東大発ベンチャー「エクスビジョン」の高速画像処理に秘められた可能性【KT16-1B #4】 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

東大発ベンチャー「エクスビジョン」の高速画像処理に秘められた可能性【KT16-1B #4】

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「技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」」【KT16-1B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その4)は、エクスビジョンの森本さんに高速画像処理(ハイスピードビジョン)について解説していただきました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


2016年9月8日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC TECH」
TECH Session 1B
技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」

(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表

森本 作也
エクスビジョン
COO

(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」の配信済みの記事一覧

森本 作也 氏(以下、森本) よろしくお願い致します、エクスビジョンの森本です。

ICC TECH 2016 Session1B


森本 作也
株式会社エクスビジョン
COO

大学卒業後ソニーに入社、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に駐在。業務用機器の中近東営業本部立ち上げに携わり、中近東全域の市場開拓を担当したのち、休職し米国スタンフォード大学経営大学院(MBA)に留学。修了後マッキンゼー&カンパニー東京オフィスに入社し、モバイルを含むハイテク関係のプロジェクトに従事。約1年のフィンランド駐在を経験した後、シリコンバレーに本拠を持つベンチャー、カネスタに入社。カネスタアジア株式会社を設立し、アジア全域の市場開拓の責任者に就任。その後、商品企画担当シニアディレクターを兼務し、欧米を含む全世界の市場開拓、商品企画を担当。カネスタのマイクロソフトへの売却後、DeNAに入社。北米子会社であるDeNAグローバルにて新事業立ち上げ、PMI(Post Merger Integration)担当を経てグローバルHR室長に就任。DeNA退社後に東大情報理工学系石川・奥研究室のスピンアウトであるエクスビジョン株式会社取締役に就任し、現在に至る。

我々は、高速画像処理、ハイスピード・ビジョンと呼ばれる技術を持つ東京大学石川研究室からスピンアウトしたベンチャー企業です。

この技術をどのように商品化していくかという道筋を中心にお話しさせていただきます。

プロフェッショナルな経営陣

森本 まずはマネジメントチームのメンバーをご紹介します。

ICC TECH 2016 Session1B資料:エクスビジョン社 会社概要 から引用

創業者兼CTOは石川正俊 教授です。

画像処理技術、コンピュータービジョンの分野では世界的な権威で、特に高速画像処理技術というものを提唱しており、日本国政府から紫綬褒章を受章しています。

今回敬称つきでお話しさせていただきますが、CEOは藤井さんです。

マイクロソフトの開発部門の日本法人の社長を務めていた人です。石川先生とは大学の同級生です。

次に私ですが、COOとして、ビジネス・ディベロップメント、マーケティング全般を担当しています。

加治佐さん、彼も元マイクロソフト開発部門の日本法人の社長で、マイクロソフト日本法人のCTOも務めていました。

ベンチャーとしてはかなりシニアなメンバーが経営陣を占めていますが、技術ベンチャーというのは技術の蓄積に時間がかかるので、これくらいで丁度よいのかなと思っています。

私はシリコンバレーに住んでいるのですが、向こうでもベンチャーの創業者が40代というのは普通ですし、50歳、60歳で創業している人もいるので、ある種当たり前だとも思います。

ハイスピードビジョンとは何か?

森本 高速画像処理とは何かという話に移りますが、そもそも画像処理とは、コンピューターが画像を分析して、何かをトラックしたり、その画像の中身を理解したりすることです。

ここに「高速」(ハイスピードビジョン)になると何が変わるかというと、端的に言えば、速く動くものを認識できるということです。

(以下、2016年3月24日のエクスビジョン森本さんのプレゼンテーションから技術の説明を引用)

▼▼
ハイスピードビジョンは、通常のコンピュータビジョンと何が違うかというところですが、ここではボールをトラックする、画像で追尾する技術を例にしています。

ICC TECH 2016 Session1B

コンピュータビジョンでボールをトラックする場合、複数の画像を比較して、類似点、マッチングポイントを探して、「このボールとこのボールは同じものだ」ということを判断し、それを連続的に行います。

