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7. 日本が生成AI時代に持つ強みとは【終】

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ICC KYOTO 2025のセッション「徹底解説 – 生成AIの最新動向」、全7回の最終回は、Gen-AX砂金さんがコールセンター事業に取り組む理由とその展望です。音声を理解し音声で返事をするAIオペレーターと人とのツアー予約のデモは必見です。セッション終了1分30秒前にスピーカーに投げかけられた質問は、「今からAIで起業するとしたら何をする?」です。最後までぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜 3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはリブ・コンサルティングノバセルです


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 3A
徹底解説 – 生成AIの最新動向
Supported by リブ・コンサルティング
Co-Supported by ノバセル

(スピーカー)

砂金 信一郎
Gen-AX
代表取締役社長 CEO

柴田 尚樹
NSV Wolf Capital
Partner

西脇 資哲
日本マイクロソフト
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

(モデレーター)
尾原 和啓
IT批評家

『徹底解説 – 生成AIの最新動向』の配信済み記事一覧


Gen-AXがコールセンター事業に取り組む理由

砂金 ここからは、もう少し実務の話ですが、孫さんと宮川さんのSoftBank World 2025のセッションでも、コールセンターでこんなことができるようになると紹介いただきました。

冒頭お話した通り、私はコールセンター向けの開発をしています。

まとめ的な話になりますが、なぜコールセンターなのかというと、法務文書のチェックでもいいのですが、委託比率が高くて収益改善、PLヒットにすぐさまつなげやすいところ、BPOベンダーに何席分コールセンターを委託して運用していますみたいなところが大きければ大きいほど、AI化して得をすることができます。

あとは途中、ファインチューニングの話が出ていましたが、学習に使えるほどにデータが整理されてラベル付けされて、使ってもいいよという状態になっています。

コールセンターは品質向上のために録音させていただいてもよろしいですかというような一定の許諾を取っているデータが多いと思いますが、社内で使う範囲においては、そういうことができますので。

尾原 もう当たり前の話ですが、何度も言うと、生成AIの本当の価値は非構造化データという、経営では捨てている8割のテキストデータやお客様の感想の声とかなので、これは本当に分かりやすい整理ですよね。

砂金 ここをコールセンターのところでやっておくと、AIが分かりやすいように、社内用語や商品名など、色々なマスターデータが整理されていくので、量産する時に入りとしてはいいのではないか。

そういうことで、我々Gen-AXはコールセンターを色々やっています。

足元を見ると、コールセンターは順風満帆というよりは、人も採用しにくいし色々苦境があるので、ようやく技術が追いついてきました。

音声を理解して音声で返すAIオペレーター

砂金 こちらは非常に大きなインパクトで、OpenAIがgpt-realtimeというモデルを出しました。

GPT-5が標準のモデルとしてありますけれども、テキストを入れてテキストを返すので、何らかの形でテキスト化しなければいけませんでしたが、gpt-realtimeはスピーチtoスピーチなのです。

AIが音声を理解して音声を返す、これが使えると結構面白いことが色々できるのではないかということで、我々はプロダクト(X-Ghost(クロスゴースト))を作っています。

冒頭だけ聞いていただきます。

AIオペレーター「お電話ありがとうございます。XXトラベルです。ご用件をお伺いいたします」

女性「あ、あの、ツアーを予約してるんですけど、友達が急に一緒に行きたいって言い出して、人数を追加したいんですけど」

AIオペレーター「かしこまりました。人数の追加ですね。手続きのため6けたの予約番号を教えていただけますか?」

女性「えっと、XXXXXXです」

AIオペレーター「ご予約を確認いたします。少々お待ちください。現在2名様で、電車で行く鎌倉グルメ旅のツアーのご予約が確認できました。追加は何名様でしょうか?」

女性「1名でお願いします」

AIオペレーター承知いたしました。1名様追加で合計3名様ですね。人数追加…」

女性「やっぱり2名分追加できるか、確認してもらえますか?」

AIオペレーター承知いたしました。合計4名様ですね」

西脇 今のは割り込みですね。

尾原 そうですね。

AIオペレーター現在のところ空席がございますのでご予約可能…」

砂金 長いので、ここで止めます。

開発用の画面なのでこのままプロダクトとしては出しませんが、マルチターンで会話が破綻せずに普通に続いています。

今の画面で分かったかもしれませんが、AIが本当にこれは言ってよかったのか、大丈夫なのか、きちんとガードレールパスを1回1回見ています。

尾原 NGルールのことをガードレールと言います。

砂金 途中で西脇さんに気づいていただきましたが、AIが話している途中に人間がかぶせて話すことはよくあります。

日本人はすごくせっかちなので、日本人同士がネイティブで話す時の話速、相手がしゃべり終わるのを待たずにかぶせて話しかけるというのは、多分グローバルから見ても非常に速く、それがないと自然に感じないという、非常に難易度が高い言語を我々は扱っています。

