社会、ビジネス、顧客……ニューノーマル前後、ものづくりの現場で何が変化したのか?CRAFTED NIGHTで徹底議論!【ICC KYOTO 2020レポート】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

社会、ビジネス、顧客……ニューノーマル前後、ものづくりの現場で何が変化したのか?CRAFTED NIGHTで徹底議論!【ICC KYOTO 2020レポート】

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8月31日~9月3日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2020。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、9月2日の夜、京都node hotel 1階パブリック・スペースで開催された特別プログラム、CRAFTED NIGHT powered by LEXUS「ニューノーマル時代におけるCRAFTEDがもたらす体験価値」のディスカッションをお伝えします。CRAFTEDな論者たちが、この半年での変化や、これからの体験価値を語ります。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
特別プログラム「CRAFTED NIGHT powered by LEXUS」

沖野 和雄
Lexus International
レクサスブランドマネジメント部 Jブランディング室 室長

村岡 浩司
株式会社一平ホールディングス 代表取締役社長

山崎 大祐
株式会社マザーハウス 代表取締役副社長

山下 貴嗣
Minimal – Bean to Bar Chocolate – 代表(株式会社Bace 代表取締役)

(モデレーター)
渡邉 康太郎
Takram コンテクストデザイナー / 慶應義塾大学SFC特別招聘教授


ICCサミットも2日の会場プログラムを終えた2日目の夜、「アートコレクターの住まい」をイメージしたnode hotelには、ものづくりに携わる面々が集結していた。この日、CRAFTEDカタパルトとラウンド・テーブルを経た人々を中心とするコミュニティは、話が尽きることはないらしい。

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登壇者たちが次々とLEXUSで会場のnode hotelに到着

この「CRAFTED NIGHT」では、Takram渡邉 康太郎さんがモデレーターを務め、CRAFTEDカタパルトでもおなじみの4人がパネル・ディスカッションを行うことになっていた。会場となるnode hotel1階のラウンジは、本番を終えたCRAFTEDカタパルトの登壇者たちもいて、リラックスした雰囲気だ。

議論後半は、この後の特別プログラム「Co-Creation Night」に来場した人たちの熱気で、会場でも一部聞きづらいところもあったのではないかと思うが、今回のICCサミットで唯一といっていい「ニューノーマル」をテーマにしたセッション。ものづくりの現場で起こっている変化が語られた貴重な内容となったため、ほぼ全文に近い形でお届けしたい。

年間4カ月の出張がなくなり、Minimalがしたこととは

渡邉 康太郎さん(以下、渡邉)今日のテーマは「ニューノーマル時代におけるCRAFTEDがもたらす体験価値」です。「特に準備することなく、リラックスして当日に臨みましょう」というメールが登壇者宛に届いていました。

ですから我々、カジュアルな気持ちで来ていますし、少人数なのでお互いリラックスして、お聴きの皆さんも質問などあれば途中で手を挙げて頂ければと思います。

タイトルが『ニューノーマル時代』ですから、この時代や環境の変化にどう対応しているのかが話のきっかけになりますね。

そもそも皆さんにとっての「CRAFTED」とはなにか、ここ数カ月でその意味が変わったか……という点から聞いていきましょう。

Minimalの山下さんから、いいですか? 原料を赤道直下の南米やアジア・アフリカから輸入しているとのこと、コロナ禍の今、物流に問題はありませんか?

山下 貴嗣さん(以下、山下)皆さん初めまして、Minimalの山下と申します。チョコレートのブランド経営しております。

チョコレートの原料のカカオ豆は、赤道直下の北緯南緯20度以内の国で採れるもので、対象になるのは、世界で約60ヵ国くらい。私は1年のうち4カ月はジャングルに行って仕入れており、大体いつも3~6月の時期はほとんど海外で過ごします。 今年はコロナ禍で一度も海外には行けておりません。

物流については、コロナの影響で少し遅れましたが、船は動いています。

アジアの豆は、フィリピンやシンガポールを経由して日本に来ることが多いです。シンガポールの船の運航は、少しだけ止まりましたね。

南米の豆はインド洋や太平洋経由で来るので、途中で港に停泊できなくて、3、4月は数週間 納品が遅れたことがありましたが、今は正常に動いています。

渡邉 一年のうち4カ月、代表が電波の届かない農場やジャングルにいて、最高のカカオを探したり、生産者と関係を結んだりしているのがMinimalのDNAであり、ブランドをブランドたらしめる「意味のある非合理」だと思います。今年は、それができない年でしたが、どう過ごしていたのでしょうか?

