【新】ヤフー安宅×コルク佐渡島、特別対談「AIと漫画の交差点」【F17-5E #1】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

【新】ヤフー安宅×コルク佐渡島、特別対談「AIと漫画の交差点」【F17-5E #1】

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「今、AIと漫画が熱い」【F17-5E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その1)は、佐渡島さんが「安宅さんって何している人なのだろう?」という疑問から始まります。所属企業であるヤフーに留まらない安宅さんの活躍について、是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 5E
安宅 x 佐渡島 特別対談!
「今、AIと漫画が熱い」

(スピーカー)

安宅 和人
ヤフー株式会社
チーフストラテジーオフィサー

佐渡島 庸平
株式会社コルク
代表取締役社長

(ナビゲーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「今、AIと漫画が熱い」の配信済み記事一覧

井上真吾氏(以下、井上) それでは特別対談を開始したいと思います。よろしくお願いします。

安宅和人氏(以下、安宅) こちらこそよろしくお願いします。

井上 今回の対談は、佐渡島さんから安宅さんをご指名されて、実現しました。安宅さんを指名された理由や、お互いの自己紹介から始めて、質問し合いながら進めていけたらと思います。

佐渡島庸平 氏(以下、佐渡島) よろしくお願いします。安宅さんは僕の知らないことを知っておられそうだなと思ったので、教えて頂きたいなと思いました。


佐渡島 庸平
株式会社コルク
代表取締役社長

Twitter:@sadycork

2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを設立。現在、漫画作品では『オチビサン』『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『テンプリズム』(曽田正人)、『インベスターZ』(三田紀房)、『昼間のパパは光ってる』(羽賀翔一)、小説作品では『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集に携わっている。

安宅 光栄です。ありがとうございます。

ヤフーの「正しい意思決定」を支えるのが仕事

佐渡島 まず、ヤフーではどのような仕事をされているのですか?

安宅 新体制が始まった5年前は体制立ち上げのための仕組みづくりと運営のようなこと、あとはデータ周り、研究開発周りを相当幅広くやっていました。

その辺りは回るようになって手離れしたので、今はヤフー全体の戦略的判断を支え、本質的な成長につながる変化を生み出すべく働きかけ、加速するというのがヤフーでの主な仕事です。


安宅 和人
ヤフー株式会社
チーフストラテジーオフィサー

データサイエンティスト協会理事。慶應義塾大学SFC特任教授。応用統計学会理事。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月より現職。途中データ及び研究開発部門も統括。経済産業省 産業構造審議会 新産業構造部会 委員、人工知能技術戦略会議 産業化ロードマップTF 副主査、内閣官房 第4次産業革命 人材育成推進会議 委員なども務める。著書に『イシューからはじめよ』(英治出版、2010)。

佐渡島 情報面でということですか?

安宅 情報面とパースペクティブ的なものの投げ込み、あとは壁打ち相手的なものです。

俯瞰したり深掘りして見えてくる情報とその意味合いのティーアップもそうですし、今は国家関連のストラテジスト的なお仕事が多いので、その辺りの活動を通じて感じているパースペクティブのシェア、あとはCEOやCOOや主要関係会社社長も含む、事業のヘッドの方々の相談というか壁打ち相手です。特にCEOとCOOが大きいですね。

佐渡島 なるほど。

安宅 このために立ち上げ、育ててきたマーケットインサイトやインテリジェンス系の部隊を丸ごと持っています。会社の目というか。千里眼的な仕事です。そこでワーッと一緒に沢山の情報をもとに見立てている訳です。

市場はこうなるとか、日本ではまだ何も起きていないけれどもこれからこんな流れが来る、その意味合いとしてはこういうことがあり得る、というのを全体として見立てたりします。

自分たちの事業の市場観点での健康状態も、ずっと見ていますので、単なる微分ではなく、変化値として総合的に見立てができます。合わせて見ると、こういうふうな感じの市場構造で、このような本質的な変化が起きつつあるから、これにはこういうチャンスと脅威があって、だから、こういうのをやろうよと。そういう感じです。

佐渡島 そういうのが安宅さんの強みになったのは、どのタイミングでなのですか?