そのようなかぶせトークにも対応しています。

非エンジニアでも運用できる仕組みを提供

砂金 大事なのは右側です。

コールセンターは雑談をするわけではないので、ルールベースというか、こういう業務手順に沿って会話してくださいという業務設計が、そのまま反映できることがポイントです。

尾原 しかもルールベースは周りから視覚化でき、確認できる、explainability(説明性)も上がりますしね。

砂金 運用にはデータの話が大事で、LLMOps(大規模言語モデル運用)と呼んでいますが、エンジニアがいればファインチューニングもできますが、必ずしも皆さんそうではないので、その仕組みをパッケージングして、使えば使うほど便利になることをやらなければいけません。

AIを作る立場側からすると、学習やテストに使えるデータが無限にあればいいのですが、そんなに都合よくは落ちていないので、途中の段階で現場に投入して、できないことは人間がフォローアップしながら、どんどん実務で品質を上げていくみたいなことをやらなければいけません。

今年の2月だったか、ジェンスン・フアンのプレゼンテーションでは、スケーリング則は飽和化するのではないかという話に対して、事前学習はもしかしたらそうかもしれないが、事後の強化学習や実運用の中で品質を改善していくことはもっと大事なので、NVIDIAのGPUをもっと買ってほしいと言っていたように記憶しています。

エヌビディアCEOジェンスン・フアン氏が語るAIの未来|NVIDIA GTC 2025 Keynote(GTC Insight)

コールセンターを日本の輸出産業に

砂金 コールセンター業界では色々変化があるので、『アフターAI』を買うだけでなく読んでいただけるといいなと思います。

私がチャレンジしているコールセンター業界で起こることについて、私見で色々書きました。

一番下にあるように、コールセンターを日本の輸出産業にしたいと思っています。

尾原 ああ!

砂金 今まで短絡的に理解された方もいたと思いますが、コールセンターは言葉を話す仕事なので、ランゲージバリアが出す側としても色々あったのですが、日本のコールセンターがすごく高品質なオペレーションができているのであれば、別に話すのは英語でもタガログ語でも何語でもいいのです。

そういう事業にできると、日本のためにもお役に立つのかなと思います。

柴田 本当に、これは上手くいくポテンシャルが非常に大きいのではないかと思います。

『アフターAI』には書きませんでしたが、僕は日本の今の生成AIの状況を、どのメディアの人よりもポジティブに見ています。

理由は2つあって、1つ目は、まず日本は課題先進国なのです。

「課題先進国」は、東京大学の元総長の小宮山(宏)先生が作った言葉ですが、少子高齢化、労働者不足、そしてこれだけ急に大量にインバウンドの人が来る、色々な社会問題がどの国よりも先に来るのです。

解決しなければいけない問題は、山ほどあります。

もう一つは、日本の企業、特に大企業は、世界でも稀に、いまだに新卒一括で総合職採用をしています。

尾原 それが?

柴田 新卒社員を、要はIQが高い人を採用して、業務経験がない人を色々な現場に投入して、研修して、一人前のビジネスパーソンに育てていく仕組みがあります。

これは、欧米の企業にはありません。

尾原 ダブルスクールのほうがしっかりしているから、逆に。

柴田 僕はLLMは東大卒の偏差値75の新入社員だと呼んでいます。

常識があって非常に賢いのですが、皆さんがChatGPTを仕事に使おうと思うと使えないと思った理由はこれで、皆さんが持っている業務知識を持っていないのです。

そこを教えてあげなければいけなくて、それがファインチューニングに当たるのですが、日本企業は新入社員、つまり人間に対してはちゃんと研修ができているので、それと同じことをAIにやってあげれば、AIエージェントになると思うのですよ。

尾原 AIにやってあげればいいということですね。

柴田 コールセンターは日本語だけでなく、インバウンドの人など色々いるので、これはすごくありだなと思いますね。

砂金 先ほど旅行の予約のデモをしました。

我々は何の処理も追加していないのですが、「Can you speak English?」と話しかけると、「Of course」と言って、そこから英語での会話になります。