山下 初めて、社長らしく仕事をしましたね(笑)。

(会場笑)

めちゃくちゃこき使われましたよ(笑)。

お店に来店頂き、お客様に、実際に板チョコを食べ比べて頂き、カカオ豆の違いによるチョコレートの味の違いを実感頂く、お店に来店して焙煎の香りを楽しんだり食べ比べたりして頂く……。

そういう五感をフルに使った体験による意思決定が、僕らのコアコンピタンスだったとすると、物理的な来店制限で、それができなくなったのは大きかったです。

緊急事態宣言で店を閉めましたし、銀座の店は8月の段階で昨対75%ほどの着地です。

得意としていた店舗での体験価値が提供できなくなったのが、この半年のことです。

店頭からオンライン・ECに持ってくるのは意外と大変で、その裏側の仕組み作りは、細かいところまで入りましたね。誰かが指揮をとらないと、現状維持の意識が思った以上に強かったのです。

記憶がないくらい、この時代にこんなに働いていていいのか…というくらい、働きました(笑)。

渡邉 そうでしたか……。現在進行形ですよね?

山下 そうですね。

体験価値を重視するLEXUS、スタッフ育成はオンラインで

沖野 和雄さん(以下、沖野)僕らもニューノーマルですね。ラグジュアリーブランドであるLEXUSにとって、試乗などの体験価値は大変重要です。

私は営業スタッフの教育も担当しており、そこでは全国から2,000人くらい集めて、新型車に乗ってもらって自信を高めてもらいます。

しかしそれを全てオンラインに切り替え、車やデザインの良さを伝えるようになりました。

営業スタッフは実際のものを見ていないので、自信を持っておすすめするのが難しくなっているようです。車は物理量が大きいので、見ているか見ていないかで、得られる情報量は大きく違ってしまいます。

通常は、全世界からも教育担当者を呼んで研修をしているのですが、今はやり方を模索しています。

全50店舗を一時的に閉めて、マザーハウスが気づいたこと

渡邉 なるほど。マザーハウスの山崎さん、いかがでしょうか。

山崎 大祐 さん(以下、山崎)うちは6ヵ国に工場を持って、5ヵ国で販売しています。計11ヵ国で700人の従業員がいますが、ロックダウン中に出勤できたのは50人ほどでした。

我々は途上国の素材と技術を使って、途上国のイメージを変えるようなバッグ、ジュエリー、アパレルを作って売っています。卸会社は通していないので、全て自社店舗で販売していますが、ロックダウン中は全50店舗を閉店しました。

そこで気付いたことは3つあって、まず間違いなく、CRAFTEDの危機です。

なぜかと言うと、CRAFTED、ものづくりには現場が必ずあります。

僕も年間半分くらいは途上国の現場にいるのですが、全く行けなくなったので、こんなに長い間日本にいるのは初めてでしたね。

影響が出るのはこれからで、特に商品開発だと思っています。

生産にダメージがあった会社もあると思いますが、生産は現場に力があれば、分散型マネジメントで成り立ちます。しかし開発は新しいものを作る必要があるので、目の前でものを見て、一緒に触ることが必要なのです。

ですから今後、この秋冬以降どういうことが起こるか注視した方がいいですね。

2つ目は、お店が消えてしまう時代も来るのかと思ったことです。つまり、お店を全くオープンできない日が来るなんて思っていなかったわけですね。

我々は、お店をとても大事にして、こだわっています。お店がシャットダウンすると、多い店では1日数千人のお客様と触れ合う機会がゼロになったのです。世界がこれほど自由を失ったのは第二次世界大戦以降初めてで、まるで戦時中のようでした。

でも、HOWにこだわっていると伝えられない状況だと思ったのです。

3つ目は、万能に思える言葉ですが、「ニューノーマル」という言葉に気をつけた方がいいということですね。

実際に起こっていることを話すと、50代以上のお客様は全く来店しなくなりましたが、40代以下の方は今、これまで同様に買っています。

つまり、ニューノーマルと言うとみんなが同じように行動するように聞こえますが、今の状況は、リスクを考えない人とリスクを避ける人で、行動様式が全く変わっているということです。

ですから、行動様式、1人1人に合わせて売り方を変えなければいけない時代が来た、ということです。本当の力が問われますよね。

うちの工場は、日本人がほとんどいなくて、ローカルでマネジメントしており、この状況下でも全く問題なく生産ができています。現地の人たちに文化やミッションが浸透していない場合は、本当に危機になるし、逆の場合はチャンスですね。

分散型マネジメントができる組織だと差がつきますし、CRAFTEDも同じことかと思います。

渡邉 今は対面できる機会が限られています。組織の文化的蓄積を取り崩しながらなんとかやっているのが今の状態かもしれないですね。これが2、3年続いたらどうなるのか、新しく組織に加わる人はそれで適応できるか、という問題が出てきそうですね。

