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「生き方でセグメントする」北欧、暮らしの道具店・Relux・ママリのユーザーエンゲージメント戦略

2016年4月 東京都国立市にあるクラシコム社のオフィスにおいて勉強会「ICC Salon」を開催しました。株式会社クラシコム 代表取締役 青木 耕平 氏、Connehito株式会社 代表取締役社 大湯 俊介 氏、そして 株式会社Loco Partners 代表取締役 篠塚 孝哉 氏の3名をお迎えし、「ファン作りとエンゲージメント」をテーマに約60分間の対談を行いました。

2回シリーズ(その2)は、ファンのエンゲージメントを獲得するためのコンテンツパブリッシングの最適化と各社の今後の戦略について議論しました。是非御覧ください。

ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。

登壇者情報
2016年4月6日
ICC SALON 「ファン作りとエンゲージメント」

(スピーカー)
青木 耕平  株式会社クラシコム 代表取締役
大湯 俊介  Connehito株式会社 代表取締役社長
篠塚 孝哉  株式会社Loco Partners 代表取締役

(モデレーター)
小林 雅	   ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

その1はこちらをご覧ください:「北欧、暮らしの道具店」「Relux」「ママリ」のサステイナブルなファンづくり


小林 次に篠塚さんに伺いたいと思います。

Facebook広告の運用といえば、Reluxだと思うんですけど、どういう風にやっているんですか? 宿泊予約サイトだと、宿泊施設ページはずっとURLは同じじゃないですか。

篠塚 僕も青木さんと全く同じ考えで、量産時代というのは確実に終わると読んでいます。

どちらかというと、量産よりも、先ほどの話とつながるんですけど、高品質なコンテンツをちゃんと編集して出すという方がやはりいいなというのは、明らかですね。

なので、キュレーションメディアとして「Relux Magazine」というメディアもやっているんですけど、1〜2時間で記事1本あげろみたいなのではなく、1日かかってもいいから、ものすごく価値のある情報をちゃんと出そうということを大切にしています。

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その方が、結果的にトラフィックにつながったりとか、というのは明らかだと思いますね。ただ、SEOの世界では、まだそうなってないっていうのがあるので、そこは一長一短あるかなと思っています。

小林 でも流入ベースでいくと、SEOとか色々あるじゃないですか。どれが1番多いんですか?

篠塚 今はソーシャルが断トツですね。7割くらいはソーシャルです。

青木 サーチだとどのくらいあるんですか?

篠塚 サーチは、おそらく20%くらいしかないと思います。

大湯 メディアがあるんですか?サイト自体に…?

篠塚 サイト自体にもあります。Relux Magazineというコンテンツと、単純にReluxというサービスがあるんですけど。サーチはほとんどまだ、とれてないですね。

大湯 うちも、ソーシャルもそうですし、Facebookとの相性がすごくがいいんですよね。

同業他社を比較しても、ページにおける投稿へのエンゲージメントが圧倒的に高いのですが、今の話が土台になっているんだろうなと思っています。

例えば、弊社の場合だと、自社でアプリを展開しているのですが、そこで常に「いいコンテンツとは何か?」ということをテストしています。そこで良かったものを実際にFacebookに流したり、といった工夫をしています。

たくさん打てないがゆえに、自社のアプリのサービスでヒットしたコンテンツを、確実に上澄みでFacebookに流せるので、エッジ・ランクが上がっていく。

そういうのは結構面白いかなと思っています。

小林 Facebookでは1日何投稿しているんですか?

大湯 今は大体8投稿くらいですね。調整していますけれども。

小林 時間間隔は?

