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最新のプロダクトに触れて体験! ICC KYOTO 2022 デザイン&イノベーションアワード全ブース紹介

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9月5日~8日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2022。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、デザイン&イノベーションアワードが行われた東館「鳳凰の間」に潜入します! 参加した企業がどのような展示を行ったのか、写真とともにご紹介します。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


【CyberneX】脳情報を読み取るデバイス「XHOLOS」

「脳情報」を読み取るプロダクトを展示するCyberneXの有川 樹一郎さんは、Ear Brain Interface「XHOLOS(エクゾロス)」を展示。これを装着すると、脳情報から心と身体が求める状態が明らかになり、審査員たちも興味津々だ。

有川さん「前回は研究段階のものだったのですが、もっと装着しやすいイヤホン型で、わかりやすい形になりました。今回は新しく広尾にサロンを作りまして、アロマトリートメントの施術などを受けるときに脳の情報を可視化して、より質のいい、自分にあった施術を受けることができます。

【世界初】脳情報を活用して心と身体をより深いリラックスへ導く”プレミアムプライベートサロン”Holistic Relaxation Lab XHOLOS”を6月4日、麻布広尾にプレオープンします!(note)

施術中にちょっと痛いなと思っても、つい『大丈夫』と言ってしまいがちですよね。今まで見えなかった内面を可視化することによって、施術師も、施術を受ける側も最適な施術が実現できるし、深く自分を知ることができるようになります」

【エイターリンク】中距離ワイヤレス給電「AirPlug™(エアプラグ)」デモ、米粒大のペースメーカー

リアルテック・カタパルトで優勝したエイターリンク岩佐 凌さんは、プレゼンで語ったワイヤレス給電のクリスマスツリー実演デモや、世界最小、米粒大のペースメーカーを展示。

岩佐さん「17メートル離れたところに給電ができます。心臓のペースメーカーは大型バッテリーを胸の中に入れるため手術が必要で命の危険を伴いますが、この世界最小、米粒大のワイヤレスペースメーカーならばカテーテルを通じて心臓の中に入れて、体外から体内に給電することができます」

2022年の5月26日に国内でもワイヤレス給電の電波の利用が可能になったことから、Wifiスポットのように給電できる空間を作っているエイターリンク。その最先端の技術を親しみやすい形で見せた。観客がいないときは、隣のブースのNature Architectsの大嶋さんと話し込む姿も。

エイターリンク、日本初の無線電力伝送用構内無線局(WPT局)第一号を取得。(PR TIMES)

【Nature Architects】メタマテリアル

Nature Architectsの大嶋 泰介さんもエイターリンク岩佐さんと同じくリアルテック・カタパルトに登壇。開発している世にも不思議な「メタマテリアル」の素材を数々展示した。

大嶋さん「普通ゴムは押し込むと横に広がりますが、これは全体が拡大縮小する動きをします。こういう自然界にはない機能を構造の設計によって生み出すっていうのがメタマテリアルという領域で、我々はメタマテリアルの設計を活用して音を制御したり、振動制御したり、熱を制御したりいろんな現象を制御する設計をしています。

たとえばダイキン工業さんと、エアコンの室外機の音を小さくするということをやっています。ただ静かになるだけではなくて、建築のあり方が変わるようなインパクトのある設計ができる。すると人間の暮らし方やライフスタイル、文化が新しい市場を作る。

東京はおそらくマテリアルメーカーやバネメーカーで、世界最大規模のものが最もたくさん点在している都市なんです。そういった企業の中に我々もいて、世界にないような新しい設計をしていることを伝えるのは、世界にとっても非常に大事なことだと思っています」

【ORPHE】スマート・フットウェア

ORPHEの菊川 裕也さんは、歩くときやランニングのフォームを解析して、歩行速度や着地の角度、効率や膝への負担などを測定できるスマートシューズ「渋谷3. 0」と、そのデモができるルームウォーカーも合わせて展示。

菊川さん「見た目は普通の靴で全然気づかれることないんですけど、実は靴底にセンサーが入っていてログが取れます。靴紐に装着する小さなデバイスなら、持っている靴をスマートシューズにできます。

アシックスさんと共同開発したランニング用のアプリを使えば、AIコーチが脚の上げ幅やピッチの速さなどの走りの改善のアドバイスをしてくれます。歩きから走りまですべてデータ化できるので、それに関するアプリケーションを増やしていきたいと考えています」

スポーツといえばこの方、ファナティクス川名 正憲さんも興味津々

【インターホールディングス】真空量り売り機

インターホールディングス倉田 学さんは、スタートアップ・カタパルトで3位に入賞した成井 五久実さんと同じくらい熱くプレゼン。展示している箱は液体用の量り売りマシンで、真空容器に買いたい量を真空容器に入れ、併設されているデバイスから購入分の商品ラベルが出てくる仕組みだ。

倉田さん「真空容器は、手で簡単に開けたり閉めたりできる構造です。99.5%の超真空で、洗ってリユースできます。真空で保存すると買ったときの状態が長く保てるので、食品のパッケージに使うとコストをかけずにフードロスを防ぐことができます。

