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「IoT時代のビジネス/テクノロジー/デザインの考え方はどのように変わるのか?」【F17-2B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その6)は、IoTが提供できる価値の本質について議論しました。”モバイル野郎”の称号を持つヤフー村上さんが「スマホは面倒くさい」と語るのが印象的です。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
2017年2月21日〜23日開催
Session 2B
「IoT時代のビジネス/テクノロジー/デザインの考え方はどのように変わるのか?」
(スピーカー)
青木 俊介
ユカイ工学株式会社
代表
小野 直紀
株式会社 博報堂
プロダクトデザイナー
田川 欣哉
Takram
代表取締役
村上 臣
ヤフー株式会社
執行役員CMO
(モデレーター)
林 信行
ジャーナリスト/コンサルタント
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【前の記事】
【本編】
林 村上さん、その他に、我々に見えていないものは何かありますか?
村上 そうですね、「IoTとは何ですか?」と問われた時の答えとして一番分かり易い例を挙げると、今スマホが全盛ですよね。
でも、スマホを使うのが実は面倒くさいんですよ。
CMOと言っておきながら、モバイルも面倒くさくなっているという(笑)。
何が面倒かというと、セキュリティがかかっていて、指紋認証して、ロックを解除して…と、通知一つ見るのに6ステップくらいあるんですよね。
そもそも、ポケットから出すという行為が面倒ですよね。
それでいて見当たらないと焦りますしね。「どこに置いたんだっけ?誰か電話して鳴らしてくれ!」というように大騒ぎですよね。
この面倒くささを無くすというところで、IoTには一つ可能性があると思っています。
スマホの面倒くささを取り除くのがIoT
村上 私にとってIoTというのは、アプリのアイコンがポンと飛び出してきたようなイメージなんですね。
ですから、単機能であって、分かり易い。
モノというのは分かり易いですよね。見た目で、これは何かということが、すぐ分かります。更に、物理的に触覚を伴って押せると、非常に分かり易いので、ユニバーサルですよね。
それに対して、スマホなどは、まだ使えない人がいると思うんですよね。
コンピューティングというのは、これまで人間の側にリテラシーを求めてきました。
人がコンピューターに合わせるというところから、ようやくマシンの方が人に寄り添う形になってきています。
ロボットにしてもそうですし、myThings(マイシングス)にしても、ハイテクの力によって、人に合わせられるようになってくると。
そういう意味で、マシンラーニングであるとか、コンピューター・ビジョンの進化がそこを埋めていくのだろうというような感じで捉えています。
私が今注目しているのは、Nobiさん(林さん)もCES(Consumer Electronics Show)も行かれたと思うのですが、車ですね。
車は私にとってIoTです。
ちょっと大きい「Thing」かなと。
ちょうどフォード車が、これから市場に出す車にはAmazonのAlexaを搭載するということで、家と車をつなぐ「SYNC 3(シング・スリー)」というプラットフォームを発表しましたが、話しかけるという行為はやはり自然ですよね。
クリック入力など、これまで面倒だったことが、声に出すと理解してくれるようになり、更に家で使っていたものが、車に乗ってもそのまま続きができる、まるで同じアシスタントが車に一緒に乗ってきた感じですよね。
常に自分の周りに寄り添ってくれるような世界になっていくというのが、IoT全体を覆うUXなのだろうなと捉えています。
アプリを探さなくても音声で一気に操れる
林 そうですね。
今回のCESでは、いろいろなものがAlexaで操作できることが発表されていました。
これまでのIoTというのは全部A社のIoT用のアプリを入れる、B社のIoT用のアプリを入れるというような感じで、IoTを操作するために、iPhoneでアプリを探さなくてはならないという面倒さがありました。
村上 事業者ごとに違いますからね。
林 そうですよね。
それに対するアップルのソリューションは、HomeKit(ホームキット)でした。
HomeKit対応のデバイスは、アップルがまだまだ慎重なので少ないですが、Siriでコントロールできます。
実は我が家には、先ほど村上さんがおっしゃっていたHue(ヒュー)の電球が20個くらい付いているんです。
廊下の真ん中の電気だけ暗くするなど、これまでできなかったことが、できるようになりました。
夜寝る時に「おやすみ」と言うと、全部一斉にシャットダウンします。
アプリを探す手間が本当に減ってきますし、Alexaにしろ、Siriにしろ、もしかしたら将来はタクタイルになってくるかもしれませんが、音声というのは、いきなり目的を達成できるというUIとしての強さがありますよね。
お二人(青木氏、小野氏)は、そのような音声認識にも関心をお持ちでしょうか。
ロボットは対話をしたいというところもありますよね。
村上 かわいい子(BOCCO)のアピールタイムですよ、これは。
(会場笑)
青木 そうですね、私たちも、BOCCOの中に音声認識エンジンを搭載して、「ねぇ、ボッコ」と話しかけることで操作ができる機能は、CESでも展示していました。
とはいえ、Alexaほどのマイクは積んでいないので、やはり距離などに制限はありますが。
これ以上家にスクリーンは要らない?