大湯 大体均等に空けていて、アクティブな時間にちょっと多めに投稿するみたいな感じです。

弊社の対象としているユーザー(お母さん)はどのようにに生活しているのか?ということ考えぬいて運営するように心がけています。アプリを起動する時間は、朝ご飯の終わったあとや、赤ちゃんをお昼寝させて、夕方落ち着いて時や夜寝かしつけてからピークタイムになる…

その時々でどんなコンテンツを流すかとか、飛んだ先の滞在時間とか、そういった多面的な要素を重要視しています。

Facebookも賢いので、どれぐらいの時間をとれるかというのとエンゲージメントの「シェア」などをみて「良いコンテンツ」というのを判断しているのだと思っています。

それを最大化するように、というのが一つ目に考えていることです。

2つ目は1つ目に紐付いているんですけど、今のユーザーたちが結局何を求めているかとうのが本当に逐一変わってきている、というのがポイントだなと感じています。

今は写真の次に動画が来て、動画がやっぱりFacebookとしてはプラットフォームにしたいというのがすごく強い。

そういったトレンドを意識することに時間を注ぎ、ページとして強くしていくという考え方をしています。

青木 僕らも動画プロジェクトみたいなのを立ち上げて、今ちょっと別のプロジェクトでリソースが逼迫して、1回ペンディングしているんですけど、動画を社内で制作して色々やると鬼のように結果が違うんですよね。

小林 Facebookでのリーチが全然違いますよね?

青木 ほんと愕然とするぐらい違うんで、これはFacebookで生き残るには、動画をやるしかないというのははっきりわかりましたね。

ただ、僕らの生活の領域でいうと、動画というと圧倒的にレシピなんですよ。段違いにレシピなんですよ、ただみんなレシピやっているじゃないですか。

そうすると、結果は出るけど、レシピをやり続けた先に…

大湯 何があるのか…

青木 そうなんですよね。考えたときに僕らとしては、僕らのユニークさって何だろうって考えると、やっぱり小売業者でもあるということだと思うんです。

商品を紹介するということが結局は原点なのです。

商品の軸の中でどこまで大きく出来るかみたいなことをかなり実験して、かなり勝ちパターンが見えてきたので1回ペンディングしたんですよ。

これはリソースさえかければ一気にやれるなというのが確認できたので。

大体これは(Facebookの)33万人のフォロワーというかファン数で、大体10万から20万くらいの再生数のアベレージです。

なので、こういう感じで見せればいいんだなっていうのが、最初の何秒くらいで離脱させないように、どういう風にすればいいのか、とか。そういう細かいテクニック論は、なんとなく把握出来ましたね。

ただ、僕らは実はFacebookの投稿は1年前は1日9本やっていたんですよ。今は3本なんですね。

これ多分絶対意見分かれると思うんですけど、プラットフォームに最適化しないというのをすごく意識しているんですよ。プラットフォームに最適化すると、逆レバレッジが怖いですよね。

大湯 具体的にどういう風に…?

青木 要するに、例えばFacebookで、僕らは2014年はFacebookのファン数が、毎月2万人ずつオーガニックで増えていったですよ。

なんだこりゃみたいな感じで、こんな感じ(喜びの舞い)になってたんですよ。

1年で来る人が3倍くらい増えたのですが、Facebookの様子がおかしくなってきて、あれ・・・という感じになるわけじゃないですか。

ちょうどその頃に、Instagram(インスタ)が着火していたんで、インスタが今は毎月2万人ずつくらい増えているんですよね。

ただ、インスタも最近アルゴリズムを変更して、全部表示されるようになったじゃないですか。明らかに「いいね数」とかに差が出始めている。

僕ら実は、インスタで売上の2割近くを稼いでいるんですよ。

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篠塚 すごいですね、面白い。

青木 インスタのプロフィール欄にあるリンクを、直近に飛んだ人だけで17%くらいになる。

それが結局そうなると、プラットフォームのアルゴリズムの変更はいきなり経営がやばいじゃないですか。

篠塚 そうですよね〜。

青木 そうなんですよ。だから、雑巾を絞り切っちゃうとやばい。

ゆるくやっておけば、「しょうがね~な」みたいな感じになるが、トレーニングして、体脂肪率6%すると風邪ひきやすいみたいな話があるじゃないですか。

ちょっとでっぷりしてる奴の方が結果強いみたいな。なんかそういう風な感じを創りたいんですよね。

だから素人が結構いい加減に考えてやっているんだけど、なんかあいつ、体力だけ強いみたいな(笑)。なんか技とか知らないんだけど、みたいな。

小林 篠塚さんとか気をつけていることってあるんですか?

