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事業の特性で組織タイプは決まる! モチべーションクラウド流ワークショップで、強い組織に変革するヒントを学ぶ【ICC FUKUOKA 2020レポート#5】

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2月17日~20日の4日間にわたって開催されたICCサミット FUKUOKA 2020。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、DAY1の2月18日、Session 2F 組織が゙変わる! モチベーションクラウド流組織変革 体感ワークショップ(120分拡大版)の模様をレポートします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

ICCサミット FUKUOKA 2020 開催レポートの配信済み記事一覧


ICCサミットに参加する企業は、知らない人はいないのではないかという組織改善ツール、モチベーションクラウド。ICCサミットの定番セッション「最強の組織戦略」シリーズは、登壇する企業がモチベーションクラウドによって浮き彫りになった課題をいかに解決したかを語る内容で、常に高い評価を誇っている。

ICCサミットの参加企業では、すでに導入済みのところも多いが、興味を持ちながらもまだ導入していない企業も多い。そこで、このツールのベースの考え方となっている組織変革ノウハウを体験する今回のワークショップが企画された。

F会場に集まったのは23名。前半はリンクアンドモチベーションの田中 允樹さんのレクチャーでフレームワークを学び、後半はディスカッション・リーダーとして、モチベーションクラウドを活用するエアークローゼットの天沼 聰さん、ネオキャリアの加藤 賢さん、キュービックの世一 英仁さんが登場。グループディスカッションで、課題に対する具体的な打ち手を考えるという流れだ。

「事業・未来・数字」から組織を考える

まずは前半、田中さんによるフレームワークの解説からワークショップは始まった。完全なレクチャースタイルかと思われたが、同じテーブルに着くメンバー同士で自己紹介というインタラクティブな形でスタート。1テーブルは最大6人程度、1人1分での自己紹介に拍手が起こっている。

田中さん「今日はみなさんに取り組んでいただきたい題材をいくつかお持ちしています。

リンクアンドモチベーションという社名から、“モチベーション”に興味を持っていただくことが多いのですが、

  • 『事業』と組織をつなげて考える
  • 『未来』と組織をつなげて考える
  • 『数字』と組織をつなげて考える

という、“リンク”の視点も大事に考えています。この3つの観点を今日はお持ち帰りいただければと思っています」

<事業によって組織タイプは決まる>
ワーク①自分が転職者なら、どの会社を選ぶか?

ここからは資料&ディスカッションによるワークがスタート。まずは「事業」と組織のリンクということで、参加者に提示されたのは、「あなたならどの会社を選びますか?」という質問。

配布された資料には、自分に出された内定3社の人事部長による各社のプロフィールが書かれている。条件に大きな差はないという前提で、3社のカルチャーはそれぞれ違う。それを読んで自分なりに優先順位をつけて、同じテーブルのメンバーに回答をシェアしていくというワークだ。

さあやるぞ、と楽しそうに課題に取り組み始めた参加者たちだが、やりがいや社員の特性、仕事の進め方の違いに、転職者気分になって真剣に悩んでいる人もいる。

グループ内でシェアが始まると一気ににぎやかになった。「読めば読むほど悩んでしまった」「いつもこういうことを社員に言っているけれど、いざ自分が応募する立場になると、嫌だなと思った」と、苦笑している人もいる。

田中さん「このワークに正解はありません。ただ、この組織カルチャーが作られているのはなぜかという理由を少し考えていただきたかったのです。

最初に事業と組織のリンクと申し上げましたが、現場と経営の分断は、よく起こります。

問題が起こったときに、目の前で起こっている組織のことだけを見て、問題点だけを切り取って対応を行ってしまう。

本来、その会社の事業が持っているカルチャーならば、こんな解決法が望ましいというのがあるのに、問題点だけを見て対応してしまう。そんなことがよくあります。

このワークで伝えたいメッセージとしては、事業モデルに応じて組織タイプは異なるということです」

事業モデルには3つのタイプがあり、それに紐付いて個人の仕事、改善や成長の方法、事業の多角化に適しているかどうかまで異なってくるという。田中さんはこの3つの組織タイプについて、誰もが知るような企業名を上げながら、事業、業務、組織の運営の違いを解説していった。

このフレームワークならば、自分たちはどのタイプに当たるのか。参加者は画面を見つめながら自分の組織について思考している。

この解説の最後に、3つのタイプの「事業運営」「業務運営」「組織運営」について、ポイントとなる施策キーワード資料が配布された。たとえば「オペレーター型」の組織の業務運営のポイントは、「仕組み化」といった具合だ。

