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ICC KYOTO 2023 リアルテック・カタパルトに登壇した、iMU名倉 武雄さんのプレゼンテーション動画【「iMU」は、簡単に計測できる歩行解析計で、膝痛の早期診断・治療ができる世界を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。
▶【速報】農作物のアップサイクルで、世界の農地を潤す「EF Polymer」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS
名倉 武雄
iMU 代表取締役社長
慶應義塾大学医学部整形外科
HP | STARTUP DB
1967年鎌倉市生まれ 1992年慶應義塾大学医学部卒業 1999年スタンフォード大学訪問研究員 2002年より慶應義塾大学整形外科で歩行解析研究に従事 2020年 iMU株式会社設立。
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名倉 武雄さん 「世界の膝痛を救う!!」
それが我々のミッションです。
iMU名倉です。よろしくお願いします。
私は整形外科医として、31年目になります。
膝関節を専門として、また歩行解析・バイオメカニクスの分野を20年研究して、今回紹介するシーズにたどり着きました。
歩行時の膝の横ぶれが、膝の未来を決める
ところで皆さん、皆さんの膝は大丈夫でしょうか?
実は、皆さんが歩いている時、足を踏み込んだ瞬間に、実は膝がわずかに横にぶれています。
この現象を「スラスト」と呼びますが、実はその膝の横ぶれが皆さんの膝の未来を決めています。
この膝の横ぶれは「膝内反モーメント(KAM:Knee Adduction Moment、キャム)」という指標で数値化することができます。
膝の横ぶれが膝の変形性膝関節症の予後や膝に水が溜まる、あるいは半月板が切れるといった現象の原因になっていることが、長い研究でわかっています。
こちらの図にあるように、膝が横にぶれる、この動きをトルク(ねじりの強さ)として表現したものが「KAM」というものになります。
世界中で毎年100以上の研究がパブリッシュされています。
右下はPubMedのデータですが、今年ですでにもう60本もの研究が発表されています。
KAMの算出には高額機器と手間暇が必要
ところが、このKAMの計測は非常に大変です。
これは、私が研究している2つの施設での計測風景です。
患者さんを着替えさせて、このような歩行路を何度も何度も歩いていただきます。
こちらの右の女性、実は床反力計を踏み外していますが、これではデータが取れません。
モーションキャプチャという4,000万円を超える高い機械でおよそ1時間かけて計測をします。
さらにそこからデータのプロセスに至るまで30分、非常に大きな手間暇がかかります。
非常に骨が折れる、心が折れる作業、こういうことをやって世界中の研究者はKAMを算出しています。
通常これを診療で使うことは、ほぼ不可能と考えます。
KAMを数分で算出できる歩行解析計「iMU One」
そこで我々のソリューションはこちら、加速度センサーです。
この中には、6軸の加速度、角速度、そしてジャイロが搭載されています。
歩行中の膝の横ぶれをこの加速度で測ることで、我々はKAMの推定が可能と考え、長年研究をしてきました。
そしてこのツールにたどり着きました。
「iMU One」という商品になります。
iMU Oneは100を超える歩行データをもとに、AIで同時にモーションキャプチャーと加速度センサーによる計測でKAMを推定・算出できるものです。
現在推定精度は0.97を超えています。
患者さんの膝にセンサーを取り付けます。
そして患者さんにわずか数メートル歩いていただきます。
データはタブレット上で計測します。
こちらの加速度のデータをクラウド上のプログラムに放り込むことで、わずか数秒でKAMの推定が完了します。
この間わずか数分です。
これならばどこでも、診療中でも、患者さんのKAMを推定することができます。
これが我々のソリューションになっています。
増加する変形性膝関節症患者に早期診断の機会を
現在、膝の痛みを抱える変形性膝関節症の患者さんは年々増えています。
なぜか女性が多い病気です。
これは原因が分かっていません。
私は実は、女性に膝が悪い方が多い原因は「膝の横ぶれ」だと考えていますが、60代で6割を超える女性が膝痛に悩んでいます。
日本全国における患者数は、2,500万人と言われています。
おそらく皆さんのお母様あるいはお祖母様、あるいはお祖父様に膝が悪くて手術を受けている方がいると思いますが、整形外科では膝痛を診ない日はないほど非常にメジャーな疾患です。
ところが、この膝の診断に関しては、レントゲンを使っていまだに診断がなされています。
軟骨の摩耗をレントゲンの厚さで評価するKL(Kellgren-Lawrence)分類が1957年から使われていますが、なんと65年以上、この方法が刷新されていません。
臨床で膝の悪さを数字で表す、いわゆるマーカーというものが存在していません。
一方で膝は、軟骨がすり減り始めると、これは元に戻りません。
したがって最後は手術になってしまいます。
我々はそれを早く診断して、早期に快癒する方法が必要だと考え、このKAMに出会いました。
機器販売と月額5万円のサブスクモデルで展開
私はこの世界で20年以上研究し、多くの論文を執筆してきました。
豊富な膝関節症のデータもあります。
そして多くの日本中のキー・オピニオン・リーダーの方と近い存在です。
こちらの『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』が今年出版されましたが、こちらに初めてKAMが紹介されました。
この委員長等との働きかけによって、KAMが世にだんだん知られるようになっています。
ビジネスモデルとしては、この初期モデルを100万円で病院に購入いただいて、毎月5万円のサブスクモデルで展開しています。
病院では1件250点という保険点数が算定可能ですので、病院の収益にもなりますが、患者さんが自分の膝の状態を数値で見られることは、何より非常にインパクトがあることです。
ターゲットとしては日本全国にある1万7,000軒を超える整形外科、リハビリ病院を対象に販売を開始し、2023年5月から京セラと販売契約を結んで、現在少しずつ販売が伸びている状況です。
シンプルで簡単に測れる指標を世界中に届ける
我々はチーミングが非常に大事だと自分自身考えて、国際弁護士である崎地(康文氏)あるいは元PT(理学療法士)で臨床現場をよく知っている阿部を社員にして、苦しいながらも和気あいあいと、この2年以上を過ごしてきました。
スタートアップにおけるチーミングが非常に大事だと毎日思っています。
将来的には、現在導入予定あるいはこれから導入する施設で多くの臨床データを蓄積して、高いレベルの臨床研究を展開して、国際診断基準への掲載を目指しています。
現在わずか1年足らずで、もう1,000例を超える臨床データが蓄積されており、このビッグデータは世界にどこにもない変形性膝関節症のデータになっていると思います。
こちらにありますように、高血圧における血圧のような、非常にシンプルでかつ簡単に測れる指標を目指して、現在世界展開を進めています。
まず我々は日本で、このデータをしっかり蓄積して、膝の痛みを持つ患者さんは世界中に何億人もいますので、次のビジネスは世界をターゲットに、この歩みの技術を届けていきたいと思っています。
世界中の膝痛で歩けなくなる人を救いたいと考えて、日々努力しています。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美