4.昨今のコーポレートベンチャーキャピタル ブームをどう思う? – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

4.昨今のコーポレートベンチャーキャピタル ブームをどう思う?

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「ベンチャーファイナンスについてズバズバ聞きたい」7回シリーズ(その4)は、オープンイノベーションを標榜し、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設立する大手企業の動向とその価値について議論しました。この動きは単なる流行か?それともより大きな戦略トレンドか?ぜひ御覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、ジョブカン(株式会社Donuts)様に本セッションをサポート頂きました。

 

 

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 9A
ベンチャー・ファイナンスについてズバズバ聞きたい
Supported by ジョブカン

(スピーカー)

今野 穣
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ
パートナー COO

永見 世央
ラクスル株式会社
取締役CFO

水島 淳
西村あさひ法律事務所
パートナー

渡辺 洋行
B Dash Ventures株式会社
代表取締役社長

(モデレーター)

嶺井 政人
株式会社マイネット
取締役 副社長

「ベンチャー・ファイナンスについてズバズバ聞きたい」の配信済み記事一覧

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最初の記事
1. ベンチャーファイナンスについてズバズバ聞きたい!

1つ前の記事
3.ICOによってベンチャーキャピタルは要らなくなるのか?

本編

嶺井 議論も盛り上がってきたところで、オープンイノベーションのトピックに移りたいと思います。

先ほど、ベンチャー業界にお金がどんどん流れてきているという話があったと思いますが、その1つの担い手であり、背景にあるのがオープンイノベーションだと思います。

大企業のオープンイノベーションを積極化するためのCVCファンドの設立が、ベンチャー業界への大きな資金流入のトレンドの裏側にあると思います。

オープンイノベーションについて、皆さんが今どのように捉えていらっしゃるか、今後どのようになると思っているか、後は皆さんの動きにどのように影響を与えているかということを聞かせていただきたいと思います。

株式会社マイネット 取締役 副社長 嶺井 政人氏

最初に、水島さんが長く関わっていらっしゃると思うので、オープンイノベーションの現状などについて聞かせていただけますか?

オープンイノベーションとCVCの最新トレンド

水島 先ほど渡辺さんからもお話があったように、事業会社からのベンチャー投資が年々増えていると、私自身も、弁護士としての活動の中で感じています。

大企業が、直接ベンチャー企業に投資する、ファンドにLP(Limited Partner=出資者)として参加する、GP(General Partner = ベンチャー投資の投資判断を行う人・会社)を呼ぶ、あるいは内部でGPを用意して、ファンドを組成する等々、様々な案件をお手伝いさせていただくことがありますが、数が増えてきているというのは実感値として強くあります。

それは、なるべく外の技術革新を社内に取り込んでいこうというオープンイノベーションの考えが間違いなくある一方で、会社によって、いろいろな目標設定があるのだと思います。

日本の会社でもそうですし、外国でもそうだと思いますが、オープンイノベーションで最もよく言われるのは、事業シナジーの創出です。

外の技術革新を自分のところに取り込みましょうということです。

2つ目はM&Aのパイプライン(案件リスト)の蓄積です。

最初から株式を全部買うことは難しいのだけれども、将来の買収も視野に入れながら、まず会社がどんなことになっているかということをより良く知ろうという考えです。

3つ目は情報収集です。

純粋にベンチャー企業との接点が増えますし、あるいは投資していますよというだけで、いろいろな会社がピッチに来たりしますから、情報が取れて、業界の最新情報にキャッチアップできるという話です。

VCと事業会社が競合する投資の現場では

水島 アメリカの私の友人と話していて面白かったのですが、VCをやっている友達の話を聞くと、VCの人たちはちょっと事業会社にジェラシーを持っているんですよね。

西村あさひ法律事務所 パートナー 水島 淳氏

たとえば、大きな事業会社がベンチャーに投資するとします。

日本でもそうだと思うのですが、アメリカにはたくさん優良なベンチャー企業がありますよね。そのような優良なベンチャー企業の場合、たくさんの投資家が自分も投資したいと手を挙げ、投資家間の競争になることがあります。

