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世界中の給水スポットがわかるアプリ「mymizu」から、環境問題への第一歩を促す「Social Innovation Japan」(ICC FUKUOKA 2023)

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ICC FUKUOKA 2023 ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 -に登壇いただいた、Social Innovation Japan / Nature Positiveマクティア マリコさんのプレゼンテーション動画【世界中の給水スポットがわかるアプリ「mymizu」から、環境問題への第一歩を促す「Social Innovation Japan」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】まちなか留学で子どもたちの世界を広げる「HelloWorld」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

マクティア マリコ
一般社団法人Social Innovation Japan 共同代表 / 株式会社Nature Positive CEO
HP | STARTUP DB

2007年-2011年 ロンドン大学SOAS。2011年-2014年 中日新聞・東京新聞ロンドン支局。2014年-2018年 英国大使館国際通商部。2016年-2019年 フリーランスコンサルタントとしてスタートアップ、NGOなどをサポート。2017年 一般社団法人Social Innovation Japanを起動。2019年 mymizu事業を開始。2021年12月 株式会社Nature Positiveを設立。


マクティア Social Innovation Japanのマクティアです。よろしくお願いします。

世界で増え続けているプラスチックごみ

早速、質問ですが、こちらの写真は、どこで撮られたものかわかりますか。

実は、ここから100kmほど離れた長崎県の離島、対馬を数年前に訪ねた際に撮った写真です。

このプラスチックごみの量、衝撃的ですよね。

残念なことに、こういった光景、そして、プラスチックごみという問題は、世界中どこへ行っても、もう避けられなくなっています。

もうすでに、この状態でも大変なのですが、さらにこのままの状況が続きますと、世界のプラスチックごみは、2030年までには倍増し、2050年までには4倍となり、海の中のプラスチックごみが魚より多くなると言われています。

これほどまでに壮大な課題に、どう向き合うべきでしょうか。

「私が頑張っても、どうせ何も変わらない」――もしかすると、この会場には1人もいらっしゃらないかもしれませんが(笑)――、しかし、環境問題は社会的課題が大きすぎるため、そのように思って、自分のことを無力に感じる人たちが大勢います。

使い捨てのペットボトル飲料を減らすために

その状態を変えたいと考え、開発したのが、こちらの「mymizu」(マイミズ)というプラットフォームです。

このような無料アプリを通して、世界中にある20万ヶ所以上の給水スポットを、簡単に探せるようにしています。

給水したい人と、給水できる場所を繋げています。

それを繋げることで、今、多くの人々が何気なく当たり前のように買ってしまっているけれども、実は、様々な環境問題に直結している、使い捨てのペットボトル飲料から卒業して、マイボトルを使って給水することが当たり前となる社会を目指しています。

2,300軒以上が給水パートナーとして登録

しかしながら、給水アプリ「mymizu」を開発したからといって、そう簡単に達成できるゴールではありません。

そのため、私たちは、多様なパートナーと一緒に、サーキュラーエコノミー(※)へのムーブメントを共創しています。

▶編集注:これまで経済活動の中で廃棄されていた製品や原材料などを資源と考え、リサイクル・再利用などで資源を循環させる循環型経済のこと。

具体的には、給水できる場所を新しく設置するのではなく、飲み水を提供してくれるところをマッピングしています。

現在、飲み水を無料提供してくださる2,300軒以上のお店や施設が、給水パートナーとして登録してくださっています。

大手のイケア・ジャパンさんやヒルトン・ホテルズ&リゾーツさんに加えて、個人経営のお蕎麦屋さんや美容院にもご登録いただいており、そのお店や施設の利用者に限らず、訪れた誰に対しても、無料でお水を提供していただくことを条件に、参加していただいています。

日本だけではなく、コスタリカやドイツといった世界13の国と地域でも、このようなお店や施設をご登録いただいております。

また、お店や施設以外にも、公共の給水スポットは、アプリのユーザーの投稿によっても追加されます。

福岡近辺でも、これほど増えています。(2023年2月16日登壇当時)

大手メーカーや地方自治体、学校とコラボ

しかし、給水スポットを増やせたからといってすぐに解決するわけではなく、実際にアプリを使っていただいて、給水を当たり前の行動にしていただくには、どうしたらいいのでしょうか。

私たちは、そのために、多様なパートナーさんと取り組み、より多くの人たちを巻き込むことに力を入れています。

ひとつの例を挙げますと、ナイキジャパンさんと共同で、3,000人のランナーたちに、マイボトルを持ちながら給水して走っていただく企画を行いました。

廃棄物ゼロのために一緒に動こう NRCチャレンジ(ナイキ)

そのほかにも、自治体と連携して、例えば、1ヶ月間、街全体を対象にしたイベントを開催したり、熱中症予防対策として給水を提案するキャンペーンを一緒に実施させていただいたりしています。

