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「最先端テクノロジーは社会をどのように変えるのか?」【K16-6C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!6回シリーズ(その1)は、各登壇者に自己紹介をいただきました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 6C
「最先端テクノロジーは社会をどのように変えるのか?」
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
福田 剛志
日本アイ・ビー・エム株式会社
理事 東京基礎研究所 所長
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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▶「最先端テクノロジーは社会をどのように変えるのか?」の配信済み記事一覧
小林雅 氏(以下、小林) おはようございます。
では、始めさせて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
昨日のセッション後、非常に面白かったという感想を頂きました。続編企画は、テクノロジーを交え、どのようにしたら人間社会を変えていけるのかといったものにしたいと思っています。
こういうトピックにした場合、テクノロジーに寄りがちであったり、人間に寄りがちであったりするのですが、それを融合していくようなものにし、更にミドリムシの話を交えていくという、人間とミドリムシとテクノロジーの3つのテーマについて話していけたらと思っていますので、よろしくお願い致します。
では簡単に自己紹介をお願い致します。
予防医学研究者 石川さんの自己紹介
石川善樹 氏(以下、石川) 予防医学の研究をしています、石川と申します。
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石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
予防医学研究者、博士(医学)
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と共同研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『仕事はうかつに始めるな―働く人のための集中力マネジメント講座―』、『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『ノーリバウンドダイエット』(法研社)、『最後のダイエット』、『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス社)、『健康学習のすすめ』(日本ヘルスサイエンスセンター)がある。
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このようなイベントに小林さんから初めて呼んで頂いたのが、3年くらい前でしたでしょうか。
そこから研究者以外の方との接点が増えてきて、最近は今かけている「JINS(ジンズ)」という眼鏡屋さんが作った「MEME(ミーム)」、これも一緒に共同開発させて頂いたりといった機会も増えてきて、最近は大人の玩具を…
小林 大人の玩具?!
石川 変な意味ではなくて(笑)
とはいえ、世の中には興奮させられるようなものが多いですよね。刺激を与えてくれるようなものが。
でも、リラックスさせられるようなものがあってもよいのではないかと思い、最近このようなものを作りました。
これから世の中に出ていくと思うのですが、それでは少しムービーをご覧いただきましょうか。
【動画】neurowear “Onigilin” concept video ーDevice to support mindfulness beginners.
ナレーション Onigilin.
出所:動画 neurowear “Onigilin” concept video ーDevice to support mindfulness beginners.のスクリーンキャプチャー
Onigilin is a meditation assistance developed from a scientific point of view.
It monitors your mental state, and guide your breathing with sound and vibration.
It bring clearness to the mind, and calmness to the heart.
石川 これは親指のところにセンサーがついていて、リラックスすればするほど音が変わるんですよ。
そしてよりリラックスできるようになるという。
出所:動画 neurowear “Onigilin” concept video ーDevice to support mindfulness beginners.のスクリーンキャプチャー
ナレーション Breathe in from the nose and then breathe out slowly.
Continue breathing, and focus on your finger tips.
You will feel a slight vibration.
石川 これを職場でやっていたらシュール過ぎますかね(笑)。
ナレーション Break free from a hectic life, and devote some time to face your body and mind.
Onigilin.