今の生成AIは、200カ国語はオーバーかもしれませんが、思っているより色々な言葉を話せるので、そのポテンシャルはすごくあるのではないかと思います。

尾原 しかも砂金さんは、ルールベースである程度固定したところをやっているのではなくて、エージェントでやっているから、今言ったような柔軟な拡張性みたいなものができていくということでもあるわけですね。

砂金 そうです。

パスワードの再発行は会社が違ってもやり方は同じなので、業務知識として一定の知識を持っていれば、それを各社風に味付けするAIエージェントを生みだすAIエージェントが簡単に作れます。

ECサイトだと、返品の手続きでこれはOKだがこれはだめだという無限のルールがありますが、そういったこともちゃんとハンドリングしていく感じになると、小分けにした特化型のAIエージェントをたくさん作らないといけません。

孫さんが言っている千手観音というのは、現場に照らし合わせてみても、意外にそんなに無茶なことを言っているわけではないという風に思います。

AI開発の組織で意識すべきこと

砂金 そろそろ時間ですが、エンジニアの話を少しだけすると、AIを作るエンジニアを十把一からげにみんなエンジニアというと絶対事故が起こって、カルチャーが破綻して人が辞めていきます。

言いたいのは、モデルを作る人とエンジニアリングでプロダクトを作る人をちゃんと分けてケアをすること、あとはFDE(Forward Deployed Engineer)は、みんな採用に困っていると思います。

尾原 そうですね。

砂金 FDEはOpenAIやPalantirが言い始めたのですが、何でもできるスーパーマンのことです。

ただ、何でもできるスーパーマンを日本で見つけるのは大変なので、3人ぐらい、three men sell one setみたいなチームを組んで、エンジニアを見ていくようなことをしないといけません。

ここから先、AIプロダクトみたいなものを作って、お客様の課題を見つけて、ディスカッションしながらファインチューニングもして、足りない部分はカスタムアプリケーションも作って、みたいな人は、まあまあ神のような人でないとできないからです。

尾原 逆に言うと、先ほどのコンピュータサイエンスの学科で学ぶ次のことが、これを全人格的にどう育てるかみたいな話(Part.1参照)につながりますか?

柴田 おっしゃる通りで間違いないですね。

そうだと思います。

砂金 GAFAMを卒業されている方々が、スタートアップというかAIプロダクト方面に降りてきて、FDEの最初のきっかけになってくれると、業界全体の加速度がもう少し上がるのではないかと思います。

Gen-AXが見据えるコールセンターの先

西脇 もう最後のほうなので、砂金さんに質問していいですか?

尾原 もちろんです。

西脇 答えづらいかもしれませんが、Gen-AXは、コールセンターの次に何をやるのですか?

砂金 いえいえ、いい質問ですね。

尾原 ここが上流で、取っていくわけでしょう?

砂金 コールセンターでのお客様との会話の解像度をもう一段階上げると、手続き型のものはお客様側に圧倒的にやりたい意思があります。

AIの対応がお粗末でも、最後までAIの完遂率を高めやすいです。

西脇 お客様側がやりますからね。

砂金 一方で、これをアウトバウンドコールにして、督促や何か買ってほしいという営業的なコールだと、なかなか難しいですね。

お客様側がそういうつもりではないのに、AIとの会話によって意思を変えさせないといけないじゃないですか。

西脇 良い学びですね、それは。

砂金 それをやれたとすると、次に営業領域になります。

営業が全部自動化されることはしばらくはないと思いますが、そこの領域も学習して、今GPT-5、時系列の話をすると、GPT-7になりました。

その時点でできることで言うと、営業的なところ、お客様とのコミュニケーションが発生するところは、全般カバーしていけたらいいなと思いますし、それが我々のやりたいことです。

西脇 なるほど。そうなるだろうなと思いました。

というのは、1人当たりの売上を上げていくという話を最初に私がして(Part.3参照)、みんなで合意しました。

コールセンターの話は、増えない気がするのですよね。

プロダクトが優秀になっていき、プロダクトに聞けば答えるようなサポートができるようになると、コールセンターを選んだのなら、その次に売上を上げていくようなところをAIでサポートすると言ったら、やはりセールスかなと思うのですよね。

砂金 それは本当におっしゃる通りだとは思います。

SIerの仕事はなくならない

砂金 途中、コールセンターの話の中で、なぜここからやるのかという話で言うと、ソフトウェア開発の自動化というのは、今日はコールセンターの話をしましたが、色々な変化が起こると思います。

尾原 そうですね、速いですね。

砂金 日本において今、SIerと呼んでいる人たちがどういう感じになるのかは僕には答えられないので、西脇さん、お願いします。

尾原 あと2分ぐらいなので、未来に特化した話で終わっていければと思いますが、どうですか?

