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俺たちのHARD THINGS④ 資金力のある競合が現れ、ジ・エンド【K17-1C #5】

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「俺たちのHARD THINGS – 数々の苦難を乗り越えて「今」がある」【K17-1C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その5)では、Nagisa横山さんが競合が現れて事業を撤退した頃を振り返りました。事業を撤退し、ピボットしても社員が創業者についてきてくれる組織とは?是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 1C
俺たちのHARD THINGS – 数々の苦難を乗り越えて「今」がある

(スピーカー)
秋好 陽介
ランサーズ株式会社
代表取締役社長

内山 幸樹
株式会社ホットリンク
代表取締役社長

松嶋 啓介
株式会社Accelaire 代表取締役
KEISUKE MATSUSHIMA 総料理長

横山 佳幸
株式会社Nagisa
代表取締役社長

(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「俺たちのHARD THINGS-v3」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】俺たちのHARD THINGS – 数々の苦難を乗り越えて「今」がある【K17-1C #1】

1つ前の記事
俺たちのHARD THINGS③ 採用しても採用しても社員が辞めていく

本編

井上 これまで、組織と人の話でだんだんウォームアップができてきたと思います。

このあたりで本当にハードなものを聞かせて頂きたいです!

先ほど横山さんからは、LINEに近いチャット形式のアプリケーションを出された話をお聞きしましたが、競合のサービスが出てきて大変だったというお話を以前拝見しました。

その辺りで「これはハードだった」ということがあれば是非教えてください。

横山 スタートアップであれば誰にでも起こり得る話だと思うのですが、結局自分たちが考えているアイデアとは世界では100人位が考えているものです。

ただし行動に移して人・モノ・金の部分で競合を出し抜いて勝てるかというところと、そしてタイミングが非常に重要です。

(中央)株式会社Nagisa 代表取締役社長 横山 佳幸氏

横山 その意味でいうと、タイミングは非常にいい時期だったのですが、僕たちが開発を始めた1年後くらいにLINEさんがアプリケーションを出して、半年程で一気にテレビCMを含めて急激に伸びていってしまいました。

LINEが競合になってしまった

横山 先ほど述べたTwitterで人材を採用して組織を作っていった、他の人たちがやっていない方法でベンチャーなりの組織の作り方としてはありだと思います。

つまり、1つのプロダクトを作っていく上での最小限の組織、最小限の機能、ミニマムのプロダクトを作っていくスタートアップとしては良かったのですが、戦う相手が強すぎました。

タイミングは非常によかったのですが、人・モノ・金の全てで負けていたので、そのプロダクトで資金調達してから2年くらい、開発期間を含めて撤退するまで2年以上の時間を費やしてしまいました。

組織を作ってプロダクトを作るところだけにスタートアップは集中してしまっていました。

BtoCサービスになればなるほど、最終的にユーザーを圧倒的に獲得しないといけない部分・そのためのお金の調達という部分が入ってくるものです。LINEさんや、当時ではカカオトーク(KakaoTalk)さんとか、その後DeNAさんなども参入してきました。

唯一「人」については、今の組織で5年くらい前に戻ってその当時のプロダクトを作っていれば、強がりではなく、勝負できるのではないかと思っています。

人・モノ・金の中で、「人」について言えば、大手企業が入ってこようが、海外の企業が参入しようが、プロダクトをしっかり作ってPDCAを回しグロースできるような組織は創れるし、それができれば自然とサービスもついてきますし、調達もできます。

当時スタートアップとしては良かったかもしれませんが、競合を踏まえて考えると圧倒的に敗北してしまった部分であったと感じています。

井上 ビジネス的にもインパクトは大きかったのですか。

ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン プリンシパル 井上 真吾氏

横山 僕たちはそのプロダクトしか作っていなかったので、そのプロダクトを2~3年やり、また0に戻りました。

秋好さんも「最初の5年くらいは」というようなお話をされていました。

僕らも最初の3年くらいで、やってきたものが撤退して0になったので、また起業当初のスタートに戻るというような経験をしました。

少数組織だからこそピボットができた

井上 その時の社員の皆さんの雰囲気はどのような感じになるのですか。

横山 その当時はまだ10人くらいの組織でした。例えば、それが当時50人くらいであれば組織が崩れた可能性はあると思います。

先ほどの話が結構しっくりくるのですが、10人くらいだと社員との関係性を突っ込めます。

今振り返ってみると、夜中まで仕事してその後飲みに行くとか、土日も一緒に仕事をしたり、一人ひとりに向き合えてかなり深いところまで突っ込めていました。コミュニケーション量も多いですしね。

