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前回のICC サミット FUKUOKA 2019が終了後、ともに学ぶ機会をさらに増やすために、参加者の方々や運営チームのスタッフを対象とし、週1回ペースでICCアカデミーを開催しています。2019年6月19日に開催したのは、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんによる研修体験プログラム【Lead the self】。運営チームのスタッフも参加させていただき総勢31人で、ICCサミットでも屈指の人気セッションを体験しました。その模様をレポートします。ぜひご覧ください。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
【開催情報】
6月19日(水)
Yahoo!アカデミア 伊藤 羊一学長による「Yahoo!アカデミア 研修体験プログラム【Lead the self】
@ICCパートナーズ オフィス
【ご参加いただいた方々 (敬称略)】
荒深 慎介 株式会社Eco-Pork
岡田 祥吾 株式会社GRIT
神林 隆 株式会社Eco-Pork
柴田 未結 株式会社 GRIT
中平 健太 株式会社ガラパゴス
八木橋 裕 ダブルフロンティア株式会社
會田 武史 株式会社RevComm
岩瀬 陽平 Marketing-Robotics株式会社
碓氷 早矢手 株式会社講談社
漆原 大介 株式会社ラディウス・ファイブ
神吉 康太 株式会社 AOI Pro.
小林 紘子 ベースフード株式会社
筒井 敬三 株式会社LIFULL
橋本 舜 ベースフード株式会社
藤本 宏樹 住友生命保険相互会社
渡部 玲児 株式会社ラディウス・ファイブ
土岐 彩花 SOICO株式会社
ICCサミットで大好評のプログラムが登場!
ICCサミットではモデレーター、スピーカーとしておなじみの伊藤さんが、この「Yahoo!アカデミア 研修体験プログラム【Lead the self】」をICCサミットで初めて開催したのは2018年の京都のこと。
それ以来、ICCサミット KYOTO 2018の個別のセッション別の評価では3位、同じくICCサミット FUKUOKA 2019では5位と、約70あるセッションの中でも、常に高い評価を獲得しています。
この研修プログラムは、初日の目玉プログラムで、会場が満員になる「スタートアップ・カタパルト」と同時間、別会場で開催されており、参加したくても参加できない……という方も多かったのです。その声にお応えして、ICCアカデミーでの開催が実現しました。
伊藤羊一さんといえば、Yahoo!アカデミアの学長で、グロービス経営大学院の客員教授、ご自身が代表取締役を務める株式会社ウェイウェイなどを通じたリーダーシップ開発や、多数のインキュベーションのサポートを行っています。わかりやすいプレゼンテーションも評価が高く、そのエッセンスをまとめた書籍『1分で話せ』をお読みになった方も多いかもしれません。
人を巻き込めるリーダーになるには【Lead the Self】
ヤフー コーポレートエバンジェリスト / Yahoo!アカデミア 伊藤 羊一さん
伊藤さん「この研修プログラムは、通常は2泊3日間かけてやるのですが、今回は体験プログラムとして、2時間で行いたいと思います。
実は、ICCでこのプログラムをやることには躊躇がありました。でも、忙しい人であればあるほど、自分を振り返る時間がないものです。こうやってアウェーの環境だと、より刺激を受けて、気づきが多くなります。
どうしたら人を巻き込めるリーダーになれるのか?と尋ねる人は、そのためのテクニックがあると思っており、それを得たいと思っています。でもそのためには、【Lead the Self】が大前提です。
【Lead the Self】とは何?と思った方、もう少し待ってください。伊藤さんの解説は続きます。
経験がマインドにインストールされるための重要なプロセスとは
伊藤さんは、Yahoo!アカデミアを通じて社内の次世代リーダーの育成を行っています。その育成のサイクルは下記の図の通り。
行動とスキルは、説明の必要もありませんが、ここでいうマインドとは、情熱や志といったもの。いざというときにここがしっかりしていないと、スキルにも行動にも影響します。図のようなサイクルを回して強化をしていきます。