西脇 日本で言うSIer、柴田さん、どうですか?

柴田 僕はめちゃめちゃ価値が残ると思っています。

SIerのお仕事をされている方がいたらすみませんが、SIerに頼む場合、自分たちで作れないものを、外に頼んで作ってもらっているわけです。

そこには本当に技術的に作れないという話と、ものを作るという業務を責任も含めて外に出したいということがあると思います。

要は、トラブルが起きた時に被ってくれて謝ってくれる人という価値が…、すみません、ごめんなさいね、本当に。

そういう意味で、絶対になくならないと思います。

SIerのソフトウェアの作り方は変わると思いますが、今SIerに頼んでいる会社が頼まなくなるかというと、あまりそうはならないのではないかと思います。

尾原 僕は2年前からエンジニアに復帰していますが、AIで変わるのは、2つあると思います。

1つ目は、AIが進化していくと、AIにコードを書かせるためのメタプロンプトがたまっていれば、AIがバージョンアップするたびに全部のコードを書き換えるほうが圧倒的に速いし、圧倒的にバグが少ないという時代に、正直もう入っています。

2つ目は、とは言え、例外処理がたくさん出てくるので、英語におけるresponsibilityが大事になります。

英語での「責任」は、response ability(応答する能力)なのですよ。

常に何があっても応答ができる人間がいるというのは、本当にすごいと思いますね。

砂金 ところで、slidoを振っておきながら、1問も…?

尾原 一応、拾いながらやっています。

柴田 さすがですね。

今からAIで起業するとしたら何をする?

尾原 はい(笑)。そういう観点で、残り1分30秒なので、最後に、会場の方から一番多かった質問を発表します。

3人が今からスタートアップをするとしたら、何をするのか聞きたいということです。

一番色々スタートアップを見ている柴田さん、西脇さん、砂金さんの順番でお願いします。

柴田 AI縛りで言うと、僕は確実にロボットですね。

ロボット一点張りです。

最近出た本で読んだのですが、OpenAIが最初の頃にしていたことは、AGIを実現するにはロボットというフィジカルな世界、それと言語というLLMの世界の両方がないとできないという話があって、どうやらサム・アルトマンは、当時ロボットが先に来ると言っていたらしいのですが、結果としては言語(LLM)がロボットよりもずっと先に進化しました。

必ずロボットも来ないとAGIにならないので、僕はロボット一点張りです。

西脇 私もロボティクス、そして、ロボティクスだけでなくデバイス全般だと思います。

と言うのは、生成AIが出た時に自然言語で対話できるというのはセンセーショナルでした。

私たちはパソコンに向かうと、キーボードを使います。

その後に文字になりますが、これはものすごく品質を落としていると思います。

ところが、本当に自然言語で会話ができるようなロボット、デバイス、装置、社会インフラになったら、必ず変わると思います。

だから私は、ロボット、インフラ、フィジカルAIだと思いますね。

砂金 これは、私は続きで、攻殻……

尾原 ゴーストだ!

砂金 『攻殻機動隊』でいう「ゴースト」は「魂」です。

今は機械的な応答が返ってきますが、外部から観察した時に人間なのかAIなのか全く分からない状況を作れるように頑張りたいという世界線で言うと、感情分析とか、そちら側だと思いますね。

シリーズ1の議論を総括

尾原 会場の皆さん、AI最前線に追いつきましたか?

AIの本質はモジュールと複利であるとも言われています。

AIがAIエージェントとしてコンポーネントになると、全部が掛け算になって、最終的にはフィジカルの世界まで埋めていくというところがあります。

まさにモジュールと複利でともに創るというのが、このICCの場ですから、これをきっかけに、AIでの進化を皆さんも考えていただければと思います。

実は今日のセッションはシリーズ1なので、次回に続くかどうかは、皆様のアンケート結果によって決まります。

こういうことを、A会場で言うなというのは思うのですが(笑)。

柴田 次も、A会場がいいです!

尾原 そうですね。

(会場笑)

次もAがいいので、ぜひ皆さん、今日のセッションがいいと思ったら、拍手とアンケートをぜひよろしくお願いします。

長時間、どうもありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/原口 史帆/浅郷 浩子/戸田 秀成

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