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4. 2020年、日本に4,000万人の訪日外国人観光客が押し寄せる?

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「急成長するインバウンド市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!」8回シリーズ(その4)は、登壇者が日々感じている、ビジネスの強い手応えについて。2030年には年間6,000万人まで訪日客が伸びる感覚があり、また伸びなければいけないそうです。その理由とは? ぜひ御覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)との募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、レノボ・ジャパン株式会社様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017  Session 6D
「急成長するインバウンド/観光/レジャー市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!」Supported by レノボ・ジャパン

(スピーカー)
大西 啓介
株式会社ナビタイムジャパン
代表取締役社長 兼 CEO

加藤 史子
WAmazing株式会社
代表取締役社長

篠塚 孝哉
株式会社Loco Partners
代表取締役社長

山野 智久
アソビュー株式会社
代表取締役社長

(モデレーター)
柴田 啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役社長

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最初の記事
1.急成長するインバウンド市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!

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3. 観光産業は2030年に15兆円規模、自動車産業より大きくなる

本編

柴田 ここから質問に入りたいと思います。

インバウンド(訪日外国人旅行客関連の)市場の予測がこれだけすごい数字を見せる中、実際に皆さんが感じられている手応えを知りたいです。

自分の会社でやっているインバウンドビジネスに関連する数字を1つだけ挙げて「だから手応えがある」というところを教えて頂きたいです。

どんなことでも良いです。

インバウンドビジネスへの手応え

大西 手応えということですと、やはり先ほども挙げた数字ですね。

FIT(Foreign Independent Tour = ツアーなどを使わない個人手配の旅行客)の訪日外国人の12.5%が、我々が提供している、訪日外国人向けのサービス「NAVITIME for Japan Travel」を使っているということです。

例えば国は、今まで外国人がどの空港にいつ入って、どの空港で出たという情報を把握していました。そしてさらにこのサービスが拡大したことにより、外国人が具体的にどこを移動しているのか、経路検索結果やGPSデータなどから分かるようになりました。

株式会社ナビタイムジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 大西 啓介氏

特にニーズのあるのは、富裕層の観光情報です。

GPSログから夜に滞在しているホテルの位置が分かると、5つ星ホテルに泊まっている人がその後どこを観光したかが分かります。

統計分析としても、夜滞在しているホテルのグレードからその後の観光ルートを割り出すと、その後どのようなプロモーションをすればどれだけ人が集まるか、といったことなどが分析できるようになります。

月10万人ぐらいの利用者がいると、各国の人のさまざまな行動パターンが分かってくるため、数字としてインパクトがあるのではと思っています。

柴田 素晴らしいですね。加藤さんはいかがですか?

加藤 「7割」という数字です。何の数字かといいますと。

WAmazingのユーザー約2千人に取ったアンケートによると、「7割」の方が1年以内にまた日本に来るという再訪間隔の短さとリピート性の高さです。

柴田 特に台湾系の方等がそうですよね。

加藤 台湾や香港はそうですね。

こうなってくると、1回だけではなく、2回も3回も日本に来るというところを含めて旅マエ、旅ナカ、旅アトというサイクルが短く回せるので、ライフタイムバリューも含めて大きなビジネスにしやすいです。

柴田 なるほど。篠塚さんどうでしょうか。

Reluxのシェア20%が訪日旅行によるもの

篠塚 弊社は「20%」という数字です。

今Reluxでは国内旅行が順調に伸びていますが、(海外客の)訪日旅行も非常に伸びており、全体の約20%のシェアを訪日旅行が占めるようになり始めました。

特筆すべきはアプリです。海外旅行関係の予約等をアプリで行うという感覚は、日本人にはあまりないと思います。

しかし台湾、韓国、中国等ではスマホのシェアが90%近くあり、アプリを使って日本の高級ホテルや高級旅館を予約する方がこんなにもいるのかと、直近の数字を確認しながら驚いていました。

株式会社Loco Partners 代表取締役 篠塚 孝哉氏

柴田 それはすごいことですね。山野さんはどうでしょうか。

山野 数字では難しいですが「5」でしょうか。

弊社では旅ナカのアクティビティを中心に予約ができるというサービスを展開しています。

何もプロモーションをしていないのに、海外の旅行代理店さんからコンスタントに月に5件くらいは連携したいというお問い合わせを頂きます。

これが市場の可能性だと思っています。

柴田 ありがとうございます。

2020年で4,000万人、2030年で6,000万人の確度は?