山崎 面白いですね。ブランドは、投資をして積み上げる局面と、切り崩してお金にする局面があると思っています。

今は緊急事態なので、ブランドの持つ文化資産をお金に変えていかなければいけません。

生き残るために、会社を強くし、かつ、このタイミングで文化資産を増やす方法を考えないといけないですよね。

両極端の思考を巡らせる一平ホールディングス

渡邉 村岡さん、色々な切り口で話が進んでいますが、今どう対応しているか、今だからできることなど、お聞かせください。

村岡 浩司さん(以下、村岡)宮崎県から来ました、一平ホールディングスの村岡です。

ものづくりのための農業原料を集めるので、いろいろな研究のために九州の産地を回ったり、工場を訪ねたりしています。

工場が持つコアな技術の部分について聞き、そこにこちらから少しイノベーティブなアイデアを加えていきます。例えば九州全県から集めた稲作素材でパンケーキミックスの製品にする、南島原のそうめんの里で、そうめんの乾燥技術を使ってパスタを作る、などですね。

コロナになった3月以降は、むしろ忙しいよ(笑)。

山崎 忙しいですね(笑)。

村岡 皆さん経営者なので、この局面を乗り切るために、アドレナリンが出たと思います。

我々は飲食店も経営しているため、そのセクションは何ヵ月も地を這うような生活が続いています。

一方、ものづくりセクターでは、ホットケーキやパンケーキは需要がすごく増えたので、多く注文を頂いて伸びました。凸凹ありながら、今日を迎えています。

九州の小麦シーズンは5月の終わり頃なのですが、今年は小麦の刈り取りに立ち会うことができませんでした。

食品工場はどこも衛生基準が厳しいし、危機管理マニュアルに沿って対策をしています。製造工程ごとに部屋が分かれていて、その部屋間で行き来することはできないなど厳格にやっています。また、営業担当と会うのも会社の外の喫茶店で、という状況でした。

僕らのものづくりでは、1つのプロダクトをローンチするのに研究、開発、試作を繰り返すのに2年から3年ほどかかります。ですから開発中のプロジェクトは、この状況下でも粛々と続けています。

この10月に面白い商品を1つローンチします。

これは最初からグローバルで発売することを視野に入れて、コロナ禍であっても海外販路を開拓するために、ずっとオンラインでコミュニケーションをとり続けています。

ドイツ、台湾、中国、マレーシア、アメリカ、日本と6ヵ国同時発売です。

開発も産地も九州に閉じているのですが、文字通りコロナで行動も閉じて、閉じ切って……でも別の部分ではしっかりと解放性、つまり開かれたマーケットを求める、という両極端の思考をめぐらせていました。

やるべきことより、どうありたいかを考える時間ができた

渡邉 それぞれ業界は違いますが、どう乗り越えようとしているか、リアルタイムの切り口をお話し頂きました。

このつらい状況に無理矢理にでも光明を見出す、という観点で、パリに住んでいる友人から聞いた話を思い出しました。

パリではロックダウン中も、いくつか営業許可されている業種がありました。

例えば、生活必需品であるパン屋は営業可能でした。日本では家で米を炊きますが、フランスではパンは買うものです。

しかしロックダウン中は、イーストを仕入れてわざわざ自宅でパンを焼く人が多かったらしいのです。パンなんて、お店で買う方が美味しいものですよね。つまり手間をかけてまずいパンを焼いていたわけですね。

友人曰く、その理由は例えば、パン生地がぷくーっと膨らんでいく様子に生命を感じるとか、こねるときに生地を触る感触が人肌に似ているとか、家の中に異なる匂いを感じられるとか……。

人がどうCRAFTEDを求めるのかという土壌に変化が生じている。今までと異なる欲求のエネルギーが高まっているのかもしれませんね。

つまり、コンビニでパッと買うこととは異なるものとの出会い方、体験の仕方について、色々な人が考え始めているかもしれません。

村岡 確かにレストランも、地域に支えられてきたお店や、こだわりの料理人のいるお店は完全に戻って来ている感じですね。旅館でも、歴史のあるところは立ち上がりが良いです。

根底にストーリーや想いがあるところと、単にトレンドを狙ってやってきたところで差がついているのではないでしょうか。

僕自身が感じたのは、顧客のありがたみ、多くの人に支えてもらうありがたみですね。大変な中でもそういった「絆」のようなものを地域に感じて、様々な対策に顧客も応えてくれて、現在ではかなり客数も戻ってきました。

山崎 考える時間があるのは大きいですね。

僕らは日頃、doing、つまり何をやらなければいけないかに支配されてしまっています。

それがbeing、どうありたいか、何をやりたいかを考える時間ができたと思います。

ブランドは価値の提供を求められている、と感じることが多くなりましたね。

僕らは緊急事態宣言の1週間後に、オンラインチャットシステムによるリアルタイム接客を立ち上げました。実際のお店に立っていたスタッフが、それで接客する仕組みを作ったのです。

また、YouTubeチャンネルも3つ立ち上げて、発信を続けました。

村岡さんが言っていたような、ファンの見える化はオンラインの方がしやすいと思います。

また、マザーハウスの情報に触れて、改めて戻ってきてくれた顧客がすごく増えたという実感もありますね。

あと、ベタですが動画が爆発的に広まりました。動画では、テキストベースと違って表情が見えてしまうので、色々なことがバレるのです。動画が進化して、今はライブをたくさん行っています。

