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ドリコム役員解任から得た経営者としての学び – クラウドワークス吉田氏のHARD THINGS

クラウドワークス吉田さん、ナイル高橋さん、Fringe81田中さんをお迎えし、「俺たちのHARD THINGS」を議論しました。

(その1)はクラウドワークス吉田さんのHARD THINGS「ドリコム役員解任から得た経営者としての学び」からスタートしました。是非ご覧ください。

登壇者情報
2016年6月25日開催
ICCカンファレンス CONNECTION 2016 
Session 1
「俺たちのHARD THINGS」

(スピーカー)
吉田 浩一郎  株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 CEO
高橋 飛翔    ナイル株式会社 代表取締役社長
田中 弦      Fringe81株式会社 代表取締役

(モデレーター)
小林 雅     ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

小林雅 氏(以下、小林) おはようございます。みなさん、今日は来てよかったと思えるようなセッションにしたいと思いますのでよろしくお願い致します。

登壇者3名の方にそれぞれ3つの「HARD THINGS」を回答頂きました。

さっそく「俺たちのHARD THINGS」を一緒に見ていきましょう。

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まずは吉田さんから、簡単に自己紹介いただいて「HARD THINGS」の一つ目をお願い致します。

吉田浩一郎 氏(以下、吉田) 株式会社クラウドワークスの吉田です。本日はよろしくお願い致します。

私は、29歳でドリコム役員に転職する、というチャレンジを致しました。

そして、ドリコムが上場した後に独立をします。

ただ、この独立一回目は失敗してしまいまして、独立二回目がクラウドワークスでした。これは、上場をしました。

さて、私がドリコムにいた時は、WEB2.0バブルという時期でした。ドリコムの上場時には、時価総額が1000億円以上ついたという、少し異常な熱狂の中にありました。

しかし、学生起業家の集団だったので、全員で上場を目指し、上場後のことについて考えている経営陣が誰もいませんでした。そのため、上場後、燃え尽きたような具合になってしまいました。

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吉田 浩一郎 
株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 CEO

1974年兵庫県神戸市生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニアなどを経て、ドリコム執行役員としてマザーズ上場を経験した後に独立。2011年11月に株式会社クラウドワークスを創業。翌年3月にサービスを開始したクラウドソーシングサービス『クラウドワークス』を展開。2014年12月東証マザーズ上場。2016年6月現在、登録会員は975万人、利用企業は上場企業をはじめとして13万社にのぼる。2015年には、経済産業省  第1回「日本ベンチャー大賞」審査委員会特別賞を受賞、グッドデザイン・未来づくりデザイン賞受賞。2016年には、一般社団法人新経済連盟理事に就任。著書に『クラウドワーキングで稼ぐ! ―時間と場所にとらわれない新しい働き方(日経新聞出版社)』『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる(ダイヤモンド社)』などがある。

ですから、これから上場を考えている方は、役員の1人を「上場後担当」に就任させると良いと思います。クラウドワークスの上場のときには、役員1名をその担当にしました。

ドリコムの時は、全員で上場のことを考えて、上場後のことを考える人がいなかったので、そこから会社が傾いてしまった。

当時、私自身も結構ストレッチして営業目標・売上を出していたので、取引のトラブル、マネジメントのトラブルなどが頻出して、上場後すぐに役員を解任されてしまいました。

今は内藤さんと笑って話をしていますが、当時は「俺が売上を作って上場したのに」という自負もあり、内藤さんのことを憎んだりもしました。

また、会社の方はそれどころではなく、社内でどんどん悪口や噂話も横行して、業績が悪化して、リストラをしなくてはならなくなった。

そして、これが一番辛かったのですが、新卒の内定取り消しということもやりました。2007年の時に、2008年4月入社で自分たちが面接をして採用していた子たちを、「業績が悪化したので、採用できなくなった」というわけです。

当然、採用予定の人が入社を決めた後に、内定を取り消している。ですから、電話は鳴り続けましたし、その電話にもなかなか出られない。

それくらい追い詰められました。これが当時の「HARD THINGS」です。

小林 その新卒内定の取り消しは、かなり辛かったでしょう。

吉田 そうですね。自分自身が役員を解任になったのもそうですし、新卒の人たちの人生を狂わせたという感覚もありました。

それから、自分の中でまだ言い訳がありました。それは自分が社長ではなかったということです。

つまり、自分が社長であれば何とか変わるのではないかという気持ちがあったのです。

本当に、当時は役員全員がお互いを信用できないというような状況だったので、胃炎になって、胃潰瘍で穴が開くというところまで行きました。

小林 田中 弦さんは同じような経験はありますでしょうか。

田中弦 氏(以下、田中) その時のドリコム内定者で、ネットエイジ(当時)も内定をしていた子がいます。

そして、その子は今Fringe81の人事の新卒採用責任者です。

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田中 弦 
Fringe81株式会社 代表取締役

1999年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業に関わるようになる。新卒2日目からブロードキャスト・コム(現Yahoo!動画)の立ち上げに参加。その後半年でソフトバンクを退社し、ネットイヤーグループ創業に参加。2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。モバイル広告代理店事業の立ち上げにかかわる。2005年Fringe81社創業後、様々な事業の立ち上げを行う。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。

