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世界観のある動画メディアを創ることが差別化の鍵【F17-10C #8】

ICC Fukuoka 2017 Session 10C

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「モバイル動画メディア/広告はどのように進化するのか?」【F17-10C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その8)は、動画メディアとしての差別化のポイントについて議論しました。分散型動画メディアが隆盛する中、業界注目の議論です。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。

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「モバイル動画メディア/広告はどのように進化するのか?」の配信記事一覧

坂本 新井さんは、先ほど生中継のようなところへ注力していくとおっしゃっていましたが、その生中継、生動画に対するマネタイズというのは、どういうやり方を考えていらっしゃるのでしょうか。

大手広告主が納得して出稿する場を創れるか

新井 「生(ライブ)」に特化しているというわけではないのですが、インターネット動画の広告マーケットがこれからも盛り上がるのかどうかという話でいうと、今までの流れは端的に、雑誌とか新聞などのディスラプトをしてきたというのが今のインターネットですよね。

なので、画像・テキスト文化、今ようやく動画が入ってきたけれど、今の動画の広告が大体ディスラプトしているのは新聞や雑誌などであり、テレビのマーケットというのは、いろいろありながらも今でも満稿だったりするわけです。

それは実質、インターネットの世界はテレビのマーケットを全くもって食えていないからということなのではないかと思っています。

もちろんインターネットを見る人たちも若い世代を中心に非常に増えてきていますが、クライアントが満足し得るような場所というのが、まだインターネット上にできていないよね、というのが今の本質なのではないかと。

そう思った時に、まさに、アドネットワークもそうですし、メディアもそうですし、コンテンツを作る人もそうですが、たぶんナショナルクライアントの人を含めて納得感を持ってここに出稿し続けようと思える場所を、皆が作っていけるかどうかだと思います。

それがまさにサービスを生む大変さであって、テレビを今ゼロから作ろうと思ったら、途方もなく大変であるのと同じで、インターネット上に皆が満足できるような場所を作り続ける気概を持って、どれだけのプレイヤーが入っていくかという点が結構大事かなと思っています。

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新井 その中で、動画にはライブという、テレビにはない武器、価値があります。

テレビでも生放送はできますが、テレビとは少し違うやり方としてライブはとても分かり易いなと思っているので、割と力を入れてやっています。

坂本 なるほど。今、クライアントが継続して出稿したいと思う場所作りというお話がありましたが、言葉を選ばすにいうと、いわゆる分散型メディア、Facebook上に流れてくる動画の中には、誰が作ったものなのか、どこが作ったものなのかということが、分からないまま視聴されているというケースもあると思います。

広告主から、ここだったら継続して出稿したいという風に思われるようなポイントというか、どこがメディアとしての差別化ポイントとなるのかというのは、どの辺になるのでしょうか。

恐らくいろいろな考え方があると思うのですが。

動画メディアとしての差別化ポイントとは?

高松 私からよろしいでしょうか?

若干ポジショントークになりますが、いろいろな各社動画戦略をやっている中で、私が大きな課題だと思っているのは、ネットリテラシーであるとか、スマートフォンの使い方にしても、地域格差が大きいことです。

私はマーケティングを長く専門としてやってきているので、マーケティングビジネスでもそうですが、やはり地方ですね。

商品ひとつの売り上げを取り上げても、地方での売り上げがいかに重要かということが、東京にいてベンチャービジネスをやっていたり、ネット業界にいると段々分からなくなってくるんですよね。

東京で語られていることを、地方の人はほとんど知らなかったりするわけです。

未だに地方に行けば、新聞が強いですし、皆ローカルテレビを見ます。

(ICC FUKUOKA 2017の開催地の)福岡でもそうで、新聞やローカルテレビが強いです。

そういうことも含めて、やはり考えていかねばならないと思っています。

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高松 では我々の動画メディアがどうしているかという話ですが、動画の利点は、ネットリテラシーがなくとも、動画というのは見せるだけでユーザーが反応します。

ですので、我々は今地方と組んでいるんですね。

例えば、栃木県と提携したり、宮崎市と提携したり。

地方創生に活かせるのではないかと。

ですので、今どんどん地方に向けたビジネスをすることで、動画の次の可能性を模索しています。

坂本 地方の自治体などと提携しているということですか?

地方の魅力×動画の可能性

高松 そうです。自治体と組んで、自治体からお金をいただき、地域の情報、要は訪れてもらいたいスポットなどを紹介します。

静止画とテキストですと、見ても分からない、伝わらない良さが地方にはたくさんあると思いますので、そういうところを紹介しています。

坂本 こういうのがおもしろかったというような事例はありますか?

