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4期16年で知事を退いた湯﨑さんが次に見据えるのは、若い政治家の育成と、構造的な社会課題への挑戦。ICC FUKUOKA 2026のセッション「特別企画 起業家・経営者から県知事になる」、全5回の最終回は、首長を目指す人が増えない理由、KPIの設計、心理的安全性の作り方など、会場からの質問に答えながら、経営者の能力と経験が、行政に還元される社会に向けたメッセージを送ります。最後までぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 10E
特別企画 起業家・経営者から県知事になる
Supported by EVeM
(スピーカー)
湯﨑 英彦
広島県
前知事
(モデレーター)
三浦 崇宏
The Breakthrough Company GO
代表取締役
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▶『特別企画 起業家・経営者から県知事になる』の配信済み記事一覧
三浦 さて、かなり濃厚な話をいろいろ伺って、僕自身がめちゃくちゃ楽しませてもらっていますが、僕だけが聞くのももったい無いので、今から10分間、会場の皆さんから質問を募集したいと思います。
聞きたいことがある方はどうぞ。
Q1 4期で退任を決めた理由と今後の活動は?

西澤 明洋さん エイトブランディングデザイン代表の西澤と申します。
個人的な興味からなのですが、先ほどWikipediaを見ていたら、湯﨑さんは4選されて、5選目は不出馬を表明されて、次への転換ということでした。
▶広島県の湯崎英彦知事、5選不出馬を表明 4期16年で退任(日本経済新聞)
先ほどお話があったように、10年である程度組織を作って、もしかしたらそこからがめちゃくちゃ面白いタイミングだったのかなと思うのですが、そこで一区切りしたのはなぜでしょうか。
あと、この後は何をされるのか興味があるので、教えていただければありがたいです。
A1 年齢を考慮した引き際と、新たな社会還元への挑戦
湯﨑 実は、3期目が終わった時にもう辞めようかと思いましたが、ちょうどコロナ禍の真っ最中だったので、今辞めるのはどうかと思ったのです。
あと、僕は還暦を迎えており、60になって辞めたのですが、その前、56歳の時に辞めてそこから新しいスタートとするとまだ想像がつきます。
でも、自分の人生を考えた時、60歳がギリギリかなと思いました。
次のタイミングだと64歳になるので、引退モードになります。
隠居モードなので、誰も相手にしてくれなくなるかなと思ったので、最後まで迷いましたが、何か新しい形でまた社会に還元することを考えられるギリギリが60歳かと思って辞めたのです。
次に何をするかについては、2つあります。
1つは、とは言え生活をしなくてはいけないので…。
三浦 生活の話と言いますが、生活基盤はありますよね(笑)。

湯﨑 いやいや、一番下の子供がまだ中3で、まだ手間もお金もだいぶかかります。
ですので、お金のためだけにやることはないですが、お金ももらえることをやろうと思っています。
一方で、いろんな社会的な課題はたくさん残っています。
今の政治状況において、特に長期的な課題は構造的な課題になっていて、なかなか手がつけられないことがたくさんあると思っています。
それらを深掘りし、解決していくことをしたいと思っていて、その準備を今しています。
その一環として、先ほど申し上げたように、若い政治家の皆さんに対して、首長になるトレーニングや応援などができたらいいなと思っています。
三浦 なるほど、次のチャレンジの方向性が今見えている状況ということですね。
湯﨑 そうですね、はい。
三浦 ありがとうございました。
Q2 首長を目指す人が増えないのはなぜか
松田 佳子さん リンクソシュールの松田と申します。
本業とは別に、首長を目指す人を増やす活動を手伝っており、高島市長にも協力いただいていました。
本人のやる気も大事ですが、今の日本の環境において、何がボトルネックになっていて増えないのか、実際になられた湯﨑さんから見て、思うところがあれば教えていただきたいです。
A2 枠組みで勝負が決まる難しさがあった