<将来起こりうる問題を察知する>
ワーク②組織の問題を分類し、どのような企業か見極めよ

次のテーマは「未来」と組織をつなげて考えること。個人ワークとして、ランダムに並べられた8つの事象を、2社に分類することが与えられた。

事象はたとえば次のような、組織に起こる問題が書かれている。

・事業部が細分化された結果、それぞれ個別最適意識が強まり事業部間のシナジーが一切起こらなかった。
・現場の業務がひっ迫するあまり、マネジャーが現場に引っ張られてプレイングマネジャー化してしまった。

書き終わったら答え合わせ。事象は「大企業病」「ベンチャー病」的な2種に分けられるというのがその答えだ。全問正解の人もいるが、見極めが難しいものもあったようだ。

田中さん「問題が起こってから対応するものと、起こる前に対処するもの。これはよく医療にも例えられるのですが、起こってからだと、組織面はとくにコストがかかります。未然に防ぐのがベストです」

起こる問題は、全社、ミドル層、現場といったクラスターによって異なり、組織の成長ステージによっても異なる。たとえば組織が「拡大モード」にあるときは、全社が「経営トップ依存症」になり、現場は「業務型疲弊症」や「長期視点欠落症」になるといった具合だ。

組織が「多角モード」に入ったときや、メイン事業が頭打ちとなり、それを超える「再生モード」になったときも、各クラスターによってさまざまな問題が起こる。

田中さんは、リンクアンドモチベーションが第一次フリースブームの頃からサポートしているというユニクロを例に、拡大モードの症例と、施策を紹介していった。

起こった症例に対して、打ち手がないわけではない。しかしなにより、症状をいかに”予防治療”するかが事業・組織の成長において早道であり、重要であることは言うまでもない。

『数字』と組織をつなげて考える

事業モデルとのリンク、未来とのリンクで定量化して、起こる問題を未然に予測できたり、確認できたりすることが、「数字」と組織をつなげて考えること。ここはモチベーションクラウドでできることの解説となった。

モチベーションクラウドを導入することにより、現在どういう症例にかかっているのか、かかり始めているのか、自社の事業モデルを考えたときに、どの部分の組織カルチャーがうまくいっていないのかが可視化でき、メンテナンスしていくことが可能になるという。

エンプロイーエンゲージメント(=企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)を可視化することで、社内の部署・職種別などの、組織タイプの傾向や、成長ステージの違いなども明らかにすることができる。それに応じて”予防治療”の打ち手を考えられることは、先述の通りだ。

またそのスコアが上昇することで、売上や営業利益の伸長率が高まる傾向も見られている。加えて離職率が下がる傾向もあるそうだ。

ICCサミットにも参加いただいているラクスル社の導入事例や、リンクアンドモチベーション社の組織変革の道のりについても具体的に紹介された。

最後に今回のワークショップ参加者限定で「拡大モードの変革セオリー」なる資料が配布された。

詳細は差し控えるが、拡大モードの際の「人材開発」「役割設計」「管理制度」についての注意点をまとめたもので、「役割設計で組織の機能を起点に分化する」ことがなぜNGか、「業務スキルでマネジャーを登用する」のは、ミドル強化としてなぜNGなのかなどが端的にまとめられている。

参加者たちは、まさにこれから拡大モードを迎えようとする方々。組織に遠心力が働くときに、エンプロイーエンゲージメントを高めて強固な組織となり、起こりうる問題を”予防治療”する、そのための概念といった内容だ。

しかしながら、これが適用できるのは「拡大モード」のときのみ。「多角」「再生」ではまた異なる問題が起こりうる。そのときに頼れる指標となるのが、モチベーションクラウドというわけだ。

後半ディスカッションがスタート

自分たちの事業モデル、組織ステージを自覚し、どのような問題が起こり得るかを学んだあと、参加者たちの頭には、自社のさまざまなことが頭に浮かんでいるようだ。まずは自分の組織の課題を書き出すことから、ワークショップ後半がスタートした。

記入が終わると、各テーブルにリーダーとして、エアークローゼットの天沼 聰さん、ネオキャリアの加藤 賢さん、キュービックの世一 英仁さん、リンクアンドモチベーションの田中さんも加わった。

