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「成長するトラベル市場のビジネス・チャンス」【K16-6D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その4)は、日本市場への新規参入が相次ぐグローバル展開の予約サイト等に、国内の旅行代理店がどう戦っていけるかなどを議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」
Session 4D
「成長するトラベル市場のビジネス・チャンス」
(スピーカー)
篠塚 孝哉
株式会社Loco Partners
代表取締役
榊 淳
株式会社一休
代表取締役社長
塚本 信二
米ダフル インク
共同創業者
(モデレーター)
柴田 啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
柴田 一方、実際にインバウンド市場で活躍しているのは、やはりグローバルプレーヤーが多いですよね。
Booking.comやExpedia、中国ですとCtrip、これらの会社と日本の会社はどう競合していけばいいと思いますか?
一休さんのように、旅行業務のインバウンドはあまり取り組みをせずにレストランで勝負するというのも一つの方法だと思います。
ReluxさんはBtoBtoCで攻めるということでしょうか?
マージンが薄くはないですか?
Expedia等のグローバルプレイヤーとどう戦うか
篠塚 薄いですね。
Booking.comに対する戦略で私が一番正しいと思っているのは、逃げること、戦わないことです。Booking.comは日本市場において、じゃらん、楽天の半分程度まで実績が伸びていると言われています。
彼らの戦略は、世界で得た利益を全て日本に投資して一気に刈り取りにきているということです。同じ戦い方では、まずもって勝てない状況です。
ですので、弊社は彼らが取り組みしていない領域、エグゼクティブ領域や、インバウンドでは彼らが持っていないプロパティをきちんと扱ってグローバルに提供するということを今は粛々と行っています。
Expediaさんにおいては提携関係にあり、一緒に日本事業を伸ばすべく、小さいなりの戦い方を頑張っているところです。
柴田 これは弊社データになります。
何が読み取れるかと言うと、インバウンドについて弊社も多少なりとも取り組みをしていますが、圧倒的に国内旅行、アウトバウンドの市場規模が大きいということです。
これは日本全体のチャートです。
インバウンドについては2013年までのデータなのでもう少し現在は増えていますが、それでも国内市場は馬鹿に出来ないほど、とても大きな市場ということが分かります。
ただ、この国内市場においても競争が激化しているというのが今の実態なのではないかと思っています。
これもSimilarWebで調べたデータですが、トップ30を見ても激戦です。
リクルートさん、楽天さんと続いて、海外勢ではトリップアドバイザー。
Booking.comについては日本だけのデータが取れなかったため含まれておりません。
当然JTBさん、HISさんに挟まれながら、ヤフーさん、Expedia、そして一休さんの後も続いて、Reluxさんはこのデータ上大体22番目位でしょうか。
5年間やってきてこの数字は満足していますか?
Relux の成長戦略
篠塚 Reluxを展開して厳密には3年となります。
満足しているかと聞かれると満足はしておりません。
柴田 100点満点でいうと何点位でしょうか?
篠塚 60点位です。
柴田 もう少し突っ込んで聞くと、Reluxをこの後どこまで成長させたいですか?
篠塚 宿泊予約サイトの中ではトップランカーと言われるところを目指しています。
柴田 では、例えば2年後どの辺りを目指していますか?
篠塚 2年後、どの辺でしょうか?ベスト10に入ればいいなと思います。
柴田 ベスト10だと、今の10倍位伸ばす必要があるかと思います。
当然それなりのハードルがありますよね。
篠塚 勿論あります。
柴田 それを目指す上で一番大きな課題は何でしょうか?
篠塚 旅行の予約サイトについて皆さんイメージがあるかどうか分かりませんが、ECと全く一緒です。
まず旅館さん、ホテルさんと契約をし、在庫と料金を入力いただくことでプランを提示してもらいます。
「一泊二食付きプラン」や「一泊朝食付きプラン」などの一般商品があるような状況ですので、eコマースと同じく仕入れ力とマーケティングの掛け算ということです。
仕入れは引き続き粛々と取り組みするとして、マーケティングサイドがコストの戦い、広告費の戦いとなっています。
今はきちんと大型の資金調達を行い、まずはプロダクト開発に投資したいと考えています。
それを愚直に取り組みすれば、サービスは伸びることがこの3年で証明されているので、次の3年も伸ばせるのではないかと考えています。
柴田 その話を聞くと、上場はまだ先になりますか?
篠塚 上場の準備も勿論始めてはいます。
柴田 資金調達をして、広告宣伝等にお金使うと利益は出難いですよね?
篠塚 利益が出る範囲で頑張ろうとは考えています。
柴田 なるほど。
塚本さんに聞きたいのですが、アメリカのスタートアップに共同創業者という面白い立場で入られたと思います。外から見ていて、日本のスタートアップの課題は何だと思いますか?
日本と米国でのサービス嗜好性の違い
塚本 大阪育ちですが(笑)。あまり米国が、日本が、どうこうという感覚はないのですが。
素晴らしいスタートアップは日本にも米国にも沢山ありますが、日本の場合は、マス向けの需要に対して大きな網を張る傾向があるとは感じます。
米国の場合はケーブルテレビや多チャンネル環境から、フラグメンテンド・メディアを能動的に摂取する文化があるため、アプリにしても自分の好きなものを組み合わせて使います。
そのため認知率が一桁であったとしても成り立つサービスがあり、必ずしも利用しているアプリが万人に受ける必要はないのではないかと思います。
例えば日本で宅配便を出したいという時、ヤマト運輸等の宅配業者を呼び、送り状を書き、荷物を梱包するという工程があると思いますが、米国では、その工程だけに特化し5ドル程度の支払いで代行を行う「Shyp(シップ)」というサービスがあります。
また、例えば引っ越しのため少しの家具を運びたいという時、その家具の写真を撮り、港区から杉並区に運びたいといった情報を登録すると、米国にはピックアップトラックという荷台を有するトラックを所有している学生が沢山このサービスに登録しているので、その写真を見た受注者が、私は5ドルで運びます、私は7ドルで運びますと挙手をし、そこから依頼するというようなサービスもあります。
スケールするかは中々難しいですが、スケールしなくとも消費者のニーズを埋め、貢献しているサービスはアメリカの方が若干多いと感じています。
柴田 それはアメリカの市場規模が大きいため、ニッチな所を取ってもそれなりのパイになりビジネスとして成立するということでは?
塚本 そのようなケースもありますが、当然ながら売上が少ない中小企業であっても存続する会社もあります。
個人的には、アプリとかスマートフォンというプラットホームが出来ているからこそ、フラグメンテッド・ビジネスでも継続性を持たせることができる時代だと思います。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鎌田 さくら
続きは 「正攻法ではもうAirbnbに勝てない」水面下で始まる”民泊”市場の覇権争い をご覧ください。
https://industry-co-creation.com/industry-trend/9856
【編集部コメント】
続編(その5)では、いよいよ法整備が進む「民泊」について、そのビジネス化とAirbnbとの戦い方等について議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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