安宅 それは前職のマッキンゼーのころからですよ。今のほうがより複雑かつスピーディではありますが、当時の仕事に近いです。

そもそも変化を引き起こすための触媒みたいな仕事が中心でしたし、ある程度シニアになってからはずっと各社のマネジメントの相談役的な感じでした。日々のプロジェクト、スタディの運営もあくまでそのために行っている感じで、スタディのお題はお題にすぎない感じでした。

また、マーケティング研究グループ、戦略研究グループに加え、消費財・小売、通信・ハイテク系の研究グループにも属していたいので、そこからの議論をクライアントさんたちにシェアしながら議論していた経験も生きている気がします。

佐渡島 そうなのですか。

だから今、ヤフーの中でマッキンゼー的な仕事をされているという感じなのでしょうか?

安宅 うーん、マッキンゼー的なという意識はないですが、結果的にはそうかもしれませんね。インハウスのカウンセラーというか、ストラテジストというか、変化への触媒というか、そういう感じですね。

佐渡島 経営者の相談相手という感じですね?

安宅 そうですね。

佐渡島 代わりに事業を立てるというよりは、どちらかというとカウンセリングの部分ということなのですか?

安宅 そうですね。事業の大事なプロジェクトを直接推進する役割をやっていたことも何度もありますが、今は特にそうです。

全社の太い横断でどういう方針でどういうことをやろうよということには、当然ながら深く関わっていますけれども。指示みたいなことではなく、必要だなと思う変化に向けた気づきを醸成する、変化を起動する感じです。

あとはなんというか国代表とかオリンピックのコーチみたいな仕事というのが個人的に感じているところです。基本、各領域のトップ3には入っている事業が中心なので、励ましつつも、現実や僕の見立てをシェアし、一緒に未来や成長を考えるというか。

井上 先ほど、佐渡島さんがいらっしゃる前に「イシューからはじめよ」の話をしていました。

イシューからはじめよ: 知的生産の「シンプルな本質」

佐渡島 すごいですよね。

安宅 !、まじですか。

ありがとうございます。

井上 すごいですよね。どちらかというと万人受けではない本が10万部出ているなんて。

安宅 今(2017年2月)、たしか紙が15万部を超えたところです。電子版が2~3万部だったと記憶しています。

佐渡島 それはすごいですね。

安宅 ありがとうございます。少々驚いています。

なんというか「座右の書」的なものを作ろうと思って書いたんですよ。実践なしに、ただ読んだだけでは決してわからない。でも、少し前に進むとまた何か違った風景が見えてくる。

そんな時に手に取ってもらうと更に何かが見える気がする、、、そんな感じで、5年、10年と深く共に生きていけるそんな本になってくれたらな、と願いながら書きました。本当のところ、どこまで成功したのかはまったくよく分かりませんが、、。

本がまとまる頃、担当の編集者の方には、「一気に売れるような本じゃないと思いますが、多分、年に1〜2万部ぐらいは売れると思います」と言っていました(笑)

そうしたら、この本のもとになった、僕のブログ読者の方々の熱いサポートもあって、幸運にも最初からぐっと立ち上がりました。

はじめにある程度売れないと、あっという間に絶版になるということを上梓したあとお聞きしていたので、ご迷惑をおかけしなくて本当に良かったなと思いました。ありがたい限りです。

井上 コンサルタントになると必読書として読むんですよ。

佐渡島 そうなのですか。「コンサルタントは読め」という感じなのですね。

安宅 光栄です。本当に出すべきなのかと迷いつつ、なんというか多くの人にとって長く価値のあるものが出せたならと思って、売らんかな、の気持ちゼロで作ったので、そこがよかったのかなと思います。実は発売直前まで実名ではなく、ブログのハンドル名で出そうと思っていたぐらいです。

研究者なのか?経営コンサルなのか?

佐渡島 (安宅さんの)一番の強みは、引いた目で見て全体を見渡してというところなのか、インターネットがどうなっていくのかについて造詣が深いのか。

安宅 僕自身ですか?