ライブは嘘がつけないので、生の姿が出てきてしまいます。ですから、顧客の皆さんの理解は深まっていますね。

沖野 我々も、先ほど言った研修も、あえてライブで行っています。生のもの迫力を伝えたいので、収録だと伝わらないと感じています。

Beingという話については、在宅勤務をして僕が感じたことは、扉を隔ててオンとオフが行き来するということです。

そうすると、会社の生活と家の生活が混ざり、会社にいる時の室長という立場と、1人の人間である沖野 和雄としてどう生きるかを考えざるを得なくなります。

区切りがはっきりしていると変身ができるのですが、変身できない分、それぞれを大事にしなければいけません。

ですから、個人としての生き方をサポートすることがもっと求められているのかもしれません。初めて、「人間に戻れた」という感じですね(笑)。

(一同笑)

山下 今の皆さんのお話を聞いて思ったことが、2つあります。

Minimalのチョコレートは何も実績がないところから始め、いわゆるコト消費と言われるようなストーリーや世界観に共感をして買って頂いていました。

これまではそれをこちらが啓蒙していましたが、それを自然と求めてくれるようになったのかもしれません。

それは皆さんが言っていたbeing、つまり家での時間、自分と向き合う時間が増えたので、どう生きたいかを考えるようになったからではないかと思います。

「目の前の幸せ」に価値の比重が移った

山下 もう1つ、初心に戻って、「僕たちはチョコレートを売っているけれど、なぜ人はチョコレートを食べるのか」ということについて考え直しました。

どう作っているか、原料にこだわっている、などは、頭で理解するものです。

チョコレートは、世の中に多くの選択肢があります。

つまり、僕らはこれまで差別化するためのストーリーを伝えてきましたが、口に入れるものは結局、「口に入れた瞬間の幸せの最大化」が、最もわかりやすい届けるべき価値だとすると、そこをわかりやすく伝える事をこんな時代だからやってみると言うことを考えたのです。

これをHOWに落とし、僕らはチョコレートを使ったケーキを売ることにしました。これが、めちゃくちゃ売れたのです。

リモートワークになると、パートナーや子供が家にいますよね。

でも家はリモートワーク向けに設計されていないので、オンとオフが混ざります。

そうするとストレスがたまりますが、ケーキやチョコレートを切り分けて食べると、「家で仕事をするから、うるさくてごめんね」と言えるし、幸せな時間を家族と過ごせるのです。

このように自分たちが提供している根本的価値について議論し、切り分けられて、子どもでも食べられる味のスイーツを開発してオンラインで売ったのです。

Minimalがもともと提供していた、単純な「口に入れた瞬間の幸せ」を、今の世の中に合わせて、お客様の生活スタイルに沿って最大化したということですね。

渡邉 生活のなかで自ずとわき上がってくる欲求やニーズという土壌があって、そこに対するささやかなサポートを、ケーキの形で届けたということですね。

山下 まさにそうです。

山崎 山下さんが今言ったことは、すごく重要だと思います。3月~5月に起こったこととして、社会性に対する興味やパッションが消えたのです。

例えば、コロナ関連の記事以外は読まれなくなりました。

そこで何が価値になったかというと、生活やbeingのあり方に貢献できるものだったのです。

山下さんは「向こうから求めてくれるようになった」と言っていましたが、落ち込んでいる自分に何を提供してくれるかという観点から見て、ブランドの成り立ちや努力に共鳴してくれたから来てくれるようになったのではないでしょうか。

それは、社会的な関心ではなかった、例えばうちのブランドで言えば、途上国に興味関心があったからではないと思っています。

本当に、自分たちのプロダクトが、人々の目の前の幸せに貢献できるかを考えないといけないですね。

CRAFTEDカタパルト審査員の渡邉さんが驚いたこと

渡邉 今日、10社のCRAFTEDカタパルトのプレゼンを見ていて、自分でもびっくりしたことがありました。

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審査員としてプレゼンを聞いているとき、期待するのは、「欲しい」「応援したい」「いいな」「投資したい」「一緒に仕事をしたい」という感覚のベン図が重なることです。

でも今回、ベン図は重ならず、個々の感覚が別に生じることになりました。

例えば、「商品は欲しいけど、別に人に勧めたいわけではない」とか、「取り組みを応援したいけど、商品はいらない。寄付はしてみたい」とか。

「心を奪われる」という表現がありますが、そういう心地なのか、それとも肉だけ奪われているのか……。

つまり、矢は刺さっていても、肉にしか刺さっていないと、「欲しい」としか思わないのかもしれない。もし心まで射抜かれているなら「欲しいし、応援もしたい」となるのかも。別のパターンとしては、矢はまったく刺さっていないけど、心だけ共鳴する場合もあるかも……などと考えていたのです。

