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注目ベンチャー特集「今、フィンテックが熱い」【F17-3E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その5)は、会計や金融といった領域に対する日本人のリテラシーにスポットをあて、その特徴などについて議論しました。ぜひ御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
井上 なるほど。
先程のお話で、「お金の安心感」というキーワードがありました。
例えば衣食住といったものであれば、着るものに困りませんし、食べもの、住むところについても特に日本においては安全意識が高く、安全が確保されている状況だと思いますが、なぜお金に対する安心感についてはこんなにも仕組みや教育が欠けているのでしょうか?
お金をどのようにすれば安心に持てるか、運用できるか、借りられるかということが分からないからこそ多くの方は銀行口座にただ預金しているという印象なのですが。
安心感は、やってはいけないことが分かっている状態から生まれる
柴山 内山さんはお金を借りることについてどう思います?
内山 難しいですね。
柴山 正しい借り方や、こう借りてはダメといったことがありますよね?
東後 今の話で考えると後者の方が大事で、安心感とは、「やってはいけないことが明確に分かっている」ことから生まれると思います。
柴山 「このことはしていないから安心だ」ということですね。
東後 「それさえしなければ大丈夫」といった。
柴山 確かにそうですね。
東後 このポイントが分かっていれば安心できるじゃないですか。
例えば投信において何をしてしまうと運用資産の全てを失うリスクになるか?
このようなことはよっぽどのことがない限り起こらないですよね。
柴山 いや最近ですと、昨年人気があり多くの方が購入した投資信託は、元本から分配金が支払われる商品でしたからね。
投信協会の調査によると、このような「毎月分配型」と呼ばれる投資信託を購入した方の半数は、元本から配当されているということを知らなかったという状況でした。
一同 …(絶句)
東後 なるほど。
柴山 一昨年に銀行、証券会社で販売された投資信託トップ5は皆そのような商品でした。
年金の代わりとして購入したけれど、支給されていたのはほとんど元本だったということです。
東後 これをすると危険だというような押さえるべきポイントがあると思います。
例えば、銀行預金にずっと預けたままということも小さいとは思いますがある意味リスクとなります。
少なくともこれはやってはいけないということが分かっていれば、アップサイドのリスクをとりやすくなると思います。
「保証人」と「連帯保証人」の違いを答えられますか?
柴山 そうですね。
「保証人」にはなっても良いけれど「連帯保証人」になるのは危険だと、社員を集めて話したことがあります。
この二つは良く似ているけれど全く意味合いが違うじゃないですか。
保証人は、借りた人が返済できなくなった場合代わりに返済するというもので、家族が住宅ローンを組んだり、アパートを借りる時に保証人になるということがあるかと思います。
一方、連帯保証人は、借金をしていないのに借金したことになるという制度なので、借りた人が返済できるのに「返済したくない」と言った場合も連帯保証人が代わりに返済しなければならないというものです。
東後 リスクのレベルが全然違いますよね。
柴山 違います。でも、良く似ているじゃないですか。
井上 連帯している方が、リスクが少ないように感じてしまいますよね。
柴山 そのように錯覚してしまいますよね。
そのような大切なことが、一般知識として普及してないように感じます。
内山 金融リテラシーについては、教育においても触れてはいけないものという扱いのように感じます。
好きな人は自分で勉強すれば良いというもので、全員で勉強する環境ではなかったと感じます。
これこそが民主化かもしれませんが、このようなサービスを通じて、少しでも知識が広がればと思います。
井上 そうですよね。
東後 知識を身につけるか、「身につけなくても大丈夫」と思ってもらうかのどちらかしかないと思います。
「その知識はないからこれはできない」という課題に対して、「これは、こうだから大丈夫だよ」という安心感を与えるサービスが普及していくか、もしくはリスク等をしっかり理解し勉強するしかありません。
会計ソフトであれば、知識がない人からすると、「もしこの数字を間違えたら、いったい自分はどんな罰を受けるのだろう?」「そもそも自分は会計が分からないから、間違えそうだ」というような色々な不安が付きまとっています。
そういったことを、「心配しなくても全部やってもらえる」という安心感を提供できるか、そうでなければ経営者の方が会計を勉強するしかなくなってしまいます。
UXの改善が、ユーザーのリスク回避につながる
内山 今までそういった情報は手に入らなかったですし、金融にどのようなリスクがあるのかということは細かい文章のほんの一部、誰も読まないような所に書いてあるだけで分からなかったと思います。
