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OEMメーカーが宝の山を見つけたBtoC。「唯一無二のものづくりは、作り手にとってもいい」と、錦城護謨が考える理由【ICC KYOTO 2021レポート】

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9月6日~9日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2021。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、番外編としてクラフテッド・カタパルトで優勝を飾った錦城護謨の太田 泰造さんのインタビューをお送りします。創業85年、ナショナルブランドの家電パーツや、公共事業も請け負う企業が、小さなシリコーンロックグラスを作った理由とは? また、優勝プレゼンに込めた社員への想いや初参加のICCサミットの印象を語っていただきました。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


――優勝から2週間たちましたが(取材は2021年9月21日)、今のお気持ちからうかがってもいいですか?

【速報】見た目はガラスの割れないグラス!シリコーンゴム製ものづくりに挑む「KINJO JAPAN」がCRAFTED CATAPULT優勝!(ICC KYOTO 2021)

太田 泰造さん(以下、太田) そうですね、なんですかね、なんかこうまだ自分の中でも実感が……まだない…、あるんですけど、なんかちょっとふわふわした感じでですね、なんか本当に、ああ優勝できたんやなというそんな感じが正直な感想ですね。

いろんなところでおめでとうって言ってもらえたり、Makuakeさんから優勝賞品が届いたりすると、「ああ、ほんまに獲ったんやな」みたいな(笑)。

――優勝賞品のAtmoph Windowは、どこに付けられる予定ですか?

太田 それが今悩んでいてですね、家か、いや会社か、会社でもどこかな?みたいな、まだ悩んでいます。

そういうのを考えるのもまたすごく楽しいというか本当に「ああ、優勝したんやな」っていう実感につながってて、今過ごしています。

優勝2週間後の9月22日、オンラインでのインタビュー

優勝すると結構こういうかたちでインタビューいただいたりとか、メディアさんからちょっとリアクションあるかな?というふうに思ったんですけど、今のところ全然無いです……。

――ICCの影響力不足ですね(笑)、募集中ということにしましょう!

太田 あってほしいなと思いながら(笑)、そういうことがあると、また実感につながっていくのかなと思っています。

これは個人的なことになりますが、登壇の、非常に貴重な機会を作っていただいて、一番はやっぱり自分の中の整理っていうか、自分たちかな? チームとして取り組んでいることを本当にもう1回ゼロベースで見直して、それはすごく整理ができました。

プレゼンを作りながら、本当に自分たちがやりたいこと、伝えたいことというのをすごく見つめ続けることができた数カ月だったので、これは短期的な部分だけじゃなくて、これからの活動においても今回の機会がすごく役立つ、役立てるんじゃないかなっていうふうに、改めて今、思います。

「何のためにやっているか?」を見つめ直したらプレゼンが変わった

7月7日、ICCオフィスにてプレゼンリハーサルの様子

――オフィスに練習で来ていたときのプレゼンと、本番のプレゼンの両方を拝見して、すごく印象が変わりました。練習のときは「自分たちは頑張ってるぞ」というのを観客に伝えたいという印象でした。

一方、本番のプレゼンでは、もっと俯瞰して事業をちゃんと伝えたい、誰に伝えたいかというと社員に伝えたくて、ものづくりの「喜び」、自分たちのやっていることは凄いことを、社員のみんなに知ってほしいという内容でした。

練習の数カ月かを経て、最終的なプレゼンに変化した理由をお聞かせいただけますか?

太田 そうですね、今おっしゃったことがすごい正しくて、「想い」っていうのをもうちょっと伝えたほうがいいんじゃないかと思ったんです。

例えばビジネス性とか、うちのプロダクトであればデザイン性・機能性とか、新規性とかユニークネス、そういうことを伝えることもすごく大事だなと思ったんですけど、それよりはもっと大事なこと、「そもそもこれ、何のためにやってんのやろ?」というところを、すごく見つめ直したんですね。

もちろん最終的には社会の役に立つ、貢献することは重要なことだし、企業としてとても大切なことですが、それと同じかそれ以上に、社内に向けて、自分たちがやっていることがどれだけすごくて、誇りを持てることなのかに気づいてもらいたい。そういう想いこそが、僕の一番根幹にあるんじゃないかと気づきました。

ものや技術のすごさとかも入れていましたが、今回のプレゼンで自分たちの仕事、技術に対する誇りとかプライドというところをしっかり持っていいんだ、自分たちが誇っていいんだよというところを、審査員の方や見ていただいている方にも伝えたかったし、何より社員のみんなに伝えたかった。