篠塚 全く同じことに気をつけているんですけど(笑)。

(会場笑)

篠塚 まさにお聞きしていて似ているなと思ったんですけど。

青木 いや~面白いですね。

篠塚 まさにプラットフォーム依存という話は、まさに結構怖いんですよ。

ずっと言っているのが、Facebookがなくなったら、うちは死ぬからというのを2年前くらいから言っていて、だから次の新しい何かを見つけたら即やりましょうということを常に言っています。

色々始まっているんですけど。今だと例えば、LINE@とかものすごくリソース使っています。

青木 どうですか?

篠塚 すごくいいです。

篠塚 Instagramも使い始めてます。ただ、御社(「北欧、暮らしの道具店」)ほどのボリュームにまだ全然ならなくて、どうすればいいんだろうと考えています。

あとは、今Vineを使おうとか、Snapchatが今日本でかなり流行り出しているので、アカウントも作って運用を始めたりとかしています。

青木 僕も今Snapchatの準備を始めていますね。

篠塚 すごく大事だなと思います。今、動画も同じく、通常の動画だけじゃなくて、VRの撮影とかも始めたりしています。簡単に撮影できるんですよ。

VRを使って、YouTube上でのマーケティングをやって、登録者を増やしてみようとか思っています。

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集客チャネルは色々とありますが、そのポートフォリオをいかに組んで、どこが落ちてもどこかで吸収できる。全体では上がっていく状態を作らないといけない。

だから、Facebookにいるファンもなるべく、Instagramに寄せるとか、なるべく色んな場所でフォローしてもらって、仮にユーザーがFacebookに飽きても、うちのコンテンツとはどっかでつながっているような状態をいかに創るかということは、かなり重視して大事にやっていますね。

青木 LINE@の使い方はどうやっているんですか?

篠塚 1つは、いわゆるメールマガジンですね。タイムラインがまだあまり見られていないので、定期的にコンテンツを配信しています。

今こんなキャンペーンやっていますよとか、いつもReluxらしい旅情あふれるコンテンツを提供しているのが1つです。

もう1つは、コンシェルジュ機能があって、チャットで旅行の相談が全部出来るんですね。

海外も同じロジックで全部組んでいるので、Facebook台湾とかFacebook香港とか、WeChatで中国本土向けとか、Weiboで中国本土とか、同じ頻度で配信をしていて、各国で徐々に増え始めています。

小林 大湯さんが気をつけていることはありますか? 同じですか?

大湯 プラットフォームに依存はしないが、最適化はする、ということを意識しています。

ママリは最初はSEOから立ち上がっているメディアで、SEO一辺倒にならないというのは凄く意識していました。

例えばFacebookページにも力を入れてSEO以外のチャネルを作る、アプリを作って固定客をつける、といったことをしていました。

また、ここらへんの話は当然だと思うのですが、同時に同じコンテンツでもプラットフォームごとに最適化を意識するということを念頭に置いて運営しています。

例えば、Facebookに出す一言最初の長文と、Instagramで写真をシェアするときも、同じコンテンツ、写真だとしても、全然トーンが違ったりとか、そういうのはすごく意識しています。

青木 俺らも、同じコンテンツを最初からリパッケージして、パブリッシングするという前提で企画しているので、同じコンテンツでも、動画といわゆる画像テキストのものを同時に作っています。

あと、うちの場合は、各ソーシャルメディアについて、全部編集部を分けているんですよ。

なので、インスタ編集部で当たったネタが、ウェブ側でリバイバルされるとか、ウェブ側で当たったものをインスタ側でどうリパッケージするか、とかやっています。

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小林 分かれているってことは、その上に編集長がそれぞれいるんですか?