柴田 それではここでYes/Noの質問をしたいと思います。

日本政府の2020年で4,000万人、2030年で6,000万人という目標ですが、これについて到達できる確率を教えて頂きたいです。

2020年は100%行くとか、2030年は半分くらいではないとか、何でも良いので宜しくお願いします。

加藤 両方100%です!

篠塚 僕も100%達成できると思っています。

僕たちも中国に子会社を作って色々研究しているのですが、中国人は今1億2千万人くらい出国をしています。

そのうちの、5%ほどしかまだ日本に来ていません。

それがこれから10年くらいかけて分母が2億人ほどになり、そのうちの15~20%くらいは日本に来てもらうことができるのではないかと思っています。

そうすると中国人だけで4,000人近くが日本にくるポテンシャルがあります。

先ほどのビザの話と空路が重要で、今空路の開港を地方空港とも進めていますが、輸送量を担保できれば確実でしょうから、国家のインバウンド戦略は明確だと思っています。

だからこの数字は達成できると思います。

人口減少による消費額低下を、旅行者で補いたい

大西 そこまで明確な数字は持っていないのですが、肌感覚として100%達成すると思っています。

株式会社ナビタイムジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 大西 啓介氏

6千万人いかないと、日本の人口がこれから減少していく時に消費額がアップしないことになります。

国の公表する資料によると、国民1人が減った分の収入を海外からの旅行者何人で補えるかというと、「8人」です。

そこから逆算していくと、6,000万人くらいの数値に達しないと日本はこれから衰退していくことになります。

こういった本気度は我々がGPSの情報を提供している時に肌感覚で持っています。

なお観光先進国であるフランスの数字はありますが、フランスの観光局の方と話していると、ドイツの人がフランスを経由してスペインに行くというような、途中で立ち寄る場合が多いようです。

柴田 陸路でつながっていますもんね。

大西 そうです。途中で一泊しているだけと見ることもできます。

一つの国に旅行するという意味では、6,000万人という数字を達成すると、日本が圧倒的トップになるのではないでしょうか。

山野 マーケットチャンスとして100%というのは意志としては持っていますが、正直なところでは50%位ではないかと思っています。

今回のセッションと趣旨が違うので各論はお話しませんが、昨今の近隣諸国との国際情勢を考えたときに一定のリスクがあるというところが、インバウンドに対してのマーケットリスクであり、50%ではないかと思いました。

柴田 ありがとうございます。では次の質問です。

もしご自身が日本の観光庁の長官だったとして、観光振興のために100億円の特別予算が出るとしたらどのような施策を打つかということを教えてください。

自分が観光庁のトップだったらどんな施策を打つ?

山野 選択と集中が大事なので、観光業に関わる人たちの教育に使います。

弊社は旅ナカの体験というところを担当させて頂いていますが、一番の問題は受け入れ態勢です。

OTA(オンライントラベルエージェント)もそうですが、海外の代理店さんから良くお問い合わせを頂くという話も先ほどしました。

しかし、インバウンドを実際に受け入れられるかというと、言語対応ができなかったり文化の理解が進んでいないところが非常に多いのです。この傾向は地方に行けば行くほど強いです。