それだけは今回のプレゼンでやりきろう、想いだけは伝えようということをすごく決めて臨んでいました。

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――「われわれが誇れるものは、いいものを大事に長く使える文化を世界に広めたい。そのために仕事をしている」という言葉も印象的でした。

太田 僕がずっと思っていることとリンクしているのですが、メーカーも時代で変わっていかないといけないんです。

もともと僕らはものが無いときにもの産み出して作り出すことをずっとやってきて、実際にうちの会社の社訓にも「社会の要求するものをつくり提供することが会社の使命である」というのがあります。

ただ、今のように時代が変わってものが溢れている時代に、メーカーはただ作るだけじゃなくて、それを使い続けてもらうことまで提案、提言できる、そういうふうに進化していかないといけないなって思ってたんですね。我々のプロダクトは、それを体現していると思っています。

機能的に優れている、デザイン的に優れたいいものを作ることは、もちろんメーカーとしての重要なポイントです。

それ以上に、長く大事に使えるというような、例えばお茶碗とか割れたらかけつぎをして使い続けてきたみたいに、このグラスも例えば使って経年変化したら、もう1回色を染めることでリフレッシュして、またそこからプロダクトライフサイクルを延ばせます。

そういう使い続けるシーンまで提言できるようなブランドにしたいなとずっと思っていて、その原点は何かな?と思うと、「日本らしさ」なんです。

プレゼンでも言いましたが、日本は島国で、ずっと限られた資源を活用して自然と共存してやってきた。まさにその原点回帰こそがこれからの時代すごく必要とされるし、それが僕は一番素晴らしいことなんじゃないかと思っています。

だからメイドインジャパンとして、日本らしいものづくりをして、僕らはものづくりを通して、それを世界に発信していきたいんです。

――「ただものを作るだけの毎日、お金のために働いている」というフレーズもプレゼンの中にはありました。

太田 当然ものを作るんですが、やはりその価値、意味というか、その先僕らが思い描いている未来像や世界を伝えていないと、本当にずっとこのまま朝から晩までただ作業するだけの毎日になってしまう。

人に喜んでもらうとか、社会を良くしていくとか、そういう行動につながるものづくりであったり、日本らしさ、錦城らしさというところが表現できるような、そういうところの取り組みをしていきたいなというふうに思っていたので、会社としても原点回帰です。

――登壇前に「嚙んだら笑ってやるわ」と、アックスヤマザキの山崎さんが激励を送っていましたけど、全然噛まなかったですよね。

太田 実は1カ所だけ噛んでいるんですよ。あと僕、すごく大きなミスを1つしているんです。最後のプレゼンのスライドを、出し忘れてしまいました。プレゼン的には大丈夫でしたけど、実はあともう1枚、パワポのスライドがあったんです。

最後のページのほうに僕が一番言いたい結論があって、それを伝えることに全集中しちゃったら、パワポのボタンを押していなくて、プレゼンが終わってふと画面を見たら最後のページが残っていた(笑)。あちゃー、やっちゃったーみたいな、一番最後のページを実は僕出せてないという、そんなオチが(笑)。

仕事に意味がないと、やりがいや誇りは芽生えない

――太田さんは家業を継いでいますが、仕事へのモチベーションや働くって何だろう?とか、ものづくりって何だろう?とか、どういうタイミングで考えたのでしょうか。

太田 僕は自分の会社が好きですし、誇りを持っています。先代、先々代を含めた諸先輩方がここまで積み上げて紡いできてくださった会社なので、僕自身なんとしてもこれを次の世代にまたバトンタッチをすべく、継続していくことが一番僕の中では使命やなというのを思っていました。

その中で物事、仕事とか全てそうなんですけど、作る原点ってやっぱり人じゃないですか。

一日の、人生のほとんどの時間を僕らは仕事に使うので、その中ですごく充実しているというか、いい時間を、働きがいとかやりがいとか、錦城護謨に入ってよかったなと思ってほしいと、ずっと思っていました。

いろんなことをやってきたんですけど、僕がある社員に「何のために働いてますか?」と聞いたときに、「お金」と言われて、そらそうなんやけどっていう、もうさびしさっていうかやるせなさっていうか、自分の力不足をすごく感じました。

どうしたら僕らが取り組んでいることの素晴らしさに気づいてもらえるか。もちろんものづくりだけじゃなくて、うちは土木事業とかもやっているんですけど。

土木事業(錦城護謨株式会社)

――大きなお仕事ですよね。受注の仕事だけでも十分会社は回っていたんですよね?