青木 結構、そこはゆるいです。

別にKPIとかも一切与えていなくて、とにかく面白がらせようということだけなんですよ。

面白けりゃなんとかなる。

だから、見たことある人いるかどうか分からないんのですが、突然「ネコカルタ」というわけの分からない落書きみたいなのがあります。

あいうえお順にネコの落書きを投稿していくことを、あるインスタの担当が突然始めて、何このわけの分からないのは?と思っていたら、すっごい「いいね!」がついてるんですよ。

8000いいね!というのはどういうことだよ、みたいな。

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大湯 そうですね。あともう1つ意識してことは、プラットフォームごとに同じユーザーだとしても、全く違う心象でサービスを利用しているんですよね。

例えば、Facebookはこんな友達のアップデートやニュース、Instagramはオシャレなファッションやフード、弊社の場合アプリは悩みの解決、といったように、とにかく「シーン」が違うわけです。

結局、自社のアプリだけだと、全部の生活シーンをとれない。

ですので、基本的にはアプリを核として、1番とりたい時間にぶつけるんですけど、それ以外の時間を、違う出島で抑えていくという考え方でやっています。

プラットフォームで同じ人が違う気持ちで見ているということを意識しながら編集するようにはしていますね。

メディアモデルからパブリッシャーモデルへ

青木 昔のソーシャルメディアの使い方は、中心に自分のアプリなりサイトがあったとしたら、矢印が中心向きだったじゃないですか。

いかに自社にサイトやアプリに連れてくるかということですよね。

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でも今はウェブも周辺の1つで、真ん中にあるのは多分データベースです。

データベースからウェブ、メルマガ、Instagram、Facebookみたいな感じで、パブリッシングしていくっていうイメージ感の中でやるっていうのが正攻法になってきてますよね。

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大湯 ブランドを創るというのと近いと思っていてます。

本当にブランドが好きで、そのブランドの世界観の中で、バッグもあれば靴もあればっていう本質的なところに戻りつつある感じがしますね。

青木 そうそうそう、そうなんですよね。本当にその通りですね。いかに密着できるかみたいなことは…

小林 大事なのは「ブランド」の世界観を創ることですね。

動画の費用対効果は?

質問者1 動画の話の続きなんですけど、すごく聞きたいことがあります。

Facebookでは動画の方がリーチが特にいいというのはもちろんそうだと思うんですけど、結局プロダクションコストは、他の記事制作よりも高くなるような気がします。

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そのコストに見合ったリーチがとれるのかのでしょうか?

さらに実際その先のコンバージョンを購買まで見たときに、それが結果としてつながっているのでしょうか?

他の記事からのコンバージョンの方が、購買というところで見たら実は良かったとかその辺の感覚をお聞きしたいですね。

篠塚 まず、プロダクションコストで言うと、まだうちはちゃんと動画を作っていないので、ほとんどかかっていないですね。

年間100ドルとか200ドルで動画素材をダウンロードし放題みたいなサービスが結構あるんですよ。

旅館やホテルの動画とか温泉の動画とかをリメイクしてやっているので、コンテンツコストはそんなにかかっていない。

もう1つの効果に関して言うと、写真と大きくコンバージョンが変わることはないけれども、まだ何か見えない、数値には出来ない、刷り込みという観点ではいいのではないか?ということは議論しています。

