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「俺たちのHARD THINGS – 数々の苦難を乗り越えて「今」がある」【K17-1C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その6)では、ホットリンク内山さんが、グローバルベンチャーとなるために海外企業とM&Aをした2014年頃を振り返りました。国内M&A未経験の状態で海外M&Aをしたところ、次々とHARD THINGSを体験したお話です。是非御覧ください。
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【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 1C
俺たちのHARD THINGS – 数々の苦難を乗り越えて「今」がある
(スピーカー)
秋好 陽介
ランサーズ株式会社
代表取締役社長
内山 幸樹
株式会社ホットリンク
代表取締役社長
松嶋 啓介
株式会社Accelaire 代表取締役
KEISUKE MATSUSHIMA 総料理長
横山 佳幸
株式会社Nagisa
代表取締役社長
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル
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▶「俺たちのHARD THINGS-v3」の配信済み記事一覧
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最初の記事
【新】俺たちのHARD THINGS – 数々の苦難を乗り越えて「今」がある【K17-1C #1】
1つ前の記事
俺たちのHARD THINGS④ 資金力のある競合が現れ、ジ・エンド
本編
井上 内山さんが冒頭で「いま苦労をしている」というお話をされていましたので、是非そのお話もお聞かせいただきたいです。
横山さんの話はかなりハードだったので、それを越える話を是非聞かせて頂きたいです。
内山 僕たちは上場した後、日本国内を対象に勝っていくベンチャーでいようと思ったらそのまま事業を継続して行けばよかったのですが、僕は「この時代に生まれて来たからには世界にどう事業を展開するか」ということしか考えてなかったので、世界展開を非常に意識しました。
内山 僕たちは上場しようと決めてから上場するまで一年半かかったのですが、上場するまで管理部門は一切なく全部アウトソーシングしていました。
上場しようと決めた翌月にCFOが入って管理部門3人の体制で、さらに一年半で上場を実施したので、三人で上場審査も、上場後の適時決算もIRも全部やりました。
そしてやっと上場できたところで、私が急にアメリカの会社を買収すると言い出しました。
そもそもグローバル企業としてやっていける人が内部に全くいないのに、いきなりグローバル企業になろうと言いだしたんです(笑)。
実際に、2013年末に上場して、2014年末にアメリカの企業を買収しました。当時の僕たちの売上は10億円で、買収金額は約30億円でした。つまり年間売上の3倍の会社を買収しました。
▶ホットリンク 米国ベンチャーを24億円で買収 グローバル市場での、ソーシャルメディアデータ提供企業に
管理部門3人の体制で、M&Aのプロセスから米国企業の連結決算、国際会計規準への変更等が必要になりました。
国内M&A未経験でいきなり海外M&A
井上 国内のM&Aはそれまで経験があったのですか。
内山 一切ありませんでした。
井上 いきなり海外で売上3倍の企業を買収したと。
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン プリンシパル 井上 真吾氏
内山 そうです。
僕らが買収した会社というのは、世界中のブログやソーシャルメディアのデータ、特に中国のデータを世界で唯一中国国外に販売する権利を持った会社です。
家電は電気がないと動かないものです。
一方で、AIやロボットはデータがないと動かないものです。
そのため、電気の時代における石油の油田採掘権をおさえるように、データの権利をおさえようという発想です。
IBMのWatsonが中国の事情分析をしたいとなると、僕たちからデータを買わないと分析できないくらいの会社を買収しました。
だから世界展開するためにどうしてもその権利をおさえたかったのです。
碁盤で例えると、僕の陣地が自分の近くにあって、上場した頃はまだ自分も陣地も固まっていないのですが、世界という盤面を見ると絶対にここをおさえないといけないというところに布石を打ちたいのです。
まだ足元の陣地が固まっていないのに遠くに布石を打つとなると、近場の陣地は攻められる上、遠くに打った布石も最初はそれ1つしかないので、そちらも攻められます。
ですから、買収した後まず会計がぼろぼろでした。
上場したのに、決算発表の当日まで監査法人が決算承認を出さないということもありました。
買収した会社の価値が半減
内山 そのアメリカの会社の社長はハーバード大学のMBA取得者でした。
僕は既に10数年経営をしてきた経験もあるので、僕の方が正しいと思うこともあるのですが、経営会議でそういう事を指摘するとその社長はエクスキューズが非常に上手いので、いかに自分が正しいかを主張します。
