次々と新規事業を生み出すサイバーエージェント「あした会議」の仕組み【SP-OD4 #3】 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

次々と新規事業を生み出すサイバーエージェント「あした会議」の仕組み【SP-OD4 #3】

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これまでに配信した、経営に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016 から、「新しい事業の柱を創る人材やチーム作り」を9回に再編集してお届けします。9回シリーズ(その3)は、サイバーエージェント曽山さんに新規事業コンテスト「じぎょつく」を止めて「あした会議」を立ち上げた経緯についてお話いただきました。ぜひ御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。参加者の募集を開始しました。

「新しい事業の柱を創る人材やチーム作り」の配信済み記事一覧

井上 今、リクルートのお話を聴かれていましたけれども、サイバーエージェントさんは社内イベントで新規事業を作っていくような取り組みはされているのでしょうか?

上野 (社内の新規事業コンテストの)「ジギョつく」は止めてられましたよね?

山口 そうですよね。

参考資料:社内事業コンテストは必ず失敗する  (藤田晋氏の経営者ブログ)

「ジギョつく」を止め、「あした会議」へ

曽山 2004年、私が事業本部長になるちょっと前に始まった新規事業プランコンテスト「ジギョつく」を、10年くらい続けていて、多い時には年間1,000件応募が来ました。

弊社の場合はギフトがないんですよ。

応募してもメリットは何もない。

落ちてもフィードバックもそれほどなくて、審査の中で役員が話していた内容を私が一生懸命メモして伝えるくらいですが、それは大事にしていました。

結果的に収益化できる事業が生まれなかったというのが一番大きい反省で、若手メンバーは才能があるんだけれども、経験が浅い若手だけでやると立ち上がらないですよね。

ですから十何回やって、やはり上手くいかないねということで「ジギョつく」は一回やめましょうという提案を私からしたんですけれども、意外にも、今、別の形に変わっています。

大きくは2つあるのですが、一つは「あした会議」という役員の新規事業バトルです。

役員と社員がチームになり、新規事業案を提案するのですが、人事案までセットで提案しないと決議されないので、参加した役員や社員がコミットするという提案が中心になる。皆の前で「私がやります!」と宣言するとすごくプレッシャーがかかるので、それは一つ大きいと思います。

もう一つは、「NABRA(ナブラ)」という新規事業勉強会です。

参考資料:ジギョつくに代わる新規事業研究会を始めます。

1人の執行役員がリーダーになり、新規事業立ち上げに携わりたいという社員10人をメンバーに、それぞれのアイディアを提案・ブラッシュアップしています。「NABRA」は作って2~3か月ですが、結果的に10人のうちの3人が「あした会議」に参加して会社を創ることに決まったので、結果的に「ジギョつく」をやめてよかったかなという感じになりつつあります。

井上 トップがしっかりとコミットして事業化を進めることが重要だということですね。

曽山 実は「あした会議」は2006年から始めて、年に1、2回、今までに15回やっていて、ここから累計で20社生まれて、合計で累計700億円の売り上げと100億円の営業利益が出ています。

参考資料:役員の1位から最下位を公表 CA藤田社長が審査する新規事業バトル「あした会議」

これは本当にやっていてよかったです。

この前の週末に行った「あした会議」で、また新たに8社立ち上げることが決まったので、今までの20社に一気に8社が増えることになりました。

「新規事業創出企業」の看板を守るために

山口 リクルートのやり方よりは、もしかしたら「あした会議」の方が落ち着いているかなというのは最近感じています。

サイバーエージェントさんがリクルートの真似をするというよりは、リクルートがサイバーエージェントさんの真似をすることもありだと思っているんです。

なぜかというと、リクルートは「新規事業創出企業」と言われて、毎年何かしらの事業化があるのですが、ブロックバスター(大きな事業)になったような事業というのは、多くが2000年の前にできた事業なんですよね。

参考資料:ブロックバスター戦略から見える圧倒的な人材が価値を生む時代への潮流

それらを2000年以降も16年間磨き続けて、高いシェアを取り続けていたり、まだ成長していたりという感じなんです。

リクルートはこの50年以上、自ら機会を作り出して、その機会によって会社を変えようとしてきました。

「カーセンサー」も「ホットペッパー」も「ゼクシィ」も、みんな1970年代から1990年代のその当時の従業員がボトムアップで言いだしっぺになって作ってきた事業なので、それを皆が神話のように持っていて、いまだにリクルートはそういう会社だと思っています。

「スタディサプリ (旧:受験サプリ)」は「高校生向け」が今年黒字化したフェーズですが、何が何でもリクルートの基幹事業の一つにしなければ、この神話がどこかで途切れるというか、どこかで皆が挫けてしまう。

