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ICCサミット KYOTO 2019『起業家よ、大志を抱け!社会課題を解決するビジネスを創るための「志」とは?』の全文書き起こし記事を全7回シリーズでお届けします。(その1)は、モデレーターを務める楽天・小林正忠さんによる本セッションの背景説明から。ボーダレス・ジャパンの田口一成さん、オイシックス・ラ・大地の髙島宏平さんの「志」とあわせて、ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 ゴールド・スポンサーのクライス&カンパニー様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 5F
起業家よ、大志を抱け!社会課題を解決するビジネスを創るための「志」とは?
Supported by クライス&カンパニー
(スピーカー)
出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
木南 陽介
株式会社レノバ
代表取締役社長 CEO
髙島 宏平
オイシックス・ラ・大地株式会社
代表取締役社長
田口 一成
株式会社ボーダレス・ジャパン
代表取締役社長
(モデレーター)
小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer
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▶『起業家よ、大志を抱け!社会課題を解決するビジネスを創るための「志」とは?』の配信済み記事一覧
本編
小林 正忠さん(以下、正忠) みなさん、こんばんは。
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小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer
1994年慶應義塾大学卒業(SFC1期生)。1997年楽天創業から参画し、ショッピングモール事業責任者として営業本部、大阪支社、マーケティング部門、国際事業等の立ち上げを行う過程で、6人の日本人組織が100人、1,000人、10,000人、20,000人に拡大し、80ヶ国を超える多国籍の人財を有し、国内19支社/海外24ヶ国60都市に拠点を展開した際のマネジメントの手法の違いを体験。2012年4月米国へ赴任し米州本社社長を務め、2014年9月シンガポールへ移住しアジア本社社長を歴任。グローバルマネジメントを体験した後、2017年末にアジア代表を離れ、現在は人々を幸せにする役割を担う「CWO:チーフウェルビーイングオフィサー」。2001年慶應義塾大学に「正忠奨学金」を創設するなど若者の育成に力を入れている。2011年世界経済フォーラムYoung Global Leadersにも選出。慶應義塾大学SFC特別招聘教授。5児(息子2人娘3人)の父。
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本日の最後のセッションになりました。
他会場では、「コンテンツビジネス」や「アート・教養」がテーマになっているようですが、時代は違います!と申し上げたいと思います。
株主第一主義の時代から「社会的責任」の時代に
正忠 先日、米国大企業のCEO 200人ほどが参加するビジネス・ロビー団体ビジネス・ラウンドテーブルにおいて、株主第一主義の時代は終わり、これからの企業は社会的責任を果たさなければならないという「株主第一主義の終焉」について述べられました。
▶米経済界「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言(日本経済新聞)
その宣言には、アップルのティム・クック、アマゾンのジェフ・ベゾスなど、大企業の著名人たちがサインしています。
もう時代は変わったということです。これからは「社会」です。
ICCサミットでも、今後、社会課題がテーマのセッションが増えてくるのではないかと思っています。
このセッションが先駆けとなりどんどん拡大し、やがてメイン会場で、社会課題についてみなさんと語り合う日が来ると思っています。
本日は、こちらの素晴らしい4名の方にご登壇いただきます。
みなさんがどのような思いで事業を始められたのか、社会課題と出会った時にどのように感じ、なぜご自身で立ち上がられたのかといったことも含め、お話をお聞きしたいと思います。
(会場を見渡して) 予想以上に参加者が多く、満席ですね。
僕は、15〜16人程度の人を前に、ざっくばらんにお話ができる感じを想像していましたが、実際にはスクール形式になってしまいました(笑)。
ちなみにこの中に、今、社会課題に取り組まれている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
