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ICC FUKUOKA 2022のプレイベント2回目は、ICCサミット開催後のアンケートで最高評価を得ている「共感プレゼン ワークショップ」の講師であり、ICCサミット登壇者であり、カタパルトのナビゲーターであり、運営スタッフでプレゼンの達人でもある三輪 開人さんによる特別なワークショップが行われました。その模様をダイジェストでお伝えします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
「共感プレゼン ワークショップ」は、自分の伝えたいことに対していかに共感してもらうかを構造化してとらえ、その場で実践をしながら理解を深めるという内容。他人と会話するときにすぐ生かせる学びの多いワークショップなのですが、今回はその特別バージョンでした。
それと共通する内容もあるものの、「カタパルト必勝ワークショップ」と銘打っているだけあって、部分的にカタパルトに向けて内容をアレンジ。7分間のプレゼンで、自分の事業、想いをいかに伝えるかという実践的なレクチャーの場となりました。これが前半「必須編」で2時間です。
そして後半の「必勝編」は、実践として今回登壇するプレゼンターたちが、7分間のプレゼンを本番さながらに行い、一人ひとりにフィードバックがあります。そのうえ会場に集まった人たちで投票を行い、本番さながらにその結果を最後に発表します。
このワークショップにエントリーしたのは15名。加えて、後半まで参加できないけれど、レクチャーだけでも聞きたいという方々も参加。株式会社グリッド代表、株式会社吉野家CMOの田中 安人さんまで、なぜかプレゼンターに混ざって参加しています。
株式会社グリッド代表、株式会社吉野家CMOの田中 安人さん
田中さん「カタパルトのプレゼンは、練習を経てブラッシュアップされると聞いたので、本番前との違いが見たくて来ました!」
田中さんは今回フード & ドリンクアワードの審査員を務めます。カタパルト登壇者のなかにもいくつかアワードに出展する企業があり、代表者によるプレゼンがあります。田中さんはこのワークショップを踏まえて、伝わるプレゼンとはいかなるものか登壇者と審査員の両方の視点を得ようとしているようです。
それでは、この日の模様をダイジェストでお送りしましょう。
【必須編】共感プレゼン ワークショップ
三輪さんをプレゼンの達人として有名にしたこちらの動画、2022年2月2日現在、再生数は1,038,382 回。運営スタッフとして加入してくる学生スタッフの中には、授業でこの動画を見たという人もいます。
講師として登壇した三輪さんが本当にすごいのは、この「必須編」が毎回ICCサミットで開催するワークショップのダイジェストと思いきや、この日の参加者に向けてスライド資料をチューニングしていること。そのページ数なんと251枚です!
たとえばこのモニターに写された「2,0,1,1」、何の数字だと思いますか?
三輪さんの許可のもとネタバレすると、これは2年前のICC FUKUOKA 2020の全カタパルトの1位と2位の点差。スタートアップ・カタパルトは2点差、リアルテック・カタパルトは同率優勝、カタパルト・グランプリとクラフテッド・カタパルトは1点差でした。
ICC KYOTO 2021ではさらに僅差となり、1位から5位まではたった3点差。素晴らしいスタートアップがしのぎを削る質の高いコンテストだからこそなのですが、その1点差、2点差に泣く企業は多いのです。
たとえ1点差でも優勝と2位は違います。記事の見出しになるのも、日本経済新聞で名前が報じられるのも1位の企業。カタパルトの優勝で人生が変わった、という方もいらっしゃいます。ほんの数点で大きな差が出るのです。
当然ながら、それがイコール事業の優劣ではありません。でも少なくない時間を費やして、プレゼンを作り、スライドを作り、練習をするならば、すべてを出しきって伝えられた実感がほしいですよね。そうして磨いたプレゼンは、カタパルトだけでなく、自分たちの事業の価値を伝える場でずっと役に立つはずです。
認定NPO法人e-Education 代表 / 株式会社e-Education 代表取締役 三輪 開人さん
