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チームの力を最大化! 伊藤羊一さんの「実践 1on1ミーティング・トレーニング」で、マネジメントの必須スキルを学ぶ

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今年2月のICCサミット FUKUOKA 2020で初開催し、参加者の95%が「最高だった」と回答したYahoo!アカデミア学長 伊藤羊一さんによる「Yahoo!アカデミア 研修体験プログラム 実践 1on1ミーティング・トレーニング」。次回のICCサミット KYOTO 2020でも第2回目の開催を予定していますが、それに先立って8月4日に東京のオフィスでも開催しました。その模様をお伝えします。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


人気のワークショップを開催


伊藤 羊一
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト/Yahoo!アカデミア 学長
株式会社ウェイウェイ 代表取締役

1990年日本興業銀行入行、企業金融、事業再生支援ほかに従事。2003年プラス株式会社に転じ、流通カンパニーにてロジスティクス再編、グループ事業再編などを担当した後、2011年執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括。2015年4月ヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)の立ち上げ準備中、2021年開設時には学部長就任予定。著書「1分で話せ」「0秒で動け」(SBクリエイティブ)、「やりたいことなんて、なくていい」(PHP研究所)、「未来を創るプレゼン」(共著、プレジデント社)。

8月31日〜9月3日に開催予定のICCサミット KYOTO 2020。そこで伊藤羊一さんの人気ワークショップ2つが再び開催されます。

・9月1日(火)Session 1F 毎回大絶賛! Yahoo!アカデミア 研修体験プログラム「Lead the self」(こちらのレポートもご覧ください)
・9月2日(水)Session 7F Yahoo!アカデミア 研修体験プログラム「実践 1on1ミーティング・トレーニング」(120分拡大版)

いずれも募集を終了した人気講座で、1人でも多くのくの人に参加していただこうということで、この日、今年の福岡で初登場した「実践 1on1ミーティング・トレーニング」の開催となりました。

「リアルイベントは、2月のICCサミット以来」という伊藤さんは、おなじみのTシャツに身を包んで登場。検温してフェイスシールドを装着して「マスクをしたままと、マスクを外して話す両方を試してみよう」と、「新しいワークショップ方式」に早速意欲的です。

伊藤さんは2月以降、YouTubeチャンネルなどを使って伝えるコツや発信しているそうで、著書『1分で話せ』で語る通り、ご自身のチャンネルで1分で見られるさまざまな動画がアップされています。

伊藤羊一(YouTube)

今回の1on1のティップスや、人気につき、今回も再び開催する「Lead the Self」のポイントなどが語られているので、動画もぜひチェックしてみてくださいね。

リーダーシップとは、チームをゴールに導くこと

シールドにマイクが当たるとカチカチと音がするので、マイクにはスポンジのカバーを被せています

伊藤さん「盛り上がると、僕は無意識のうちに会場に入っていってしまうので、もし近づきすぎたらストップしてください」

現在、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の準備で多忙だという伊藤さんは、自己紹介のあと、こう言って講座をスタートしました。

武蔵野大学で、新しい学部をつくります。(note)

毎回、ワークショップも佳境に入ると、ロックスターのようにマイクを持って受講者席に入っていくのが伊藤さんのスタイル。集まった人たちにキープディスタンスをと、注意を訴えました。

座席も間隔を保って配置

最初の30分は座学。今回集まった方々は経営層が中心ということで「マネージャーとメンバーの1on1」を想定して講座は進んでいきます。

伊藤さん「リーダーシップとは、『引っ張る』ことではなく『導く』『誘(いざな)う』ことが必要です。シチュエーションによってさまざまな方法があります。誤解されがちですが、マネジメントの語源をたどると、その意味は『管理』ではなく、『なんとかする』ことです。

リーダーがすべきことは、チームをゴールに導くこと。そのためにはこの3つが必要です」

伊藤さん「1.チームの力を最大化する、2.プロセスを明確にし導く、3.ゴールを設定してチームに共有する 、この3段階があるとして、2と3は、どんなチームでも曲りなりにやっていますが、1の『チームの力を最大化』については驚くほどやっていないのです」

この「チームの力を最大化」を、分解してみると以下のとおりになります。

伊藤さん「これを1対N、もしくは研修などで、1対1×Nでやる。1対1で聞かないと出てこないこと、コミュニケーションしないといけないことがあると同時に、そこでフォローしないといけないこともあります。それがマネジャーに求められています」