左側の、上向きの矢印は、学んだらすぐ行動すること。右側の、下向きの矢印は、行動をマインドにインストールすることですが、ここで注意したいのは、なにか行動、経験しただけで学びになると勘違いしてしまうこと。行動、経験がマインドにしっかりインストールされるためには、もう1つ必要なプロセスがあります。
それは「行動を振り返って、『気づき』を得る」こと。その行動で得たことが自分にとってどういう意味があるのかを考えてみることで、はっと思うような気づきが生まれる、と伊藤さんは言います。
そのサイクルを回して自分を成長させることの最終目的は、社会に役立つ人間になること、そのためには人を巻き込まないといけないし、そのためには、何より自分が熱狂し、自らを導くことができなくてはいけません。
【Lead the Self】 = 自らを導くのに何より大切なのは、内省と対話で「自分を知る」こと。内省だけでは、自分で思考停止になってしまうこともあるため、他人と対話したほうが別の視点も得られます。
伊藤さん「リーダーシップとはこういうことかと僕がわかったのは、44歳の時です。リーダーの仕事とは、意思決定することです。意思決定をしていくときは、自分の大事にしている考えを拠り所にして、自分の信念で決めざるを得ません」
そこで、今回のラウンドテーブルでは、意思決定の源となる「自分の信念」を探します。そのためのグループワーク第1部がスタートです。
グループワーク②自分のライフラインチャートを作ってみよう
参加者が3人1組に分かれて、グループワークがスタート。まずは、伊藤さんのライフラインチャートを参考に、自分のライフラインチャートを作っていきます。それが終わったら、グループ内で持ち時間を等分にして、最初の2〜3分で自分の人生の説明をし、残り時間で聞き手は相手に質問をします。
伊藤さん「自分の人生を振り返ったうえで人に話すのは、自分で言語化するため。頭で考えるのと、話すことは違います。自分の過去を頭の中で振り返っても概念化しません。
質問してもらうのは、他人の感覚を自分の感覚に入れて『そんなことに引っかかるのか』『私はこういうことをもっと伝えたいのか』という気づきを得るためです」
まずは各自が自分のライフラインチャートを書いていきます。それを見て、伊藤さんがひとこと。
「ICCに参加している方々はきわめて特徴がありますね」
それが終わると、グループのメンバーに自分の人生についてのプレゼンが始まりました。初対面の方々も多かったと思いますが、みなさん一生懸命に説明をして、時間いっぱい活発な質疑応答が行われました。
グループワークが終了となり、伊藤さんが解説します。
伊藤さん「さきほど言った、みなさんのライフラインチャートの特徴は、上下の波が激しいことですね。これはいいことです。なぜかというと、僕もそうでしたが、つらかった経験があるから大きく跳ねる。そういう経験がたくさんあるのはいいことです。
自分の人生や仕事を俯瞰で見られる人、小さなことも大きなことのように捉えられる人、起伏が大きい人のほうがビジネスがうまくいくと思います。皆さんは素直で、それを語れるということはハッピーだと思います。
集団によっては、起伏がなくずっとフラットなときもあります。
みなさん声も大きかったですね(笑)。僕が今までやったセッションで、最高にうるさかったときの9割ぐらいに声が大きいです」
グループワーク②自分の「譲れない想い」を考えてみよう
グループワーク第2部は、ライフラインチャートをもとに、さらに自分を深く掘り下げていきます。
伊藤さん「信念とは、滝に打たれてひらめくものではありません。それを見つけるために、過去の自分を振り返っていきましょう。
自分の譲れない想い、信念を考えてみましょう。それは、過去の経験とどうつながっていますか? 最初のグループワークで話していて、自分でスイッチが入ったことでもいいです。それをメモ程度でいいので、ひたすら書き出してみましょう。思いついた言葉でOKです。
たくさん書いた人は、どれが一番かを考えてみましょう」
最初のグループワークに続き、3人一組で続けます。自分で考えて書き出したあとは、それを発表し、聞き手はそれに対して質問。最後は、自分の想いをまとめて発表します。
各グループを見学していくと、極めてパーソナルなことにも関わらず、いずれも熱心に話し合っています。笑いが絶え間なく上がるグループ、少し離れたところで落ち着いて話しているグループ、さまざまです。
伊藤さん、こうやってブレストみたいなことから、自分の信念とはすぐに出てくるものなのでしょうか?