だからピボットしようとなっても、また新しい方向を一緒に向いて動けるというところがありました。

よかったと思います。

井上 皆さんピボットしようとなってもついてきてくれたのですね。

横山 そうですね。そのプロダクトが駄目だということをきちんと説明した上で、会社としてどのような方向性を持ってやっていくのかを理解してもらって、その方向に向かって組織も形態を変えてやっていったという経緯はあります。

大きなHARD THINGSがあると基本に立ち返る

井上 その後さらに形態を変えて別のビジネスをやりながら今の50人の規模になっていく中で、次の壁があったというように聞いていますが。

その間非常に大変だったと思いますが、なぜこのように変えていこうとか、フェアにしようとか、その辺りはどうしてそのようにやればよいと分かったのですか。

横山 これは感覚的な話になるかもしれませんが、僕が前職で3年間いたネットエイジという会社も3年の間に社長が3人替わりました。

社長が替わると発せられるメッセージも全然違いますし、情報の浸透度合いも全く異なります。

社長によって社員に与える情報の濃度が異なる場合、情報をフェアに持てるときに、自分の仕事のパフォーマンスが変わったというような記憶があります。

今弊社の社員はまだ50人程度なので情報のフェアな共有ができますが、ランサーズさんのように170人とかになってくると情報のフェアさを保つのが難しくなってくると思います。

リーダーシップも非常に重要ですが、誰もが情報をしっかりと持ててアクセスできること。

そこから会社としてのビジョン、ミッション、バリューをしっかりと押し出す基盤とコミュニケーションを当時は大切にしていました。

井上 そのような大きなHARD THINGSがあると基本に戻るということですね。

横山 そうですね。結局ビジョン、ミッション、バリューを会社の基盤としてきちんと持ち、それに対してどのような方向を向いているかという情報をきちんとメンバーに届けることが必要です。

弊社は事業部が3つあるので、各事業部が何をやっているかについての情報もそうです。各職種、各個人が何をやっているか、誰と誰が何をやっているかも非常に重要だと思っています。

僕からメッセージを発信するところから社員レイヤーまでのコミュニケーションのマイクロ化をとにかくやっていたということはありました。

井上 秋好さんは今のお話を聞いていかがでしたか。

組織はもっと大きくなられていると思いますが。

秋好 今の話を聞いてドメインが切れたら怖いと思いました(笑)。

経営幹部に誰を選ぶか

秋好 170人の組織になると、僕ひとりで全員とコミュニケーションすることは絶対に無理です。

営業日が200日しかないのに毎日話しても間に合いません。

そのため考えなければいけないのは、「誰を経営幹部にするのか」。

これ以上でも以下でもないと思います。

ランサーズ株式会社 代表取締役社長 秋好 陽介氏

秋好 社長が直接対峙するのは部長や役員、その部長や役員が対峙するのはマネージャー、ここのコミュニケーションが全てです。

そのため下手な経営幹部を選んでしまうと、僕が100言っていても20しか理解されず、メンバーには5くらいしか伝わらないということもあります。

逆に、良い経営幹部を選ぶと90理解してくれて、メンバーには50くらい伝わることになります。

誰を経営幹部に選ぶかが重要です。

僕が過去に失敗したのは、スキルがある人を経営幹部に選んでしまったことです。

例えば経理でいうと、非常に連結決算が得意だから経理部長にするとか、エンジニアだとPythonが非常に得意だからエンジニア部長にするとしてしまうとうまくいきません。

やはり社長のことを理解して社長の立場になってメンバーに話すことができる人を部長などに据えると一番ワークしたという経験があります。

井上 基本的な考えは同じなわけですね。組織全体にフェアに情報が伝わるかが大事だということですね。

秋好 一緒です。大事だと思います。

横山 そのようなケースはよくあると思いますが、抜擢したあとにフィットしなかった場合は、その後どうするのですか。

秋好 まずは本人にフィットしていないと伝えます。

横山 コミュニケーションをとるのですね。

秋好 期待はこれだけなのに今これしかできていないと伝え、半年ぐらい全力で僕もサポートしながら頑張ってもらいます。

それでも駄目なら役割を変えます。

横山 配置転換するということですか。

秋好 そうです。お互いが、特にメンバーがアンハッピーなので。

井上 ありがとうございます。

(続)

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続きは 俺たちのHARD THINGS⑤ 買収した米国企業CEOとの意見の相違、そして業績低迷 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝

【編集部コメント】

資金力がある競合が現れた時こそが、事業を継続して生き残っていくにしろ、事業を撤回しピボットするにしろ、組織の力が目に見えて現れるタイミングのようです。(横井)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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