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ICCサミット朝活②! 春光院の坐禅体験で、自分を観察する【ICC KYOTO 2019レポート#10】

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9月2日~5日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、9月5日、妙心寺は春光院、川上(全龍)隆史さんの指導のもと行われた早朝の坐禅体験の模様をお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


今回のICCサミットでは合計5つの屋外アクティビティが企画されており、そのうちの1つが「坐禅/マインドフルネス研修」だ。これは、米グーグルやインテルなど、欧米のIT企業などが従業員の研修プログラムとして採り入れたことで、メンタルにアプローチする試みとして注目されている。

ICCサミットでは過去にも坐禅体験を提供してきたが、昨年は台風の直撃によって春光院にも大きな被害が出て、開催することができなかった。今年は、昨年参加できなかった方をふくめ2日間に渡って65名の方にご参加をいただいた。

早朝の妙心寺の境内は、通り抜けて通勤・通学する人や、ヨガのレッスンのためにやってきた外国人などで、絶え間なく人通りがあるものの静けさに包まれている。

早く到着した参加者の方々は、春光院の美しい庭や、狩野永岳による襖絵を見学している。定刻の8時になると、坐禅体験が始まった。

川上さんのガイドで坐禅体験スタート

「まずクッションの上で、あぐらをかいてみてください。股関節が硬くなって、あぐらができない人もいるでしょう。瞑想の腹式呼吸のためには、股関節が開いて、骨盤をまっすぐ立てられないと、横隔膜が広がらず深い呼吸ができません」

座敷には、あぐらをかきやすいようにクッションが用意されているが、その上に座っても足が辛い人もいる。「無理はしないように、痛かったら椅子も使ってください」と、後方にある椅子を案内しながら、川上さんは話を続ける。

「固定観念とは、意外と漠然としていて、分析して考えていないものだったりします。

ゾウと盲人のたとえ話をしましょう。

ゾウの全体の姿が見えないまま、足だけ触った人は『これは木の幹のようなものだ』と言います。

しっぽだけ触った人は『ロープだ』と言います。

耳しか触っていない人は『エイのようなものだ』と言います。

物事の一部しか分かっていないのに、それを全体だと勘違いすることが、私たちにはあります」

静かな春光院の朝、川上さんは参加者たちを前日までとは違う視点へと誘っていった。

瞑想に大切な2つの観察

瞑想を行う際に大切なのは、2つの側面からの観察だ。まず1つは自分の内面への観察を行う。感情的にどんな経験をしていようと、それに動かされず、ひたすらそれを眺めてみる。

「ダライ・ラマいわく、瞑想は観察と実験である。イライラや悲しいなどといった情報は、外から入ってきて、体全体で経験するものです。体が反応するパターンは、生理現象的なものもありますが、信念や価値観にも影響されます。

共感できる人といると心地いいし、意見が相反する人とならば心地悪い。そういうふうに、自分が強く反応したときに、自分を観察してみるのです。自分が正しい、間違っていると思っているものは何かをつきつめていくのです。

東洋哲学の本を読むと、こんなことがあった、というだけの、オチもなく、何ということはないストーリーだったりします。でもこれには読み方があります。

東洋哲学の物語では、自分をまずストーリーの中に入れ、主人公と同じ体験をして、それが主人公の反応とどう違うかを自己観察する、というふうに読んでいきます」

身体面からも自分を観察していく。

「吸う息よりも吐く息をゆっくり長く、優しい息になるようにします。息を吐ききったら、1度軽く呼吸を止めてください。息を吐くときは、温かい息がどう出ていくのか、吸うときは鼻から冷たい空気がどう入っていくかを観察します。

呼吸をしたときに、おなかや胸だけでなく、体全体にどう感覚が変わるかを観察してください。吸ったときにどうふくらむのか、吐くときはどう縮むのか、自分に注意を向けて観察してみるのです」

「瞑想すると、多くの人の頭には雑念が浮かびますが、それは当然のことです。今から20分ほど坐禅をしますが、ICCサミットも3日目、みなさんお疲れかと思います。この疲れ、眠さがどう感じられるのか、それを体がどう経験するのかを観察してみてください」

姿勢、呼吸の仕方、観察すべきことを教わったのち、私たちは川上さんの合図とともに坐禅体験に入っていった。

『絶対にこうだ』と思うときこそ疑問を

座敷を見渡すと、どなたも真剣に自分に向き合って坐禅を行っている。まもなく終了という時間に近づくと、現実に引き戻すように、庭でセミが高々と鳴き始めた。やがて川上さんがリンを鳴らし、瞑想の終わりを告げた。一同は合掌して坐禅が終了した。

「足が痛いなと思ったりしませんでしたか? でもそれは本来、必要のない痛みですよね。

別にあぐらの足を崩してもよかったのに、それができなかったりします。なぜなら”こうしなければいけない”という固定観念を外すことが難しいのです。

人間の思っている現実は、分析することなく飛びついたものが、残念ながら多い。しかし客観的に観察して、分析して見ていくと、物事はそんなに単純ではないし、ランダムだし、あいまいで定義ができません。そういうことを人は気持ち悪く感じがちです。