それは、メンバー側からも求められていることだと伊藤さんは言います。

伊藤さん「とくに今のようにリモートのときほど、自分はこれでいいのか?と不安になります。プライベートの悩みや、健康のことなどの解決はできないけれど、話せる相手としてマネジャーがいる。まず誰かに話す、話したいというニーズがメンバー側にもあるのです。

話してみて考えることを促し、自分で気づいて実行することを習慣にすると、成果やキャリアアップにつながっていきます。マネジメントの立場からメンバーに声をかけて、このサイクルを回す。それでいいんだよと言ってあげるのです」

ヤフーでは1週間に1回30分程度、代表取締役を含む全員が行っていて、マネジャーがメンバーを管理する情報を得るのではなく、あくまで「メンバーの話に耳を傾けることを通して、目標達成と成長を支援する場」だといいます。それは、果たしてどのように行うのか? ここからが本格的なワークショップの始まりです。

ステップ1:悩みを聞き出してみよう

今回のワークショップの特徴は「とにかく話す」こと。3人一組になり、メンバー役・マネジャー役・オブザーバーの役割を決めたら、1分で自己紹介をし、そのあとのワークでは、最近悩んでいることをひたすら聞き出していきます。

伊藤さん「自分の会社だと言いにくいかもしれないけれど、みなさん立場も似ているし、どんどん話していっちゃいましょう!」

それが終わると役割に基づいてフィードバックをしていきます。その指標がスライドで示され、できたかどうかを話し合っていきます。

フィードバックまで終わると一連の作業が終了、伊藤さんがマイクを持ち、やってみた感想を「GOOD」「MOTTO(もっと)」のポイントとともに聞いていきます。

ブラジル・ベンチャー・キャピタル 中山 充さん「GOODのところは、人の話をちゃんと聞いていたところ。メンバーに質問をするときは、深堀りしていくのがいいのか、自分が興味のあるところをもっと聞いて探っていくのか、話したいようにしてもらうのか、どれがいいのでしょうか?」

伊藤さん「メンバーのための時間なので、何を話したそうにしているか、メンバー役の顔色次第ですね」

プライムアシスタンス朝倉 完さん「GOODのところは、ストレートに聞いてもらって、大変だなと思っていることを、大変ですね、頑張っていることを、頑張ってますねと言ってもらえたことです。

MOTTOポイントは、あまりよくわからなかったのですが、ジェスチャーなど、体をもっと動かして話してもらえると話しやすかったかなと思いましたが、それは私の個性だったりするので(笑)」

伊藤さん「真剣に聞いているがゆえに動かず、眼力が強いとか、圧が強いと言われる人もいます。そういう場合は、直視しない、面と向かわなくて、よりそうような形で座ってみるのも手です。ヤフーでも1on1のときは正面に座らないようにしています」

感想を聞き終えると、伊藤さんは今のグループで役割の交代を命じました。

伊藤さん「役割交代したら、姿勢、表情、頷き方、その人が喋りたくなるような質問で、話のペースを作っていきましょう。聞き出す達人は質問しなくても、頷くだけでそれができたりします。では3分でいきましょう!」

会場が一斉ににぎやかになります。フェイスシールドにマスク姿ですが、みんな一生懸命話しています。

伊藤さん「「では4分で振り返りしましょう! 必ずMOTTOポイントを出すようにして!」

伊藤さん「2周してイメージがついたかと思いますが、最後のマネジャー役は、次のことに注意してやってみてください。メンバーが前のめりにきたら寄り添うとか、返事のパターンも『うん』にはいろいろあります。バリエーションを持たせてみましょう。

いろいろな返事パターンを持ち、相手が話したくなるようにします。家入一真さんが、チャットの返事パターンは5つだけと言っていますが、1on1も同じで、いろいろ変えてみましょう」

「チャットの発言パターンは5つだけ」家入一真が明かす“人に期待しない”マネジメント術|新R25 – 20代ビジネスパーソンのバイブル(FASTGROW)