「必須編」は、三輪さんのモデレートで、まず他人を説得するときの感情的な寄り添い方を学び、自分がプレゼンするときに感じている課題を意識しながら、伝えるときの「3つの壁」の乗り越え方、参考になるスピーチ例など、腹落ち度満点の解説が続きました。
次に「共感スライド」ーー1スライド0.5メッセージぐらいでもよく、前回のソーシャルグッド・カタパルトのヘラルボニー松田さんのスピーチ中の沈黙が、観客の心に深い共感を呼び起こしたように、「余白」が共感を生むという話や、7分のプレゼンを堂々として押すばかりでなく、弱くて謙虚でもいい、という話も、新鮮だったのではないでしょうか。
▶【ライブ配信】ICCサミット KYOTO 2021 Session 11Aソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 – (松田さんのスピーチは2:18:30あたりから)
プレゼンの組み立て方については、三輪さんの著書『共感プレゼン』に詳しいので、人前で話す機会のある方はぜひご覧いただければと思いますが、カタパルト必勝TIPSとして紹介された内容に「審査員をよく知ること」がありました。事業やプロダクトを作るときは、マーケットやお客様について研究しますよね。それと全く同じです。
「審査員を知らずに、なぜ勝てると思いますか?」
三輪さんはそう言って、自分が登壇するカタパルトの審査員1人について、5分間調べるように伝えました。どんな事業をしていて、どんなことに興味があり、近況どんなことがあったのか。それを知るだけでも伝え方は変わってくるのです。
相手を知って興味を持って語りかけることで説得力が増すのは、三輪さんがこの日集まった参加者たちの小ネタを随所に入れながら語っていたことでも明らかでした。「あなたのことを知っている」という人が目を見て話してくると聞かざるを得ませんし、なぜこんなに熱心に語るのか知りたくなるのです!
公開リハーサルの前に、三輪さんは過去の優勝者・入賞者のプレゼン練習について紹介。たとえばこの日も参加しているカンリーの辰巳さんは自宅で毎日練習・カラオケで3時間練習、アダコテックの河邑さんはプレゼン時の残り時間に合わせて、3パターンのスクリプトを用意したそうです。
▶辰巳さんのTwitter投稿
▶河邑さんのTwitter投稿
前回リアルテック・カタパルトで優勝したジェリクル増井さんは、鏡の前で目線の高さでのジェスチャーを練習し、マイクの重さに合わせたペットボトルを用意して、服を新調するなど、過去の登壇者のためになるnoteや投稿などでも、準備の役に立つ情報や解説はたくさんウェブに上がっています。
共有された技を徹底的に盗んでください!と三輪さんが言うと、ICC小林 雅もマイクを握り「初めの1分間でつかんでください、そうでないと誰も見ません!」と檄。たっぷり2時間にわたるワークショップのあとは、小休止を挟んでいよいよ必勝編となりました。
【必勝編】公開リハーサル
この日の朝、公開リハーサルに臨む15名の方々にこんなメールが送られていました。
お世話になります。
ICCパートナーズ小林です。
本日の「カタパルト必勝ワークショップ」ではよろしくお願いします!
本日19時以降は公開リハーサルとなります。今回15名のエントリーとなっております。
基本的に上手な人は下手な人から学ぶことはないため僕が「上手い」と評価している人を最初にやってしまいます。
5社のグループごとに採点し、本番同様に順位を決定します。カタパルトの運営の練習を兼ねておりまして、採点方法は本番と同じです。
1社7分の制限時間でプレゼンします。3分で次の方と切り替えるためその間にフィードバックします。
①〜③は僕がレベル別にわけていますが、③の中の順番は名前の順番です。山本さんが一番まずいということではありません。
①のカテゴリーの方はカテゴリー終了後に帰ることは可能です。同じカテゴリーが終わり、採点結果がでるまでお待ちください。
③のカテゴリーの方は長時間の拘束となります。
<プレゼンの順番>
①うまい
粕谷 昌宏 カスヤ マサヒロ 株式会社メルティンMMI 代表取締役
志田 典道 シダノリミツ 株式会社トラーナ 代表取締役
辰巳 衛 タツミ マモル 株式会社カンリー 代表取締役社長
成田 博之 ナリタ ヒロユキ 株式会社えだまめ 代表取締役
門奈 剣平 モンナ ケンペイ 株式会社カウシェ CEO
②良さそう
鈴木 友樹 スズキ トモキ 株式会社メップル 代表取締役
西野 誠 ニシノ マコト 株式会社Oh my teeth 代表取締役CEO
