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5. Airbnb、Booking.com…黒船と戦う日本企業の秘策とは?

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「急成長するインバウンド市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!」8回シリーズ(その5)は、世界的プレイヤーがインバウンドの市場を狙うとき、何を武器に戦うのか?です。ぜひ御覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)との募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、レノボ・ジャパン株式会社様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017  Session 6D
「急成長するインバウンド/観光/レジャー市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!」Supported by レノボ・ジャパン

(スピーカー)
大西 啓介
株式会社ナビタイムジャパン
代表取締役社長 兼 CEO

加藤 史子
WAmazing株式会社
代表取締役社長

篠塚 孝哉
株式会社Loco Partners
代表取締役社長

山野 智久
アソビュー株式会社
代表取締役社長

(モデレーター)
柴田 啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役社長

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1.急成長するインバウンド市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!

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本編

柴田 では、ここで視点を変えます。

旅行・観光市場の競争は強烈です。Booking.comを傘下に抱えているプライスライン・ホールディングスの時価総額はいくらくらいだと思いますか。

「10兆円」です。

エクスペディアは2.5兆円です。ヤフージャパンと同じくらいです。

今挙げた企業や中国のCtrip等のプレイヤーが、インバウンドの市場をごっそり取っていっているのではないかと思います。

例えば、篠塚さんの会社はある意味同じフィールドで戦っています。

どうやってあのジャイアントたちに勝つのかという点で、考えることが多いと思いませんか。

それに関する話をお聞きしたいです。

競合ひしめく旅行・観光市場でいかに勝つか

柴田 まずは大西さんにお聞きしたいです。

Googleマップは僕も良く使います。申し訳ないですが、ナビタイムはあまり使っていません。

ある意味、同じ領域をやっているように見えるのですが、どうやってあのような会社とやって勝つのですか。

株式会社ベンチャーリパブリック 代表取締役社長 柴田 啓氏

大西 GoogleマップやYahoo!地図といった競合の無料サービスはたくさんあります。

それに対して有料サービスのナビタイムが、どのように戦うのかと聞かれます。

基本的には、ユーザーにとって親切できめ細かいサービスを提供することです。

例えば乗り換えであれば、駅のどの出口なのか、音声案内では、ゆるい坂を登るとか本当に分かりやすいナビゲーションを地道に提供しているだけです。

それだけでも有料課金ユーザーが450万人いて、無料の方も月間で3700万人のユニークユーザーがいます。多くの方にナビタイムをお使いいただいています。

Googleマップは全世界を対象としたサービスですが、ナビタイムは、一人ひとりに寄り添うサービスです。

色々なサービスを試して、期待するルートが出なかったり、使いにくい部分があると感じたり、もう少しきめ細やかで親切なサービスが欲しいという人がナビタイムに移行してくるというわけです。

きめ細かさというのは生き残るために大切だと思います。

柴田 たしかに日本人は細かいので便利だと思うと思います。銀座だったら前の方に乗ると三越に出やすいですよという出口説明が貼ってあり、あのようなのが受けるのは日本人の気質かと思います。

しかし、外国人も便利だと思い、お金まで払ってくれるという感触はあるのでしょうか。

大西 お金までは中々払わないでしょうね。しかし、ユーザーは増えました。

イギリスで一度、広告費ゼロで日本と同じサービスを提供したらどれだけ利用されるかということを行ったときは、2年で100万ダウンロードまでダウンロード数が伸びました。

その一番のキラーコンテンツは、海外は日本に比べて時刻表通りに電車が動かないことが多いので、鉄道遅延状況をリアルタイムで出してそれを迂回するルートを出したことです。

この技術は日本ならではのものです。電車が動かないときに代替手段としてバスを使うと目的地に時間通りに着く、ということに驚かれました。

日本ではナビタイムの広告をたくさん出していますが、広告費をかけなくても100万ダウンロードまで伸ばすことができたので、海外でも手応えはありました。

柴田 ありがとうございます。

では、加藤さんにお聞きしたいです。

WAmazingは競合サービスをどうみている?

柴田 加藤さんの事業領域はグローバルプレーヤーがどんどん入ってきて荒らされることはあまり起きないように見えます。

その一方で、最近はhandy(※)等いくつか似たようなモデルが来ていると思います。その中でどうやって差別化されて行くのですか。

▶編集注:handyは、通信料・通話料など全て無料のレンタルスマホをホテルなどの宿泊施設に提供するサービス。多言語対応のため、観光にも持ち出せる。

加藤 WAmazingは半年前にサービスをスタートしました。主要空港で無料SIMカードを配り、そのSIMカードと連動したアプリ内で色々な観光手配ができるというサービスです。

