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4. ミレニアル世代がマジョリティになる2025年、ソーシャルセクターへの風向きが変わる!

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「ソーシャルグッド社会の実現に向けて」全5回シリーズの(その4)は、2025年に起こる社会の変化について議論がスタート。登壇者たちはすでに風向きの変化を感じており、ミレニアル世代が社会のマジョリティになれば「期待しかない」と言います。その理由とは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プラチナ・スポンサーのセールスフォース・ドットコム様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 14F
ソーシャルグッド社会の実現に向けて
Supported by セールスフォース・ドットコム

(スピーカー)

出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

川口 加奈
認定NPO法人 Homedoor
理事長

富山 浩樹
サツドラホールディングス株式会社
代表取締役社長

村岡 浩司
株式会社一平ホールディングス
代表取締役社長

(モデレーター)

山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長

ソーシャルグッド社会の実現に向けて


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最初の記事
1 10年、20年後のよりよい未来に向けて、登壇者たちが携わる社会課題とは

1つ前の記事
3 トライアルの量は質に転化する。外部を巻き込み課題解決を加速させよ

本編

富山 ESGがテーマのセッション(Session 5A <完全オフレコ> 「コーポレート・ガバナンスの最新事例(シーズン6 / 『ESG』『サステナビリティ経営』特集」)でも話が出ていましたが、ソーシャルグッドが採用にクリティカルに影響しています。

これからの20代の方々が、会社がソーシャルグッドの活動をしているかどうか意識しているというのは、企業活動にインパクトを与えると思います。

ユーグレナの永田(暁彦)さんが登壇されていましたよね。

2025年に全く違う世界が来る

株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充さん

出雲 今、皆さんは、少しずつ良くなっているという流れについてお話しされていると思います。

しかし2025年に、全く違う世界に変わるのです。

そして、これには根拠があります。

今、B Corp(※)マーク が付いたものを買う人は少しずつ増えていますが、マジョリティではありません。

▶編集注:株主だけではなく、従業員、消費者、地域社会、環境に対して包括的な利益を生むビジネス活動を国際的に認証する制度。米国の非営利団体「B Lab」が2006年に開始。

▶参考:世界で広がるB Corp認証:米先進企業オールバーズに聞く、認証取得のメリットとは(Sustainable Brands 日本版)

人数という意味でもマジョリティではないですし、また、彼らはお金を持っていないのです。

僕は1980年生まれなので、2000年に成人になった、ミレニアル世代の最初の世代です。

僕と同じ年に生まれた人は150万人いますが、僕の父は1949年生まれで団塊世代の最後の世代で、その年には270万人生まれました。

去年生まれた子供は、たった82万人です。

僕の父の年と比べると、ミレニアル世代は約半分、そして去年生まれた世代の人数は約3分の1になっています。

また、若い世代は資本を蓄積していません。

環境に優しいからと、1リットル 300円するユーグレナのバイオ燃料を買う人がマジョリティにならない限り、既存の会社は、ソーシャルグッドに真剣に取り組まないですよね。

エネルギー・環境事業(ユーグレナ)

つまり今はまだ、批判や逆風が強いタイミングなので、だからこそ、今ソーシャルグッドを始めた人たちは討ち死にしてしまうかもしれません。

僕はそれが嫌なので、皆さんに今日シェアしたかったことがあります。

それは、この状況はあと4年で変わるということです。

ミレニアル世代が意思決定

写真左から出雲さん、Homedoor川口さん

出雲 2025年になると、15~64歳の生産人口のうち、2人に1人がミレニアル世代に変わります。

団塊世代が引退して後期高齢者になると同時に、社会の中心の2人に1人がミレニアル世代になるということです。

優秀な彼らはソーシャルグッド企業でしか働きたくないと考え、ソーシャルグッド製品しか買わなくなります。

投資においても、例えば1兆円のファンドがあったとして、どう運用するか意思決定をするシニアマネージャー3人いたとします。

民主主義においては、過半数の意見が取り入れられます。

3人のうち1人がミレニアル世代でも、残り2人は旧世代ですので、ミレニアル世代の意見は影響を与えません。

しかし2025年以降、過半数である3人中2人がミレニアル世代に変わると、CO2を排出する会社への投資提案にはNOと言うようになるのです。

彼らは、「投資会社として、ソーシャルグッドを意識しない会社への投資をしていると生き残れない」と考えるので、意思決定の仕組みが変わるというわけです。

ビジネスにおいては、イノベーターを含む新しいものに飛びつくアーリーアダプターを16~21%獲得できると、あとのマジョリティがそれに続くことが研究で分かっています。

アーリーアダプターとは。イノベーター理論やサービスの成功・失敗例を解説(TECH CAMP)