例えば、日ハムの大谷投手が時速160キロでボールを投げる。通常の画像は毎秒30フレームです。

そうすると、フレームとフレームの間で、ボールは148センチ移動します。

カメラから見ると、フレーム1とフレーム2の画像というのは、全く違って見えます。

ICC TECH 2016 Session1B

となると、2コンピューターはビデオ画面全部をスキャンしなければなりません。

そしてそれぞれのフレームでボールらしき画像を見つけ、じっくり比較し、ようやく、この2つのボールが同じものだと分かります。

ICC TECH 2016 Session1B

ハイスピードビジョンの例では、毎秒1,000フレームというハイスペックのものを使って比較します。

同じように時速160キロで投げるとボールはフレーム間でわずか4.4センチしか進まない。

ICC TECH 2016 Session1B

カメラから見ると、2つの画像はほぼ同じ。

ICC TECH 2016 Session1B

ということは非常に狭い領域を探すだけで、マッチングポイントがすぐ見つかってしまう。

つまり、フレーム1とフレーム2のボールは同じだとすぐ分かってしまう。

結果として、ボールを認識するスピードがとても速くなる。同時に、精度と安定性良く物体を認識することが出来ます。

ICC TECH 2016 Session1B

(引用、以上)
▲▲

「じゃんけんロボット」の事例

森本 速く動くもののひとつの例として、人間の手があります。

これは、ご覧になったことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、「じゃんけんロボット」の有名な動画です。

技術に関心がある方はいろいろなところで見たことがあるかもしれませんが、ジャンケンに負けないロボットです。

普通のビデオカメラが30~60フレーム/秒のところ、この画像は500フレーム/秒で撮っています。

人間には見えない速さなので全く同時に出しているように見えますが、コンピューターからすると完全に後出しジャンケンなんですね。

簡単なトリックで、これはビジネスでもなんでもなくてデモに過ぎないんですが、人間の手よりも遥かに速いものを認識できることを示す一つの例です。

「オートパン・チルト」の事例

森本 もうひとつ例をお話しすると、オートパン・チルト(Auto Pan-Tilt)という技術があります。

エクスビジョン社「オートパン・チルト」

オートフォーカスという機能がカメラにありますが、オートパン・チルトという機能は初めて聞く方も多いと思います。

パンというのはカメラを水平方向に回すこと、チルトというのは垂直方向に傾けることです。

オートパン・チルトはこれを自動的にすること、つまり、動いているものを捕捉して自動的に向きを変えるカメラです。

ぜひ、動画をご覧ください。

実際には、カメラは重たいので代わりに小型のミラーを動かすことで、すごく速く動くもの、例えばピンポン玉などをトラックすることができます。

ICC TECH 2016 Session1B資料:デモ動画のYoutube画面をスクリーンキャプチャー

常にピンポン玉が画面の真ん中にありますね。

これはカメラが自動的に追いかけているんです。

小林 これはすごいですね!

森本 すごいんですよ(笑)ボールの回転まで分かります。

小林 すごいですねぇ!

森本 これは……すごくて(笑)、アメリカのさる超有名映画スタジオからも声を掛けられて、このような技術は見たことがないという評価をいただいています。

現在、卓球選手の打球の回転を可視化することで技術の強化につなげたり、より迫力のある映像を届けるために開発をつづけています。

小林 超速くないですか、あれ。

森本 速いですよ。

小林 全く見えないように思いますが。

森本 1000分の1秒なので、全く問題なくトラックできます。

既に実証実験を開始していて、東京オリンピックでの採用を目指しています。

これらはあくまで高速画像処理のいろいろなアプリケーションの応用例です。

東大の石川渡辺研究室というのは二十数年間の歴史があり、高速画像処理の研究をずっとしていて、ものすごい量の研究蓄積があります。

それらを、先ほどもお見せしたような卓球ロボットやジャンケンロボットで実証していく中で、企業、団体、政府など、いろいろなところから声を掛けられるわけです。

その中で、本当にこれは事業化できそうだ、ないしは資金を出すからぜひ製品化しようというアイデアが上がってきます。それを商品化するのが、エクスビジョンの役割です。

エクスビジョンは石川渡辺研究室を母体としており、同研究室で生まれた知財を独占で商品化する契約を結んでいます。

研究室で開発された技術がすぐに商品化されるように考える人もいますが、実際にはコンセプトができてプロトタイプまで数年、更にビジネス化に数年かかります。

この最後の3ステップ目をエクスビジョンが担っているという関係です。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵

続きは 米IT企業が次々と買収!身ぶりで家電を操作する”ジェスチャーUI市場”がアツい をご覧ください。

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【編集部コメント】

編集しながら、高速画像処理についてざっくり理解できました!実はこの高速画像処理技術は、今話題のVRやスマートテレビにも使われているらしんです。詳しくは続編をぜひ。(横井)

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