太田 はい。他にソーシャルグッドの福祉事業もやっているんですけど、こんな素晴らしいことをやっているのに、なんかそこがみんなに届いてないんやなと思って、そこからです。

段差ではなく、質感と視覚障害者でも認識しやすい色で歩行を誘導する錦城護謨のHODOHKUN Guideway

最初は僕も、維持できればいいから仕事さえ取ればいいやろ、売上が上がってたらいいやん、メーカーやからって思っていたんです。実際仕事もあったりして。ゴールに対して単にプロセスを積み上げていけばいいやんみたいな考え方をしていた時期もあったのですが、やっぱりそれだけだと人って動かないんです。

つまり仕事があるから人がやりがいを持てるわけではなくて、そこにちゃんと意味が無いといけない。

そこが単なる作業だと、そこに誇りとかプライドとか、ちょっとクサい言葉で言うと「愛」って言っていいんですかね? そこに感情の動きが芽生えないんだなっていうことを僕は「お金」って聞いたときに、気づかされたんです。

じゃあどうあるべきなんかな、と考えたときの、答えの1つがBtoCでした。

今まで縁の下の力持ちで、一切企業名や名前が出ないような会社だったので、「これが俺らのプロダクトや」みたいに、胸張って誇れるものを作りたいと、最初に手がけて生まれたのがこの今回のKINJO JAPANのグラスです。

本当にまだ第一歩なので、これからどんどん、どんどん、2個目、3個目を発信して、「自分たちのもの」と誇れるものを作って、新しいことにチャレンジしていいんだよと巻き込んでいって、やっぱり楽しく仕事をしたいじゃないですか?

そういういろんなことができるような会社や環境を、僕が社長として作ってあげることが、みんなにできることなのかなって最近は思っています。

最初の反応は「こんなの売れるわけない」

――最初にロックグラスのプロジェクトを立ち上げたときの社内の反応は、どういう感じでしたか?

太田 笑い話がいっぱいあります。ある社員がロックグラスを見て言った言葉が、いまだにプロジェクトメンバーから言われんねんけど、「これ、何や? 飾りか?」と。

「こんなの売れるわけないやろ」って言われて、プロジェクトメンバーの心に火が点いたんですけどね。「絶対やったるで!」となったんですけど、やっぱり最初は保守的なリアクションでした。

BtoBで85年もやってると、もう新しいことやらんでええやんみたいな、今仕事あるやんみたいな。

でも、僕が見ているのは5年とか10年とかもっと先の話じゃないですか。今の仕事が本当にずっとそのまま永遠にあるんやったら、別にしなくていいけどそうじゃないよね、と。

――以前工場を見学させていただいた時に、国内メーカーのほとんどが採用していた携帯電話の防水パッキンの製造が、仕様変更で突然無くなった話をうかがいました。

【CRAFTEDカタパルト登壇決定】ゴムの会社が完成させた、割れない、冷めない、結露しないロックグラス! 錦城護謨の工場を見学しました

太田 1年で30億の売上が3億になりましたからね。そんなことがやっぱりあるわけじゃないですか。何よりさっきお話しした従業員のみんながもっといきいき胸張って、「俺、錦城護謨で働いてんの」って言ってもらいたいし、思ってもらいたいというのがあって、最初取り組んだんですけど……まあ最初は本当にみんなは「ふ〜〜ん」て感じですよね(笑)。

なんか投げやりっていうか、仕事せんと何遊んでんの?みたいな。やっているメンバーは、結果を出してその言葉を見返すことしか考えてなかったので気にはしなかったですけど、最初はネガティブな反応が社内でも多かったです。

大阪八尾市にある、錦城護謨の工場

――何でまたいきなりロックグラスなの?みたいな感じですよね。

太田 そうそう、だってBtoCやったことなかったですから。

――そもそもグラスのアイデアはどこから出てきたんですか?

