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「FerroptoCure」は、全てのがんを副作用のない経口薬で癒す未来を目指す(ICC FUKUOKA 2024)

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ICC FUKUOKA 2024 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき同率2位に入賞した、FerroptoCure 大槻 雄士さんのプレゼンテーション動画【「FerroptoCure」は、全てのがんを副作用のない経口薬で癒す未来を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。

【速報】あらゆる製品の化学物質をデータ化し、企業を膨大・複雑な原料管理から解放する「ケミカン」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by エッグフォワード

大槻 雄士
FerroptoCure
代表取締役CEO
HP

2012年に北海道大学医学部を卒業。その後、外科医として診療に取り組む中で新しいがん治療開発の必要性を感じ、研究者の道へ進む。2020年に、これまでにないメカニズムの抗がん剤シーズの開発を行う。この開発を元に、2022年に株式会社FerroptoCureを立ち上げ、新規抗がん剤の社会実装に取り組む。


大槻 雄士さん よろしくお願いします。

株式会社FerroptoCure(フェロトキュア)の大槻と申します。

外科医から抗がん剤研究開発の領域へ

私たちは、「フェロトーシス」というものを使った抗がん剤の開発を行っています。

皆様、がんにおけるこの数字、何かご存知でしょうか?

実は現在、再発がんによる死亡とがん関連死の9割が、抗がん剤が効かなくなることで起きています。

つまり、抗がん剤はまだ不十分なものということです。

私はもともと外科医でした。

皆様のイメージ通り、外科医はがんを切り取るのが仕事です。

ですが、その後のがん治療を行うこともあります。

たくさんの患者を見てきましたが、治せないこともたくさんありました。

「頑張ってくれてありがとう」と言って旅立っていった患者さんを、何人も見てきました。

私はこの状況を変えたいと思って、抗がん剤の研究開発ビジネスの領域に足を踏み入れています。

「フェロトーシス」とは酸化ストレスによる細胞死

さて、少しだけサイエンスの話をさせてください。

皆様、高校や中学校でこの図を学んだと思います。

細胞が増えるのは、細胞が分裂するからです。

細胞分裂の際、重要な物質が細胞の中に溜まります。

それは、「酸化ストレス」というものです。

酸化ストレスは、皮膚のシミやシワの原因になるものです。

細胞が分裂する、増殖するたびに細胞の中に溜まっていきます。

すると、「フェロトーシス」が起こります。

細胞が増える過程で、細胞に溜まっていく酸化ストレスによって引き起こされる「細胞死」のことです。

酸化ストレスが溜まると、細胞が死にます。

なぜこのようなメカニズムが、人の細胞に備わっているのでしょうか。

それは、細胞が過剰に増えすぎないためではないかと言われています。

酸化ストレスでがんの細胞死を誘導する薬を開発

ですが、がんはこの作用から逃れます。

がん細胞は抗酸化システムという、酸化ストレスをブロックするメカニズム、つまりバリアを持っているので、酸化ストレスから身を守ります。

そして過剰に増殖する、これががんという病気ではないかと近年、言われています。

裏を返せば、この抗酸化システムさえ破綻させれば、がん細胞も酸化ストレスで死にます。

がん細胞を酸化ストレスで殺す、フェロトーシスを引き起こす、これが私たちの行っている開発のコンセプトです。

マウス実験で副作用なくがんが80%以上縮小

こちらは、実験のほんの一例です。

大腸がんを持つマウスに我々の薬を投与すると、80%以上の腫瘍縮小作用が見込まれるデータが得られております。

これは大腸がんだけではなく、皆様がよく耳にする乳がんや肺がんなど、他の様々ながんでも同様の効果が得られています。

がんの治療をすると体重が減る、脱毛するなど、様々な副作用が起こるという話を聞くと思います。

我々の薬で治療してもマウスの体重は減りませんし、今のところ、マウスを用いた実験では明らかな副作用も認められていません。

トリプルネガティブ乳がんから臨床試験を開始

この開発を以って我々が最初に取り組むがんは、「トリプルネガティブ乳がん」という、乳がんの中でも特に若い女性に多くて悪性度の高い、タチの悪いがんです。

トリプルネガティブ乳がん(虎の門病院乳腺内分泌外科)

進行した状態で見つかった場合、治療をしても半年程度で再発してしまうと言われています。また、若い女性に多いにもかかわらず、現在の治療では妊娠できなくなるリスクがあるという大きな課題を抱えています。

私たちは、既存の治療よりも高い効果で妊娠の機会を失わないというような、安全性と効果の両方で勝てる抗がん剤を現在、開発しています。

先月より、第I相臨床試験という患者さんに投与する臨床試験が、国立がんセンター東病院で行われています。

そして早ければ2030年にはこの薬を患者さんに届けられるよう、開発を進めています。

先ほどお話しした通り、私たちの薬が効くのは、乳がんだけではありません。

これまでの研究成果に基づくと、肺がんや大腸がんなど、様々ながんに効果がありますので、しっかりとビジネスにして抗がん剤を届けていきます。

中途半端に開発して供給できなくなってしまうと、患者さんにとって大きな不利益になりますので、小さな入口から入りますが、様々ながんを治す開発戦略を立てています。

15年を超える研究開発を経て、初の臨床試験

開発の歴史についてご説明すると、私たちはもともと、慶應大学医学部発のベンチャーです。

ラボ自体は2007年に立ち上がりましたので、15年を超える研究開発の成果として、私たちは現在研究、そして初めての臨床試験に到達しています。

最後に、チームについてです。

アカデミアの総力を結集して現在のチームビルティングを行い、創薬ベンチャーや製薬企業での経験のある方を入れてビジネス面を補強し、両輪で事業を回し、開発を進めています。

小さな経口錠剤で、がんで苦しまない社会を創る

私たちの理念は、「全てのがんを癒し がんで苦しまない社会へ」です。

これを目標に現在、開発を行っています。

ここに、非常に小さな錠剤がありますが、これは我々が臨床試験用に作った錠剤です。

この小さな錠剤で、がんを治します。

皆さん、風邪を引いた時に薬を飲むと思います。

それと同じです。

私たちは、風邪と同じようにがんを治します。

そうすることで、誰もがんで苦しまない社会を創ることができると考えています。

この小さな薬が、がん治療に大きな革命をもたらします。

皆さん、この世界に向けて、ぜひご協力と応援をよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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