(写真左)アソビュー株式会社 代表取締役社長 山野 智久氏

指差し確認表すらないところがあります。我々の契約施設は全国に5千施設くらいありますが、なかなか受け入れ態勢が整っていません。

英語の対応ができるところも20%くらいしかありません。

そこがマーケットの成長という意味ではチャンスでもありますが、一方でボトルネックになっていることも明確です。

ここに対してしっかりと整備をする、つまり教育・育成をしっかりコミットしてやるということを僕だったらやりたいと思います。

柴田 篠塚さんにもご意見を聞きたいと思います。

篠塚 僕は入口、つまり来やすさがうまく実現されるために投資をしたいと思います。

例えばビザを緩和するという話がありますが、これは実は結構大変なことなので優先して動くべきだと考えています。

何故ならビザを緩和すると、入り口が拡大される一方で、犯罪者が紛れ込みやすくなるなどのリスクも高まるからです。

例えば、発展途上国のお金がない方々が紛れ込んできて今は日本にない難民問題が起こることもありえます。

そのためその辺りのエビデンスを残す仕組みをしっかりと作らないといけません。そこに予算を使いたいと思います。

(写真左)株式会社Loco Partners 代表取締役 篠塚 孝哉氏

一方で、山野さんが仰られたこととは反対なのですが、、教育は入り口が整備できた後で良いと考えています。

例えば観光大国フランスに行かれたことがある方は多くいらっしゃると思いますが、フランスでは駅のインフォメーションカウンターやタクシーでも英語が全く通じません。フランスでさえそうなので、日本でこれから始めるとすると教育・育成については結構な時間がかかると予測できます。

それよりも入口を整備し、拡大してしまえば、後は各々が環境に適合していくだろうというのが持論です。

そのため、国としてはとにかく入口を広げるための施策を打ち続けて、後は民間側の対応に任せていくことでスムーズな受け入れ態勢が整うのではないかと思っています。

神社仏閣以外の観光資源を発掘・開発していく

大西 最初に出したGPSログを見ても分かるのですが、東京から神戸辺りのゴールデンルートを通る人が非常に多く、皆様ご存知のようにホテルはほぼ満室です。

しかし、地方のログは今はまだ少ないです。

我々は北海道、盛岡、神戸等の自治体から依頼されて、外国人の方が観光資源として喜ばれるものを見つけて、観光コンテンツ化や配信ということを、最近事業としてお手伝いさせてもらっています。

地方の自治体の方は観光というと神社仏閣を想像されるようです。

実際に外国人ライターの人と一緒に現地に行ってきました。そうすると、近くの川で鮎を釣るだけでも楽しいですし、それを囲炉裏で焼いたり、たい焼き屋に行ったり、地元の人が日常やっていることを体験できることが楽しいというのです。

外国人が喜ぶ、新たな観光資源を一緒に見つけて発掘していく、ということを自治体の方と一緒に開発できればと思っています。

柴田 なるほど。加藤さんどうですか?

加藤 国がやるべきこととしてはインフラの整備が大きいと思います。

先ほど篠塚さんからもあったように日本は島国なので空路と海路の拡充はとても大事だと思います。

WAmazing株式会社 代表取締役社長 加藤 史子氏

フランスは先ほども話に出たとおり、陸路の観光が多いです。パリを中心に円を描くと先進国の大都市がたくさん入ります。だから多いのです。

そのため日本がモデルにするのであればスペインの方が近いです。

スペインは空経由と海経由の観光客が多いです。昨年は7,560万人が来ていますので、今世界で最大の観光立国なのではないでしょうか。

海と空のところですが、まず海は日本には海外線が4万キロくらいあります。アメリカの1.5倍くらいの海岸線ですので、港の拡充が必要だと思います。

飛行機だと一機あたり300人くらいしか運べませんが、フェリーだと3,000人、4,000人運べます。

今もお台場が数年後に8,000人規模の客船が入港できる港を建築中ですが、それは1つあると思います。

ただ、今のところ海路だと団体旅行者が多いです。
団体旅行だと出発地の事業者にしかお金が落ちませんので、海路は充実させつつ、個人旅行者が船を使って近隣のアジア諸国から来るようになるとか、そのための規制をするとかがいいのではないかと思います。

そうすれば島国に入ることに対するインパクトが高く国らしい政策ではないかと思います。

柴田 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/立花 美幸/浅郷 浩子/戸田 秀成

【編集部コメント】

規制の緩和も、受け入れ体制も、インフラの整備もよーいどんで進めないといけないのですね。島国であることを活かした観光立国化は、聞くだけでもワクワクするようなお話です。(浅郷)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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