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「モバイル動画メディア/広告はどのように進化するのか?」【F17-10C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その7)は、デジタルを活用したブランディング広告について、マスと比較しつつ議論しました。元博報堂でもある高松さんの提言が熱いです。ぜひ御覧ください。
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坂本 高松さんは冒頭からかなりマネタイズを課題として挙げられていましたが、もともと動画のアドネットワークから入って、今メディアという順番でしょうか?
高松 アドネットワークは大体CPM(Cost Per Mille/1000回表示あたりの料金)が通常で100円、バナー広告というのは100円いっていればいい方だと思うんですね。
弊社では今それが1,000円~2,000円で売れているわけです。
メディアからすると10倍以上の価値をもって動画広告が売れているということからも、市場に関しては非常にポジティブかなと捉えています。
しかし、動画広告をやりたいと思っている広告主がそもそも、まだそこまで増えていません。
ネット企業であっても、リーチが取りたい、ブランドリフトさせたいといった時には結局どこまでいってもテレビというか、お金を持ち始めるとテレビ出稿し始めますよね。
坂本 しますね。アプリの会社なども積極的にテレビに出稿していますよね。
動画広告がテレビCM以上か、異なる価値を提示していかなければいけない
高松 認知された後、例えば、ダウンロードだったらCPI単価というのは一気に下がってきます。
そこを超えられるビジネスモデルをネット側で用意できていないので、スマートフォンの動画広告で同じくらいお金がかかるのであれば、やはりテレビに出稿しようという流れになってしまいますし、テレビ出稿しているクライアントからすると(ネット広告は)補完でしかありません。
ですので、ここはきちんとマネタイズで、テレビと同等、もしくは違う効果、ないしはそれ以上の効果というものを提示していかないと、「動画広告がネットでできます」というだけでは、市場がこれから飛躍的に伸びるかというと怪しいなと、自分がやりながら実感しているのですが、やはりきちんと取り組んでいかないといけないと思っています。
坂本 その関連でいうと、昔からとても疑問に思っていることがあり、高松さんも冒頭で5,000万人の女性を中心としたユーザーにリーチできるとおっしゃっていましたが、日本で5,000万人ということはほぼすべての女性の数に相当します。
ということは、リーチできる対象としてはテレビと同じか、それ以上あるということですよね。
高松 私がクライアントの皆さんによく言っているのは、テレビ出稿に月に1億円払っているお金を我々に回してください、そうしたらテレビと同じような効果が出ますよ、ということなんです。
でも、1社で1億円なんて誰もやらないですよね。
坂本 それをなぜやらないのか、というのが非常に疑問なんですよね。
なぜなのでしょう。
例えば、電通や博報堂のようなブランド広告を売っている人たちが、やはりテレビ、それから雑誌というように、まずはレガシーメディアを売って、少し予算が余ったらとりあえずYouTubeをやっておくかと。
それで終わってしまう。
そういうところに問題があるのか、それとも別のところでしょうか?
大手広告主がデジタルに回す予算は全体の10%
高松 いやもう断然、広告主側のテーマなのかと。
例えばテレビCMのベスト5に入るナショナルクライアントでいえば、現時点ではほとんどが、デジタル予算には広告費全体の10%くらいしか使っていません。
皆(デジタル広告は)すごく大きな市場になっていると思っているかもしれませんが、この市場を支えているのは、リクルート社と通販メーカーですからね。
デジタルのブランド広告市場というのは本当にそんなものです。
高松 まだまだ大手各社、それこそ花王、資生堂など、テレビCMをやっているクライアントというのは、デジタル広告予算を多分最大10%くらいしか持っていません。
ですから、我々がどれだけ提案したところで、なかなかキャンペーン予算としてはなかなか落ちてきません。
たとえキャンペーンを立てることになったとしても、広告代理店のみならず広告主も、「とりあえずマスリーチ」となりますし、マスリーチができるものは何かといえば、まずはテレビです。
その後スマートフォンという話になったとしても、まずはLINEとかFacebookが最初に挙がるわけです。
動画云々の前に、まずはリーチを取りに行くという話にどうしてもなるので。
動画広告も市場としてはこれから伸びていくと思うのですが、その市場の作り方を皆で協力してやっていかないと、非常に危険なビジネスモデルになるだろうし、単価が下がっていき、それを実装するメディアが悲しんでいくという流れになりかねません。やはりそこですよね。
坂本 なるほど。まずは広告の出稿を受け入れる側の我々(アドネットワーク事業者)が、きちんとそれくらい大きい予算もはけますよと。
高松 絶対に単価は下げないと。当然、効果もコミットした上で、これをとにかく守っていかないと、一緒にやっているメディア、もしくはコンテンツ側も、生き残れませんよね。
少し話が変わりますが、この場にたまたま全員一次メディアが揃っていて、各社コンテンツを作っていますが、コンテンツを作るのって本当に大変ですよね。
坂本 動画は特に、相当コストが嵩みますよね。
高松 直近、メディア関連でいろいろな問題がありましたよね。
坂本 安く量産してみたりだとか。
高松 つまり何が言いたいかというと、サービスというのは楽をして作れるものではありません。
あれが楽をしていたと言っているわけではなくて、そんなに簡単な話ではなくて、特にコンテンツ領域においてこの上ない苦労をしてやっている時に、それに見合う対価を逆にどのように得るのかという点がとても気になっています。
私だけではなくて、ここにいる皆さん、どのように今後マネタイズされていくのかなと。
資金調達も多くされているとは思いますが、どうするんですかね、自分のことでもあるのですが(笑)。
結構重要なテーマだと思います、本当に。
動画制作における法的リスクのコントロール
坂本 少しマネタイズから話が逸れますが、先ほどの「いろいろありましたね」という話ですが、同じようなことが動画側でも起きるリスクがあるのではないでしょうか。
高松 あると思いますよ。
坂本 安く、質の良くないものを大量に作って……というような。
高松 弊社でも月に200本ロケで制作しています。
制作に際しては、例えば著作権や肖像権の契約が重要なテーマとなりますが、そのようなことを丁寧にやっているベンチャーがどれだけいるのでしょうか。
我々は全て契約までやっています。店舗側からも、こんなに重い契約書をまとめないと撮影してくれないのですか、と驚かれます。
それは私がもともと上場企業でやっていたということもあり、それくらいのリスク意識を持って、リスク回避も含めて、やっていかねばならないと考えているからですが、動画コンテンツを作っている会社が肖像権、著作権の問題を本当にどこまで真剣に捉えているのだろうかと疑問に思います。
勝手に取材していない?大丈夫?と、結構心配になりますよね。
坂本 なるほど、大丈夫ですか、お2人は?
新井 大丈夫です、
明石 うちはもうすごくクリーンで(笑)。
新井 大丈夫ですけれど、反論させていただくわけではありませんが、一方で、社会が厳しすぎるなという側面もある気がします。
新井 意図して悪さをしているのは問題ですが、良かれと思って挑戦をしている時に失敗することなど多々あるかと思います。
特に新しいマーケットがこれからできていくという産業なので。
良かれと思って挑戦して失敗したとしても、皆もう少し温かい目で見てあげればいいのになと感じる側面もあります。
坂本 それは例の件で?
新井 それとは別ですね(笑)。例の件は狙っていたかどうか、よく分からないので。
坂本 なるほど。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵
続きは 世界観のある動画メディアを創ることが差別化の鍵 をご覧ください。
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【編集部コメント】
続編(その8)では、動画メディアとしての差別化のポイントについて議論しました。分散型動画メディアが隆盛する中、業界注目の議論です。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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