【最終回】農業ビジネスでどんな事業が儲かるかを徹底議論!【K16-5D #9】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

【最終回】農業ビジネスでどんな事業が儲かるかを徹底議論!【K16-5D #9】

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「1次産業(農業水産業) × ITから生み出されるビック チャンス 」【K16-5D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その9)は、会場からの質問を受け付け、PDCAの回し方や規模目標の最適化など、具体的な経営ノウハウについて議論しました。マニアックな熱い議論となりました。ぜひ御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 5D
「1次産業(農業/水産業) X ITから生み出されるビック・チャンス」

(スピーカー)
小林 晋也
株式会社ファームノート
代表取締役

藤原 謙
UMITRON PTE. LTD.
Founder / Managing Director

安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役

(モデレーター)
椿 進
Asia Africa Investments & Consulting Pte.Ltd.
代表取締役/CEO

「1次産業(農業水産業) × ITから生み出されるビック チャンス 」の配信済み記事一覧

【前の記事】

【本編】

椿 せっかくなので、会場から質問を受けたいと思います。

質問者1 Viibarの上坂と申します。

ICC KYOTO 2016 S5D

上坂 優太
株式会社Viibar
代表取締役

1984年静岡県浜松市出身。映画監督を志し、大学時代には映画製作に没頭。卒業後は映像クリエイターとしてTV番組やCM等の制作に携わる。その後、楽天に転職し、主に楽天グループ全体のマーケティングを担当。初の試みであったTVCMキャンペーンを成功させる。2013年4月、動画制作クラウド「Viibar(ビーバー)」を運営する株式会社Viibarを創業。プロ動画クリエイター3,000人超が登録し、様々な企業の動画マーケティング支援に注力。効果的でクオリティの高い動画を廉価で提供し、配信プランニング、効果検証までをワンストップで行っています。最近では、データを動画クリエイティブに生かすデータドリブンな動画制作を強化しつつ、Viibarのミッションである「クリエイティビティの新しい市場を作る」の実現を目指し、日々邁進している。

我々は動画のコンテンツを1つ作ると、長くて数ヶ月かかるのですが、一次産業の生産物は足が長いイメージがあり、PDCAは年に何回か回せる程度だと思いますが、その辺のPDCAの回転が他のインターネットのビジネスより長いことによるメリット、デメリットについてお聞かせください。

一次産業×ITのPDCAをどう回すか?

小林 PDCAサイクルは農業の種類によって違い、例えば葉物だと結構長いスパンでのPDCAサイクルになりますが、牛だと毎日回さなければいけません。

また、畑作で穀物などを作ろうとすると年に1回になりますので、農業の中でもPDCサイクルを速く回せるものと遅いものがあります。

PDCAが遅い作物は、集合知しか無いと思っているので、年1作、年1回のPDCAの場合は100農家集め、その中で100回まわした結果どうだったか、データ統合のなかで成果を出すことしかできないと思っています。

逆にそれが今までできてなかったので、それができると非常に大きな価値になると思います。

椿 幾つかのパターンがありますが、大きな農園の場合は畑を分け、種の種類や水、栄養の量を変えて、1回で10パターンぐらいやってみて、その中で最適なものを見つけていきます。

穀物は半年毎にリセットが入るので、半年毎にPDCAが回せ、その中で適切なものを見つけながら進化していきます。

魚の養殖の場合は少し面白くて、選別育種というのを取り入れていくんですが、これは例えば餌が少なくても大きく育つ魚を選り分けていき、そのいい魚だけで掛け合わせてまた育てて選別して、とやっていきます。

すると、1世代で3%ずつぐらい目標とする数値(例えば増肉係数など)が上がっていくので、それを幾つかのケースをやりながら回していく、というのが差別化になってきます。

鮭だと1年半ぐらいでPDCAを回していきます。

世界でも鶏や豚は超確立化されていて、世界で種のブロイラー種は3種あり、それを握っているのは業社は2社で、みんなそこの種豚や種鶏を使っています。

ひよこから肉になるまで昔は180日かかっていましたが、今では35日です。

餌を1キロ与えた時に肉何キロになるか、というのを増肉係数といいますが、これも70~80まで上がってきていて、完全な工場生産になっているのがブロイラーです。

豚もかなりそうですが、牛は子牛を引き取ってからが長いので、違うところが多少ありますが、世界的にはPDCAが究極なところまで来ているという感じです。

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椿 ただ、最近ITが初めて入ってきたところなので、いよいよこれからもう1段上にいくのではないか、と私は見ています。

他に質問ある方いらっしゃいますか。

質問者2 アーキタイプの福岡と申します。

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弊社の若い社員が、何を思ってか農業で起業しまして、先日 数千万円の増資までして農家に参入する人のバックアップをできる仕組みまで作った、という状況です。

農業×ITという皆さんの事業の一部は、規模が大きければ大きいほどレバレッジがかかる可能性がある、というのも理解できる中で、それでも農家という事業は、適正規模の中で最適な利益を上げ続け、その利益を再生産していければ上場しないくてもいい、外部資本でどんと大きくいかなくてもいい、という考え方もあると思います。

そして、一次産業×IT、全てがIoTという流れの中で、「規模が全てだ」という流れに乗らないところにゴールがあるのでは、と時々自分で迷うことがあります。

偶然農家を始めた元社員(「LEAP」を手がけるseek栗田さん)がいて、私はその株主でもあるわけですが、この場だとインターネットベンチャーをやってる人が多い中で、どのレベルで目標設定をしていくことが次のステージに上がっていくことのヒントになるのか、是非お聞きしたいと思います。

農業規模の目標をどのレベルで設定していくべきか?