この、ベン図が重ならないのはもしかしたら、山崎さんの今の話に関わるのかなと思いました。

生活に必要か、社会的な意義があるか、自己実現につながるかなどの観点で、マズローのピラミッドの下からどこまでリーチできるか、矢がどこまで届くかということですよね。

CRAFTEDとはそもそも、ひとつの価値にとらわれず、そのブランドならではの新しい価値観を提供することです。例えば、「カカオってフルーツなんだよ」と、新鮮なカカオを使ったチョコレートを作るのは、新しい軸の提案です。

価値観が多様化した先には、「いいかもしれないけど、自分には関係ないな」というものも生んでしまう。それで、はっとさせられたんですよね。

自分たちのブランドが必要かどうかを社会に委ねる

村岡 よく分かります。色々な手法や手段を学んで、どうやって僕たちのストーリーを伝えればいいか、どう売ろうかと考えていました。

しかし今、自分たちのブランドが社会において必要か必要ではないかを、社会に完全に委ねなければならない局面が来たと思っています。

九州は7月4日に豪雨水害があって、とんでもない状況になりました。

熊本県にある人吉市はひどく被災したのですが、その水害がおきる前の2週間、毎週、僕は人吉市を訪れていました。というのも、100年ほど続いている、川下りの起点のような場所があるのですが、観光地なのにさびれていて将来的にリニューアルするので、一角に九州パンケーキのカフェを作りたいという話があったからです。

設計段階まで行ったのですが、水害で、街が全て流れてしまったのです。浸水は4mにもなり、商店街も、鉄道も、タクシーの9割も流れました。

一旦みんな諦めたのですが、8月頭に連絡があって、「街はなくなってしまったけれど、100年以上も続いていきた川下りをなくすわけにはいかないので、取り戻したい」ということでした。

その中で、「みんなが集まれる心のよりどころのような場所が必要だから、村岡くん、君のパンケーキが必要だ」と言われたのです。

これを話すときはいつも、泣きそうになります。そういう話が最近、たくさん来るようになりました。

人口はわずか数千人規模の田舎町の、さらに山の方にあるB型の就労継続支援(※障がいにより企業に就職する事が困難な人のための支援)をしている会社があるのですが、山の中の一軒家を改装して、その人たちが働ける場所を九州パンケーキで作りたいと言ってくださっています。

これまでの飲食店開発に求められていたのは、賑わいや歩行者数のトランザクションで、いわゆる駅ナカやショッピングセンターの一等立地で、どう売上を極大化するかということだったと思います。

でも僕らの会社の本質的な社会的価値は、九州を豊かにしていくことなので、そういうところから声をかけてもらえるようになったのは大きい変化です。

僕にとってはそれが腑に落ちる話で、これから挑戦したいと思っています。

たとえそれが、小さな最初のきっかけにすぎなかったとしても、自分の作っているプロダクトやサービスで1つの町が変わるなら、それはすごく嬉しいことですよね。

渡邉 いい話ですね、沖野さんいかがですか。

沖野 コロナでパンケーキミックスが売れたという話をきいて、ほっこりしました。

パンケーキを食べなきゃいけない家庭はないのに、それを買うのは、「不要不急だからパンケーキが大事」と思ったということで、それが素晴らしいと思います。

村岡 お店を閉めると毎月のキャッシュアウトがすごいので、どうしようかなと思っていました。

それでもSNSで、「#九州パンケーキ」で上がってくる絵が、ご家庭で子どもとパンケーキを焼いている楽しそうなもので、それで救われましたね。

社会に合わせて変化しながら、価値提供を考える

山下 ちょっと軸が変わりますが、僕らの店がある東京の代々木上原に、ミシュラン1つ星で、最近バズった、sioというレストランがあります。

強烈なキャラのシェフで、僕も仲良くしているのですが、彼はコロナ禍でいち早く自分達の秘伝のレシピを全て公開したのです。

しかも、レシピをより簡単にして、「コンビニで買えるもので、家で作ったらこうなるよ」とTwitterで発信しました。

「#おうちでsio」というハッシュタグで検索できると思います。

レストランは、来てもらって料理を体験してもらうことに価値があるので、その秘伝のレシピをわざわざ公開するというのは、今までのレストランのスタイルからすると決してポジティブなことではないと思うのです。

でも彼はそれをいち早く実行しました。

結果、3,000人ほどだったTwitterフォロワーが、2、3ヵ月ほどで60,000人になったのです。

自分たちが持っていた価値を、社会の変化に合わせて手放して相手に与えたということですよね。

コロナが起こる前に彼は、そういうことは考えていなかったと思います。

僕は彼とも、「口に入れて美味しいことが、食品を届ける僕らの根本的価値だよね」ということを話しました。

僕も料理は全然しませんが、140字ほどの「#おうちでsio」レシピで、唐揚げを作りました。

めちゃくちゃ楽しいですし、レシピは誰でも簡単に作れるけど、美味しくなるようにと考えて発信されています。実際に自分で作ってみて思ったのが、(その感想を)絶対にSNSに載せるということです。