森 謙吾 モリケンゴ ハイマネージャー株式会社 代表取締役CEO
山﨑 彰悟 ヤマサキ ショウゴ 株式会社ヤマチク 専務取締役
渡部カンコロンゴ 清花 ワタナベカンコロンゴ サヤカ NPO法人WELgee 代表理事
③努力必要
酒見 史裕 サケミ フミヒロ ワアク株式会社 代表取締役CEO
佐々木 智也 ササキ トモヤ 株式会社パーク 代表取締役
真鍋 拓也 マナベ タクヤ ゲシピ株式会社 代表取締役CEO
森谷 幸平 モリタニ コウヘイ 株式会社WizWe 代表取締役社長
山本 健太郎 ヤマモト ケンタロウ 株式会社SoVa 代表取締役
それは、数回の壁打ちリハーサルを行った小林による、現状のレベルによるグループ分けの通知でした。ICCサミット登壇者の方々が見ると「ICCっぽい」と思われると思いますが、初めて受け取った方はあまりの率直さにぎょっとされたかもしれません。
ICCでは事前セッションアンケートの人気度による会場の入れ替えや、事後のセッション評価など、スポンサーであろうと一切忖度なしで、その過程もすべて公開しています。どの企業にも成長してほしいという気持ちはありますが、ビジネスの世界は結果で評価されるため、同じ考えを用いています。
そしてそれを受け止めて、カタパルトで結果を残したり、次回はさらに面白いセッションにしようと登壇者たちが工夫したりと、さまざまな”共創”が起こっています。
話を戻すと、カテゴリー①は「うまい」グループで5名。②は「良さそう」グループ5名、③は「努力必要」グループ5名で、この日集まった参加者たちによって各カテゴリで投票を行い、順位を発表しました。
運営スタッフも本番さながらのリハーサル
スタッフによる登壇前の機材ヒアリング
ここからの公開リハーサルは、登壇者の方々はもとより、運営スタッフにとっても大事なリハーサルの場となりました。登壇者の方々のプレゼンにあたり、使用機器の確認や、スライド表示のサポートなどを行いました。
登壇者の演台への呼び込み、紹介は、過去にカタパルト会場の司会を何度も務めた三輪さん自身が行いました。「〜〜さん、準備はよろしいでしょうか?」という呼びかけに、登壇者が「はい」と答えるところまで、本番さながらです。
会場運営スタッフにとっても貴重な練習の機会になりました
ひとつだけ本番と違うのは、次の登壇者のスタンバイの時間を使って、プレゼンを終えたばかりの登壇者に対してフィードバックが行われたこと。三輪さんとICCの小林、スライドのデザイン面については、グッドパッチのデザイナーで、過去にMediiの山田さんの優勝プレゼンのスライド作成を担当した米永 さら沙さんがフィードバックを行いました。
▶専門医シェアリングで、どこにいてもより良い医療が受けられる世界を作る「Medii」(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】
自分以外の登壇者のプレゼンやフィードバックも聞いて、なおかつ自分も審査員として採点してみるという経験は、プレゼンに限らずさまざまな視点を学ぶ機会になったのではと思います。
さて、各グループの登壇の模様を写真で紹介していきましょう。
カテゴリー①「うまい」グループ
メルティンMMIの粕谷 昌宏さん、トラーナの志田 典道さん、カンリーの辰巳 衛さん、株式会社えだまめの成田 博之さん、カウシェの門奈 剣平さんがカテゴリー①の顔ぶれ。
このグループで、ICC初参加は今回新設されたD2C&サブスク カタパルトに登壇する株式会社えだまめの成田 博之さん。ほか4人はカタパルト入賞経験者です。
成田さんは、ワークショップではあるものの、本番で手に持つアイスクリームのカップを持参。落ち着いた様子で、7分間をぴったり使い切りました。
カテゴリー②「良さそう」グループ
メップルの鈴木 友樹さん、Oh my teethの西野 誠さん、ハイマネージャーの森 謙吾さん、ヤマチクの山﨑 彰悟さん、WELgeeの渡部カンコロンゴ 清花さんのカテゴリー②。
近年のカタパルトでは、プロダクトのある会社は審査員席にサンプルを配布して、手に取り食べてみたりしながらプレゼンを聞くというケースが増えているのですが、この日、このために熊本からやってきたというヤマチクの山﨑さんは、わざわざ配布サンプルを持参。
