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ICCカンファレンス KYOTO 2016 において大好評だった「VR/AR市場は今後どのように進化するのか?」【K16-8A】のセッションの書き起し記事をいよいよ公開!4回シリーズ(その2)は、ナイアンティック村井さんに、IngressそしてポケモンGO開発の裏側にある開発思想についてお話頂きました。是非御覧ください。
ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 8A
VR/AR市場は今後どのように進化するのか?
(スピーカー)
荒木 英士
グリー株式会社
取締役執行役員
國光 宏尚
株式会社gumi
代表取締役社長
村井 説人
株式会社ナイアンティック
代表取締役社長
(モデレーター)
山田 進太郎
株式会社メルカリ
代表取締役社長
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最初の記事
【新】グリーとgumiが仕掛けるVR市場振興に向けた取り組み【K16-8A #1】
【本編】
山田 それでは、村井さんから、ポケモンGOの話はもちろん、ナイアンティック全体のお話をしてもらえたらと思います。
國光 貴重な機会ですよね。あまりパブリックにお話されていないですよね?
村井 説人 氏(以下、村井) ほとんどしていないですね。引きこもりなんです(笑)。
ナイアンティックはあまり外に人を出すこともしないですし、私自身もあまり公に出て来ないですね。
國光 お話して何に驚いたかと言うと、村井さんのポケモンGOのレベルが14でした。低いですよね(笑)。僕の方がはるかに高いです。
(会場笑)
2015年12月に株式会社ナイアンティック 代表取締役社長に就任。ナイアンティック初の現地法人である株式会社ナイアンティックの代表取締役として、日本市場における事業開発ならびにリアル・ワールド・ゲームの普及に努めています。
株式会社ナイアンティック入社前は、Google マップのパートナーシップ日本統括部長として、Google マップの発展に貢献してきました。2008 年から 2015 年にかけて提供されたGoogle マップで提供されたすべての新しい機能に従事し、Google マップデータの戦略的パートナーシップを構築するとともに、航空写真、インドアマップ、経路検索、Google Ocean、Google Moon など数多くの新しいサービスを日本市場に送り出してきました。また、2015 年には Australia/New Zealand maps のパートナーシップ業務の責任者としても従事しました。Google マップ以外では、Google Crisis Response 活動として東北復興などのさまざまな活動にチームの中核として貢献したほか、Google Art Project の日本の代表者として、同プロジェクトの発展に大きく貢献してきました。
Google へ入社する以前は、2006 年には GMO アドネットワークスに入社し、取締役として会社運営に従事しました。元 Twitter CEO の Dick Costolo 氏の立ち上げた FeedBurner Inc.とのパートナーシップに基づき、日本市場での RSS 広告ネットワークの構築、およびその市場の活性化に貢献してきました。1997 年に日本電信電話株式会社(NTT)にてキャリアをスタートして以降は、NTT-X で通信を切り口とした都市開発を担ったほか、NTT レゾナントではプロダクトマネージャーとして、ブログサービスの立ち上げや RSS 検索エンジンの開発に努めてきました。1997 年に成城大学を卒業。
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村井 それは先ほどお話しましたけど、基本的には開発バージョンと本番バージョンがあって、開発バージョンはかなりやりこんでいます。
開発バージョンで言うと、デベロッパーたちが複数いるわけですが、ナイアンティックの中では、私はNo.2くらいでした。ただ、現実世界のバージョンでは全然生きていけないレベルですね。
國光 ユーザーを代表してクレームを入れておきたいのですが、いいでしょうか。
村井 早速ですか(笑)。今日はクレームを受け付けないので、よろしくお願いします(笑)。 挨拶が遅れましたが、株式会社ナイアンティックの村井と申します。よろしくお願いいたします。
今日はVR・ARという話で色々考えるところはあるわけですが、VRとARが一緒くたにされて議論されるのが一般的なのですが、実際はVRをされる会社はVRにフォーカスされているし、ARはARにフォーカスしていますよね。
基本的には、VRとARはなかなか交わらないものというのが、皆さんの印象だと思います。ただ語ろうとするときは一緒に並べられて、未来を語らないといけないので、なかなか議論の難しさがあると思っています。
VRはVirtual Reality、ARはAugmented Realityの省略ということで、共通しているのは、リアリティーという言葉ですよね。現実世界というものをどのように変えていけるのか、という点で、VRとARの意義が出て来ると思います。
VRに関しては、バーチャルなものを使って、現実世界を楽しい世界に変えていく仕掛けで、 ARは、現実を拡張させる、より強化していく仕掛けだと思っています。
我々自身は、VRに関してはまだ何にもしておりませんので、ARについて説明したいと思います。まず、ナイアンティックという名前がどこから来たかをご存知の方はいらっしゃいますか?