僕には兄と弟がいたので、小さい頃は唐揚げなんかは取り合いになるので母親が取り分けていました。だから大人になって「♯おうちでsio」のレシピで唐揚げを作る時お腹いっぱいたべてみようと1kg分作りました(笑)。食べ放題ですよ(笑)。

それから、やっぱりHOWも大事だと思いました。

140字だからシェアしたくなるし、ハッシュタグをつけると、ガンガン上がるわけです。

そして彼は、「#おうちでsio」レシピで全てのツイートを検索し、全てのツイートに一言「ありがとうございます」と返信していました。それで、世の中にみるみる広がっていくのを目の当たりにしました。その後、テレビでアナウンサーに料理を教えるコーナーに出演したり、本になったりしました。

この件で、2つ思ったことがあります。

まず1つ、もともと手触り感を感じさせるプロダクトがCRAFTEDの価値ですが、お客様自身にも手を動かしてそれを体験して頂き、プロダクトの価値の一部を担ってもらうことで自分ごとに捉えて頂き高揚感を感じてもらうのも、価値だということです。

もう1つは、変化に対するスピードです。

商品開発だと、例えば僕らは材料も1から作っているので、半日あればどんなスイーツでもプロトタイプなら作れます。

つまり、何かが起こった時にすぐに変更することができるのです。それは自分たちの手で行っているからこそです。

その苦労やプロセスにお客さんを巻き込んでいくことができることが、CRAFTEDの、新しいこの時代に、僕たちの価値提供として考えないといけないことだなと学びました。

CRAFTEDで手触り感を感じてもらえる質の高い完成品に価値を置いていたことに加えて、例えば「半」製品を提供して、その苦労やプロセスにお客様を巻き込んでいくことができる、これが、これからの時代に僕たちの価値提供の新しい側面として考えないといけないことだなと学びました。

村岡さんのパンケーキの話についても、似たことが言えるのではないでしょうか。

村岡さんがそれまで、「一緒にやる」場を含めて提供をしてきたからこそ、本当に必要になった時に、「村岡さんなら一緒にできる」と思ってもらえたのではないかと思います。

それがCRAFTEDの価値はないでしょうか。

沖野 お客様も作ることを体験したので、作ることへの価値が高くなったということでしょうか。

技巧があるというようなことではない、別の価値ですよね。

山下 はい。きちんとサボらずにやっていたら、返ってくる気がしています。レストランのsioも、今は毎日満席です。お客様は、家で作って食べた経験があったからこそ、レストランに行って本物が食べたいという気持ちになったのでしょうね。

ものづくりのプロセスを公開して起こること

渡邉 昨日僕が登壇した、「『コンテクストデザイン』を考える(シーズン2)」のセッションで出てきた切り口があります。

人はいかにものを好きになるのか、大事だと思うのか。もしくは、経営者はいかに会社でやらなければいけないことを決めるのかという話になりました。

自社で何を大事にして、DNAとしていくかと考えると、例えば、No.1を目指せるのならNo.1を目指し、それが無理ならオンリーワンを目指せ、とよく言われます。でもオンリーワンになることも難しいものです。

手法はコピーが可能なもので、オンリーワンを突き詰めることも結構ハードルが高い。

これをコピー不可能、交換不可能なものにするには、受け手と「共に作る」がキーワードになると思います。

例えば、sioのレシピで唐揚げを揚げると、それはsioのレシピだけど、自分でつくった唐揚げになりますよね。

手を動かしながら料理することで、自分とsioが共著者になる。共にひとつのものを作っていることになり、ブランドに対するつながりが生まれるし、お店にも行きたくなる。

この「共著者」化を起こすというのは面白いテーマだと思います。

山下 ブランドに人が入ってくる「余白」ですよね。CRAFTEDは作るというプロセスがあるので、このプロセスに人を入れてあげることは、自分ごと化する上ではすごく重要だと思います。

山崎 それはその通りですね。一方で、今までやってきたことも問われていると思います。

マザーハウスの代表の山口(絵理子)はデザイナーですが、パターンから何からYouTubeで全て見せてしまっています。

見せていいの?と思うのですが、お客様はすごく喜んでいますね。

CRAFTEDがクローズドであるものだという考えがあったにもかかわらず、それができるのは、オープンにしたところで真似できないだろうという自信があるからだと思います。

sioの例も同じだと思います。その根源の部分への自信がないと、オープンにした途端に価値がなくなってしまいます。

渡邉 それはあると思いますね。

レシピがあっても、それだけでは再現できない、属人的なものも多々あるのだと思います。コンサルティングファームが公開しているビジネスフレームワークについても似たことが言えるかもしれないですね。