それでも僕が正しいと言うと、「That’s Japanese way」とか「Not global standard」等と言われます。
僕はCEOとして、その状況でもはっきりと自分の主張を通さないといけないのですが、僕は留学しておらず、日本の教育しか受けていません。
他方で、日本企業がアメリカの会社を買収して日本方式を押し付けてうまくいかない例はたくさん聞いています。
だからこのような状況になると、自分が間違っているのかもしれないという気持ちが湧いてきます。そこで少し引いてしまって、子会社の社長の思い通りにさせてしまったのですが、蓋をあけてみると業績が悪いんです。
内山 その会社になぜ30億円の価値がついたかというと、
(中略)
▶編集注:M&Aに関するさらなるHARD THINGSについてお話いただきましたが、オフレコのためカットしてお届けします。
そのため、30億円の価値が一ヶ月後に半減しました。
(中略)
内山 30億円の買収資金の集め方は、買収発表すると株価が上がるので、上がった時に資金調達すれば良いと考えて、銀行からの短期借入で調達したんです。
ところが、買収発表した後、アメリカの会社の業績が悪くなり、株価が下がり、資金調達をしようとしても資金が集まらず、銀行から貸し剥がしにあい、上場した後でも資金繰りに困るという状態に。
最終的に、ものすごい低いバリュエーションで資金調達をせざるを得なくなり、更に、社長がそれでもコミットしているという事を株主に見せるために、僕も2億円の第三者割当増資を引き受け、まさに、泣きっ面にハチ状態です。
井上 それはかなりまずい状況ですね。
内山 まずいです。倒産するかと思いました。
しかし中長期的な視点からすると、その会社をおさえるということは絶対に必要なことだったのでチャレンジしたかったのです。
そのせいで2013年末に上場してからこの約3年間、時価総額は最高550億円まで達したものが最低の時は時価総額 50億円まで落ちました。
未だにまだそこまで回復していませんが、やはり世界と戦うための基礎体力をつけるのに3年かかりました。
井上 その会社はいまもあるのですか。
内山 あります。
自分がグローバルで戦える自信がついてきた
内山 僕もコンプレックスがあり、思ったようにグローバルで戦えないと思ったので、世界で毎年22人が選ばれ、ワシントンで行われる世界的な起業家団体のリーダーシップ研修があるのですが、それに選ばれて参加してきました。
そしてハーバード大学に対抗するためにスタンフォード大学のエクゼクティブ・プログラム(社会人向けプログラム)に今年の年初に通いました。
内山 そうやって色々チャレンジしてみると自分が意外とグローバルでも戦える能力が十分にあるんだと分かり、自信がつきました。
そして、間違っているのは買収した企業のアメリカ人社長であって、自分ではないと悟りました。
スタンフォード大学のエクゼクティブ・プログラムは2フェーズあったのですが、最初のフェーズが終わって帰国してから即刻その社長をクビにしました。
それには相当の覚悟が必要でした。
横山 それは非常に大変だったと思いますが、その時のメンタリティーはどのような感じでしたか。
筋トレが経営につながる
内山 なんでしょうね。その時は筋トレをよくしていました。
筋トレとは、例えばベンチプレスをもう上げられないと思っても、それを何とか持ち上げるという、限界越えを短期間の間に何度もくり返すことです。
それを繰り返していると自分はやれるという癖が頭の中についてきます。
横山 筋トレが経営につながるということですね。
(右から2人目)株式会社Nagisa 代表取締役社長 横山 佳幸氏
内山 そうです。筋トレは本当に重要です。「HARD THINGS」を乗り越えるためには本当に筋トレです。
横山 秋好さん、本当にそうですか。
秋好 本当にそうです。筋トレをするとテストステロンが分泌されて精神が安定してよく眠れて自信につながります。
筋トレと兄弟を社員にするというのが大事です。
▶編集注:秋好さんが兄弟2人で起業した話は、(その2)をぜひご覧ください。
井上 松嶋さんも非常に忙しく世界を飛び回られ今日もその合間を縫って来ていただきました。
体調面やメンタル面はどう管理されているのですか。
松嶋 僕はトライアスロンをやっています。
横山 みんな体育会系ですね(笑)
井上 筋トレに話題が戻った?ところで、冒頭申し上げたように質疑応答の時間にしたいと思います。
バラエティに富んだお話で、色々な「HARD THINGS」を聞かせていただきましたが、会場の皆さんから質問はございますか。
(続)
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続きは 俺たちのHARD THINGS⑥ 「創業者アイデンティティ・クライシス」- 俺がいなくても会社は回る? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝
【編集部コメント】
外国人から「これがグローバルスタンダードだ」と言われても、その意見に打ち勝てる強さが私も欲しいです。(横井)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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