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世界最先端のカイコ研究が進む日本から、新たな産業創出を目指す「Morus」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 リアルテック・カタパルトに登壇いただいた、佐藤 亮さんのプレゼンテーション動画【世界最先端のカイコ研究が進む日本から、新たな産業創出を目指す「Morus」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。

【速報】iPS細胞の分化誘導技術で、不妊治療の成功率を高める「Dioseve(ディオシーヴ)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

佐藤 亮
Morus株式会社
代表取締役CEO
HP | STARTUP DB

東京大学にてアメフト部に所属、筋肉のことを24時間365日考え続けるタンパク質のアーリーアダプターとして、スポーツ栄養学を学び、実践。 伊藤忠商事繊維カンパニーにて洋服のOEM生産及び法人営業に従事。絹の原料である養蚕業の歴史と衰退の現状を知り、日本における伝統産業の保全とそれらによる地方活性化の必然性を痛感。 サムライインキュベートでは大企業向け新規事業開発支援(実行/戦略策定支援etc)及びオープンイノベーション支援に従事。大企業内ビジネスコンテスト・アクセラレータープログラム運営、メンターも担当。イスラエル担当としても活動。 大学、大企業の技術の事業化支援などを行う中で、科学技術の事業化に日本経済復活の勝ち筋を見て、世界的な課題であるタンパク質供給かつ、日本が研究で先進しているカイコの大学技術事業化を目指し、カイコ研究の先端研究者である塩見教授と共にMorusを共同創業。


佐藤 亮さん こんにちは、Morus(モルス)の佐藤です。

私たちは信州大学発のテクノロジーベンチャーです。

この素材は日本経済を復活させると確信

もともと私は商社、VCで働いており、研究者ではありませんでした。

そんな研究とは無縁だった私が、なぜ今テクノロジーベンチャーをやっているのか。

理由は、世界最先端の研究が、日本にまだたくさんあるからです。

VC時代、研究のビジネス化をご支援する中で、それを事業化し世界に出していければ日本経済を復活させることができると確信しました。

ただ、私がどう貢献できるのか、まだ分かっていませんでした。

他方、もともと大学からアメフトをやっており、筋肉とタンパク質にかなり詳しかったため、世界課題である「タンパク質危機」(※)をかなり深刻に捉えていました。

迫る「タンパク質危機」 救いの神は藻か昆虫か(日本経済新聞)

そんな中、日本経済をかつて支え、この世界課題を解決できる素材に出会ってしまったのです。

それがカイコです。

かつて日本がシルクで世界を獲ったカイコです。

日本を大国にのし上げた上州武州の生糸(上武 絹の道)

私は日本の研究で世界を変えることができる。

このカイコに人生をかけることを決めました。

カイコ由来のタンパク質原料で事業展開

弊社ではこのカイコを使って、食品原料を企業に供給する事業、そして原料価値を上げる研究事業の2つの事業を展開しています。

他のタンパク質原料にはない特徴を多く持っているので、唯一無二の新しいタンパク質原料として、ビジネスとして短期的にも戦えるのです。

ご覧の通り、タンパク質関連市場には、どれも1兆円を超える非常に大きな市場があり、弊社も食品、そして飼料、医薬へと拡大していく予定です。

飼育しやすく独自機能性成分を持つカイコ

では、そんなカイコがなぜ唯一無二と言えるのか。

理由は3つあります。

でかい、逃げない、共食いしない。

生産効率が非常に高いのです。

昆虫は共食いして原料ロスが生まれがちですが、カイコはクワしか食べず、全く逃げないので、狭い面積で大量生産が可能です。

そして、クワしか食べない、シルクを吐く特殊性から、カイコ独自の成分も多く見つかっており、例えばシルクタンパクの整腸作用、クワ由来の糖尿病予防の成分など、タンパク質プラスアルファの価値が大きいのです。

そして何度でも言います。

明治時代から国が投資し続けてきた結果、日本の研究が世界最先端なのです。

100年以上研究している基盤が、ここ日本にあります。

日本から世界を取れる原料なのです。

研究開発から販売まで一気通貫の「Silk Platform」

このカイコを最大限生かすため、私たちはネイチャー系の論文掲載など、実績も多数ある世界有数のカイコ研究者塩見 邦博教授を取締役に迎え、ビジネスとサイエンスの両軸で成長できるチームを作っています。

このチームで、ではどのように私たちが世界をカイコで変えていくのか。

それがこの「Silk Platform」です。

Silk Platformとは、研究から原料生産、製品開発までの、川上から川下までのバリューチェーンをおさえた原料供給の仕組みです。

研究を製品開発に生かす。市場のニーズを研究に生かす。

このサイクルをカイコで実現しているのは、世界でも私たちだけなのです。

この強みで世界を変えます。

マウスによる臨床試験で予防医学的にポジティブな結果

それぞれ詳細を説明します。

この2つが研究開発におけるテクノロジーの強みです。

原料の成分に関する臨床研究とカイコの品種改良の研究です。

原料の研究では、マウスへの臨床試験をすでに実施しており、予防医学的にポジティブな結果が多数出ています。

その理由は、クワしか食べないことから、植物と動物の良い点を掛け合わせた性質を持っているからなのです。

代替ではなくカイコからしか得られない結果が、エビデンスベースでも多数出てきています。

ゲノム編集スピードは従来の5倍以上

もう1つは、カイコの品種改良技術です。

日本一の大量飼育技術に加え、独自のゲノム編集の高速設計技術を持っているため、1カ月に通常は2〜3系統のところ、弊社の場合、5倍以上の最大18系統を作製可能です。

これを生かして高栄養なカイコや味を改善したカイコなど、新品種の作製、食用への応用研究をスピーディーに行えるのが、弊社の世界的な技術の強みです。

養蚕農家ネットワークと並び試作プラントも稼働予定

次に「原料生産」です。

自社でカイコ量産プラントを進めており、自治体と組み、試作プラントを稼働開始予定です。

国内超大手食品企業と業務提携

そして「製品開発」です。

すでに食製品とパウダーが完成しており、味と機能のポテンシャルを評価いただき、世界的にも基準が厳しいとされる日本の超大手食品企業と業務提携の契約を締結、共同研究オファー、そして原料購入のお引き合い等、具体的な取引に至っています。

そのうち1社には、通常のタンパク質原料の10倍の価格でも購入したいというお引き合いもいただき、機能的価値も評価いただいているのです。

代替タンパク推進国シンガポール政府と協議

最後に、販売に関しては、市場がすでにある海外から展開予定です。

現在、世界一、政府が代替タンパクを推進しているシンガポールで、現地政府とすでに協議済みです。

2023年中に販売も開始予定です。

改めて、研究開発、原料生産、製品開発のそれぞれで強みを持っていること、これこそが弊社の優位性なのです。

この原料をおさえている強みを生かし、高機能素材なタンパク質原料として、事業成長と社会インパクトを両立させる素材戦略を取っていきます。

カイコでもう一度、日本から世界に新しい産業を!

ここまでお話ししたように、カイコには素晴らしい歴史、研究、産業の基盤がここ日本にあります。

かつて渋沢 栄一はカイコで国を作りました。

日本が誇る歴史、研究、食のブランドを生かせるこのカイコでもう一度、日本から世界に新しい産業を一緒に創っていきましょう。

ご清聴ありがとうございました 。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美

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