4つのマスを書いて記入すればいいよと言いますが、それを上手に使いこなせるのは、作った人本人だけだったりもします。

まだ会っていない人の感情までイメージできるか

村岡 今日のCRAFTEDカタパルトも、その後のラウンドテーブルもそうでしたが、「地域」というキーワードも出てきましたよね。ただ、スケーラビリティと一致するのかどうかという議論もありました。

そういえば今日、もう1つ嬉しいことがあり、昼ごはんの時にLINEが入ってきて泣きそうになりました。

コロナで「陽性者○○人」という数字付きの速報が出ますが、数字でナンバリングして、「この人は健康、この人はだめ」と人を振り分ける事に、僕はとても違和感を感じます。

そこで誰にも言わず、会社の広報にも載せず、コロナに罹患した軽症者が宿泊療養しているホテルに九州パンケーキカフェから差し入れをしていました。

というのも、彼らは朝昼晩ずっと同じような弁当なので、うちのカフェでサラダなどを作って、「九州パンケーキのスタッフより」と寄せ書きをして届けていたのです。

そうしたら今日、差出人無記名のハガキが届いて、あるお母さんからでした。

このホテルに子供さんが2人療養のために入っていたようで、サラダの写真などがお母さんに送られてきていて、すごく喜んでくれていたようです。それで、元気になったら家族みんなでカフェに行きますというメッセージでした。

それを聞いた時に、僕らは誰に対してものを作っているのかということを改めて自覚させられました。僕は料理人でもあるので、モチベーションは単純です。目の前の人に美味しい料理を楽しんでもらいたいと思ったのです。

レクサスの動画の中にも、「まだ会っていない人の感情までイメージできるかどうかがCRAFTEDだ」というキーワードがあったと思います。

それをこの数ヵ月、すごく学ばせてもらったなと感じますね。

多様性や心の機微に向き合い、次の時代に選ばれるものになる

渡邉 イメージすると言えば、LEXUSでは、研修全てをオンライン化してライブで行っていると沖野さんがおっしゃっていました。

ニューノーマル、新しい環境下で、LEXUSはどんな価値観を大切にしていますか?

沖野 さっき、「やっと人間になれた」ということを僕も告白しましたが……。

皆さん、自分を見つめ直して、「自分は何が好きだったっけ、何かを我慢していたのかも」などと考えて、今までより一層、自分の中の多様性を見つけていると思います。

それに、世の中どうなるか分からないなかで、我慢するよりは自分らしくいた方がいいと思っているのではないでしょうか。そういう多様性に寄り添っていくことですかね。

夢みたいな話かもしれませんが、LEXUSに乗ると自分を取り戻せる、みたいになればいいなと思っています。

例えば、デザイナーが直線を引く時、仕事を続けていると、きれいなラインが引けない、自分のラインが引けなくなった時、LEXUSでドライブをして、九州パンケーキを食べに行って、帰ってくると引けるようになっている。

もちろんMinimalのチョコレートも食べながら(笑)、自分を取り戻せるようになればいいですね。

渡邉 昨日、ICCサミットの特別プログラム、比叡山に行くツアーで、LEXUSに乗せていただきました。

ドライバーの方は元々レーシングドライバーだったとのことで、運転時のベストな体のポジションを訊いてみました。

背中とお尻全面をシートにつけるのが良いらしく、そうしないと車の感覚が体に伝わってこないからだと。

プロからすると当たり前のことかもしれませんが、普段だらっとした姿勢で車を運転している自分としては、ハッとさせられました。

クルマによる身体拡張感などと言いますが、象徴的な意味ではなく、クルマが地面と接しているからこそ、自分の体で直接環境を感じられるのだと思いました。

沖野 そうですね、まさに身体感覚を取り戻せるのです。

山崎 今の話を転換すると、お客様の心の機微は、それに接していなければ分からないと思っています。

今は、プロダクトとお客様は接していますが、もし私たちとお客様の距離がもっと近ければ、この状況下での幸せの価値観の変化にも敏感になれた気もしています。

先ほどから皆さんの話を聞いていて思うのは、4月頃から、1週間、2週間という短いスパンでお客様の気持ちが変わっていったということです。

僕たちはお客様と近いブランドなので、その変化は感じ続けていて、その度にコミュニケーションを変え続けました。どうしたらお客様が不安にならないか、喜んでくれるか、幸せか、などの想いを提供し続けられないと辛いのです。