KPIには落ちないデータってあるじゃないですか。

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青木 超重要ですよ。

動画で言うと、いくつか観点あると思うんですけど、直近の効果というのは、動画を流すことによって、アカウント全体のランクが間違いなく上がるということはあります。

僕らでいうと、そもそも購買につながりそうな情報はFacebookに投げてないんですよ。

料理の作り方とか誰かのインタビューしか投稿していないので、購買のコンバージョンというのはFacebookで一切考えてないんですよね。

Facebookの流入はコンバージョンもびっくりするぐらい低いんですよ。

そもそも「Facebookを見ている間にモノなんか買わねーよ」と自分も思うので、買わせようという気はさらさらないです。

だけど、いかに濃いつながりをたくさんの人と創っていけるか?というのは、結局そんなもの数値で測らなくても、それがいいに決まってるということはあります。

なので、あとは動画の予算を許容できるかどうかということだと思うんですよね。

1PVあたりの収益性を比較する

青木 これは多分色んな業態それぞれあって、僕らeコマースじゃないですか。

eコマースの1個特徴的なことを言うと、PV当たりの単価(売上)ということを考えると、実は広告で一般的にマネタイズするのと比較した場合に、広告売上とECの限界利益と比べると僕らのレベルでさえ、ECの限界利益の方が悪くても5倍から10倍になります。

うちはeコマースの中でも、収益性はそんなに高い方ではありません。

実はインターネットのメディアは、マス向けのメディアしかないと思うのね。

ママリさんでも、ママ向け。MERY(メリー)さんでも、20代女子向け。これは要するにデモグラフィック基準で切ったマスメディアですよね。

1番参入障壁が高いのはテレビなどの電波系ですが、これは絶対マスメディアにしかなり得ない。

出版とかは参入障壁が低いから、最初は総合誌しかないんだけど、だんだんだんだん価値観軸とか美意識軸でセグメントされていって、女性誌もクウネルからBAILA(バイラ)まであるみたいな状態になるわけですよね。

ネットは1番参入障壁が低いはずの媒体にも関わらず、実は商業メディアで雑誌と同じようなことが起きていない。

これは何でかって言えば、皆さん、釈迦に説法かもしれないですけど、広告でマネタイズする場合、1PV当たりの単価が低すぎて、マス向けに設定しないと資金も集まらなければ、ビジネスも億単位にのっからないんですよね。

ところが、eコマースを見てもらうと分かる通り、同じ婦人服とかメンズの服とかでも、ものすごく並列してあるじゃないですか。

あれって結局小さいは小さいなりに、PV当たりの収益性が良いので、並列できるんですよね。だから、この特性をどう活かすかっていうことを考えています。

それは要するに、動画のコストの問題と関係しているんですけど、いかにコンテンツに大量の予算を突っ込むかということを考えたんですよ。

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他のメディアは結構広告でマネタイズしているところが多いわけですから、広告でマネタイズしているところには出来ないコスト感でコンテンツを創る方法論をすごく考えていています。

例えば、商業誌や雑誌とかだと、お金かけているところだと、一冊4000万円くらいかけて作っていて、売上ベースで30億円くらいありますみたいな話で考えたときに、eコマースとしての1PV当たりの収益性を考える。

eコマースをPV当たりの収益性で語る議論はあまりないじゃないですか。

この観点で全てのメディアを比較したときに、実はこのコマースがいかに換金手段として優れているかというのを、僕らとしては意識しています。

そうすると、動画なんて、はっきり言って、いくらでもコストかけられるんですよ。1本1週間かけて、1人で2本作っても、結構回収出来るくらいの勢いがある。

今はそこまで、逆に人数を増やせないという組織的な部分やオペレーションの部分で、リソースを増やせないから出来ないというだけです。

もっと人を雇って、もっとコストをかけてやりたいんだけど、雑に増やすと、経営がおかしくなってしまう。もうほんと、「早くやりたい早くやりたい」という感じですね。

価値観軸のセグメントと広告

青木 狭い領域に限定した価値観軸までセグメントしたものを、時間をかけてボリュームゾーンに成長したので、ユーザーが結構イデオロギー集団になってるんですよね。

ほぼ同じ美意識、価値観。だから、僕らは広告もやっているので、広告のシートを作るのに、興味関心みたいなアンケートをとろうとするじゃないですか。

うちは97%女性が見ているという女性向けのメディアなんですけど、色々ある興味関心の中の、大体女性メディアだと上位に入る「結婚恋愛」という項目があるじゃないですか。