鮮度を保つためのプラスチックなどの個別の包装が減れば、ゴミも減ります。現在肉や魚でも実験しています。最終的には自動販売機にして、缶やペットボトルで買わずに、マイボトルで買えるようにしたい」

【ピリカ】マイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」

ピリカは、水中マイクロプラスチックごみの調査装置「アルバトロス」と、そのリサイクルの一連の流れを展示。川や海に流れ込むマイクロプラスチックの20%が人工芝由来で、それを回収してペレット化して販売したものが、スーパーのレジかごなどに利用される。

黒須 賢さん「今まで船を使って網を引っ張って回収していたので調査も大掛かりだったのですが、この通販で買ったパーツを組み合わせた小さな機器を海や川に沈めて水を濾過して、3分で調査ができます。国連で採択されて使っていただいていますが、日本では本格的にはこれからですね。

大阪湾や神戸市などではすでに始まっていて、濾過されたものを観てみると肉眼でも青や緑の人工物っぽい色のものがわかります。瀬戸内海だときれいで、解析をかけないとわからないほどです。

そのほか、車で走ってスマホでポイ捨てゴミを調査する『タカノメ』というサービスは、効率的なゴミ拾い活動エリアのサポートができます」

人がいる以上ゴミは出続けるものの「ポイ捨てする人をゼロにするのではなく、拾ったり回収する人を増やそうと考えている」とのこと。ごみ拾い促進プラットフォーム「ピリカ」のサービスも合わせて紹介した。

小嶌 不二夫さんがブースで説明するときも

【リニスタ】普段使いできる西陣織を使用した商品

西陣織といえば和装や高級なイメージがあるが、リニスタは日常使いできるアイテムを展開。職人の技術をつなぎ、和服を着ない世代にもその美しさと高い技術が伝わるような、靴やショルダーバッグ、実際に水洗いできるような皿、リユースできる菓子箱などを展示した。

西陣織を靴に使うなんてと思ってしまうが、耐久性に優れたポリエステルの糸を使い、防水スプレーをかけても変色しないそうだ。中央の四角いアートピースは同じ布地を縦に見たものと横に見たものだが、肉眼だと柄も色も違って見える。そんな西陣織の複雑なテクスチャを実感できる体験も用意した。

【Memeplex】言葉から作画するAIデモ体験

天才プログラマー清水 亮さんが率いるMemeplex LLC.は「言葉で指定すると絵を書いてくれる」仕組みのデモを展示。 写真は「宮崎 駿」風に、「映画『君の名は』」スタイルで、「花畑でローラー・スケートしている女の子」が描かれた様子。審査員たちもそのクオリティにびっくりしていた。

【タキオン】おうち燻製器「smoke-pod」

タキオンは、手軽に燻製を作ることのできる「smoke-pod」を実演展示。片手で持てるようなサイズの直火/ガス/IHで使えるこの燻製器は、Makuakeでも大反響を得ている。ウィンナーやチーズの燻製をその場で作って提供して人気を集めていた。

杉山 恵一さん「1mmの薄さのステンレス製なので、意外と軽いんです。底にチップを入れて煙が出たら上に網をセットして、食材を載せて蓋をしたらあとは完成を待つだけ。調理が終わったら食洗機でも洗えます。

燻製は敷居が高くて、アウトドアのイメージがありますよね。これは換気をしっかり行えば自宅でも使えます。サバの燻製も美味しくできるのでおすすめです!」

【glafit】自転車に“モビチェン”できる電動バイク

以前からICCに参加してくださっているglafit鳴海 禎造さんは、自慢の最新モビリティを展示。公道走行ができる電動バイク「GFR-02」は、公道走行のときはナンバープレートを表示して電動バイクとして、状況に応じて自転車に”モビチェン”して走ることができる。

「鳳凰の間」には広々としたウッドデッキがあり、そこで付添いのもと走行することができたため、乗ってみたいとお試しする審査員が続出。子どものようにはしゃいで楽しむ経営者たちの素顔を見ることができた。その中にはお買い上げした人もいたという。

【南條工房】佐波理製おりん、LinNe Chibi、LinNe Myo

会場内で、ずっとチリーンチリーンと澄んだ音を響き渡らせていたのは、南條工房のブース。マスコットサイズの小さなものから、お坊さんが使うような大きなもの、ターンテーブルの上に配置して、ランダムに音を鳴らすものまでさまざまな「おりん」を展示した。

会場では購入できるもの、その場で持ち帰れないものなどがあったが、音を聞いておりんを購入している人を何人も見かけた。クラフテッド・カタパルトにも登壇する南條 和哉さんは、音色が意外なところまで届いているという話をしてくれた。

南條さん「先日雑誌で、坂本龍一さんが毎朝音を聞くのに使っているというのを見て驚きました。この音色で癒やされているのかもと思いますし、僕らも音を使ってもらえるのはすごく嬉しいこと。職人として作っている人間としては、こんなにうれしいことはないです」