ひとつ間違えると、CRAFTEDは「こういう製品を作っているから、見てね」とプロダクトアウトになりがちです。

しかし、お客様の心の動きに敏感で、それに合わせてデザインできることがCRAFTEDには大事だと思います。

沖野 お客様の行動は本当に変わってきましたよね、特に販売の現場を持っているとすごくそう感じます。営業スタッフの行動も変わっています。

オペレーションもそうですが、商品も少しずつ変えられればいいですね。

山下 LEXUSだと、乗り味というか、いつ乗っても自分を取り戻せる価値があります。

そして山崎さんが言った、新たな生活において自分の機微の変化に気づいて安心を与えてくれるという価値もあります。

変化しないといけない側面と、常にそこにある安心感という、相反する2つを内包させることがすごく大事なのではないでしょうか。

山崎 そうだと思います。

村岡 冒頭の、ニューノーマルの話に戻ると、うちの素材の1つに、もちきびというものがあり、長崎県、雲仙普賢岳のふもとに畑があります。

そこの方々と電話で話した際、「ニューノーマルって、突然やってくる日常ですよ」と言われました。

どういう意味か聞くと、「平成2年に雲仙岳が噴火して、町中が灰だらけになったその時からニューノーマルになった、その日から日常が変わった」と言うのです。

実は僕自身も2010年に宮崎県で、家畜伝染病である口蹄疫が発生し、非常事態宣言がなされて4ヵ月間、全く商売になりませんでした。全く予想もしなかった事態となり、会社が潰れるかもしれないという状況になって、レストラン事業だけではなく、ものづくりも含めたビジネルモデルに転換したのです。

先日の九州豪雨も、コロナも、もしかしたらこの先、戦争もあるかもしれない。ある日突然、ニューノーマルはやってくる。だから今日を必死に生き延びて、残さないといけない技術や味だとお客様に選ばれたものが、次の時代に行けるのではないかと感じます。

恒例!渡邉 康太郎さんのまとめ

渡邉 パリ在住の、詩人で著述家の関口涼子さんという人がいます。

関口涼子(作家/翻訳家) – パリと私の物語

彼女は、文学に関して、「数に数えられない、失われてしまったものをわたしたちはどのように書き残すことができるのか」という問題提起をされています。

それは例えば、「我々の日々であり、味の記憶であり、革命やカタストロフであり、名前のない人の言葉であり、鍋から立ち上る湯気であったりする」と。普段なら記憶に残らない、数値化できないような物事を、しっかり記録していかなければいけないということです。

CRAFTEDには、文学に通じる部分があると思います。

マーケットの要請とは違う次元で、自分が作らなければ決して残らないものを持ち続ける義務みたいなものが、作り手一人ひとりにある。

色々話してきましたが、出てきた素敵な言葉をメモしたので、それを最後に紹介して締めくくりとしましょう。

「例年4ヵ月滞在する南米、今年は行ってない。」

「『お前いたんだな』っていうくらい、仕事をしている。」

「クルマはものが大きい、直接見ているか見ていないかの違いは大きい。」

「50店舗、全て閉店する日が来るなんて。」

「『ニューノーマル』という言葉には、気をつけたい。」

「リスク許容度や行動様式は人によって異なる。」

「ブランドには、積み上げ局面と切り崩し局面がある。」

「経営者は先頭に立って危機対応をする、その時アドレナリンが出る。」

この先は、CRAFTEDについて語っているパートからの抽出です。

「CRAFTEDは、まずいパンを焼くこと。イーストの生命や生地の人肌、異なる匂い。」

「CRAFTEDは、時に立ち止まってbeingを考えること。」

「CRAFTEDは、家で働いて、肩書きのない自分自身を大事にすること。」

「CRAFTEDは、公私が混ざった家で、家族一緒に食べるケーキ。」

「CRAFTEDは、そこに少し、切り込みを入れておくこと。」

「CRAFTEDは、水害にあったひとつの街を蘇らせる最初のかたち。」

「CRAFTEDは、時にレシピを全公開すること。」

「CRAFTEDは、共著書を作ること。」

「CRAFTEDは、目の前の人も、そこにいない人もイメージすること。」

「CRAFTEDは、自分らしさを取り戻すチャンス。」

「CRAFTEDは、変わり続ける人の心を、日々感じ取る。」

「CRAFTEDは、変化しない価値と変化し続ける価値の矛盾に立ち向かう。」

「CRAFTEDは、時に不可逆な変化によって、己の姿を変える。」

「ニューノーマル時代におけるCRAFTEDがもたらす体験価値」というテーマでした。皆さん、ご清聴どうもありがとうございました。

◆  ◆  ◆

いかなる社会の変化であれ、それが私たちの生きる現在であり、価値を生み出す環境であり、それが評価されるのは変わらない。1年前には想像もしなかった変化に日々直面しながらも、登壇した5人の言葉は、以前にも増して一層、顧客や自分といった「人」にフォーカスしていたことが印象的だった。

CRAFTEDなものづくりは、いつの時代にも価値のあるもの、選ばれる価値のあるもの。従来の枠組みが揺れる今、コモディティではない価値を共有できれば、大きく花開く可能性がある。村岡さんの言葉ではないが「アドレナリンが出る」と、次の手を試行錯誤していた方々も多いだろう。

いいものはいいに決まっている。変えてはいけないところを守りながら、変化できる可能性はどこにあるのか。つくっているものは違っても、皆が模索している課題を語り合い、様々なヒントを得られるコミュニティがあることが、今、さらに貴重なものに思えたICCサミット2日目の夜であった。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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