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うち30項目ある中の、ワースト2位が、結婚恋愛なんですよ(笑)。

(会場笑)

篠塚 面白いですね。

青木 eコマースだったから、8年とかっていう時間をかけて、1,200万PVくらいに持ってきてっていうところだからこそ出来ていることなのですよね。

なので、時間をかけるということの価値というのがあるにはあるんですよね。

青木 ターゲットメディアの無さというのが、広告のクライアント事業者さんの悩みでもありますね。

篠塚 うちの広告主とか、やっぱりそういう系統になっていきますね。メルセデスさんとかBMWさんとか、そういう風なカテゴライズになってますね。

青木 広告のやり方だと、そういう意味で言うと、結構変わってきていて。2社さんはどちらかというと、デモグラフィック基準でセグメントを狭めていったところに、より絞りやすくなっていっていますけど、僕らはデモグラフィックでさえないっていうか。価値観軸なんですよね。

大湯 生き方ですね。

青木 こういう生き方している人という感じになっていっている。

雑誌は、ある生き方の人の拠り所みたいな感じになっている。

そういう意味では、広告でやるコミュニケーションも全部違ってます。広告というよりは、言い方悪いんですけど、企業さんに対して、認定の判子を押してあげるっていうようなコミュニケーションになってくるんですよね。

うちで広告を出しているということは、僕たちの仲間に対してはOKなんだよっていうことになっています。

そうじゃないと多分ワークしないから、お受け出来ませんという話をしていています。

よく言っているのは、アドバタイズじゃなくて、イントロデュースですということなんですよね。

広く告げるということをクライアントに対して責任を負っているだけではない。

紹介の場合は、例えばAさんをBさんに紹介するということは、紹介される側にも責任を負うじゃないですか。

だから、イントロデュースという枠組みを大切にしています。

例えば、こう紹介したときになんで紹介したかというのが明らかではないと、何か変なことに巻き込まれる場合があるじゃないですか(笑)。

だから、そのコミュニケーションには順番がある。

要するに、こいつ俺の友達なんだよね~。こういうところで多分合うと思うんだよねというところから、次にやるべきなのは、紹介される方が被紹介者に対して何かギフトする。

すごく丁寧に一緒にやっていきましょうということを去年の年末くらいから始めて、もう結構3社くらい、年間契約で頂いていています。

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「Relux」の今後の展開

篠塚 結構色々考えているんですけど、まず、大前提としては、僕らは1つ1つの旅行をいつまでも大切にしようという思いはあります、どんなにサービスが拡大していっても。その前提で、最初に話したカスタマーオリエンテッドであろうというのはあります。

ただ、拡大はさせようとは思っていて、方針としては、まずいつも話す内容は、横軸に人の軸をもっていて、日本というところとAPAC(アジア太平洋圏)と欧米というのを持っているのと、縦軸に、旅行商品のプラダクトのバリューチェーンを拡大するという戦略を今持っています。

最初にやっているのって、一流の旅館さんとホテルさんです。

今、次に見ているのが、もうちょっと価格を落としていっても満足度の高い、要するにコンテキストのある旅館さんとかホテルさんとかペンションさんが結構あるんですね。

こういうのを扱いたいな、と考えています。

その先に、今度は足回りですね、飛行機とかバスの予約とか、レンタカーの予約とかを必ず扱いたいと思っていて、これで面積を広げていくというのが今描いている戦略です。

今やっているのは、日本とAPACというところはかなり広めていて、一流旅館、一流ホテルはだいぶ取り込めているので、今度はまた価格を広げていこうかなと思っているところです。

もう1個の軸は、Z軸というのを持っていて、これは全く違うサービスです。今注目しているのは、飲食店のオンライン予約であったり、エステの予約だったり、旅行で言うと、アクティビティの予約とか、ちょっと縦軸にも被るんですけど。色々検討はしています。