佐渡島 ヤフーの中では、どういうキャラクターに見られているのですか?

安宅 うーん、ヤフーの中で、、。どうなのですかね?(笑)

佐渡島 僕は今まで研究者っぽい方なのかなと思っていたんですよ。

安宅 研究者ですよ。半分は。

元々サイエンティストなので、心は科学者なんです。

だから科学的マインドの中で事業や経営を見て、何かを見出したり、アドバイスをしたりしてきました。かつてデータ部隊やR&D部隊も何年か率いてましたが、これもその延長です。

世の中的には、期せずしてこういうデータだとかAIが大切な時代になってしまって、交差点的な人間として会社でも世の中でも多少なりとも価値があるのかなという感じです。

各種経営課題やマーケティングがhands-onで分かって、データやAI的な世界がある程度リアルに分かって、脳神経系が分かる人というのは、なぜかこの日本にほとんどいないようです。それで色んな意味で不思議な立ち位置にいる感じです。

偶然ですよ。

井上 それで研究者なのか経営コンサルなのか、型にはめられないのでしょうね。

安宅 そうみたいですね。その結果、割と、どの立ち位置の人ともそれなりに会話できるじゃないですか。何となくそこで生きているのかなと思います。

「データサイエンティスト協会のど真ん中」の安宅

佐渡島 今一番興味がおありなのは何ですか?

安宅 今ですか?うーん、、。世の中の刷新ですかね。

佐渡島 普段、どういう風に時間を使っておられるのですか?

安宅 慶應義塾大学のSFCの寄付講座を担当しており、時間の約3分の1をそこに使っています。

今、そこでは日々の推進責任者、兼講師で、特任教授という肩書です。あとは国だとかデータサイエンティスト協会、学会などのパブリック系が半分ぐらい。講演だとか取材対応にも1割以上の時間を使っていると思います。

佐渡島 ヤフーがされているのですか?

安宅 はい。ヤフーの寄付講座です。普通の寄付講座はお金を出すだけなのですが、そのまま中のマネジメントの一人である僕が教えてという、少々ワイルドかつ、やる側からすると少々過酷なやつなんですね。笑

もちろん僕は毎回行きます。僕だけが講師の時も結構ありますが、半分以上の回はテーマごとにそれに詳しい専門家、プロフェッショナルを社内から連れて行きます。

佐渡島 新卒で有能な人を見つけるために寄付講座を設けるのですか?

寄付講座というのは、どのようにされるのでしょうかね?

安宅 うーん、もちろん、会社としては、採用に繋がればいいなという気持ちは何割かあると思います。ただそれ以上に、今の時代に必要な人をちゃんと育てないとヤフーだけでなく社会ごとまずいことになるという意識が強いです。日本で最大級のインターネット会社、日本で最もデータを持つ会社の一つとしての責務といいますか。

講座自体は(SFCの)日本のインターネットの父である村井 純 環境情報学部長と、元文部副大臣、現文部大臣補佐官のスズカン(鈴木 寛) 先生と僕とでやっています。

スズカン先生と弊社のCOOかつ副社長の川邊(健太郎)さんは師弟関係で仲がいいんですよ。その2人で話をしていて、やはりデータ人材がもっと必要だという話をしたらしいです。

それで、(川邊氏が)ヤフーに、「データサイエンスティスト協会のど真ん中」にいる安宅がいるというので、知らないうちに話が進んでいたわけです。

僕はデータ人材が必要だと思って3、4年前にブレインパッドの草野さんらとデータサイエンティスト協会を立ち上げた人間の一人で、ずっと理事 兼 スキル委員長というのをやっているんです。

そこでスキル委員みんなで検討したスキルレベルやスキルチェックリストを発表して、(国立情報学研究所や統計数理研究所、国立遺伝研、国立極地研などを束ねる)情報・システム研究機構、文部科学省による「この国における高度データ人材育成のありかた」の検討や、IPA(情報処理推進機構)のデータサイエンス領域のスキル標準化などを手伝ってきています。