ナイアンティックは、北米でゴールドラッシュの時代がありましたが、その際に人を運んでいた大きな船がありました。その中にナイアンティック号という船があったのですが、人はそれに乗って向かった場所でコミュニケーションをとっていたわけです。
ゴールドラッシュが終わった後も、ナイアンティック号はホテルになって人が交流するような場所になりました。我々自身も、ナイアンティック号のように、ゴールドであったりオイルであったり当たりそうな所を見つけながら、ベンチャー企業として進めていこうという思いがあります。
ナイアンティックはシリコンバレーから生まれたベンチャー企業です。北米に1社、子会社が日本にあります。私は日本の代表をさせて頂いております。
ナイアンティックというのは、そもそもGoogleの社内ベンチャーとしてジョン・ハンケが立ち上げました。
彼はもともとKeyholeという会社で地図情報を作っていて、それがGoogle Mapの下地になりました。
なので、実はナイアンティックは、もともとGoogle Mapsのような地図を生業としている人間が多く集まっていた会社です。
私自身もずっと地図に携わっていた人間で、Google Mapsのパートナーシップの日本代表をやっておりました。
現実世界にデバイスを通じて、何かしらのオブジェクトであったり背景であったりを映し出すのがARの世界だと思っていますよね。
実は、ポケモンGOのARモードもまさに同じことをやっていまして、そのオブジェクトとポケモンが映し出されます。
しかしながら、我々は、これをARの1機能にすぎないと捉えています。
人間が存在する世界に新しい情報のレイヤーを加える
我々の考えるARは、我々が存在する世界に新しい情報のレイヤーを足すことだと考えています。現実に新しい情報を付加して、現実を拡張していくことが現実拡張でARです。
我々自身は、IngressやポケモンGOを通して、皆さんをGPSや地図データを使って、皆さんが実際にその場所に足を運ばなければ、付加された情報のレイヤーに触れることが出来ない、足を運んだことで新しい体験を提供出来ればいいなと思っています。
我々が当初始めたのは、Ingressというサービスです。Ingressは皆さんご存知かと思いますが、動画をご紹介したいと思います。
Ingressの特徴は、背景に壮大なSFのドラマがあるという点です。我々は、ARというのは、単純にデバイスで見せるだけではなくて、現実との接点をどう見せていくかというのが大切なポイントあと考えています。それを見せるのに、こういったSFのドラマのようなものをあえて作って提供しています。
緑色をしたエンライテンドと青色をしたレジスタンスという2つの派閥が戦うという陣取りゲームになっています。世界200の国と地域で配信されています。
ポケモンGOはまだ100の国と地域でしか配信出来ていない状態なのですが、これからどんどん増やしていきたいと思っています。
YouTubeや色々な媒介を通じて皆さんに情報を届けて、Ingressを楽しんで頂いています。
Ingressの4つのプリンシプル
我々がIngressを作るに当たって、4つのプリンシプルを持っています。これは開発をする前の段階で、みんなで考えたものです。
1番初めに大切だと考えて決めたことは、Ingressは必ず「現実世界が舞台である」ということです。
これはARとイコールの話になるかもしれませんが、我々はゲームを通して、まずは国境を超えたいと思っています。加えて、言語の壁も出来る限り超えたいと思っています。それから、人種や宗教という壁も超えたいと思っています。
コミュニケーションを阻害するであろう様々な情報を出来る限り排除出来るようなゲームを、どうしたら作れるだろうか、というのをみんなで議論しています。なので、1番大切なことは、現実世界が舞台であることです。
次に大切だと考えたのは、「動いて遊ぶ」という点です。
我々自身が、ゲームをして育った世代だと思います。ゲームはとても大好きですし、ゲームによって色々なことを学んできたと思っています。