吉田 ちょっと後で名前を教えてください。

田中 ええ。ですから、そうやって巡り巡ってということはあるのですね。おそらくこの子は2つ内定していたのでしょう。

それが巡り巡ってこうなったのですから。面白いですね。

小林 なるほど。高橋飛翔さんは、同じような経験はおありでしょうか。

高橋飛翔 氏(以下、高橋) 僕は学生起業なので、逆に社長以外やったことがないのです。

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高橋 飛翔 
ナイル株式会社 代表取締役社長

1985年生まれ。東京大学法学部卒。2007年1月、大学在学中にナイル株式会社(旧ヴォラーレ株式会社)を設立し、代表取締役に就任。2010年、SEOノウハウを強みにWebコンサルティング事業に参入し、ナイルを後発ながら業界を代表する存在へと成長させる。2012年、スマートフォンアプリ発見サービス「Appliv」を立ち上げ。同サービスは日本最大級のアプリ情報メディアへと成長を遂げ、2016年からは世界10カ国への展開を開始している。

吉田 社長以外やったことがないとなると、社員の気持ちというのはどうやってわかっていくものなのですか。

小林 そういう意味では当時の(ドリコムの)内藤さんと同じような立場なのかもしれませんね。

高橋 そうかもしれません。

社員の気持ちというのは、社長としては想像するしかないでしょう。話を聞いて、一生懸命理解しようと努めるしかない。

田中 でも、おそらく一生わからないでしょうね。

吉田 確かに、当時も「内藤さんは話を聞いてくれない」というのがみんなの不満としてあがっていました。

内藤さんも、聞いてもわからない、聞いてもしょうがない、という思いがあったのだと思いますが。

小林 高橋さん、どうですか。似ていますでしょうか。

高橋 ただ、そこは矯正されましたね。

起業したばかりの頃は、何か意見を言われても「いや、それは違う」というように返してしまうところがありました。

それに対して当時の役員などに「高橋のそのすぐ否定するところは良くない」と言われました。

それでは直すということで、「なるほど、でもこういう考え方もあるのではないか」というような話法を学んだりしました。

このように、指摘された時になるべく受け入れて、修正していくしかないと思ってきましたね。

小林 吉田さんもそういう意味で変わったところもありますか。昔は結構「オレ、オレ」というところもあったようでしたが。

吉田 小林さんとはもう10年以上の仲なので、いろいろご覧になっていただいていると思うのですが。

小林 ええ、それで丸くなったような印象があります。

吉田 確実に丸くなりました。今から10年前、2006年の頃というのは、先ほど申し上げたように、「俺が売上を作って上場した」というような自負心のようなものもあって、謙虚ではなかったように思います。

今も謙虚ではないかもしれないですが、当時に比べれば謙虚です。と言うのも、役員を解任になったことで、「なぜ解任になったのだろう」と10年考えました。

すると、やはり自分の論理性の無さがよろしくないということで、MBAの本を読んだり、ロジカル・シンキングを一から学んだり、そういうことをするようになったのです。

ですから、役員を解任になったことをキッカケに学べたことはすごく多いので、後になって振り返って見るととても良いことだったと思っています。

小林 その学びが、今のクラウドワークスという会社の経営に、どう活きているのでしょうか。

吉田 そうですね。当時の自分と言うのは、PDCAサイクル(plan=計画、Do=実行、Check=評価、Act=改善)で言えばD(Do=実行)しかありませんでした。

まあ、営業担当の役員でしたからそういうものかもしれませんが、とりあえず実行だった。振り返りもしないし、計画もしない。

それを、「As isとTo Be」ではないですが、現在と未来というのを把握して、そのギャップを見て計画を立てるというのを、いちビジネスマンとして習得をしていきました。

このように一回目の起業の失敗も含めて、事前に設計することの大切さというのは学んだので、クラウドワークスを始めるときは、サービス開始前にP(plan=計画)、C(Check=評価)、A(Act=改善)を全部設計してから作ってからスタートしています。

クラウドワークスのKPI(重要業績評価指標)を200個くらい設定して、それが全部計測できる状態を整えてからサービスをスタートさせました。

そこから3年はほとんど最初に作ったKPIをそのまま使って、PDCAを回して上場したという感じがあるので、やはりD(Do=実行)しかやっていない時と比べて違います。

ですから、だいぶ10年たって成長したように思います。

(続)

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編集チーム:石川 翔太/小林 雅

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