ここからはディスカッションタイム。各リーダーがディスカッションを活性化させながら進行していく。

エアークローゼット天沼 聰さん

エアークローゼット天沼 聰さん「経験してきたことを共有できればと思っています」

天沼さんと同じグループなのはシルタスの小原さん。直前にスタートアップ・カタパルトで優勝したばかりのアダコテック河邑さんもいる。

小原さん「今は大丈夫ですが、これから社員が増えると直面するだろうなと思っています。エンジニアは現在15人いて、半分が業務委託。土日も働いてもよしとしていて、パフォーマンスが出なければ継続はありません。

プロジェクトの進捗をCTOが見ていて、遅れている原因を見極めて決めています」

シルタスの小原さん(写真中央)

天沼さん「拡大するときの採用は難しいですよね。人をつなぎとめようとするかしないかや、超優秀人材にいかに定着してもらうか。同時にビジョン・ミッションの浸透もしないといけませんが、それを行う人がいない問題などもあります」

エンジニアのスキル重視の人材管理に、同じテーブルに座った参加者は興味津々。テック・オリエンテッドのベンチャーとはいえ、カルチャー浸透問題は避けては通れないだろう。

キュービックの世一 英仁さん

「さぁ、食べましょうか」と、軽食として用意された「だしいなり」をみんなに勧めたのはキュービックの世一 英仁さん。このワークショップは昼前の11時45分開始で2時間続く。

このテーブルで熱心に相談をしていたのは、Mellowの森口さん。自らの組織をプロフェッショナル型と称する森口さんは、拡大モードにおいて、ワークシートに挙げられていた症状にたくさん思い当たるという。

Mellowの森口さん(写真中央)

成長を促したいゆえの悩みや課題を、かなり具体的に世一さんや、エイトブランディングデザインの西澤 明洋さんに相談している。世一さんは「決められたことをきちんとこなしたいと思っている人も、組織にはたくさんいますよ」とアドバイス。

田中さんがディスカッション・リーダーとして加わったグループは、ネットプロテクションズの秋山さんが、悩みを相談しているうちに、若手育成について田中さんから逆質問され、「悩んでいないのでは?」と返されている。

ネットプロテクションズの秋山さん

ネットプロテクションズは、2019年4月の時点で海外含め4拠点で社員数は270名、社員ではないスタッフも多数働くため、正社員の仕事は「企画とマネジメント」とはっきり定義。階層を作らずなるべくフラットに、移動もしやすい組織にしているという。

ICCサミットには、スポンサーの参加枠を使い、最大10名の社員が参加。なるべく視野を広げられるように前半・後半で入れ替わっているそうだ。

ネオキャリアの加藤 賢さん

ネオキャリアの加藤 賢さんのグループは、加藤さんが質問攻めに合っていた。加藤さんのリソース8:2で重きを置いている、新規事業の作り方について皆、興味があるようだ。

加藤さん「既存事業は報告のみで、新規事業に時間を咲いています。0から事業を立ち上げ、5まで育ったらのれん分けをして独立していくようにうながします」

大量採用を続けて2020年2月現在、社員数3,700人となっていることから、採用についても質問は集まっていた。

加藤さん「ミッション・ビジョンといった結節点みたいなことを、採用のときは強めに打ち込むようにしています。マニュアルは、毎年新卒が入るタイミングで見直すようにしています。

以前は離職率が高かったのですが、モチベーションクラウドのサーベイ(企業と従業員のエンゲージメントを測る指数を算出することのできる組織診断サービス)を活用して、現在は以前の3分の1までに減っています」

前半では自分の組織についてのインサイトをフレームワークから学び、後半は直面する課題について各社の事例を聞き、経営者同士で解決法を考える。ICCサミット終了後のアンケートでは、この日学んだことを早速会社で試しているという答えも多く寄せられた。

リンクアンドモチベーションによる初開催のワークショップ。2時間という長丁場ながら、まだ話し足りないという感想を持った方も多く、順調に見える企業でも、組織の悩みは尽きないことを改めて思い知らされる。

エンプロイーエンゲージメントのスコアが高い組織=企業と従業員の相互理解・相思相愛度が高い組織は、事業は成長するという研究データがレクチャー中に示されたが、組織をないがしろにして事業の成長が長続きすることはないのである。

うまくいっている会社は、どんなやり方でやっているのか。それを自分の組織で応用することは可能なのか。今回のワークショップは、事業内容やステージ、組織の規模は異なっても、ともに学び、惜しみなく経験を分かち合い、率直に語り合えてかつ実践につながる一助の場となったようである。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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