高松 おもしろかった例でいうと、昨日、栃木県と提携させていただいたのですが、戦場ヶ原へ行ったことがなかったんですよね。

坂本 名前は聞いたことがあるけれど。

高松 栃木県の戦場ヶ原というのは素晴らしい場所で、関東で一番星がきれいなんですよ。

そういう情報は、静止画で見せても分かりませんよね。

それこそ、動画であるべき理由だと思います。

では動画で星が撮れるかというと、実は光量の問題で撮れません。

我々はそれを、静止画をひたすら真っ暗な中でずっと取り続け、それを繋いで動画として見せるという手法を取りました。

その動画を見せることによって、栃木にこういう場所があるのだと伝え、戦場ヶ原に雪の草原が一面に広がっている景色を見せることが観光誘致につながるのではないかと。

(参考資料:思わず吸い込まれるような絶景を。「戦場ヶ原」で見る満天の星空

栃木県に素晴らしい場所があることを、動画であれば伝えられます。

もしかしたらそれは今までテレビの役割だったかもしれませんが、テレビはそこまでローカライズして関東で放映したりしませんし、ネット上のように拡散もしませんので、そういうことを動画ビジネスとしてやれたらいいなという思いがあります。

全く違う視点から。

坂本 なるほど、それはおもしろい。

他のお2人はいかがですか?

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どの辺が、例えば自分たちと同じようなことをやっている会社と、ここが差別化ポイントになるからこそこの分野を頑張っていくんだ、というような点はありますか?

新井 差別化ポイントの前に、今の地方の話を聞いていて、全然違う話がしたくなってしまったのですが(笑)、話を少し戻していいですか?

今後ネット化が進んで、今 NHKが実験をするというような話もありますが、いずれテレビすらも全てネットで見られるようになった時に、地方局の人たちをどうするのだろうという問題が絶対に出てくると思います。

要はネットワークビジネスが成立しなくなるわけです。

そうなった時に、地方局の皆さんが次のアクションをしなくてはならない時代に突入します。

いくつかの局は自分たちでネットメディアを立ち上げたりしていますが、地方とどのように連携していくかという話を伺い、実は協力してくれるプレイヤーが割といるのではないか、まさにビジネスチャンスが意外とあったりするのではないかなと今少し思いました。

坂本 助けてほしいというか、地方の側からのニーズがあるのではないかということですね。

統一的世界観を持った動画制作ができるかが鍵

明石 今の新井さんの話にかぶせつつ、その動画メディアの独自性のところへ話を戻していくと、今ようやく日本でもインターネットによる変化が起こっているところですが、これまで日本のテレビ、映像文化というのは、放送免許が数社にしか与えられない中での極めて閉鎖的な世界だったわけです。

アメリカではケーブルテレビができて、MTVなど多くのチャンネルが生まれました。

やはりあのカルチャーがあるからこそ、今ViceやVox Mediaなどの動画メディアが多く生まれているという面があると思います。

MTV以外の音楽チャンネルも、ケーブルテレビのチャンネルもたくさんできましたが、MTVが残っています。

それはやはり、パッと見て「MTV感」があるからではないでしょうか。

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今日の昼に、ブランドと世界観といったテーマを取り上げたセッションがあり非常に参考になったのですが、世界観というのは目に見えませんし、著作権で守られるわけでもありません。

難しいところですが、動画という様々な映像、ビジュアルの情報も、文字の情報も、いろいろと盛り込めるものだからこそ、そういうものを作り易いのではないかと思っています。

日本の動画メディアの問題点についてですが、料理の早回し動画を3社分並べた時に、ロゴを隠したら、ひよこのオスメス鑑定士でも、容易には区分けできないのではないかと思っていて、これが非常に問題だと思っています。

例えば、ルトロンであれば、これを見たらルトロンと分かるようなものをやられていると思いますし、Candee社もそうだと思いますし、弊社もその自負を持ってやっていますが、各社がそういうことをどの動画にも盛り込んでいくという意識を持たないと、つまらない世界になってしまうのではないかと懸念しています。

坂本 こういう風にした方が数字取れるだろうという点ばかりを皆が追い求めて、似たような内容のものばかりになってしまう未来もあり得ると。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵

▶続きは 動画×ECで生まれる「Vコマース」市場は立ち上がるか? 

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【編集部コメント】

続編(その9)では、動画×ECによるVコマース(ビデオコマース)市場の可能性について議論しました。次なる市場への熱き議論です。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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