WAmazing株式会社 代表取締役社長 加藤 史子氏

確かにhandyさんや、ドコモさんも似たようなサービスを開始すると発表されたりしましたが、良かったと思っているところもあります。

1つは、通信をフックに何かと組み合わせるということについてWAmazingの話をすると、サービス開始前には「事例があるのですか?」と聞かれることが多かったです。

しかしこうやって盛り上がっているところを見ると、これは王道なやり方だと思われます。

競合の皆さんが、「通信やコミュニケーションしたいというニーズでユーザーを捕まえて、その後別のモデルも含めてマネタイズを実現する」というモデルが王道のやり方である証拠になるので、そこは1つ良かったという点です。

差別化については、handyさんのモデルもいいところは頂いてしまえば良いのかと思っています。

例えば、handyさんの場合はホテル、しかも高級ホテルと契約してホテル内消費に寄与しようというスタイルです。

そうであれば、WAmazingのユーザーであれば、その旅行者がどのホテルにとまるかが分かるので、そのホテルの消費に寄与するようなことを、WAmazingもやれば良いのです。

差別化というよりは自分たちの強みを生かしながら他の良いところを取り入れたいです。

他社も同じことをするのでしょうが、そうやってどんどんやっていけば良いのかと思います。

柴田 スピードとフレキシビリティですね。

加藤 はい。

柴田 それでは篠塚さんにお伺いしたいと思います。

インバウンドは今のところBtoB戦略でやっているのはとても賢いと思います。

当面はそれで良いのですが、Ctripにしてもどこにしても美味しいと思えば自分たちで最終的にやり始めます。

(ユーザーから)そのうち、Reluxはいらない、とならないのでしょうか。

情報の細やかさによって優位性を担保する

篠塚 それは確実にそうなりますね。

(写真左)株式会社Loco Partners 代表取締役 篠塚 孝哉氏

昨年末(2016年末)時点ではBtoBがほとんどで、APIで連携してReluxと契約して頂いているホテルや旅館を相手のサイトで紹介するという方法がほとんどでした。しかし今はその比率も半分くらいまでに落ちてきています。

今はBtoC、つまり、Reluxに直接中国や韓国の方々がアクセスして予約をすることが激増しており、本流はやはりそこになります。

そうするとBooking.comやExpediaとも直接対決になってきます。

今のところの優位性はBooking.comやExpediaにも載っていないようなホテルや旅館の情報を細やかに載せていることです。先ほど大西さんがおっしゃっていたことに近いかもしれません。

それを自社内の編集チームが担保しているので、その辺りで信頼され、予約を頂くことが多いと感じています。

柴田 山野さんの分野も競合が多いですよね。Viator、GetYourGuide、BeMyGuest、Airbnb、Booking.com、TripAdvisorもそうですね。

国内ではじゃらん等もありますね。大変ですね。

山野 そうですね、皆さんに目をつけて頂いて(笑)。

柴田 どうやって差別化するのですか。

きめ細かさ、スピード、フレキシビリティ

山野 日本の市場では僕らがある意味ファーストペンギンでやってきたところに後から大手さんを含めて参入してきました。

この実績を見ると、このマーケットにはチャンスとポテンシャルがあるのだということで、1つの安心材料であると思っています。

優位性については大西さん達と同じですが、きめ細かさやスピードとフレキシビリティに集約してきます。

我々はこのサービスをゼロから作ってファーストペンギンとしてやってきたデータとユーザーからのフィードバックがあります。

そこに対してスピードとフレキシビリティを持ってやり抜いていくというところ以外あまりないと思います。

(写真左)アソビュー株式会社 代表取締役社長 山野 智久氏

柴田 ありがとうございます。

ここでまた少し視点を変えてみたいと思います。

最近世界でも色々言われているのは、例えばトリバゴ(trivago)みたいな会社についてです。

トリバゴは今世界でバンバンCMを流しています。彼らは売上の9割近くを投入していますが…

山野 逆にそこが聞きたいです。トリバゴは結構CMを打っていますが、サービスモデルはどうなのですか。柴田さんはどうやって勝つのですか。

柴田 僕たちはインフルエンサーを使ったモデルなのでオウンドメディアで他のメタサーチとの差別化を図っています。

山野 Travel.jpのサービス自体はバッティングしますよね。

柴田 そうです。結局メタサーチもOTA(オンライントラベルエージェント)と一緒でコモデティ化していきます。

どこで差別化していくかというと、ユーザーフロントではコンテンツ、マーケティングフロントではコンテンツマーケティングで差別化していきます。

山野 インフルエンサーはエクスクルーシブ(独占的に囲っている)なのですか。

柴田 基本的にはそうですね。

山野 なるほど、ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/立花 美幸/浅郷 浩子/戸田 秀成

【編集部コメント】

日本の宿泊やレジャーだからといって地の利があるわけではなく、いきなり黒船とのガチンコ対決になるのですね。アプリやサービスでも、外国の方はある意味見る目がシビアなので、使い勝手や内容がよければ、選びそうな気がします。(浅郷)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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