一方で、テクノロジーが進化してきたことで、子どもがせっかくいい天気なのにテレビの前で平均2〜3時間過ごしていたり、約80%の子どもが推奨されている運動が出来ていないという状況があったりします。
あるいは、喫煙で死亡する確率よりも多い確率で、運動不足を起因として死亡している人が5,800万人いるというデータがあります。
こういったものをなんとか解決出来ないかと思いました。
単純にゲームを開発してゲームを楽しんで頂くというよりも、もっと人間のためになるものを我々は提供出来ないだろうか、そこへの回答を出したいという思いがありました。
3つ目が、「新しい視点から見る」ということです。
我々は、人を動かすところが健康になる1つの要因だと思っています。人を動かしたときに何を発見するのかと言うと、なんでもかんでも全てではないと思っていて、日常の道の中でも、ふと気づくとその存在に気づいたり、そこに何かストーリーを見つけたりなど、気づくと嬉しくなるようなものが、世の中にたくさん散らばっているだろうと思いました。
そういうものに気づいてもらうことで、知的好奇心を満足させられるし、結果的に身体が健康になって、脳が活性化してみんなが幸せを感じられれば、人類のためになるのではないかと考えました。なので、こういった点を重視して設計しました。
4つ目が、「現実世界の友情を築いていく」という点です。
Ingressもそうですが、我々のゲームのスタイルは、MMORPGという大規模・多人数・同時参加型のオンラインゲームです。この世界に入ると、必ず誰かとのコミュニケーションが発生するようになっています。
オンライン上のコミュニケーションや、現実世界でポケモンGOやIngressをやっている同士のコミュニケーションなど、ゲームをやらないと起こらなかったコミュニケーションが発生すると、価値があるのではないかと考えました。
これらの4つのプリンシプルに則って作られたのが、Ingressというゲームです。リリースして4年弱経ちますが、着々とユーザーが増えています。
実はこのユーザーと共に創ってきたIngressの技術ならびにデータというのを最大限活用して作ったのが、ポケモンGOです。
皆さんがポケモンGOをやったことがありましたら、ポケストップやポケジムといった仕掛けがあるのをご存知かと思いますが、ああいったものは全てIngressでユーザーと共に創り上げていったデータを利用して作られています。
我々のポケモンGOというサービス自体は、Ingressがなければ絶対成り立たなかったサービスです。いまは、更にポケモンGOの成功をより良いものに変えていけるように考えながら、運営しているところです。
以上です。
山田 有難うございました。ナイアンティックの情報は表に出ていないので、どういう思想や背景があって、ポケモンGOにつながっていったのかはあんまり明らかになっていないため、とても勉強になりました。
先ほどおっしゃった4つのプリンシプルは全部引き継がれているように感じました。
國光 全部後付けではないのですか?(笑)
村井 いや、最初から考えていました(笑)。ベースとなるものを考えているのは、ジョン・ハンケです。
ジョン・ハンケが全体像を考えていて、彼が考えている課題をどのように解決するのかをみんなでディスカッションして決めていっています。
(続)
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続きは「VR市場は爆発的に普及するのか?」gumi國光氏・グリー荒木氏が熱く議論【K16-8A #3】をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃
【編集部コメント】
続編(その3)では主にVR市場が「爆発」するための条件や道筋について議論しました。業界関係者必見の内容となっております。ぜひご期待ください。今回の感想はぜひNewsPicks(ICCのNewsPicksページ)でコメントやフォローを頂けると大変うれしいです。
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