我々が少しでもUXを改善することで、ユーザーがリスクを避ける選択をすることができたり、民主化されていくということができるかもしれませんね。
(ICCカンファレンスFUKUOKA2017 スタートアップコンテスト「カタパルト」登壇時)
柴山 全く何もしないよりは、お任せでも良いので経験してみるということが重要だと思います。
例えば税務でいうと、最初は税理士さんに全てお任せすることが多いかと思います。
でも何年かすればユーザー自身知識が身に付いてくると思いますし、どのように税理士さんにお願いすれば良いのかというノウハウもその人の中にたまっていくと思います。
何もしなければゼロはゼロのままなので。
東後 そうですね。
freeeのユーザーさんの中でも特に小規模な事業者の方は、「簿記は分かりません、会計初心者なのでfreeeを使い始めました」という方が多いです。
そのような方も、使い始めると逆に興味が湧き始めます。
使い始めた結果「これってどうなるのだろう?」と興味を持ち始め、そこから勉強を始め、むしろ詳しくなってしまったという方も中にはいらっしゃいます。
経験してみることによって逆にリテラシーが上がり、よりチャレンジングなことに時間を使うことができるということもあるかもしれません。
井上 金融リテラシーを身に付けるにも、すぐ教育に結び付けるのではなく、実践するということがとても大事で、冒頭皆さんのお話にもありました金融の民主化により、誰でも金融サービスに手が届くようになり、彼らに実践の機会を提供することが可能となったからこそ、リテラシー向上や、本来の民主化に繋げることができるという訳ですね。
肌感覚で実感すればリテラシーは上がってくる
柴山 資産運用についていえば、例えばリーマンショックの時何もしなかった人は結果的に勝ちました。
リーマンショックの際売った人は負けた訳です。
やはり自分の資産が1/3位減ると、売りたいと感じるものですよね。
でもあの場面で売却し、景気がプラスの成長をしたところで買戻しをするともう手遅れで、30~40%の損失になってしまいます。
そういった局面ではお金の動きを正しく判断できないですし、頭では分かっていても心理的に上手く行動できないと感じています。
リーマンショックの際、まだ20歳位で、例えば500円投資していたけれど、この500円が300円になってしまったとします。
でも、今弊社が作っているお釣りをコツコツ投資に回すサービスを利用して、例えば20円ずつ底値で買っていくと、実はリーマンショック前の株価に戻る前にもう元本回復しているということが可能になるかもしれません。
このように、少額であったとしても肌感覚で実感できていると、責任を持って家族のために運用するという段階でも正しく判断ができると思います。
(ICCカンファレンスFUKUOKA2017 カタパルトグランプリ登壇時)
肌感覚で体が体感しているので、頭で分かっていることを実際行動に移せる。
結果的にリテラシーがいつの間にか身についていたということになるかと思います。
このようなアプローチもありだと思っています。
井上 中小企業における融資についても、このようなことがありますか?
実際に利用してみて、仕組みに気付くといったことがあるのでしょうか?
内山 弊社はサービスリリースして間もないので、実際の経験はまだないのですが。
ただ、お金を調達するということに関して、知識のない方がとても多いとは感じます。
井上 借金というワードはそもそもネガティブな意味合いを含んでいますよね。
内山 ネガティブな印象ではありますが、借入はもっと上手く使うことができるものだと思います。
資金繰りが本当に厳しい局面で借入先を探し始めると、危ないサービスからしか借入できないといったことになってしまうかもしれません。
弊社のようなサービスを利用し、事前に備えておいて欲しいと思いますし、それによってリスクを回避できると考えています。
事前に準備をすることで「資金調達はこうすればできると」いうことを理解していただけると思いますし、銀行に繋ぐということも今後取り組みしていきたいと考えているので、弊社が入り口として機能することもできると考えています。
井上 ありがとうございます。
では、一旦ここで話題を切り替えたいと思います。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
続きは なぜフィンテックを起業のテーマに選んだか? をご覧ください。
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【編集部コメント】
続編(その6)では、そもそもなぜ金融や会計といった領域で起業や経営をしようと思ったかについて各登壇者にお話いただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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