『BRITA Japan株式会社×mymizuチャレンジin亀岡』実施 環境先進都市・亀岡市を舞台に、ペットボトルを削減する取り組み「mymizuチャレンジ」を全国で初めて市民参加型で開催!(PR TIMES)

そして、明星学苑の学生さんともコラボして、学校内で、給水用マイボトルのデザインコンテストを開催したり、給水機を設置することでマイボトルを当たり前にしていただいたり、今は、東京大学の大学院生たちと、「mymizu」のアフリカでの展開まで、一緒に考えたりしています。

幅広い年齢層を対象に明星オリジナルマイボトルをデザイン(明星学苑)

個人のアクションが貢献に繋がる

このように「mymizu」は、「いいね」と思ってくださった人が、アクションを起こして貢献できる仕組みになっています。

例えば、ソフトウェアを開発できる人ですと、私たちのオープンソースコミュニティに参加していただければ、アプリの開発に、直接、貢献することができます。

これまでにも、1人のボランティアの方がAIのアルゴリズムを書いてくださったことで、アプリユーザーが投稿した給水スポットの写真の一部が、自動的に承認されるような設計になっています。

そして、熱意と行動力にあふれる若者たちが、TikTokといったSNSに動画などを投稿してくださることで、「mymizu」の認知度がますます上がっています。

また、Netflixやファッション雑誌『VOGUE』のような主要メディアにも、私たちの活動や給水をテーマに取り上げていただくことで、この給水という代替案を、大勢の方に一気に届けて、「mymizu」を選択し使用していただく流れに繋がっています。

mymizuがNetflixデビュー!!(mymizu)

寄付で参加する気候変動アクション。mymizuのマンスリーサポーターに【VOGUEエディターの #ChangeChallenge】(VOGUE JAPAN)

「mymizu」を立ち上げてから約3年半が経ちますが、本当にあらゆる方々、そして、パートナーが共に頑張ってくださっているおかげで、より多くの方々が参加してくださっています。

mymizuの波及効果

私たちの活動による影響は、50カ国以上に渡り20万人以上の方々に、実際に「mymizu」アプリを使っていただいたり、2,300軒以上のお店に給水パートナーとして参加していただいたり、53,000人以上の方に何かしらのイベントに参加していただいたり、2,000人以上の若者に手を挙げてもらってサステナビリティ・リーダー育成プログラムに参加していただいたりしています。

そして、私たちのインパクトは「mymizu」への参加だけにとどまりません。

福井県にあるこちらのお店「la-clarté」の場合は、「mymizu」に登録したことをきっかけに、行動連鎖が起き、2021年に、飲食店のサステナビリティ活動を表彰するミシュラングリーンスター(※)を獲得することもできたという、とても嬉しいご連絡をくださいました。

▶編集注:持続可能なガストロノミーに対し、積極的に活動しているレストランに光をあてるシンボルのこと。

la clarté:里山に“光”を灯すレストランに学ぶ、0から始めたSDGs実践の方法!(mymizu)

このようなケースも、次々と増えています。

台湾ではポケモンGOと新サービス誕生に貢献

そして、台湾でデジタル担当政務委員大臣を務めた、オードリー・タンさんのお話によりますと、給水と「ポケモンGO」のコンセプトを掛け合わせて、新しいサービスが生まれたとも聞いています。

これからは、2030年までにはこの給水ネットワークを拡大することで、日本、または世界でも、この給水という行動が当たり前になる社会にしていきたいと思っています。

嬉しいことに、日本国内だけではなく、メキシコやベトナムなど世界中の、自治体もしくは個人から、また大学など学校の方々からも、「mymizuを広めたい!」という声を頂いています。

この勢いで、ぜひ世界にもさらにこのムーブメントを広めていきたいと思っています。

給水やペットボトル削減からその先へ

しかし、私たちは、「給水」や「ペットボトル削減」は、あくまでも最初の一歩だと思っています。

「これなら、自分でもできる!」と思ってもらいやすい、ファーストステップだと思っています。

このファーストステップの先にあるのは、マインドセットの変化です。

「私が頑張っても、どうせ何も変わらない」――そう思ってしまうと、私たち人類が、今、直面している、壮大な環境問題や社会的課題には、当然、向き合うことはできません。

だからこそ、こういった簡単な行動から、まずアクションを起こしていただき、これほど簡単なものでも一緒に取り組めば、自分も世界も変わることができるという実感と希望を持っていただいて、そこからさらなるアクションを取っていただきたいと思っています。

「給水」というのは、極めてシンプルなアイデアですが、大きな夢を持って広めています。

ご清聴、ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/星野 由香里/正能 由佳/戸田 秀成/中村 瑠李子

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