ベンチャーキャピタリスト側の友人いわく、このように投資家が競合する時に、事業会社側は投資家VCとしての経験値というのは遥かに低いけれども、ネームバリューや商流などの事業会社が提供できる付加価値を活かして、有望なベンチャーをかっさらっていくんだそうです。

これは、自社のブランドやイメージ、商流などによって純投資におけるより有利な投資機会の獲得、それによるリターンの向上が得られるという意味で、自社のブランドなどの新たなマネタイズの方法だという見方もできるのではないかと思います。

なので、いわゆるオープンイノベーションや事業シナジーとかではなく、純粋な純投資としてベンチャー企業と提携していくというのも、1つの方法として明確に認識されているというのが、非常に面白かったですね。

アメリカで4桁億円くらいの大きな会社のCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)をやっている私の同級生も、投資の段階ではシナジーではなく純粋な投資リターンを狙って投資判断をしていると言っていて、とても示唆深いと感じました。

嶺井 水島さんからご覧になって、日本の大企業のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)で、「あ、ここは上手くいきそうだな」というようなところは出始めていますか?

水島 そうですね……。(考える)

嶺井 いろいろな目的を皆さんセットされていると思うのですが、目的をそれぞれ達成できそうな感じですか?

CVC投資によるシナジー創出は時間がかかる

水島 CVCは人の採用や、企業イメージの向上などに関しては、たぶん成功していると思います。

ですが、CVCとひとくちにいっても各社ごとお取組みの内容は様々であるところであるものの、一般論としてはCVC投資によって母体企業と投資先とのシナジーを出すにはすごく時間がかかると思います。

私もベンチャーやっていたので敢えて言いますと、ベンチャー企業というのは、明日をも知れぬ会社じゃないですか。だから、常に不足しがちな自社の人員その他のリソースを自社の本業にフォーカスして注ぎ込むのが必須になりますよね。

そのため、ベンチャー企業としては、少なくとも当面は本業プラスアルファのことをやる余裕がないケースが多いと思うんです。

一方で、事業会社が、ベンチャー企業の中から、自社の事業と直にリンクするビジネスを本業としてずっとやっていますという企業を探すのは、本当に砂の中からダイアモンドを見つける世界です。

なので、多くの場合、投資先のベンチャー企業が本業プラスアルファのことに着手できる状態になって初めて事業シナジーの話になってくると思うんですね。

ですから、少なくとも、当面本業に集中せざるを得ないベンチャー企業が本業プラスアルファに着手できるようになるまでの時間はシナジー創出前段階の期間として見ておかないといけないケースも多いと思います。

その意味で、CVC投資のゴールとしては、シナジー創出をあまり短期的に追い過ぎず、長いスパンで見ていく必要があるのではないかと考えています。

嶺井 まだ今は、どこが上手くいった、いっていないという状況ではなく、最初のスタート地点というか、まだそのようなフェーズなんですかね。

水島 そうですね。

実際に具体的な共同開発や販売提携をしていたり、日本での代理販売権を獲得したとか、そういう会社もたくさんありますよね。

ただ、これはファイナンスの話からはずれますが、事業会社のオープンイノベーションという意味では、必ずしも投資をしなくても事業シナジーというのは得られるわけですよね。

たとえば共同研究で拠出するお金とか、開発委託での委託料であれば、そのお金は完全に資金用途が決まっていて、この研究をやりましょうねというところに使ってくれます。

他の投資家も含めた色のないお金として投資するよりは、より自分の事業に引き寄せられるというメリットもあります。もちろんその場合には株式投資によるエクイティリターンはないわけですが。

いろいろな方法をニュートラルに、その時々のゴールに合わせて選んでいくというように、事業会社にはいろいろな選択肢があるのではないかなと感じます。

嶺井 ありがとうございます。

永見さん、今のお話を受けて、いかがですか?