【ディプロモード】新素材のスーツケース

D2C&サブスクカタパルトにも登壇するディプロモードのプロジェクト”MOONRAKERS” 代表の西田 誠さんは、現在開発中のスタイリッシュなスーツケースを片手で持ってその軽量さをアピール。堅牢で軽量を兼ね備えた素材は車の素材を内外に使い、100年使えるほど耐久性に優れているという。

東レの新規事業にあたるディプロモードは、ブランドMOONRAKERS”で機能性素材でアパレル事業も展開している。水で濡れてもさらりとして速乾性のある素材を使用したTシャツや、ポケッタブルに収納できるビーガンレザーのコート、綿に見えるが非常に軽量なAirfreakパーカーも合わせて展示した。

【石徹白洋品店】たつけ

石徹白洋品店の平野 彰秀さんは、店で扱う衣類やソーシャルグッド・カタパルトでもプレゼンした端切れの出ない直線裁断で作る石徹白の集落に伝わる「たつけ」を紹介。テーブル上に広げているのが、布幅をフルに使って裁断された状態の布で、審査員たちも思わず聞き入っている。

一平ホールディングス村岡さんが話を聞いて、会場外に用意された試着室でデニム地のたつけを試着してみると、これが平野さんがプレゼンで語ったとおり、今の洋服に合うシルエット。早速お買い上げとなった。

【SkyDrive】空飛ぶクルマの1/7模型

SkyDriveの福澤 知浩さんは有人乗車できる“空飛ぶ車”を作っており、その1/7の模型を展示した。

大石梨紗さん「ヘリコプターは1つの大きなプロペラですが、これは全部で8つのローターがついているマルチコプターといわれるもので、垂直離着陸が特徴です。分類としては航空機ですので、国交省に航空機としての許可を取る審査手続きを進めています。

どの高度を飛ぶかというのも論点の1つで、無駄に高く飛んでもバッテリーの無駄使いになります。150m 以下が基本的にドローンが飛ぶエリアで、それ以上は航空機の飛ぶエリアとなっているので、150mぐらいを飛べると一番効率がいいですね。2025年にはサービスインしようとしています」

実際に乗るときはパイロットと2人で乗ることになり、数万円で航空券を買うような感覚になるとのことだ。

【藤田金属】

参加を予定していた藤田さんが急遽来られなくなったため、ご兄弟の藤田さんがブースに立った藤田金属の藤田信二郎さん。大人気のフライパン「ジュウ」は、意外なものを調理するのにいいと言う。

藤田さん「このフライパンで、普通のトーストを焼くと、とっても美味しいんですよ。そのほか照明器具のICHIというランプや、鉄製の鉢カバーなども持ってきています」

いずれもインテリアのデザイン性として優れたものばかり。これが照明器具?と思わずにはいられない細いダンベルのような形のスタイリッシュなICHIは、ブースに足を止めた人が必ずといっていいくらい手に取っていた。

【星野】果実の「掛け袋」、蝋引きの紙製品

左側の蝋引きの紙袋は、すべて手作り。そのためむしろ様々なサイズが作れるという

アグベルの丸山さんの紹介で今回出展に至った星野株式会社の星野 誠さん。紙袋、箱、封筒などが並び、ペーパークラフトの売り場のような雰囲気のブースだが、丸山さんとの共通点は、果実を育てるときの「掛け袋」。果実が雨に当たって傷むのを防ぐための蝋(ろう)を塗った袋を生産している。

星野さん「うちは蝋引き加工が得意で、梨の袋やぶどうの袋なども作っています。溶けた蝋の中に紙をくぐらせて絞って乾かすと、水にも強い強度のある紙になります。その技術をパッケージなどに応用してさまざまなものを作っています。

小規模なコーヒー屋さんとかこだわっているパン屋さん、ケーキ屋など、こだわった商品を入れるものには、いい紙を使いたい。市販のものよりもオリジナルのものを使いたいとか、小ロットで作りたいというニーズがあります。

ケーキ屋さんでもらう白い箱は1回使ったら終わり。でも丈夫な蝋引きの紙で作ったパッケージでより商品に付加価値を与えて、リユースできればエコではないかと考えていて、それを包装資材屋でやりたいんです」

丸山さんとも関連する「掛け袋」製造を取り巻く環境は厳しさを増していて、国内では最後の製紙メーカーが撤退し、韓国企業から紙を輸入する状況。原材料高と農家の間で模索が続いているという。

星野さん「今の円安で、値段が上がるけれども買わざるを得ない。ぶどうの掛け袋は末端価格で昔から1枚3〜4円で、農家さんは値上げは悪という認識で、国もそれを保護する政策だから、値上げしたら他社さんに行ってしまう。諦めたわけじゃないですが他にキャッシュポイントを作れば、価格を維持しながら経営できるんじゃないかと」

最新の技術をいかに形にしているかという話から、レガシー業界の課題まで。当事者がブースに立っているからこそ知ることができる、デザイン&イノベーションアワード。審査員たちがこのすべての展示を見て、いかに判断するのか。それは翌日の夕方のアワードファイナルで明らかになる。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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