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鉄リサイクルの課題解決で、世界最大のCO2排出産業の脱炭素を実現する「EVERSTEEL」(ICC KYOTO 2023)

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ICC KYOTO 2023 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき3位に入賞した、EVERSTEEL田島 圭二郎さんのプレゼンテーション動画【鉄リサイクルの課題解決で、世界最大のCO2排出産業の脱炭素を実現する「EVERSTEEL」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。

【速報】“直感的“と”プロが満足“を両立!ノーコードWebデザイン制作を可能にする「STUDIO」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by ノバセル

田島 圭二郎
EVERSTEEL
代表取締役CEO
HP | STARTUP DB | X(旧Twitter)

1994年大分県生まれ。鎌倉時代から続く林業家系に生まれ、環境課題解決への従事を決意。2019年にスイス連邦工科大学での研究開発を経て、鉄スクラップに特化した画像認識システムを構築。2020年度未踏アドバンスト、2021年度東大IPC 1st roundに採択。2021年東京大学大学院マテリアル工学専攻を卒業した後、EVERSTEELを共同創業し、CEOに就任。世界で最もCO2排出量が多い鉄鋼業からカーボンニュートラルを目指す。


田島 圭二郎さん 皆さん、こんにちは。

EVERSTEELの田島です。

弊社は、脱炭素に向けた、鉄鋼業のための画像認識サービスを展開しています。

鉄鋼業は世界で最もCO2を排出している産業

鉄は、世界で最も使われている金属です。

世界で年間19億トンが生産され、市場規模にして350兆円の超巨大産業になっています。

同時に、鉄鋼業は世界で最もCO2を排出している産業でもあります。

世界で排出される全てのCO2のおよそ7%、26億トンは鉄鋼業から排出されています。

CO2排出量削減のため鉄鋼業は鉄リサイクルへとシフト

鉄には、そもそも大きく2つの作り方があります。

天然資源である鉄鉱石を使う「高炉法」と、鉄スクラップを電気で溶かしてリサイクルする「電気炉法」です。

鉄はリサイクルすることで、CO2の排出量を70%以上抑制することができます。

今、リサイクルへの大きな転換期を迎えています。

国内では日本製鉄社やJFEスチール社、世界ではアルセロール・ミッタル社やポスコ社などによって、電気炉への投資が急速に伸びてきています。

製造プロセスで最重要な鉄スクラップの品質管理

しかし、鉄リサイクルの促進は、容易ではありません。

これが、社会での鉄リサイクルの流れです。

鉄鋼メーカーでは、原料調達において鉄スクラップを購入し、品質ごとに分けて管理したスクラップを適切に配合していきます。

そして大量の電気を使ってスクラップを溶かしていき、製品として出荷していきます。

このプロセスを通じて、原料となるスクラップの品質をいかに管理するかが重要となってきます。

しかし、全てのプロセスで課題が発生しているのが現状です。

原料調達では熟練工がスクラップを全て目で見て検品して値段を決めており、配合では熟練工が長年の経験で配合レシピを組み、溶解では熟練工がノウハウや勘をもとに投入する電力量を設定し、出荷時には全ての鋼材を熟練工が目視で検品し、傷をチェックしています。

熟練工の作業は常に精度が高いわけではなく、全てのプロセスで非効率であるという課題を抱えているのが現状です。

鉄リサイクルの課題①1%の査定違いで年間10億円の損失

その中で、まずEVERSTEELがターゲットにしているのは、入口である原料調達のプロセスです。

原料調達では、スライドの左の画像のように、トラックで運ばれてくるスクラップを、マグネットで1トンずつ荷下ろししていきます。

この際、各工場のベテランのスタッフが、毎日1,000トン以上運ばれてくるスクラップを、全て目視で品質チェックしていきます。

熟練工の仕事は、大きく2つです。

1つが、「スクラップの価格査定」です。

スクラップの価格は、先ほどのスライドのトラック1台で約100万円です。

人によってばらつきがあり、110万円で購入する熟練工もいれば、90万円で購入する熟練工もいます。

各工場は、年間1,000億円規模のスクラップを購入し、全てを熟練工が目視で査定しています。

工場には熟練工が10名程度しかおらず、当然、熟練の目利きには、甘口な人、辛口な人、とばらつきが発生します。

たった1%の査定のぶれでも、工場あたり年間10億円規模の損失が発生しているのが現状です。

鉄リサイクルの課題②危険物の見逃しで数億円単位の損害

そして熟練工のもう1つの仕事が、「危険物・不純物の検品除去」です。

もしこの熟練工が危険物を見逃した場合、ガスボンベのような爆発物がその後の工程で混ざり、電気炉で溶かされる際に爆発し、工場の操業が停止し、1回で数億円単位の損害が出ます。

実際に、鉄鋼メーカー各社にヒアリングをさせていただきました。

不純物が混入することで、一度に作る鉄200トン全てが廃棄される場合もあること、また工場建屋の一部が新品になっているのは数年前の爆発事故で全て吹き飛んだこと、などを聞きました。

AIシステム「鉄ナビ検収」が危険物・不純物を検出

弊社では、この原料調達での課題を解決するための、「鉄ナビ検収」というAIシステムを開発しています。

鉄スクラップの写真を撮影し、操業中のリアルタイムの価格判定、危険物・不純物検出を行うことで、これまで発生していた課題を解決していきます。

これは、爆発物の検出の一例です。

このように、重なり合うスクラップの中で、ひしゃげていたり、一部しか見えていないような状態であったりしても、AIで高精度な検出を行います。

国内最大手の電気炉メーカー4社を含む8社と成約

すでに、日本の電気炉メーカー8社を顧客として獲得しました。

生産量がトップ10に入る4社を含みます。

累計で3億円程度の売上を上げ、これまで一切エクイティ調達(株式発行による資金調達)をせずに、黒字化を達成してきました。

現場への深い理解が高い成約率を実現

ビジネスモデルは、工場への初期導入費として1工場5,000万円程度と、利用料として年間2,000万円程度を頂くSaaSビジネスです。

すでに、日本、韓国、台湾から、30社以上のコンタクトを頂いています。

ほとんどは顧客からのコンタクトであり、弊社から営業をかけたことは一度もありません。

業界の課題がいかに大きいかが伝わると思います。

弊社では現場への住み込みを重要視しており、どの案件をスタートする際も、必ずその工場に数週間から1カ月程度の住み込みを行います。

現場への深い理解が、今の高い成約率につながっています。

既存顧客の中でも、弊社の製品が導入されている工場はまだ一部で、これから大きな成長の余地があります。

また、電炉市場自体が成長しており、2040年には市場全体が1.7倍になります。

世界最大のCO2排出産業から脱炭素を実現する

今後のロードマップです。

弊社は、鉄鋼業でバーティカルな展開を行っていきます。

「鉄ナビ売買」で鉄スクラップの売買プラットフォームを作り、「鉄ナビ配合」で最適なスクラップ配合と電力投入を行っていきます。

これにより、透明かつ無駄のない鉄作りを支え、より大きく市場を広げます。

材料工学の中でも、鉄リサイクルを専門にした大学発ベンチャーです。

我々は、世界で最もCO2を排出するこの産業から、脱炭素を実現します。

EVERSTEELでした。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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