石川 こういうものが最近すごく増えてきて、人生楽しいなと思いながら生活している、そんな石川です。
小林 よろしくお願いします。
最先端テクノロジーが、人間社会の進化に貢献しているということですよね。
では続きまして、ユーグレナ出雲さんの自己紹介、ミドリムシの紹介をお願い致します。
ユーグレナ出雲さんの自己紹介
出雲充 氏(以下、出雲) はい。
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出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
東京大学農学部卒、2002年東京三菱銀行入行。2005年8月株式会社ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。同年12月に、世界でも初となる微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leader選出(2012年)、第一回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」(2015年)受賞。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』(ダイヤモンド社)がある。
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ミドリムシは5億5,000年前、先カンブリア紀という時代に地球に登場した生き物です。
それまでずっと、大気は二酸化炭素の濃度の方が遥かに高かったのです。
動物は酸素を消費してATP(Adenosine Triphosphate、アデノシン三リン酸)からリン酸結合がちぎれる時のエネルギーで運動エネルギーを作っているのですけれども、そういう生物は、5億5,000年前には全くいなかったのですよ。
その時に、ミドリムシとワカメと昆布が一生懸命海で光合成をして、CO2が段々と酸素になり酸素分圧が高くなってきたので、魚が両生類になり爬虫類になって地上に生き物が沢山出てきて、それで急に生き物が多様に広がったので、その時期のことを「カンブリア爆発」というのです。
その「カンブリア爆発」を起こしたミドリムシを石垣島で育てている、そういう仕事をしている出雲と申します。
今日はよろしくお願いします。
小林 よろしくお願いします。
では最後に、福田さんに簡単に自己紹介して頂いてから、プレゼンテーションをして頂きましょう。
日本IBM福田さんの自己紹介
福田剛志 氏(以下、福田) IBMの福田です。よろしくお願いします。
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福田 剛志
日本アイ・ビー・エム株式会社
理事 東京基礎研究所 所長
1991年早稲田大学大学院理工学研究科修士修了.同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.東京基礎研究所にてオブジェクト指向データベース,データマイニング,機械学習,バイオインフォマティクス,オートノミックコンピューティングなどの研究に従事.1999年早稲田大学より博士号(情報科学)取得.2004年ソフトウェア開発研究所へ異動しデータベース関連ソフトウェアの開発に従事.2012年ソフトウェア製品開発担当理事として国内における全ソフトウェア製品開発を担当.2015年5月より東京基礎研究所所長 . 現在, 所長としてコグニティブ・コンピューティング,ロボティクス,数理科学,ニューロモーフィックデバイス等の研究をリードする。
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IBMは世界に12か所の基礎研究所を持っています。
12か所の1つが東京基礎研究所で、私はそこの所長をしております。東京基礎研究所は1980年代初頭からありまして、結構長い歴史を持っています。他にはアメリカに3か所(東海岸に2か所と西海岸に2か所)、それからスイスのチューリッヒに1つあります。
それからイスラエルのハイファ、インドと中国、オーストラリア、最近アフリカにもできました。
IBMはコンピュータに関するあらゆる研究開発をしており、東京ではその一部を担っています。
今回は「コグニティブ」というテーマですけれども、「Watson(ワトソン)」をはじめ自然言語の処理、人間が喋っている言葉を理解するといった分野の研究は日本は非常に強いです。前回のICCカンファレンス TOKYO 2016では、弊社の技術理事 武田浩一もお話させて頂いたと思います。
それから、最適化などの応用数学ですね。
私自身は20年ほど前からデータマイニングに取り組んでいたのですが、データを分析してそこから知見を得るといった数学ですね、そういった分野が大きな強みです。
小林 ありがとうございます。
クイズ王を撃破した”Watson”の衝撃
福田 それでは早速、今日のテーマの元になるような話をしたいと思います。
コグニティブ。
今日のパンフレットにも「ようこそ、コグニティブの時代へ。」と書いてあります。
「コグニティブ」というのは幅広い意味があって、なかなかぴったりの日本語訳がないので、「コグニティブ」という言葉のままにしています。
コンピュータが発明されたのが70年くらい前ですかね。
John von Neumann(ジョン・フォン・ノイマン)という人が「ノイマン型コンピュータ」というのを考えたのがそれです。今のスマートフォンにしろMacにしろ、全て「ノイマン型コンピュータ」なんですよね。
メインメモリの中にデータも、プログラム、つまりコードですね、インストラクションも混ぜて計算すると、すごく簡単に、万能のコンピュータが作れるのです。
今のコンピュータというのは、計算できるものなら何でも計算できるコンピュータなんですね。
それは理論的に分かっていて、非常に素晴らしいものが50年間くらい続いてきました。
素晴らしいのですけれども、プログラムを書かなければなりません。
何かを始めようと思ったら…皆さんも新しいビジネスをされるのにシステムを組まれていると思いますが、誰かがソフトウェアを書かなければならないんですよね。
みなさんは「Watson」がクイズショーに勝ったということをご存じでしょうか。
2011年に「Watson」がアメリカの「Jeopardy!( ジョパディ)」というクイズ番組に出場し、グランドチャンピオン2人と戦い、2日間のゲームで最終的に勝ったのです。
このコンピュータを作る時に、プログラムしようと思ったのですが、何が出てくるか分からないクイズの答えを考えてパッとボタンを押して人間に勝つコンピュータを作ろうとしても、プログラムできないんですよね。
石川 普通のクイズ番組って、問題が出たら答えるじゃないですか。
でも、「Jeopardy!」って逆なんですよね。
福田 そうです。
まず回答文が出るんです。
何を聞いているのかという質問文を当てるのです。
例えばどんな問題が出たかというと、「アメリカと国交のない国が世界に4つあります。その中の1つで、この国は最も北にある国である。」
というある質問の回答文が、問題文として出ます。
回答者はこれが回答文となるような質問文を考えます。この場合「北朝鮮って何ですか?」というのが質問文ですのでこれを当てるのです。
英語では「What is North Korea?」というのが答えです。
そんな感じのクイズなんですね。
昔、日本にもありましたが、「クイズグランプリ」というのを50代の方ならご存知かもしれません。
私も子供の頃に見た記憶がかすかにあるのですが、そういうクイズ番組です。
でも、形式自体はそれほど本質ではないですね。
例えば今の問題で、アメリカと外交関係がないのは、北朝鮮と、当時キューバと、
石川 イラクなどですか?