青木 私は、家の中にはこれ以上スクリーンというのは増えないのではないかなと思っています。
先ほども視覚偏重というお話がありましたが、視覚というのは情報量として非常に密度が高いので、面白いけれども、その分ストレスも高いのではないかなと何となく思っています。
昔マイクロソフトのフューチャー・ビジョンで、何もかもがスマホになっているという映像があったかと思います。
床もスマホだし、テーブルも壁もスマホというように。
マイクロソフトにとっては都合がいいのでしょうけれど(笑)それはあまり居心地がよくないだろうなと、情報量が多すぎて、心地良さにはつながっていないだろうなと思います。
村上 全部8K(超高画質)になったら、(現実世界との)違いに気付かないかもしれない(笑)。(8Kだと)本当の壁なのか分からないじゃないですか。網膜的には。
全員 (笑)
青木 そこまで突き抜けるのもありかもしれませんね(笑)。
村上 ちょうどオーストリアの「アルス・エレクトロニカ」に行ってきたのですが、8Kの巨大空間があるんですよね。
▶編集注:アルス・エレクトロニカ(Ars Electronica)は、オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の祭典で、メディアアートに関する世界的なイベント。
あそこで映像を見ていると、すごく変な感じがしますよね。
箱の中にいるのだけれど、でも視覚が完全に騙されていて、全く違うところにワープしたかのような感覚があります。
ですので、8Kって何に使うの?というような疑問もあるのですが、ちょうど東京オリンピックもありますし、これって何かに使えるよね、と思いつつ。
ブルーライトなどによる健康への影響については分かりませんが。
田川 電気代もすごいでしょうからね。
村上 はい。
青木 私たちは、スクリーンは増えないという前提で考えていますけれどね。
あえて音声のみを使い子どもの想像力を引き出す
林 小野さんはいかがですか?
小野 今の「Pechat(ペチャット)」は基本的に、親と子どもがそのインターフェースを通して会話をする、子どもはぬいぐるみと話しているような感覚を体験するというものですが、次のアップデートくらいで、自動対話のところをもう少しリッチにしていこうと考えています。
音声認識をして「Pechat」が子どもとおしゃべりをするというようなものを目指していますが、いきなり完璧なものはできませんので、まずはクイズのような対話を作っているところです。
クイズのコンテンツをチームで考え、「第1問、じゃじゃーん」「外れ!」「正解!」というようなことから始めたのですが、作っていった結果、最終的にお話クイズのようになってきました。
「ある日カエルくんが外に出ました。空を見てカエルくんは喜びました。さて天気はどっちでしょう?」というような感じで物語を語りながらクイズを出していくようにします。
視覚的に見ればその場で答えが明らかになってしまいますが、音声であるがゆえに、子どもが想像を働かせて頭の中にそれぞれの映像を描くことができるのではないかなと思っています。
それはすごく昔からあるやり方ではありますが、新しい技術を使って子どもたちの想像力を引き出すことができるという点において、視覚のない音声には逆に可能性があると考えています。
(続)
続きは 何が好き? 「IoT洗濯機」「洗濯不要な服」「VRヘルメット」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鈴木ファストアーベント 理恵
【編集部コメント】
村上さんのお話しで、初めて「アルス・エレクトロニカ」というものを知りました!行ってみたい!(榎戸)
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