実際にヤマトホールディングス社と提携をしていらっしゃると思うのですが。

事業会社のM&A/PMI人材を増やそう

永見 ヤマトホールディングス社との話の前に、自分が思うこととして、たぶん最初はCVCとか、ファンドを経由した出資とかで十分にいいと思うんですね。

ラクスル株式会社 取締役CFO 永見 世央氏

先ほどおっしゃっていたように、情報収集とか、まずはライトに関係を築く目的であれば問題ないと思います。

しかし、本当にシナジーを追求するという話になったら、最終的には買うしかないと思っていて、100%の出資関係にならないと実現できないこともあると思っています。

嶺井 他の方が頷いていらっしゃいますね。

渡辺 そうですね、話が面倒くさくなるので、もう100%買った方がいいんですよね。

嶺井 何%とかの出資ではシナジーは得られないと。

渡辺 出資先は動かないし、事業提携するというだけでは、事業提携のためのチーム作りの時間などがもったいないです。

それもどうせできないのだから、バンバン買った方がいいというのが、僕の持論ですね。

嶺井 なんだか渡辺さんが言うと、言葉に重みがありますね (笑)。

永見 そのうえで、またアメリカとの比較になってしまいますが、BizDev(事業開発)できる、つまり提携とか事業系の話ができる人材というのは、アメリカにも日本もまあまあいます。

一方で、アメリカで人材が分厚いのはコーポレート・ディベロップメントという、M&Aをガンとやるスタッフとメンバーです。

PMI(Post merger integration;M&A成立後の統合プロセス)も含めてですが、アメリカには各社にかなりの人材がいる一方、日本にはまだあまりいないと思っています。

実際は日本にはお金はある会社がたくさんあると思うので、このような人たちが各事業会社に出始めると、より実現性が高い、成功するM&Aが起きるのではないかと思っています。

それがオープンイノベーションの成功の一つの形ではないでしょうか。

CVCを企業のどこの部署に位置づけるか

水島 その意味ではCVCをどこの部署にぶら下げるのかというのが一つ面白い、興味深い論点だと思います。

会社によりけりのところがありますが、ポジション(出資比率)は低いわけですけれど、フィナンシャルな仕事としての位置づけを重視して、M&A部門につけるということがあります。

この場合、ざっくり言って、(M&Aと違い)投資先を買えないけれど、すなわち、マイノリティ投資家として支配権や発言権が低いけれど、M&Aの場合と同様の事業連携やシナジーを取りに行く、という少し難しいゲームをすることになります。

一方、そうではなくて、R&Dの部門とか、あるいはコーポレート・ディベロップメントの部門に付けるとなると、たぶん見方がだいぶ変ってきますよね。

だからその設計のところも、スタート次第だと思います。

嶺井 大事なポイントですね。

永見さん、実際にヤマトホールディングス社と提携する中で、ここが難しかったとか、今日は会場にベンチャーの方もたくさんいると思いますので、「こういうことは気を付けるといいよ」というアドバイスがあればぜひお願いします。

永見 業界の最大手ですし、歴史も規模も大きく違いますので、やはり先方へのリスペクトが大前提として重要です。

そのうえで、ヤマトホールディングス社と一緒にやろうとしているのは、日本の物流業界の課題を一緒に解決しましょうという話なので、課題を前にしたら対等であるべきだと思います。

そのスタンスについてきちんと理解して下さるカウンターパート(事業提携先)がいるというのはすごく重要なことだと思っています。

その関係が整っていないと、あまり良い形で進まないのかなと感じています。

嶺井 なるほど。ありがとうございます。ベンチャーキャピタル側からの見え方についても、今野さんに伺いたいと思います。

(続)

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続きは 戦略的に価値のあるコーポレートベンチャーキャピタルの活動とは? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

CVCをどこの部署にぶらさげるか?という水島さんの問いが非常に面白かったです。確かに、組織的にどう位置づけることが、CVCのあるべき姿なのか?を考えるというアプローチを取れば、変に抽象的な言葉で目的を設定するよりもより存在意義がシャープになりそうです(榎戸)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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