ミレニアル世代の消費者としての行動が、その16%のアーリーアダプターに近づきつつあります。

それに大企業が気づいていて、変化しています。

あと4年でそうなるので、今は逆風を感じているかもしれませんが、それまでは諦めず、みんなで励まし合って、生き残りましょう。

そして2025年になれば、それ以前よりソーシャルグッド活動を継続していた皆さんのほうが、信用度が高い状態になります。

結果、大儲けしている大企業が、皆さんに助けを乞いに行くようになります。

今、地球環境にポジティブなことをしていない企業が、優秀な人を採用できなくなり、消費者からも投資家からもそっぽを向かれ、皆さんのところに行くのが4年後です。

4年は辛い時期が続きますが、みんなで生き延びるために色々なことをシェアしたいし、シェアできる場がここにあって、本当に嬉しいです。

2025年のマーケティング予想図、日本のミレニアル世代とシニア世代は決定的に異なっていた【インテージ調べ】(impress BUSINESSMEDIA)

ソーシャルグッドを当たり前と捉える若い世代

富山 僕は、ESGのセッションを聞けて本当にラッキーでした。非常にブルーオーシャンだと思ったのです。

村岡 希望しかないですよね。

株式会社マザーハウス 代表取締役副社長 山崎 大祐さん

山崎 今、出雲さんがお話しされたことは、既に起こりつつあります。

マザーハウスは来月で15年ですが、創業2年目の時に高校生向けに講演などをたくさんしていました。

その時の高校生が今30歳くらいになっていて、彼らがマザーハウスのバッグをどんどん買ってくれるのです。

うちの単価は3~5万円ほどなので、簡単に買える価格ではありません。

でも今の若い世代は、LGBTQや多様性への理解も含め、ソーシャルグッドを当たり前だと捉えるようになっていると思います。

松田 ヘラルボニーもSNSだけでインターン募集をしたのですが、65人もの応募がありました。

「福祉×アート」の社会実装で、障害に対する意識を変えていく「ヘラルボニー」(ICC FUKUOKA 2021)

富山 すごいですね。

松田 採用は5人なので、10倍以上の倍率です。

山崎 単なるジェネレーションギャップのみならず、コミュニケーションツールギャップもあると思います。

でも逆に、何かを取り残してはいけないとも思います。

地域を取り残さないことも重要ですし、年配の方々が新しい価値に気づけないまま終わっていいのかという問題もあります。

しかし実際、SNSへの抵抗もあるだろうし、テレビの情報に振り回されやすい。

そこで、地域においても、ジェネレーションギャップを超えることが、大事なキーワードになってくるのではないでしょうか。

サツドラホールディングス株式会社 代表取締役社長 富山 浩樹さん

富山 大きなチャンスだと思いますね。

地域は「面」になりやすいですし、テーマ設定をして場を固めると、「もう、やるしかない」とつながれます。

あと4年という時間軸があり、そこに存在するというインセンティブがあるので、何かを変えるチャンスになると思いますね。

村岡 情報は、物理的距離に紐づく部分もあると思います。知り合って、何かしたいという衝動が起こり、その出会いの場で何かが生まれることもあるでしょう。

僕は、北海道で富山さんが何をしているか、気になって仕方がないのです。

山崎 九州と北海道ですものね。

村岡 すごく面白いのは、北海道という1つの島は、国のようなものです。

その国で、何か面白い人が生まれ、場ができて、ムーブメントが起こり始めている勢いを感じます。

同様に九州も、台湾と同じくらいの大きさの、1,300万人が住む島です。

例えば今、松田さんが行っている活動を九州に浸透させようとすると、僕と一緒に2周すればいいのです。北海道なら、富山さんと回ればいいですしね。

山崎 やることが決まりましたね(笑)。

松田 よろしくお願いします!

ヘラルボニー 代表取締役副社長 松田 文登さん

ノイジーマイノリティは、はじき出されていく

村岡 Out of your comfort zoneで、違和感を感じ、何かに気づいてしまった人たちが、各地域で、場をどんどん作っていくのがいいかもしれません。

僕は汗をかいて活動するタイプなので、やってみたいなと思います。

富山 この場も、ソーシャルグッド・カタパルトの場もそうですが、同じ価値観を持つ人たちのクローズドコミュニティは、今後どんどん生まれるでしょうね。

ノイジーマイノリティは、オープンな場であるTwitterやSNSから生まれています。

でも彼らは今後、どんどんはじき出されていくと思います。

負のオーラがはじき出されて、結果、同じ価値観の人が集まって新しいものを作れるようになるのではないでしょうか。

そんな世界が、逆戻りで生まれるのではないでしょうか。

村岡 逆戻りで生まれるというのは、正しいと思います。

僕は80年代にアメリカにいましたが、「この分野なら、この人に会いに行け」という情報が、SNSもない時代、風の噂で流れてきました(笑)。

山崎 とはいえ、あまりクローズドにはならずに、それぞれのテーマ、地域でコミュニティを持っていたとして、そのメンバーが集まって、お互いを知り、メンバーの属するコミュニティに還元していくような。

富山 セミクローズドですかね。

山崎 そうですね。

松田さん、登壇者に何か聞いてみたいことはありますか?