ちょっとした週末にいい体験したいな、みたいな。それはもう全く同じロジックですね。

仕組みも、実はほぼ一緒なんですよね。

僕らはサービスECと呼んでいて、eコマースはモノを買うんですけど、僕らはモノではなくて、体験を買うものという意味では、同じeコマースなんですよね。

ただ、予約とかを買うサービスなので、その領域において、僕は中間業者としての責任をまっとうできるサービスを増やしていきたいなと思っています。

紹介する責任ですよね。適当に広告費多いからメルマガ出しますというのは絶対にやりたくない。

青木 いや、それはすごいですよね。

篠塚 僕らの編集で、どこかの宿の露出が急に多くなるって絶対にない。メーカーや企業向けのペイドアドはあるんですけど、宿からの有料広告は一切ないっていう風にしていますね。

「北欧、暮らしの道具店」の今後の展開

青木 戦略的なことで言うと、いくつかあるんですけど。1つは、僕らメディアとして雑誌と同じように、C側から頂くお金とB側から頂くお金というのをきっちりやり切ろうというのがあって、C側はかなり上手くいっているので、今B側に注力しています。

現在は記事広告を中心としたプランをとにかく日本一高く売ろうという感じでやっていています。

その代わり、ものすごく少ない本数でやる。

今だと、月に2社分くらいしかやらないと決めています。9月くらいまで受注は一杯になっているんですよ。

それをとにかくプレミアムな枠にして、枠の取り合いが起きるような価値のあるソリューションが作りたいんですよね。

そうすると、そこでも色んなことが出来るだろうということを考えているので、どちらかというと、「スケールよりもとにかく出せて嬉しい」みたいな、「もうPVとかどうでもいいです」みたいな、そういう広告枠を創りたいっていうのが、まず1番やりたいところです。

僕らも1番分かりやすいから広告やっているのですが、要は社会からニーズがある会社であり続けるっていうことをとにかく考えているんですね。

求められる会社じゃないと残れない。

そうすると、C側からの支持だけじゃやっぱり弱い。要するに、CからもBからもあの会社ないと困ると言われるようにならないといけない。

ニッチの花束

僕らの拡張戦略を一言で言うと、「ニッチの花束」っていう言い方をしています。

対象ユーザーは絶対に変えない。要するにある価値観軸の女性というところから、例えば、男性もやりましょう、とかあるいは、違う属性、違う価値観のものもやりましょうというのはまったくない。

花束は1本1本色んなのがあって、リボンで括られている。

だから、1本1本は、広告だったり、雑貨だったり、食品だったり、なんかのサービスだったり、色々あるけれども、リボンは1つのコミュニティーで縛られているっていうイメージですかね。

ユーザーを増やしていくというよりは、ユーザー1人当たりの可処分所得に占める割合をどう増やしていくか。

今も実は広告の発注や引き合いも、元々のお客さんばかりから頂いているんですよ。要するに、我々のお客さんが、マーケティング担当とか広告担当とか代理店担当者の方としていらっしゃって、で、一緒に仕事したいみたいな感じでお声掛けを頂ける。

お客さんの仕事を手伝っているみたいな感じのノリでやっているんですよね。

だから、B向けのマーケティングをCと同じようにやろうと言っているんですよね。

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要するに、あくまでもBの中にいるCに対して、コミュニケーションしていくと、結局は意思決定をするのは、Cの人1人なので、Cとしてのファンを増やすことが、実はBとしてのビジネスもスケールさせるんじゃないかという仮説の元に、今一生懸命やっている。

その先ということで言うと、多分単純に売上を追うのであれば、店舗展開したら、すぐに売上3倍になると思うんですよ。

これ大体、某大手雑貨チェーンは店舗あたり1億円くらい売上高で全国で100店舗くらいあって、全体の売上が100億円くらいです。

「北欧、暮らしの道具店」の店舗展開を試算すると、100億円くらいの売上規模ところは目指していける。

僕らの場合は、月間で110万人くらいのメディアを持っているので、店舗展開はシナジーは非常にあると考えています。

「北欧、暮らしの道具店」の商品とは何か?