湯﨑 今は流れが変わってきましたが、少し前までは選挙とは枠組みだったのですよね。
どういう枠組みを作るかで、8割か9割勝負が決まるみたいなところがあります。
既存組織の、例えば県であれば県議会議員、市であれば市議会議員などの助けなしにチャレンジャーが首長になるというのは結構大変だったのです。
良し悪しはありますが、そこに風穴を開けたのが、実は石丸(伸二)さんです。
彼はそういうものが全くない中で、安芸高田市長になりました。
前任者がいわゆる河井事件(河井夫妻選挙違反事件)で辞めたので、市長になったたわけですが、東京都知事選の際、ネットがリアルに影響していくという構図を作りました。
それがその後の兵庫県知事選、衆院選、参院選にも引き継がれ、先日の宮城県知事選でもネットの影響が大きかったです。
▶︎選挙期間中の情報流通の諸課題への対処の必要性について(宮城県)
新しいツールに人々が反応するようになって、反応のポイントが変わっているので、これからもどんどん変わっていく可能性があるのではないかと思っています。
三浦 若い政治家を増やしたい気持ちは僕もあるのですが、3つ問題があると思っています。
まず1つは、湯﨑さんや高島さんなどかっこいいリーダーが少しずつ増え、芦屋市長の高島(崚輔)さんも素晴らしいと思いますが、政治家がリーダーでかっこいい職業であることが、メディアを通じてきちんと伝わっていない点です。
もう1つは、選挙が大変すぎることです。
お金も人手も必要ですし、選挙で勝つのは本当に大変だと思っています。
3つ目は、一度政治家になると、スキャンダルなど叩かれ方が尋常ではなく、転んだ時のダメージが大きすぎる点です。
この3つが課題だと思いますが、どうでしょうか。
湯﨑 おっしゃる通りですね。
みんなから信頼される良い経営者が首長に向いている
湯﨑 ただ僕は、それらはどんな職業でも、違う形であると思います。
起業する際も、まずはお金を集めて、従業員を集めてと、ものすごく大変です。
例えば三浦さんのようなマーケティングの会社でも、クリエイティブで転んだら大変なことになりますよね。
ですので、政治家においても同様だと思います。
そこはまあ、通らなければならないというか、ある意味関門ですし、逆に言えば、ネットを使うにしても、選挙で人を巻き込む力がなければ、やはり政治家にはなれないです。
力を発揮しつつ選挙に勝つことが、一つのプロセスとしてあってもいいかなと僕は思います。
三浦 大いなる影響力には大いなる責任が伴う、そのために必要なチャレンジでもあるのではないかということですね。
湯﨑 そうですね。
三浦 そう考えると、やはりエグジットした後の経営者や起業家は、一定の資金力があって、仲間の基盤もあるので、政治家になるには良い状況ですよね。
湯﨑 そうです、だからやはり良い経営をしているのは、ものすごく大事なことです。
良い経営をしていると、自社社員だけではなく、取引先などいろんな人が応援してくれますよね。
そういう人が向いているのです。
鼻つまみ者であれば、政治をしてもダメだと思います。
ですので、失敗していたとしても、みんなから信頼されている良い経営者が首長に向いています。
実際に首長になってからも、スキャンダルなどは常に付きまといますが、やはり自ら律するべきで、そういうことを起こさないようにするべきです。
良い経営者であれば、それは可能ではないかと思います。
三浦 上場すると当然、世間やステークホルダーからの見られ方が厳しくなるので、自分を律することはリーダーにとって一つの重要な指針かもしれないですね。
言っていて、ちょっと胸が苦しくなってきたのですが……。
ありがとうございました。
Q3 地域の価値を測るKPIの設定と、現場への介入度について知りたい