悔しさを感じた打ち合わせ

松田 僕も最初の頃は、逆風がありました。

「障害のある方のアート」と言うと、「無料なら使ってもいいよ」と言われたり、「打ち合わせは5分で終わらせてください」と言われたりしました。

それが自分の中にすごく残っていて、あの時そう言った人たちを見返したい気持ちがありました。

しかし色々な大企業と取り組むようになり、会社としてのラベルが多少変わってくると、お金を出してもらえるようになり、打ち合わせの時間も長くなりました。

そこで、皆さんも今まで悔しい思いをした体験があれば、是非聞かせてください。

山崎 ビジネスを続けるモチベーション、原体験ですね。

村岡 すごく分かります、打ち合わせの場所も変わってきますよね。

株式会社一平ホールディングス 代表取締役社長 村岡 浩司さん

僕はよく各産地の工場に行きますが、8年前は、工場の入口横にある、パーテーションがあるスペースで、パイプ椅子に座って打ち合わせをしていました。時計を見ながら、ね。

松田 やはりそうですか。

村岡 バイヤーの場合、パソコンに向かう5人くらいを前に、「始めてください」とだけ言われて、それ以外、一言も声をかけてくれません。

そして説明を10分ほどしたら、「ありがとうございました、結果は追って連絡します」と言われるような商談でした。

山崎 ありますね。

村岡 交渉の世界は、そんな感じですね。

富山 インターネットの掲示板の書き込みの話をしましたが(Part.2参照)、僕は2代目で、入社した際は前の世代の役員がまだ多く、役員会では冷ややかな対応をされました。

会社の新事業に対して批判をしていると噂で聞こえてくる状況で、それは悔しかったです。

Forbes JAPANに特集をしてもらってから、風向きが変わりましたが(笑)。

山崎 メディア掲載は大きいですよね、分かります。

富山 他人からも「すごいね」と言われるようになり、新事業への見方が変わったのだと思います。

山崎 そうして目の届くメディアに出ることも大事ですよね(笑)。

富山 そうですね(笑)。

人づての紹介で初めて拠点を獲得

川口 HUBchari(ハブチャリ)を始めた時は当然、拠点が1つもありませんでした。

1つ目の拠点になってくれるところを見つけるのは、本当に難しかったです。

特に、20歳前後の女性の「こういうことがやりたいです!」という言葉は、全く信じてもらえませんでしたね。

しかしある時、地元の大きな会社である大阪ガス株式会社様を人づてに紹介してもらいました。

大きな会社の場合、話をしても「前例がない、上の許可を取れない、稟議が通らない」と言われることが多かったのですが、大阪ガスは月に1回、ビルの前で御堂筋ふれあいバザーを行っていました。

それで、「バザーのブースの1つとして、紛れ込んでみたら?」と言われたのです。

その様子を日本経済新聞で、写真付きで2面を割いて特集してもらえました。

それを見た大阪ガスの偉い人が「こんなに良い写真は、他にない!」と言ってくれて(笑)。

自分の会社ビルの前で良いことをしているのが日経に掲載されていることで、広告効果を実感したのだと思います。

その結果、常設が決まって、今8年になります。

山崎 すごいですね(笑)。

川口 やはり、出会いは大きいなと感じましたね。

悔しさ・怒りは事業を進める燃料に

山崎 出雲さんも、何かありますか?

出雲 皆さんが昔、いじめられた時の悔しい話を聞くのは楽しいですよね!

(会場笑)

僕もたくさんありますが、それだとただ楽しいだけで終わってしまいます。

昔馬鹿にされた経験や恨み、怒りは、マラソンの折り返し地点までは燃料になると思います。

でも半分を過ぎると、昔ミドリムシにひどいことを言った人たちが「私は、最初から応援していました!」と言いにくるわけです。

(壇上笑)

8年前までは、それにイラっとしました。

実際に「あなたがそれを言いますか!?」と、相手に言ってしまっていました。

でも今はもう、そんなことはどうでもいいのです。

自分が折り返し地点まで走り抜けるための燃料をもらったのですから、感謝するくらいです。

どの時点で、その心境の変化にたどり着くかはそれぞれ違うと思いますが、早めに仏の位置に来てほしいなと思います。

松田さんも、まもなくそうなると思いますよ!

松田 まだ沸点の位置にいたので(笑)、ありがとうございます。

出雲 今は阿修羅モードかもしれませんが、「応援していました!」と言う人たちがたくさんやってくる時期を経て、御仏になられると思います。

松田 仏を目指して頑張ります!

(続)

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続きは 5 ソーシャルグッド社会の実現に取り組む人を応援し、ともに意思を貫き続けよう!(最終回) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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