本番さながらにスタッフが、投票を行う参加者たちの席にお箸を配布していきました。ちなみに配布を行った運営スタッフの福西さんは、過去にカタパルト会場の統括を務めているベテランです。
カテゴリー③「努力必要」グループ
カテゴリー③「努力必要」グループは、ICC初参加の方ばかり。ワアクの酒見 史裕さん、パークの佐々木 智也さん、ゲシピの真鍋 拓也さん、WizWeの森谷 幸平さん、SoVaの山本 健太郎さんです。
ライバルたちのレベルが高すぎるためカテゴリー名こそこうなっていますが、素人目にはバッチリなのでは⁉︎と思われるプレゼンばかり。すでにICC小林と数回のリハーサルを繰り返していることもあり、【必須編】で語られた、自分はどんな人で、なぜこれをやっているのか、というのがしっかり語られていました。
プロによるプレゼンフィードバック
スライドのフィードバックを行った米永さん
三輪さん、米永さん、ICC小林がまったく違うジャンルのプレゼンにも関わらず、速やかにフィードバックを行っていきます。
「新しい体験という根拠が弱い」
「スライドに使う色数を多くても3色ぐらいに絞ったほうがいい」
「MRRが4倍など、インパクトのある実績は入れないと」
「本番ではスライドが斜め頭上になるので、指差す手振りは機能しなくなる」
「自分の経歴を言ったほうが、プレゼンに説得力が出るかも」
「見出しや写真の位置は揃えて」
「マイクが縦揺れしている」
「自作しているシーンを入れて、もっとエモく」
聞いていて同感、なるほど!と思うものあり、そこは気が付かなかったという着目点もあり、まるで育成オーディション番組の審査員コメントを聞いているような印象です。このフィードバックを受けて、当日はプレゼンがどのように変わるのか、今から楽しみです!
各カテゴリーの結果発表
それぞれのカテゴリーで投票が行われ、集計ののちに、獲得した総得点と順位の発表が行われました。
カテゴリー①「うまい」グループで優勝したのは、えだまめの成田 博之さん!
カテゴリー②「良さそう」グループの優勝者はヤマチクの山﨑 彰悟さん!
「今日は熊本にはない情報ばかりで、場にのまれ気味でしたが、来て本当によかったです。前半のワークショップを聞いて、2/3以上、スライドを入れ替えました」
カテゴリー③「努力必要」グループの優勝は、SoVaの山本 健太郎さんとなりました。
「これが人生で初ピッチでしたが、いい結果になって嬉しいです。2回目(カタパルト当日)も良くなるように頑張りたい」
学び多きワークショップ
もし次回があるならば、登壇を予定されている方々は、このワークショップに出席するのが絶対におすすめです。プレゼン練習は何より大事ですが、ここではそれが本当に伝わっているか、共感を得られているかが確認できて、それを磨くためのヒントを得ることができ、”同期の仲間たち”からも学ぶことができます。
「ここから本番まで、切磋琢磨していく仲間だなと、今日来て感じました。たくさん練習しないといけないです!」と感想を教えてくださったのは、メップル鈴木さん。この場で大いに刺激を受けた様子です。
カタパルトの登壇にあたり、相対的な課題認識ができたうえで、審査員の投票システムも理解できるこの場は、大きな学びとの場となる可能性を感じました。最後に、ワークショップが始まる前にICC小林が、集まったみなさんへ向かって話した内容をこの場には来られなかった登壇者の皆さんにもお伝えして、レポートを終えたいと思います。
「カタパルトとは何か。
登壇者とは、まだ何者でもない。資金調達に苦労し、理解を得られない人ばかり。
でも、それが1位になると変わります。
自分がやっている事業を自信を持って伝えられないとか、迷いがあって伝えられないのは、違和感として伝わります。
本当に信じているものを語れ。何をやりたいのか、自信を持って語ってください」
準備を含め長丁場のワークショップを本当に献身的に作ってくださった三輪さん、米永さん、参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。登壇するみなさんが、本番の舞台で7分間、思い残すことなくご自身の事業を伝えきれることを願っております。以上、現場より浅郷がお送りしました!
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/上原 龍太郎/倉嶋 将矢
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