椿 最近若い人が農業を始められて、それらの人とよく議論するのですが、農家のブレークイーブン(損益分岐点)、とくに一番儲かると言われているのが、人を雇わず夫婦だけでやるモデルです。それが年間で3,000万円の売上だそうです。

日本は人件費が高いので、人を雇い始めると大変みたいですね。

長野にレタスを作っている有名な村がありますが、みんな年収2,000~3,000万円ぐらいあって、これも基本は5ヘクタールぐらいを夫婦2人で見て、収穫の時だけ中国などから技能実習生を雇って対応しています。

これがいいのか、という議論はありますが、日本の今の農業の仕組みでやると、この規模が最初の最適値だそうです。

そして米とかを作るのではなくて、単価の高い園芸野菜などをターゲットとして、長野などでは環境がいいので5,000万円ぐらいまで、夫婦の農家でいくそうです。それを法人化して人を雇い始めると、1,000ヘクタールぐらいまでの規模まで大きくしないとダメではないかと思います。

他の知見ありますか?

小林 どのような目標設定をすべきか、というのは経営者の性格によると思うので、「やりたいかやりたくないか」だけだと思います。

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僕自身がこのような大きな仕事をしたいと思った理由は、社会的意義のある仕事をしたいというのが一番大きいです。

「衣食住」の「食」のプラットフォームに巡り会えたので、自分たちの力で食を良くすることで人類の繁栄に貢献できる、これはエキサイティングだ、ということで農業のGoogleになろうと思ったので、そこは性格によるものだと思います。

僕みたいな性格の農家さんで、そこそこの規模でやってる人はたくさんいるのですが、彼らはICCのような場所で刺激的な人達に出会う機会がほとんどないので、そういうノウハウが手に入るともっとスケールする農家さんは出てくる気がします。

質問者2 皆さんは規模を目指すと決めているから水平のインフラの部分をやり、目指しやすくしていますが、垂直統合すると、先程おっしゃったとおり、適正規模はある程度見えると思います。

椿 自ら農業やる場合は見えます。

質問者2 僕の後輩も既に年間1,000万円の売上を持てるようになっているが故に、インフラ屋になるべきか、1,000万円稼げる農家を丁寧に増やしていくべきか、というところの丁度岐路にいて、そのスタートの土台まできてしまっているので、今すごく悩みどころだと思っています。

皆さんは規模を追いたいからインフラに行ったんでしょうか?

最適化した農家を増やすか、単一農家を最大化するか

小林 最終的に規模が無いとやりたいことができない、といった感じです。

安田 農業は、基本的には規模の経済が働くという大原則があると思っていて、小さく最適化した”N”を増やしていくプラットフォームを作るか、それとも小さい1つのプラットフォームを大きくするか、それは多分経営者の戦略で、どちらでもやりようはあると思います。

先程 小林さんがおっしゃった「性格によるところが大きい」というのは本当にそのとおりで、小さい”N”を増やしていっても、単一のNの大きさをどんどん上げていくという動きをとっても、どちらもでビジネスは大きくなると思います。

どちらの方が日本の市場で勝てるか、というのは色々吟味しないといけないと思います。

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質問者2 ということは、IT企業でも、当然上場がいいパターンもあれば、上場せずに上手く回しているパターンもあるので、新しい農業、新しい水産業であっても、縦型であれ、横型であれ、他人資本、特にエグジットしなければいけない資本を入れるパターンであれ、そうではなくて間接金融でお金を回しながらちゃんとやっていくパターンであれ、色々な形が生まれていくということを前提に、経営者の思考でずばっと突き抜けていっても大丈夫、という感でしょうか。

椿 どのレイヤーをやるかによりますが、基本は大丈夫だと思います。

ちなみに農業はグローバルに俯瞰すると、スマイルカーブと呼ばれていて、すごく儲かることが決まっています。

儲かるのは種で、モンサントやシンジェンタは中国が買っています。

他には農機具と肥料で、この3つは世界の巨大プレーヤーがいるので、異様に儲かりますが、実際に耕している人や流通している人はあまり儲かりません。

ここは世界の大合併が起こっていて、モンサントも買収されましたし、シンジェンタは中国企業に4.3兆円で買収されましたが、あれは例えば同じ小麦にも何百種類とああり、どれだけいいDNAのバンクを持っているか、というスケールが効いています。

今、シンジェンタが中国に買われちゃったらどうするんだ、という話しがあって、ちょっと戦々恐々なんです。

日本の場合、米のDNAは国策として国が持っているので、特定なメーカーに独占されているわけではありませんが、スケールがすごく効くところとそうじゃないところがあります。
ただ、今まだ分からないのは、IT×農業の領域です。

ITが来た時に、プリバみたいに一人勝ちするのか、複数の会社が出てくるのか、若しくはGoogleみたいなのが出てきて、「農業、牛をやるならこれだよね」と世界が一つになるのか、まだ勝負はこれからかな、という気がします。

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小林 もうやってみるしかないような気がしますね。

藤原 別のインダストリーにいってこっちにきて、水産やってみての感覚ですが、面白いのは水平展開にしろ垂直統合にしろ、一次産業はコンシューマーに近いところです。

ベンチャーとして垂直統合することも可能ですし、水平分業と考えた時、顧客はB to Bですが、それぞれのプレーヤーが結構小さいので、B to Cにもアクセスしやすいという意味では、ベンチャーとして取り得る手が非常にたくさんあります。

ですから、スケーラビリティは追求できる産業ではないかと感じています。

椿 おっしゃるとおりだと思います。

IT系では、日本からはLINEぐらいしかできませんでしたが、フィンテックが世界中で急激に拡大しているように、アグリテックはもしかしたら日本が十分世界に太刀打ちできる領域かもしれません。

時間が来ましたので、これにて終わりにしたいと思います、皆さんありがとうございました。

ICC KYOTO 2016 S5D

(終)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

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