石井 貴基さん 千葉道場ファンドの石井と申します。
県政において、地域の価値を高めることがポイントだとおっしゃいましたが(Part 3参照)、それについてKPIはあったのでしょうか。
例えば、土地単価なのか、県民の平均所得なのか分かりませんが、そういったものがあったのかを教えてください。
いろんなプロジェクトでいろんな指標があったと思いますが、実際、県知事としてどこまで現場に介入されていたのかも、併せて教えていただけると嬉しいです。
A3 大きなKPIを設定し、現場の失敗は怒らない

湯﨑 まずKPIについては、1つにはなりません。
我々が指標として見ていたのは、例えば、今の生活に満足かどうかという県民満足度や、経済的指標として1人あたりGDPですね。
人口動態もそうですし、そういう大きなKPIはいくつか見ていました。
しかし、「このレバーを動かしたら、こうなります」みたいに簡単にはならないので、なかなか難しいのですが、総合的なものとして見ていた指標ですね。
現場への介入度については、職員が勇気を持って取り組んでもらうことが大事なので、僕は、失敗しても怒らないことにしていました。
怒るとしたら、ごまかしたり、嘘をついたりした時です。
こういう振る舞いにはすごく怒りました。
何か間違ってしまったり、結果が出なかったりしても怒ることはありませんでしたが、何か悪いことを隠そうとする、隠蔽は大嫌いなのです。
失敗しても、まあやり直せばいいと思っていて、やり直す際に介入するプロセスは作りました。
定期的にレビューをして、クリティカルなポイントを定めて、どういう状態かをレビューするプロセスです。
僕は、直接介入するというより、仕組みを作ってPDCAを回していきます。
「グラニュラー」と呼んでいるのですが、グラニュー糖くらいの粒度で物事を把握する必要があることもあります。
そうでなければ、現場が本当に動くというところまでいかないので、本当に重要なものについてはそのレベルまで介入というか、話を聞いていろいろと指示を出したり、アドバイスを出したりします。
三浦 PDCAサイクルにおいて、すごく現場介入するところとそうではないところの判断が結構重要なのでしょうね。
湯﨑 そうですね。
三浦 隠蔽こそが最大の悪というのは、ちょっと名前は言えないですが、どこかの国政政党に聞かせたいですね。
Q4 組織のメンバーをチャレンジさせるポイントは?
高野 浩司さん 九州電力で新規事業開発の責任者を務めている高野といいます。
九州電力はレガシーカンパニーで、電力会社としてすべき安定供給をしつつ、一定のリスクを取って新しいことにチャレンジしていくカルチャー醸成をミッションにしています。
知事時代のご経験から、新しいことに社員をチャレンジさせるための一番大事なポイントは何だと思われるか教えてください。
A4 失敗ができる心理的安全性のための仕組みを作る
三浦 新規事業を行っている方が、何か新しい挑戦をするにあたって、現場の方々の背中を押すために必要なことを教えてくださいということでした。
最後のメッセージとしても、相応しいのではないかと思います。

湯﨑 今言ったことですが、失敗してもよいということですね。
よく心理的安全性と言われますが、すごく大事なことだと思います。
それからもう一つは、そのためのいろんな仕組みを作ることです。
何もないところから何か新しいことを考えてポッと持ってくるのも、なかなか勇気がいるし大変なので、評価や提案プロセスの仕組みをきちんと作って、アイデアを募集するのが良いと思います。
そして、相手を信頼してあげることです。
受け止める方は、相手からの信頼があるかどうかをやはり感じますので、すごく大事です。
これも、心理的安全性担保の一つかなと思います。
三浦 ありがとうございます。
やはりリーダーが現場メンバーを信頼すること、そして、失敗したとしても、チャレンジすることは前進になっていることが分かる評価制度の設計、そしてメッセージ発信が大事なのかなと思いました。
めちゃくちゃ濃厚なお話、ありがとうございました。
今日ここに来た皆さんの人生を少し変えてしまうようなお話が聞けたのではないかなと思います。
改めて、湯﨑さん、今日はありがとうございました。
湯﨑 どうもありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成