伊藤さん「人生経験が長い人は、内容も多いですから語るのが上手です。逆に学生なら当然少なくなります。でも、すぐ出てこなくてもいいのです。ずっと考え続ければいいのです。
いつも自分がこういうことを話していると気づいたら、それがゴールに近いです」
お互いを称える拍手でグループワークは終了、伊藤さんの解説が始まりました。
現在を変えなければ、未来は変わらない
伊藤さん「信念とは、そんなにかんたんに、ライフラインチャートから導けるものではありません。その一方で、この話は大事だったというのが、見えてきた人もいるかもしれません。常に自分に問い続けるのが、【Lead the Self】の営みではないかと思っています。
日々問い続けるのが大事。それがNOW、現在です。そしてそれがWILL(志)、未来へつながっています。
よく、志を立てよ!と言われて、いきなり考えようとする人がいます。でも、そこだけを考えても説得力がない。今がつながった先に、未来があるのです。つながっているから、未来だけを変えたいといっても無理です。過去、現在、未来、この延長線上でしか未来は作れません。
『これまでの人生を大逆転したい』と言う人がよくいますが、変えるためにどうするべきかというと、今日この瞬間から、経験を変えるしかありません。みなさんも今までそうされていると思うし、これからもそうすると思います。
今の行動、経験を変えて、未来を変えるのです。それは、人生経験を積めば積むほどわかってきます。今、現在、目の前にあることを一生懸命やったら、6、7年後に未来ができます。未来から逆算する手もあると思いますが、やはり、現在→未来です。
僕は26歳でメンタル不調になり、回復して仕事に復帰したときに、当時イケイケだった同い年のサッカー選手の三浦知良さんを、人生かけて目標にする、ああなりたい、と言いました。ずっと今までそう言い続けてきました。そういう人と張れるようになりたいと思ったのです。
実はサッカー選手は30歳ぐらいで引退するというのを想定していたのですが、予定は狂いました(笑)。
でも今日、ようやく対等な立場で会うことができたのです。25年にわたって、カズがライバル、目指していると言い続けたカズに、今日、まさにここに来る前に対談をしてきました。
(一同拍手)
内省と対話で自分を知り、未来を創るのは自分なのです」
自ら【Lead the Self】を実践して、自分を導き、人生を変えていったら、目標としていた人と対等に話すまでになっていた伊藤さん。2ショットの写真に、会場からは大きな拍手がわきました。
参加者の感想は…
GRIT岡田さん「初めて、自分の弱みに気づけたのがよかったです。僕は全然波がなかったのですが、ここにいるみなさんはすごく波があった。波が出るように頑張りたいと思います」
藤本さん「話をしているときにすごく気づきがありました。一緒に話したおふたりよりだいぶ年上なのですが、ふたりの譲れない想いの原点は『死ぬ時に後悔したくない』でした。
僕は後悔したくないから、昭和的に、自分の今いる会社が生きているうちに潰れないように頑張るなのですが、おふたりは、死ぬときに後悔したくないから、どんどんチャレンジして新しい仕事をするということでした。それを含めてたくさん気づきがありました」
土岐さん「初対面で、みなさんの人生をこんなに赤裸々に聞くことがないので、面白くて貴重な経験でした。ライフラインは過去のことなので作るのは簡単でしたが、譲れない想いを抽出するのが難しかったです。
自分はプラスになっているときは何が嬉しくて、マイナスになっているときは何が悲しいのかというのをまとめていたのですが、それを社会やチームに落とし込むときに、断絶してしまっているのを感じて、難しかったです。譲れない想いの抽出の方法を教えていただきたいです」
伊藤さん「普段はもっと丁寧にやるのですが、今日はICCのみなさんなので、ちょっと無造作にやったところもあります。たとえば3×3のマス目を書き、その1段目に自分にとって大事なこと、2段目に組織にとって大事なこと、3段目に社会にとって大事なことを書く。そうやって箱を分けて考えることによって、出しやすくなります。3つずつぐらいなら出てくるものです。
