施設向けおむつのサブスク「手ぶら登園」というサービスです。

「手ぶら登園」は保護者に決済サービスを、保育施設に利用者管理と在庫管理システムを提供し、在庫管理システムと連動した発注システムで、メーカーから直接保育施設におむつが届く仕組みになっています。

これにより、保護者はおむつに名前を書いて持っていく必要がなくなり、保育士はおむつを個別に在庫管理する必要がなくなります。

また、保護者だけではなく、保育士側のメリットも多くあります。保護者がおむつを忘れたときの対応が必要なくなったり、おむつの使用枚数を気にせず替えてあげられたりするので、保育士も本当に喜んでくれています。

そして保育施設には、一切お金がかかりません。

保護者も保育士も喜んでくれ、保育施設に負担がない三方よしのサービスなので、一気に広がっていくと思っていました。

サブスク大賞を転機に導入を加速

しかし、2019年のローンチ当初、なかなかアポイントメントが取れず、社内が疲弊していました。

保育施設に対し、「おむつの定額制サービスを始めました」と電話でご案内していたのですが、「保護者が持ってきて、持って帰るので、おむつには一切困っていないです」と、電話をガチャッと切られました。

つまり、課題であると分かってもらうこと自体が課題だったのです。

2020年に日本サブスクリプションビジネス大賞のグランプリを頂いたことが転機となり、多くのメディアに取り上げていただいたことで、カテゴリーの認知が広がっていきました。

日本一のサブスクは”手ぶら登園”、日本サブスク大賞2020表彰式(PR TIMES)

日本サブスクリプションビジネス大賞 2020

2022年から、ユニチャームだけではなく花王とも提携することで、さらに保育施設への導入を加速することができています。

私たちはサブスクという課金体系ではありますが、保護者に月1回以上、解約を促しています。

退会時に顧客満足度を最大化させることを会社の目標にしているため、「おむつ外れおめでとう」という意識で、解約しやすく、解約忘れがないようにしています。。

そうすることで保育施設からの解約がほぼなくなり、毎年新しい園児が利用してくれています。2023年5月現在では、全国47都道府県3,460施設でご利用いただいております。

最近は多くの自治体で、手ぶら登園の実証実験を始めていただいています。

実証実験の中で、保育士のオペレーションに対する不安、保護者のおむつブランドへの不安が解消されるため、実験後の保護者満足度調査は、全ての自治体で90%以上が「満足した」という回答が得られ、導入が進んでいます。

子育て世帯の無償労働時間を削減するための取り組み

保育施設内でのおむつ市場は約400億円しかありませんが、「子育て世帯の無償労働時間1時間を削減する」という社会へのインパクトは、3.5兆円あります。

私たちは、保護者の無償労働時間を1時間を削減するために様々な取り組みを始めています。

その取り組みの1つとして、保育施設での使用済みおむつの持ち帰り問題に対する活動があります。一部の保育施設ではまだ、使用済みおむつを園内で廃棄せず、保護者に持って帰らせるという文化があり、保護者の負担につながっています。

保護者から、「使用済みおむつの持ち帰りがあることで、お迎えに行った帰りに直接、買い物や病院に行けない」という声を聞きました。

この課題解決のために、まずは、クラウドファンディングで応援資金を集めてサイネージ広告を出したり、「おむつの持帰りなくすかるた」を作ってSNSで拡散させたりして、問題の認知を高めました。その後、オンライン上で署名を集め、2022年9月に加藤(勝信)厚生労働大臣に提出しました。

また、毎年実施している約1,500の自治体に対するおむつの持ち帰り状況のヒアリング結果を厚労省と共有しています。

署名と調査結果を提出してから約4カ月がたった2023年1月に、加藤大臣から厚労省の見解として、「使用済みのおむつは保育施設での処分を推奨する」ということを、各市区町村に通達を出していただきました。

保育施設を探しをサポートする「保活」サイトを開設

保育施設を探す「保活」はすごく難しく、自治体の窓口に保育施設への入所希望を出すと、園名、住所、電話番号だけが書かれたリストを渡されます。

それをもとに、自分の大切な子どもを預ける保育施設を探さなければいけないのですが、おむつに名前を書かなければいけない、おむつは持ち帰らないといけないなどの情報は、入園説明会で初めて知ることが多いです。

つまり、入園が決定してから初めて知る情報が多くあるという状況です。

そこで2022年6月、「えんさがそっ♪」という、食べログの保育施設版のようなサイトを始めました。

地図上から保育施設を探し、情報を比較し、見学予約までできるものです。

園の特色や、施設種別などの条件で、抽出することもできます。

2023年5月現在、サイトに訪問してくれるユーザー(UU)が、月間で400,000人を超えるまでに成長しています。

子育てを楽しいと思える社会の実現を目指して

子どもは社会の宝とよく聞きますが、保護者の話を聞いていると、電車やバスに乗っても、ご飯を食べに行っても、周りに謝ることが多いと言います。

私は、保護者だけで子育てをしているような、社会が子育てを全然支えていないような構造になっていることに、すごく課題を感じています。

私たちの子どもが大人になった時、子どもを生みたいと思える社会にしていくのは、私たち世代の責任だと思っています。

ぜひ、皆さんに応援していただきながら、「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現をしたいと思っています。

よろしくお願いします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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