太田 デザイナーさんとの打ち合わせからです。会社がある八尾市で、行政からデザイナーさんとのマッチングをするっていう企画があって、うちが例えばこういう透明なグラスをを作る技術がありますと言って、それに対してデザイナーさんから提案をもらいました。

その提案の中から僕らがいいなと思ったものを選ぶ企画で、複数のデザイナーさんからいろんな提案をいただきました。その中で小林新也さんに出会ったんです。

実はプロジェクトの時間が半年しかなくて、通常ものづくりといえば、1年とか1年半が最低ラインなんですが、半年でできるものっていう中での選択でもありました。そういう中での決断でしたが、結果としても、このグラスで正解でした。

グラスはどの家庭にあるものじゃないですか。僕らはみんなに錦城護謨のことを知ってもらいたいというのがあったので、機能性・デザイン性・メッセージを含めたものというもので僕らが最初になれるし、KINJO JAPANを発信するには一番いいかなと思ったんです。

自社のプロダクトがないOEMメーカーの苦しみ

――半年で完成させて、Makuakeに出品したのですか?

太田 そうですね。BtoCをやったことがないし、完成品を売ったこともないし、ほんまにこれ売れんのかな?みたいな不安が95%ぐらい占めてて。何回もほんまにこういうのが売れんの??と。だってグラスって無限にあるじゃないですか。

めっちゃめちゃええものできた自信はあったんですよ。でも市場がほんまにこれを買う、受け容れてくれるかどうかは別なんで。すごい不安やったんですけど、お陰様で900%くらいの達成率でクラファン達成させていただけて。

もちろん僕の知り合いっていうか、つながりで買ってくださっている方もいるんですけど、それがだいたい3分の1。つながりといっても、無理やり買わせているわけじゃないですよ。

それ以外の本当に初めて錦城護謨、KINJO JAPANを見て、あとはプロダクトを見てくださって購入してくださった方が6~7割、3分の2ぐらいいらっしゃって、それでなんか、これいけんちゃうか、すごい確信、確信ていうかすごい背中を押されました。

――いいものができたという確信があっても、そんなに自信はもてなかったのでしょうか?

太田 なかったですね。やっぱり僕らはさっきもお話ししたように、ものを産み出して作り出すこと、いいものを作ることは85年間やり続けてきて、とくに今回のものに関しては本当に世界初。世の中になかった唯一無二の製品であることはもちろん自負があったけど、いいから売れるっていう時代ではないじゃないですか。

クラファンですごく顕著やなと思っているのが、もちろんプロダクトの機能とか性能とか製品に対して買って応援してくださる方も多いのですが、やっぱりストーリーが重要です。

ストーリーに共感するかどうかっていうところが僕はすごくクラファンの成功、成否にかかっているなと思っていて、そこのところがちゃんと伝わるんかな?という不安がありました。

錦城護謨はナショナルブランドの家電のゴムパーツなどを多数製造している

その根底にはBtoBのOEMメーカーの苦しみがあります。BtoBの部品を作っているようなOEMメーカーで、すごい技術をもって仕事をしているけれども名前は知られていないところって、いっぱいあるじゃないですか。日本はそういった会社のほうが多いんじゃないかってくらい。

ものづくりを基幹で支えている企業なんだけれども、自社のプロダクトにはならないから、自分のプライドを持っていないっていう企業さんは、僕らみたいに苦しみが根底にある。それを何とかしたいという熱い従業員の想いが伝わったからこそ、これだけ応援していただけんかなと思います。

うちは社名の漢字も読まれへんような、何の会社か分からんようなとこだし(笑)。そんな会社でも皆さんに応援してもらえるなんて、思えませんでした。

何度もページをリロードした、初めてのクラファン

2020年2月28日に開始した、Makuake出品第一弾

太田 Makuakeを開始してからも、これずっと100%いけんならどうしよう?みんなで最後余った分買うか?みたいな話をしてました(笑)。早々とそんなことを相談するか、ってぐらいな感じ。もう本当に1個ずつ売れたらみんな「うぉー!」っと声が上がる、みたいな(笑)。

――毎日リロードして見ちゃうみたいな。

太田 もう毎日どころじゃないですよ。常に手が空いたらリロードして、「1個売れたあ!」みたいな、本当にそんな感じでした。

――初めてtoCのお客さんの顔が見えたときは、どんな気持ちでしたか。

太田 もちろんいい反応もあるし、いろいろなご意見もいただいているし、どちらにしても直接知られるということがすごい喜びでした。

それまでの僕らは、間にアッセンブーリメーカー(組み立ての業者)が入っているから、納品した後は良かったか悪かったかも分からない。でも今はいいか悪いか、その理由が分かる、実際にリアルなレスポンスがあるじゃないですか。