書き出してみると、やはり自分は自分中心なんだなと、客観的にわかったりします。そのうえで、自分の中で一番大事なのは何かとを考えていくといいですね」
筒井さん「今は新規事業担当や、ベンチャー投資などをしています。今回よかったことは、なぜ今やっていることが楽しいのかということに、過去を振り返ってみて気づいたことです。自分が挑戦するのが好きなのはわかっていたのですが、今回、人に挑戦させるということも好きなのだと、気づきました。過去を振り返ってみることは大事だと思いました」
伊藤さん「忙しいみなさんこそ、週1回でいいから、メタ認知というか振り返ってみる時間をもつことをおすすめします」
橋本さん「ドラクエは、勇者の想いに魔法使いなどが賛同して戦っていきます。大企業の場合は、自分の想いよりも、経営者の想いにみんなが委ねていく。事業成長のためと考えたとき、全員や半数以上が自分の想いベースで考えるのはいいことなのでしょうか?」
伊藤さん「基本的に、ラインで仕事をすることと、【Lead the Self】は別だと僕は言っています。でも、意思を持って誰かの下につくことや、上の人の判断に『ここは違う』と考えるのも自分の信念に基づくもの。細かい判断は現場に委ねられることも多いと思います。そのときに盲従せずに自分の意思に従ったほうがいいのではないでしょうか」
運営チームスタッフ清水さん「対話をしてみて、自分でも抜けているところに気づくことができました。ボランティアの社会活動で就職支援をしているのですが、学生に、過去、現在、未来を大切にして考えようと言いながら、今日伊藤さんから同じ言葉で話を聞いて、その深さのレベルが違うことに驚きました」
中平さん「この研修を受けたことがありました。でも新たに未知のおふた方に対話したことで、非常に鋭い質問をいただいて、内省することができたのはやはり楽しかったです。
ただ、信念をまだうまく言語化できていないというところがあります。伊藤さん自身はいつ頃、ご自身の信念を見つけたのでしょうか?」
伊藤さん「今から2、3年前ですよ。ヤフーに転職するときに、事業を作ることを諦めて教育の道にいくことにしました。教育なんて60過ぎてからでいい、もっと年齢がいってからでいいのではという人もいて、いろいろな人と話しました。
でも、2年ぐらい今のようなことをやってみて、ずっと教育が面白い、めっちゃ面白いなと思っていました。それから1年ぐらい、なぜ自分がこんなに盛り上がっているのかと考えていたのです。
あるとき、ライフラインチャートをみんなに作ってもらっていたら、みんなに『大丈夫、大丈夫』と言っている自分に気がつきました。なぜこんなに自分は、人に大丈夫だと言っているのだろう?と思いました。
そのときに『人は変われる、俺は変わったから、みんなも変われる』というのが出てきたのです。だから自分は、これをやっているのか!と納得できました。
でもそれが出てくるまでは、1年ぐらい悶々としていましたよ」
中平さん「経験としては25年もの、悶々としていたのは1年ということで、すぐ出ないからといって、焦るなということですね」
伊藤さん「そうですね」
會田さん「僕はすごくポジティブなので嫌なことは忘れています。だから、常に前よりよくなっているグラフを書きました。たぶん中学生のときに書いても、同じようなグラフになったと思います。
今は波がありますが、この先、40歳、50歳でもっと高みを目指していけば、現在の波を振り返ったときフラットに見えるのではないかと思います。未来はもっと幸せに、もっと感情の幅がある、そんな人生を送りたいと思いました」
伊藤さん「こうしてアウトプットし続けて、概念化をし続けて、周囲にもそれを働きかけていくと、リーダーシップのベースになると思います。これをみなさんが実践していただくことを期待しています」
グループワークでありながら、自分自身としっかり向き合った2時間。これを伊藤さんは、日々実践していくことを呼びかけて、体験プログラムは終了しました。
伊藤さん、ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成
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