人間は決まっていることのほうが楽だからそれにしがみつき、楽にさせてくれるものをいいと思い込み、執着してしまいます。そしてそれを信じ込むと、思考が停止してしまいます。

矛盾は当たり前に存在するものです。自分が『絶対にこうだ』と思うときに、疑問を持てる人は重要です。自分が好き、嫌いなものに対して疑問を持つことも重要です」

「好き嫌いの理由を考えてみると、実は後付けの理由のことが多いです。でも、単純に分析していくようにすると、みんなが納得できるような答えが出てきます。

モノがあふれている時代は、皆、直感で選んでしまいがちです。そして、思っているようなことに合う情報を見つけてきてしまいます。

自分の正しい、間違っていると思うことに疑問を持ち、こうしたら幸せになる、ということを考える力を養うことが、今の日本に欠けていると思います。

先日、イギリスに行ってきまして、5代続く名門投資家の息子さんに会いました。彼は13歳なのですが、哲学を学んでいるといいます。

なぜ投資の勉強をしないのかと質問をすると、『それが得意な人に投資すればいい。それよりも何がいいことかを徹底的に考えるほうが、国のためになる』と答えたのです」

最近行ったという中間管理職の方々に向けた座禅体験で、川上さんは、なるべく具体的かつ断定的な話を心がけたという。この日はICCサミットの参加者が、現在の産業を担うリーダー層であるため、坐禅を通した自分の観察から思考を深めていけるよう、あえて抽象的に意識してお話しされていたようだ。

参加者たちの感想は

いくつかの質疑応答のあと、座禅体験は終了した。ICCサミット最終日のため、帰京する方、3日目のセッションに参加する方、京セラのアクティビティに参加される方、それぞれがばらばらに分かれていった。

日本スタートアップ支援協会 岡 隆宏さん「眠くもならず、あっという間でした。坐禅体験は初めてでしたが、呼吸など考えてみたこともありませんでした。自分の観察をもっとしてみたいと思いました」

HAiK山内 宏隆さん「こういう場所で坐禅をするのが新鮮でした。剣道をやっていたので、道場で坐禅を何度も組まされていたのですが、全然違いました」

ウェスティン都ホテル京都の会場へ戻る参加者には、LEXUSが送迎を行った。トレンドExpress
濱野 智成さんと講談社の碓氷 早矢手さんの車に同乗させていただき、坐禅の感想をうかがった。

碓氷さん「以前にもやったことがあるのですが、20〜30代のころと、40代の今では体験が違いました。以前は内側から出てくるものが騒がしすぎて集中できなかったのですが、今回は簡単にできました。これは成長なのか、老化なのか(笑)」

濱野さん「マインドフルネスをやってみたこともあるし、ヨガも好きなので、いい体験でした。スティーブ・ジョブスやラリー・エリソンがなぜはまるのかが知りたいので、もう少しやってみたいと思いました。家族や会社でもやってみたいですね」

濱野さんは、車を買うならLEXUSと決めているという。国産車が好きで、LEXUSというブランドの世界観も好き、ご自身の会社のミッションが、日本の企業を世界に勝てるようにしたいということからも、シンパシーを感じていらっしゃるそうだ。

ウェスティン都ホテル京都に到着した濱野さんと碓氷さん

日常とは違う体験ができる早朝セッション

同じくLEXUSで会場に戻ってきたのは、アセットマネジメントOneの岩谷 渉平さんとかものはしプロジェクトの村田早耶香さん。

岩谷さんは、坐禅が進むと気持ちよくなり、思わず眠ってしまったとか。

岩谷さん「注意を呼吸に向けて、最終的には眠ってしまってもOKだということでした。坐禅をするのにいい時間帯について質問しましたが、朝型・夜型によっても違うとのこと、いつが自分にいいのかを探してみたいです」

村田さんは、坐禅に一時の安らぎを見出してくださったようだ。

村田さん「自分自身がどういう状態かをちゃんと知ることは大事だなと思いました。うちはNPOですが、事業のプレッシャーや、扱っている課題が重いので、常に重い話を聞き続けることになります。

そうすると自分がもたなくなるので、自己認知が重要なのです。日々心がけてはいるけれど、ちゃんと時間をかけて、コーチをつけろと言われています。

今回ICCで情報がたくさん入ってきて、心を落ち着けたいなと思っていたので、1回思考を止める時間になってよかったです」

ICCサミットは滞在型カンファレンスのため、エクストリーム・ディスカッションに没入する3日間となるが、このような早朝セッションで、日常とは異なる体験も用意している。次回京都での開催時も、ぜひご期待いただきたい。

春光院では、英語になるが坐禅体験、また茶道や書道の体験を提供している。詳しくはホームページをご覧ください。

(終)

【新規募集】ICCサミット FUKUOKA 2020 運営チーム募集

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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