福田 そうですね、イラクとブータンです。
小林 石川さん、何でもご存知ですね。
石川 IBMの「Watson」がどうやって作られたのかという本が出ているんですよね。
▶IBM 奇跡の“ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる
とても面白い本で、僕は3回も読みました!
小林 本当ですか!
石川 先ほどさらりと「グランドチャンピオン2人」と言われましたが、このグランドチャンピオンというのがとても強いんですよ!
「Watson」は、歴代のチャンピオンの中でもずば抜けて強い2人に圧勝したんですよね。
福田 結果的に、トリプルスコアくらいで勝ったんですよね。
本当はものすごく強い人達で、1人は74連勝した人です。
もう1人は賞金王で、クイズ番組で3億5,000万円くらい稼いでいる人なのですよ。
小林 すごいですね。
福田 クイズ番組だけで。
「Jeopardy!」にも出ているし、他の番組にも出ていているという史上最強の2人でしたね。
石川 そうですよね。
福田 正直に言うと、IBMが一発で勝てると思っていなかったのです。
2011年はIBMの100周年の年だったので2011年中に勝ちたいなと思っていて、まず1回戦を2月に行ったのです。
そうしたら2月で勝ててしまった。(笑)
ダメだったら再挑戦をなどと考えていたと思うのですが、幸運にも1回戦で勝ててしまった。
この「グランド・チャレンジ」は以前にも行っていて、チェスのグランドチャンピオンであるGarry Kimovich Kasparov(ガルリ・キーモヴィチ・カスパロフ)に、1997年に挑んだことがありました。
それをするからといってIBMのビジネスがどうなるという訳でもないのですが、コンピュータがここまで進化したぞということをシンボリックに示すことができたと思います。。
既に本で読んでいらっしゃるということですのでよくご存じだと思うのですが、Jeorpady!チャレンジの場合、 プログラムできないのでデータを使って学習させました。
人間と似ていますよね。
人間も、本を読みます。本というのはプログラムではなくてデータですよね。どうやって何をしろということが必ずしも書いてある訳ではなくて、一般的な言葉で書かれている。
そういった、ウィキペディアや聖書や小説等といったものの内容を読ませ、それを理解させてクイズに答えられるようにしました。
そういうことができるようになってきたので、プログラミングしていた時代から、コグニティブ、つまりデータを使って意味のある処理ができるようなコンピュータが作れるような時代になってきました。
これは全くのパラダイムシフトだと思います。
今まで50年続いたプログラマブルなコンピュータというものから、コグニティブなコンピュータに変わるぞと。
これはもうコンピュータの使い方が全く変わってくるぞというのが、「ようこそ、コグニティブの時代へ。」という言葉の意味です。
たまたまクイズだったのですが、これが、もっと色々なことに使えるぞと。
皆さんのビジネスに応用できるようになってきたとお伝えすることが、今日私がここにいることの意味だと思っています。
(続)
続きは コグニティブ・コンピューティングの衝撃は産業革命に匹敵する をご覧ください。
https://industry-co-creation.com/industry-trend/10592
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
【編集部コメント】
続編(その2)では、日本IBM福田さんを中心に、コグニティブコンピューティングが社会にもたらすインパクトについて議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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