で、話を戻すと、スズカン先生・川邊・安宅というミーティングが一昨年(2015年)の年末にあって、

「これはどう思います?」「是非やったらいいですよ」

すると「これは安宅特任教授でお願いします」ということになって。

僕は「えっ?」と驚きましたが、「では年末年始、少し考えて頂けますか」ということで、まず終わったんです。

そして、年始になったら、シラバスを作ってもらえますか、なんて言われて(笑)

なし崩しでそのままやることになったのです。

ヤフーとしては、いい人づくりと、もし可能なら多少なりとも採用に繋がればいいと。

SFC側、村井先生、スズカン先生としては、こういう新しい時代の教育課程というのを上手く作りたい、ということで。

SFCというのは、インターネットに関しても、最初の時代を作ってきたところなので、型を作る原点の一つでありたいという気持ちをおそらく強く持たれていて、たまたま僕がそこにはまった感じです。

大学側とヤフーが思っていることは若干違うのですけれども、「(結局、講座としてやることは)噛み合っているからいいんじゃないの?」って僕的には思っています。

大学の空白化への危機感

安宅 スズカン先生によると、今は僕らの時代と違って、就職活動が1年以上あるらしいですね。

我々、バブル世代の頃って、就職活動は3日で終わっていたわけですよ。7月1日解禁で7月3日で終わっていて、多くの人は7月1日で朝始まってもう午後3時くらいには終わっていたんですよ。

佐渡島さんみたいなステキな優秀な学生が行ったら2時間で拉致されて、そのまま鹿児島か沖縄でも連れて行かれて終わりだった訳です(笑)

それも飛行機で移動させられるみたいな世界で。

今はそういう風ではない時代になっていて、大学が極めて空白化していますね。学生たちが1年の後半ぐらいから就職活動に頭がいってしまっていて、当たり前みたいに大量の時間を投下している。そのせいで1年の後半ぐらいから、多少、授業に来られなくてもしょうがない的な感じになっていて。

あの2人の巨頭は、これはばかげているという強い気持ちをお持ちで、もっと教育とそれを一体化させたいとおっしゃっています。

1年か2年か3年くらいの時に、そのまま何がやりたいかが決まって、それが職場まで繋がってしまえばもう集中できますよね。

そこも変えたいと思っていると、そういう感じですよね。

(続)

編集部よりシリーズの予告

お読み頂き、ありがとうございます。本シリーズは、以下のテーマと日程で配信されます。ぜひ毎日御覧ください!

9月25日:【新】ヤフー安宅×コルク佐渡島、特別対談「AIと漫画の交差点」【F17-5E #1】

9月26日:【安宅×佐渡島】ヤフー安宅氏が語る、”データを処理する3つのステップ”【F17-5E #2】

9月27日:【安宅×佐渡島】データを宝の山に変える「目的意識」の持ち方【F17-5E #3】

9月28日:【安宅×佐渡島】日本はどんなグランドビジョンを描くべきか?【F17-5E #4】

9月29日:【安宅×佐渡島】もうモノづくりだけでは富は生まれない(ヤフー安宅)【F17-5E #5】

10月2日:【安宅×佐渡島】物語は波でできている – データ社会における編集術(コルク佐渡島)【F17-5E #6】

10月3日:【安宅×佐渡島】コルク佐渡島氏が挑む”感動のサイエンス”【F17-5E #7】

10月4日:【安宅×佐渡島】サプライズが上手な人は、いいコンテンツを作れる(コルク佐渡島)【F17-5E #8】

10月5日:【安宅×佐渡島】ビジネスの論理ではなく、好きなものを突き詰めたい(コルク佐渡島)【F17-5E #9】

10月6日:【安宅×佐渡島】作家ごとの世界観を創り上げたい【F17-5E #10】

10月7日:【安宅×佐渡島】AIに漫画は作れるか?【終】【F17-5E #11】

以上

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 【安宅×佐渡島】ヤフー安宅氏が語る、”データを処理する3つのステップ” をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

超注目の対談が実現しました!タイトルは「AIと漫画の交差点」にしましたが、それに留まらない多岐にわたるディスカッションで、全読者に刺激的な連載だと信じています!ぜひ通読ください!(榎戸)

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