青木 要するに、僕らの商品は何なのかってことなんだと思うんですよ。

我々のプロダクトは何なのかということを考えていて、多分お2人と我々の1番の大きな違いは、実は僕らはソーシャルゲームの会社と変わらないってことなんですよ。

つまり、我々から買う合理的な理由は一切ない。

僕らより安く売っているところはあります。エンタメ的な理由でない限りにおいては、うちで購買する理由が全くないってことなんですよね。

多分うちは同じものを売っている中で、送料無料の基準が1番高い会社です。送料も実際高いんです。正価でしかモノを売らないので、ショッピングモールなどで探してみれば、多分少し安いところがたくさん見つかるでしょう。ポイントは10%くらいつくところもいっぱいあるでしょう。

ということの中で、我々で買い物をしているということは、いわゆるプロダクトとしてのサービスということだとしても、機能みたいなことろいうのは一切求められていない。

少なくとも僕らはそれで成り立っていないというときに、じゃあ何で成り立っているかっていうことを、よくトヨタとレクサスの例で言うんですよね。レクサスは車ではなく、イメージや体験を売る会社なんですよね。

トヨタのCMで車が出てこないことはあり得ないけれども、レクサスのCMはあんまり車が出てこないんですよね。

これは何を作っているかっていうと、レクサスはロゴマークとか名前を聞いたときに想起するイメージを創っている。

僕らも全く同じで、このイメージを創っているということなんですね。

そうすると、このイメージさえありさえすれば、このイメージをロゴ化して判子押してあげたら、それは広告になります。

あるいは商品に判子を押したら、他で売っていても、うちから買う理由になりますということが出来たら、いいなと思っているということですね。

コミュニティの価値

コンテンツの質は、他のメディアよりもクオリティーの高い、「てにをは」も完璧なやつを作れとは一切言っていない。

要するに、僕らが創っているイメージは何かと言うと、楽しそうということなんですよね。希望があるっていうことなんですね。仲間になりたいと究極思われることです。

宝塚ってあるじゃないですか。宝塚のメインコンテンツは一体なんなんだろうと考えた時に、はっきり言って劇は、「ヤマトタケル」でも「ベルサイユの薔薇」でも何でもいいわけですよ。

メインコンテンツは俳優というと卒業してしまうので、俳優というわけでもない。

実はそのコミュニティに所属するということがメインコンテンツというか、メインのプロダクトで、何でそれがコミュニティになっているかというと、要するに「テレビで宝塚を見ます」、「東京の劇場に行って見ます」、「本拠地まで行きます」、「最終的には自分ないし、自分の娘を宝塚に入れたい」というところまで、これ全部俳優を中心としたコミュニティなんですよね。

これがコミュニティであるためには、中心が1番いいという状態を創らないといけないわけですよね。

中心が1番ハッピーだ、中心が1番キラキラしているという状況と、その中心に入るための道筋は1本しかなくてフェアで明らかである。

つまり、宝塚に入るためには宝塚音楽学校に入って、何年間か勉強して卒業しないと入れないし、入るチャンスはみんなに開かれていて、10倍なのか100倍なのか倍率が高い。

僕らが実はいま「年1回一括採用」というのを、年1回だけやっています。

そこで大量に候補者を集めて、その中から100分の1くらいの確率で採用するということをやっているんですけど、完全に宝塚を意識していています。

会社の中が1番ハッピーだっていう状況を創っています。重要なのはそのコミュニティの設計ですね。

だからこそ、僕らで言えば、企業規模が相当まだまだ小さい頃から、オフィスとかにすごい投資をしてきました。

それはなぜかというと、写真に写るからですよね。

九州に住んでいるまだディズニーランドに行ったことのない女の子が、ディズニーランドを想像するような気持ちに、お客さんをさせようということで、一貫してやってきました。

小林 素晴らしいお話 有難うございました!

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(終)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃

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