社会課題に立ち向かうと言うと大げさですが、社会課題解決もご自身の事業の一環として関わられているという方は、どれくらいいらっしゃいますか? (挙手を促す)
ありがとうございます。半数以上ですね。
それでは、みなさんからもどんどんご意見をいただきたいと思います。
では最初に田口さんから、自己紹介を交えてお願いします。
「社会起業家」のプラットフォームを構築、ボーダレス・ジャパン田口社長
田口 一成さん(以下、田口) ボーダレス・ジャパンの田口です。 よろしくお願いします。
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田口 一成
株式会社ボーダレス・ジャパン
代表取締役社長
1980年生まれ。福岡県出身。大学2年時に栄養失調に苦しむ子供の映像を見て「これぞ自分が人生をかける価値がある」と決意。早稲田大学在学中にワシントン大学へビジネス留学。株式会社ミスミに入社後25歳で独立し、ボーダレス・ジャパンを創業。世界9カ国で30社のソーシャルビジネスを展開し、2018年度の売上は49.2億円。2018年10月には「社会起業家の数だけ社会課題が解決される」という考えのもと、社会起業家養成スクール、ボーダレスアカデミーを開校。年間100社のソーシャルベンチャーが生まれる社会起業家のプラットフォーム構築を目指すユニークなビジネスモデルは2019年度グッドデザイン賞を受賞。2019年日経ビジネス「世界を動かす日本人50」、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」に選出。
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みなさんの中に僕をご存知の方は少ないと思いましたので、こちらに簡単なスライドをご用意しました。
弊社では、社会問題の解決のために起業する起業家のことを「社会起業家」と呼び、社会起業家の数が増えれば増えるほど、解決される社会課題の数は増えるという、一つの方程式を信じて取り組んでいます。
社会起業家による、社会起業家のための“恩送り”の仕組み
田口 僕は、世の中に一つくらい、社会起業家のための会社があってもよいのではないかと思いました。
さらに、社会起業家のためのプラットフォームが必要ではないかと考えました。
そこで、起業に関するノウハウ・資金・人材を提供し、さらに共有し合える集合体をつくりました。
昨年度の売り上げが約49億円という規模感です。
今では、世界9カ国の30社が参加し、毎月1~2社増え1年間に約10社が誕生しています。
日本国内にも実は多くいらっしゃる“難民”の方の雇用を創出したり、障害のある方の賃金が非常に少ないという課題に対して健常者と変わらない賃金がもらえる工場を作ったり、宮崎で耕作放棄地の対策を行ったり、様々な取り組みをしています。
さまざまな社会問題に取り組む会社が、それぞれ独立の経営権を持って存在しています。
そこで、各社の余剰利益を共通のポケットに入れられるような集合体を作りました。
その余剰利益から、新たに社会のために挑戦しようとする社会起業家に資金援助を行うのです。
さらに、マーケティングなど、他の様々な支援も行っています。
このようにいろいろなサポートを受けて立ち上がった起業家は、今度は自分がお金の送り手に回りたいと考えます。
そして、恩返しというよりも、恩を次の人に送っていく「恩送り」の形で、グループの会社がどんどん増えていき、今では30社までに増えました。
正忠 ありがとうございました。
ボーダレスは、“一人ではできない人たち”が集まる場所
正忠 社会起業家のみなさんからすると、こうしたプラットフォームはいかがですか?
ぜひ活用したいと思われますか?
出雲 充さん(以下、出雲) 使いたいですね。どうしたらこれを使えるのでしょうか?
田口 出雲さんは全く使われる必要がないです(笑)。
僕は、社会は全て「役割分担」で成り立っていると思っています。
つまり、ビジネスで経済のトップラインを伸ばしていく人も必要ですし、そこから漏れて社会問題化してくるものをすくっていく人も必要だと思うのです。
それと同じように、社会起業家の中にもいろいろな人がいて、いろいろな役割があります。
ここにいらっしゃるような方たちは独立独歩でやっていけますが、一方で、社会のために何かをやりたいと思っていても、一人ではなかなか成功できない人もとても多いのです。
一昔前はNPOという形を取っていましたが、それでは事業として継続していくことが苦しいという状況がありました。
そのような人たちをそのまま見捨てるのか、あるいはその人たちこそ社会の力に変えていくべきなのか、それはとても大きな分岐点です。
そこで、私の役割は“一人ではできない人たち”が来る場を作ることだと思っています。
正忠 確かにそうですね。
髙島さんが事業を始められた時は、まだそのような環境が整備されていなかったと思いますが、いかがでしょう?