買ってくれた人からの「めっちゃ良かったよ」とか「もっとここをこうしてくれ」とか、そういうのってやっぱり本当にものづくり、僕らみたいなOEMメーカーにとってみると、まさに宝の山みたいです。

そういう反応はすごく心に入ってきて、やりがい、モチベーションとか、そういうところにすごくつながっています。

この喜びはまだ限定的なので、社内でもっとたくさんの人たちにどんどん広げて、第2、第3のそういうプロダクトを作っていく道を拓いていきたい。そうしたら仕事時間が面白くなるし、もっと面白い会社になれると思います。

ICCサミットは、すごい人たちと議論して学ぶ場

――優勝を伝えたときの社内の反応は、どんな感じでしたか?

太田 ウワァー!みたいな感じより、ジワジワ系です。「いや、社長すごいですね」みたいな(笑)…結構なんか、うちの会社の子ら、真面目なんです。

でもやっぱり「いやあ、めっちゃ社長良かったですよ」って、従業員の子らから言ってもらえると、ほんま良かったって思います。

もちろん忖度もあるんかもしれんけど、僕は本当に今回、従業員のみんなに届けたいと思ってやって、それが従業員のみんなから返ってくる、本当に最高です。今すごくうれしいなって思っています。

でも僕個人的には、なんかこう……花束とか胴上げとかあるんかな?ぐらいの……。横断幕か何か張ってあって、「社長、優勝!…」ってなるんかなと勝手に期待してたんですが(笑)。

――ベタですね(笑)。

太田 みんな結構クール。スーンて顔して、仕事してた(笑)。社内で共有してるんだろうけど、なんか意外とみんなクールでね(笑)。

――社長が一番熱かったという話ですね。

太田 ロックグラスのプロジェクトメンバーも、あのとき会場にいました。

優勝後にプロジェクトメンバーと記念撮影

うれしかったのは、審査員のコエドビールの朝霧さんと中川政七商店の中川さんと木村石鹸の木村さんが「よかったよ! おめでとう!」って来てくださって、びっくりしました。

――優勝スピーチのときは、目に涙が見えました。

太田 いや、感動っていうかもう感無量でしたね。本当になんかめっちゃうれしかったですね、あのとき。ああ、もう本当にしびれましたね。

――投票結果を見たら、ぶっちぎりの優勝でした。

太田 やった! めっちゃうれしいです。でもあのときも言ってたんですが、これはたまたまだと思っています。

どのプレゼンもすごく良かったし、審査員にも好みとか、共感されるツボも違うと思うので、今回はたまたま僕のプレゼンにすごく皆さん共感してくださって、本当に僕はすごくうれしいんですけど、この優勝をこの次にどうつなげていくかとか重要だと思っています。

でもね、なんかそう聞くとちょっとうれしい(笑)。ちょっとニヤッとしてしまう(笑)。

――皆さんものづくりと組織づくりに携わる経営者の方々なので、深く刺さったのではないかと思います。

太田 確かにそうですね、あの後、僕もメッセンジャーで御礼を審査員の方にさせていただいたんですが、「投票しました」って言ってくださる方がたくさんいらっしゃって、本当にやって良かったなと。ピッチはあまり好きじゃないんですが、(木村石鹸の)木村社長にだまされて(笑)、いや、推薦していただいて良かったです。

審査員の方々のクオリティというか、すごい人が世の中におんねんな、さすがICCだなと思いました。登壇者の方々もそうですが、審査員の方もすごい人ばかりで、それは改めて驚きました。

審査員を努めた中川さん、朝霧さん、木村さんと

――そういう方々に選ばれての優勝です。

太田 はい、だからすごいそれがなんかもう自信になるっていうか、すごい自慢…自慢ですね。

すごい方々に投票していただいてたんで、本当うれしく思います。

カタパルトの後のセッションのクラフテッド・ラウンドテーブルでも、一緒のグループで議論したTakramの渡邉康太郎さんとか、僕が久々に見たすごい人やなと思ったので、横でいろいろお話を聞いていたんですけど、皆さんのお考えや発言からすごく学ばせていただいて、今も頭に残っています。

そういうビジネスの見方とかポリシーがあるんや!みたいなものを、学ばせていただいて。なんか自分ももっと頑張らなあかんな、ちょっとおっさんやけどええんかな?と思いながら(笑)。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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