返事のほかにも、伊藤さんがたくさん話してもらうコツを追加投入して役割を交代。3人組の全員がすべての役割を経験することになりました。

伊藤さん「次はフィードバックを3分半でやってみましょう。だいぶ共有できていることが増えているはずです」

そう、このワークショップは、ひたすら話して、ひたすらフィードバックして、ひたすら他人の1on1を観察して考える「実践訓練のトレーニング」なのです。いかに聞き出すか、頷くか、皆必死に取り組んでいます。
ステップ1の学び:「関係を作り、相手に合わせる」

3回の1on1を終了したところで、伊藤さんが参加者たちに感想を聞いていきます。

マネーフォワード竹田 正信さん「最初にメンバー役から始めました。最終的にはこの3人のリレーションがとれたので心理的安全性が上がったのか、すごくスムーズな感じになりました。すると最初の準備や覚悟がなくても話が盛り上がる。そういう関係をメンバーと作ればいいのかなと思いました」

羊一さん「とにかく回数をこなすことですよね」

マネーフォワードシンカ山本 華佳さん「三者三様キャラクターが違いました。私は手早く質問したいタイプで、ゆっくり話すより、間を気にせず会話をしたいほうなのですが『もっとバンバン質問したらよかったですよね』というコメントをいただいたりして、相手のキャラクターを見ながら質問の速度や内容を変えていけないと、いい1on1にならないなと思いました」

伊藤さん「そうなんですよ! 自分のやり方よりも、相手がたくさん話すかどうか、質問も相手のため、相手のための時間だから、そこをぜひ徹底していただければと思います」

そこで伊藤さんが会話を活性化するコツを伝授。3人組で役割りが一巡して次のワークは?と思ったら、なんと、メンバー交代で1on1続行です。そしてさらに伊藤さんはレベルアップを求めます。

ステップ2:1on1を成長につなげよう

伊藤さん「1on1は、目標達成と成長支援をする場であるというワークです。次は『振り返って』、『気づく』というワークをします。経験学習サイクルで成長していくのです。

『気づく』は、このサイクルの中でも短めです。こちらから教えてもいいけれど、質問をすることを通じて、相手の自発的な行動を促していきます。最終的に、メンバーがいつまでに何をするか?ということに気づいてもらえればいい。

これを繰り返して関係ができあがってくると、この経験学習サイクルの4つの流れがわかってきて、1on1のときに何をしないといけないのか、メンバーがある程度準備してきてくれるようになります。

フィードバックのときは、ファクトとGOODとMOTTO、このMOTTOを何が何でも、強いて言えばというのを見つけるのが大事です。では、新しいチームになって、自己紹介からやっていきましょう!」

今までのワークは準備のようなもので、この「やってみよう2」が1on1でマネジャーとメンバーが話し合うことの本題。新しいチームでこのワークを5分、フィードバックを3分で行ったら、役割交代して、さらに実践を重ねていきます。

伊藤さん「リアル相談会でやっていってください! 次、ロール交代3人目!」

もはや1on1のスパルタ特訓です。今回のワークショップの資料はすべて公開されていて、参加者にも配布されましたが、ここまで追い込んで話す、聞き出そうとする、気づこうとする、考えようとすることは、最初は自分たちでは無理かもしれません。また、1役割終わるごとに少しずつハードルを上げていく羊一さんのモデレーションも絶妙です。

2つ目のチームでフィードバックまで終わると、学びの早い参加者は何かを得たようです。

WAmazing加藤 史子さん「話しているうちに、自分で、自己完結して思いついたりしてくるので、この1on1を誰かにやってもらいたいなと、私たちの組は盛り上がっていました」

伊藤さん「そうなんですよ、最初は1on1をどうやったらいいんだろうとか、何を質問すればいいんだろうと悩んだりするのですが、話してもらうだけで自然と気づいてもらえたり、解決できたりするんです」

HLAB髙田さん「まさに同じで、勝手に喋って、勝手に気づいて『来週これをやります』みたいなことを、自分から言っていました。

自分が7、8割話していた気がするのですが、マネジャー役の人から、最後の3分間で1つしか質問していなかったと言われて、そういう話しやすい空気感や関係性を作るのが大事だと思いました」

伊藤さん「そういう時間をどれだけ作れるかが大事ですね」

つまるところ1on1とは、メンバーが主役であるため、あまりマネジャー側から教えないようにすること、また、メンバーに質問をして仕事をした気にならず、来週何をするかコミットしてもらうことがチーム力最大化には重要とのことでした。