食の社会課題をビジネスで解決する「オイシックス・ラ・大地」髙島社長
髙島 宏平さん(以下、髙島) 僕が創業した2000年には、そのようなものはまだありませんでした。
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髙島 宏平
オイシックス・ラ・大地株式会社
代表取締役社長
1973年神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了後、マッキンゼー日本支社勤務を経て、2000年6月に「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念とするオイシックス株式会社を設立。2013年に東証マザーズに上場。2016年、高齢者をはじめとする買い物難民への移動型スーパー「とくし丸」を子会社化。2017年には「大地を守る会」と、翌年にはらでぃっしゅぼーや(株)との経営統合を実現し、食材宅配3ブランドを擁する新会社社長に就任。2007年、世界経済フォーラムYoung Global Leadersに選出。同年、NPO法人「TABLE FOR TWO International」の理事となる(現在ファウンダー)。2011年3月の大震災後には、一般社団法人「東の食の会」の発起人として復興支援活動を精力的に実施。2016年には越後妻有を魅力ある地域にしていくことを目的としたNPO法人「越後妻有里山協働機構」の副理事に就任。2017年より公益社団法人経済同友会東京オリ・パラ2020委員会の委員長に就任、2018年より一般社団法人日本車いすラグビー連盟理事長に就任し、経済界からパラスポーツを支援。
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今日は何もスライドを用意していないのですが、本業は何かと言うと、八百屋をやっています。
僕は東日本大震災で被災した東北の復興支援なども行っており、漁師さんや農家さんが会社をつくったり、工場を建てたりするのを見てきました。
でも彼らは、つくるのは上手いのに、マーケティングが苦手だったり、十分なファイナンスの知識がなかったりと、全てのことを自分ひとりでカバーするのは難しいようでした。
ですから、それを補うこのようなプラットフォームがあれば便利だと思い、すぐにでも紹介したいと思いながらお話を聞いていました。
正忠 2000年というのは楽天がIPOした年で、ネット企業が「これからガンガン金を稼ぎまくろう」という時代だったと思います。
あのようにまだまだ世の中が金儲け中心で、社会課題の解決が注目されていなかった時代に、髙島さんの起業の原点はどこにあったのでしょうか?
髙島 今日は、テーマがすごいですね。
「起業家よ、大志を抱け!」ですから、熱い議論になりすぎるのではないかと心配していました。
少し考えたのですが、今日は志について話すよりも、むしろビジネスの話をした方が良いのではないかと思っています。
先ほどの田口さんのお話もそうですが、僕たちは一見すると、NPOとビジネスの境目にいるようにも見えます。
しかし、実際にはNPOとビジネスとは全く異なるものです。
さらに、社会インパクトが大きいのはビジネスの方で、今の日本の環境を考慮しても、ビジネスというスタイルを取った方がスケールしやすいと考えています。
逆に言えば、ソーシャルの「志」を持ちながら収益性もあることが大切なことだと思います。
起業の際には、モチベーションの根っこがとても大切だと思うのですが、僕には「社会の役に立ちたい」という気持ちがありました。
そして、僕の周りはやはり社会の役に立ちたいというか、「社会の役に立っている俺が好き」という人たちが集まっていたのです。
僕たちが何かしてみなさんに褒められるということ、つまり「あなたたちのサービスがあって助かっています」と言われることに喜びを感じる心が「根っこ」にあったのです。
そこで、自分たちが得意なインターネットを使って誰かに褒められるにはどうしたらよいかと考えた時に、食の領域にいろいろな問題があって、まだ誰も取り組まれていない課題があることに気づきました。
この領域に取り組めば、社会の役に立ち、いろいろな人に褒めてもらえるのではないかと考え、食の領域を選んだのです。
正忠 ありがとうございます。それでは木南さん、お願いします。
(続)
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続きは 2. 社会的事業こそ、スケールを目指すべき(レノバ木南社長) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/戸田 秀成
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