リクルートと言っても、みんな2000年の前に作った会社じゃないかとか、2000年以降はM&Aで大きくなった会社じゃんという風になってしまう。

それを何とか自分がやらないと、社内の皆が信じているリクルートではなくなってしまうので、その使命感を持っています。

油がのったミドル層が「New RING」に出てきてほしい

山口 この「New RING」では、グランプリを獲ると事業化されるのですが、初年度の投資コストは、比較的小さいんですよね。

まずは小さくやってみようよと。

でも「スタディサプリ (旧:受験サプリ)」の時は、大きな予算(具体的な数字は非公開)が付きました。

曽山 ほう、すごい。

山口 その後は、4, 5年の間で、M&Aも含めて、さらに大きな投資がされているんですよね。

だからこそ、これだけの事業ができたので、結局は「あした会議」と一緒で、社長なのか役員レベルが相当コミットしてそこに集中させないと、今時 新しい事業なんて作れないのかなと思っています。

「New RING」でも何となく、本気でやっているところとそうでないところも出てくるんですよね。

もっともっとトップがコミットした方がいいと、僕は思います。

もう一つには、ミドルの若手が参加しやすくなるんですよね。

ミドルマネジメントが忙しくてなかなか参加できないのですが、油がのっているのはそういった社員で、現場感を含めて戦略立案能力を持っています。

そこの層が起案することを、実はとても期待しています。

でも「あした会議」というのはそもそも執行役員が音頭を取って、いい若手などのメンバーを揃えてやるじゃないですか。

本当はその方が、筋の通った、成功確率の高い、そしてコミット力があって投資もある程度の規模でできるものが育つのではないかなと最近思い始めています。

ボトムアップというかミドルアップ、それか「トップ下」アップくらいがいいのではないかなとすごく感じていますね。

曽山 もともとは社員から新規事業を提案する「ジギョつく」をやっていましたけれど、事業を提案しても落とされるじゃないですか。

藤田と飲みに行ったある社員が「役員の方がよっぽどいいアイディアを持っているんですよね」と冗談半分で言った時に、藤田がピンときたみたいです。

「確かにこれって、役員自ら先導をとらないと新規事業も生まれるものも生まれないし、投資も踏めないよね」ということで「あした会議」が生まれたんですよね。

山口 私が今度審査をする立場になったとしても、やはり若手や、自分が能力や仕事ぶりをみたことがない人がたまたまいいアイディアを出した時に、それに対して大きな投資はできないと思うんです。

曽山 そうですよね。

知らないんだもん、ということですよね。

「出る杭」を発掘する仕組み

山口 「受験サプリ」の時は、私がたまたまミドルマネジメントになって、「出る杭」としてこいつは面白いなと思われたと思うんですけれども、そういうタグも立っていない人がチームから出てきても、いいアイディアなんだけれども本当にこの人たちに託していいんだろうかという不安は正直あります。

その時に、自分が経営者として信頼できる役員や、部長課長クラスが「俺がやりたいんだ!」と先頭に立って言ってくれれば、お前の下はよく分からないけれども、お前は確かに実績も残してきたし、お前がそこまで言うんだったら託してみたいと思えます。

そういう意味で、「あした会議」の仕組みはすごくいいなと思います。

私も、今の部長、役員クラスに、毎年1個でいいからメンバーと一緒にこの会社を成長させるとか、社会を変える何かを出すチャレンジをしなさい、そのくらいないと役員にも社長にもなれないよというのも含めて、勝ちたいなというのを思いましたね。

曽山 部長なんかが絡んで新規事業を提案したら確かにいいですもんね。

山口 メンバーもそう思っているのではないでしょうか。

今の部長課長クラスでも、やはりマネジメントに長けた人はいるけれども、本当にイノベーターというか、未来をクリエイトできる人というのは2:8の法則でなかなかいません。

メンバーはメンバーで、課長も部長も言われたことは執行しているけれども、本当は会社をどうしたいのかということは聞けていないじゃないですか。

そういう時に「あした会議」みたいな機関があると、その機関を通して議論しますからね。

議論した中で、部長課長もそう思っているんだ、役員はこう思っているんだというのが聞ける意味でも、話せば話すほど、来年からパクリたくなると思ってしまうくらいです。

サイバーエージェントさんはある意味いろいろなトライ・アンド・エラーをされて、仕組みが進化していってるのだろうなと思っています。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/石川 翔太

続きは 「買収後も企業文化は統合しない」リクルート流M&Aの仕組み をご覧ください。

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【編集部コメント】

続編(その4)では、リクルートマーケティングパートナーズ山口さんに、リクルートのM&Aにおける企業統合プロセスについてお話いただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。