テレワークの違和感も1on1で解決できる

今年に入ってからは、物理的に集まることなく、チーム力を発揮することが求められるようになりました。大きな流れとして、テレワークへの移行が進まず、生産性もリアルに出勤するよりも劣ると言われています。伊藤さんは、その鍵を握るのが1on1だといいます。

伊藤さん「日本では、テレワークは非効率という声が強いですが、ヤフーでは無制限リモートワークになって効率が上がった/変わらないが92.5%。今後どの程度の出勤がベストかと聞くと、週1〜2出勤でOK、週0でもいいという声がほとんどです。

日本はIT環境や出勤が前提など、テレワークに必要な様々な準備が整っていませんでした。これは慣れていくしかないと思います。そのうえで、なぜこんなに否定的なのかと考えると、やはり、個別のコミュニケーションが足りていないからではと思うのです」

1対N(多数)のコミュニケーションは、目標の共有などでやり続けるもの、雑談的コミュニケーションは、今どきならばオンライン飲み会などでも代替できます。残る問題として、伊藤さんがもっとも感じているテレワークの壁は、1on1で解決できるといいます。

伊藤さん「リモートで、メンバーは自分はこれでいいんだっけ?と思い、マネジャーはあいつは元気かな? 何を考えているのかわからないと思う。するとテレワークでは不安で、否定的になります。それを解決できるのが1on1ではないでしょうか」

伊藤さんの説明する1on1は、マネジャーが示す・引っ張るのではなく、自分の話を聞いてくれるという関係を作ることで、メンバーの気持ちを引き出してよりそい、自発的な成長を見守ること。その結果、働く環境に左右されず、チームが最大効果を上げていくようになるのです。

ワークショップを終えた感想

時間いっぱいワークに取り組んだ参加者の皆さんたちからは、1on1へのイメージが変わったという感想をたくさんいただいています。

inaho菱木 豊さん「学びがたくさんあり、早速社内でもあらためて1on1のやり方をブラッシュアップできるよう、資料を使いながら展開予定です!」

京セラ 谷 美那子さん「今まで1on1の場をメンバーのための時間として考えられていなかったので、ワークショップしながらだいぶ反省しました! これを機会に変えていきたいと思います」

LEXUS沖野 和雄さん「とても役に立ちました。弊社でも採用してみようと思っております」

インターンショナルシューズ上田誠一郎さん「リーダー、メンバー、オブザーバーの3役を経験できたことが良かったです。いつも弊社ではリーダー側ですが、メンバー役になることでメンバーからの視点を感じることができました。

同時にいかに自分の聞きたいことを聞き、言ってほしい事を言わせていたかを痛感しました…(笑)。

メンバーが主役、導くという大切な部分を改めて気付けた貴重な経験でした。これからは聞くこと、導くことを常に意識してメンバーと1on1に励みます」

ICC小林「自分の話の特徴がよくわかりました。自分のためのミーティングになっていました。結局自分のもやもやしていることを解決したい、という思考パターンに気が付きました。

ここにいると、僕はボスキャラになってしまうので、そこをどうしたらいいか考えないといけないなというのと、こういう研修を受けながら、自分の経営者としての力量のなさに気がついてしまいました」

dof 齋藤太郎さん「伊藤さんって物事をシンプルに説明するの上手だなあ、と感心したのが一番の感想なのですが、肝心の内容については、いつもクライアントさんから話を引き出す仕事をしてる身としては、意外と出来ているなと思いました。でも社員に対しては自分が喋っちゃうからダメだなあ、と反省した次第です」

◆ ◆ ◆

1on1を行っている企業は多いと思いますが、こういった感想の数々をうかがうと、個人レベルからの課題の吸い上げや、マネジャー側からの要望などをマンツーマンで聞いたり、伝えたりすることが多かったようで、今回のワークショップは真逆の体験だったのではないかという印象です。

さらに今回のように立場を変えて、メンバー側の立場になってみたり、他人の1on1を間近に見て自分を振り返るという経験はなかなかないのではないでしょうか。

そんな体験ができる伊藤羊一さんのワークショップは、9月1日「Lead the Self」(内容はこちらのレポート)、9月2日は今回の「実践 1on1ミーティング・トレーニング」です。ともに120分拡大版でお送りします。ともに募集終了となっておりますが、受講予定の方々は、ぜひご期待ください!

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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