〔組織作り〕若手社員が役員会に参加できる「ボーディングパス」の仕組みとは?【SP-OD1 #6】 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

〔組織作り〕若手社員が役員会に参加できる「ボーディングパス」の仕組みとは?【SP-OD1 #6】

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これまでに配信した、組織づくりに関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016から、「強い組織/企業文化の作り方」の記事を再編集して10回シリーズでお届けします。組織づくり特集(その6)は、主にVOYAGE GROUP宇佐美さんに、社員が立候補制で役員会に参加できるユニークな制度についてお話し頂きました。また、メルカリ小泉さんの、急成長に伴い、激増する中途入社に対応する社内のカルチャーづくりにも注目です。

ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。

登壇者情報
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2B
「強い組織/企業文化の作り方」
 
(スピーカー)
宇佐美 進典  
株式会社VOYAGE GROUP 
代表取締役社長兼CEO
 
小泉 文明   
株式会社メルカリ
取締役
 
曽山 哲人     
株式会社サイバーエージェント
執行役員人事統括本部長(当時)
 
(モデレーター)
五十嵐 洋介  
KLab株式会社 
取締役副社長 COO

その1はこちらをご覧ください:【新】〔組織作り〕無人島でインターンシップ?働きがいのある会社の採用広報戦略【SP-OD1 #1】
その2はこちらをご覧ください:〔組織作り〕「制度はネーミングとパッケージングが重要」愛される社内制度を生み出す秘訣【SP-OD1 #2】
その3はこちらをご覧ください:〔組織作り〕Chief Culture Officerとは?「社内文化の責任者」がVOYAGE GROUPで果たした役割【SP-OD1 #3】
その4はこちらをご覧ください:〔組織作り〕「社員に浸透していない言葉は掲げる意味がない」ビジョン/ミッション見直しのススメ【SP-OD1 #4】
その5はこちらをご覧ください:〔組織作り〕「捨てる会議」で形骸化した制度や仕事を見直す【SP-OD1 #5】


五十嵐 今、社員の方をいかに経営とかの意思決定に巻き込んで、当事者意識を作っていくか?という話があったと思います。

その中に例えばVOYAGE GROUPさんの「ボーディングパス制度」やサイバーエージェントさんの有名な制度で「CA8」(取締役は8名とし、取締役を定期的に入れ替える制度)があると思います。

お二人(宇佐美さん曽山さん)もその「CA8」を卒業されたメンバーでもいらっしゃるわけですけど、そういうふうにいろんな人を登用して、経営の意思決定に携わる機会を創っていらっしゃると思います。

VOYAGE GROUPさんの「ボーディングパス」の場合ですと、ある種インターンシップ的な感じに経営に入ってくるみたいな感じですよね?

こういう仕組みっていうのは、実際にやってみると案外運用が難しいというか、「ボーディングパス」で入ってきた社員がいる前で本音で議論できなくなったりとかしがちなんじゃないかな?という懸念を皆さん感じると思うのです。

実態の運用としてはどういうふうにされるんですか?

立候補で役員会に参加できる「ボーディングパス」

曽山 「ボーディングパス」では若い人が経営会議に参加するのでしょうか?

宇佐美 「ボーディングパス」とは、毎週役員会を開催しているのですけど、そこに3カ月間役員と同様に参加できるという制度です。

四半期毎に社員の中から参加したい人を募集して、役員にて1人か2人を選んで参加してもらっています。

五十嵐 立候補制ですか?

宇佐美 立候補制です。

基本的には、当社の場合はほとんどの人事制度は全て立候補制ですね。手を挙げて、やりたいと言った人の中から選ぶことを基本としてますね。

入社2~3年目ぐらいの若手や30歳前後の中堅であったり、将来の役員候補のような人が入っています。

週次の役員会議だけではなくて、3カ月に1度開催する経営合宿にも参加しています。

曽山 経営合宿にも参加するんですか! すごい。

宇佐美 元々は、経営合宿だけに参加するというかたちでやっていたのですが、経営合宿で議論する内容の「前提条件」が分からないと、「何、話してるか分からない」ということがありました。

そうであれば3カ月間役員会にも参加させよう!という経緯です。

五十嵐 ボーディングパス制度で参加している人は、聴講者のような扱いなんですか? それとも完全に参加者として、発言もするのでしょうか?

宇佐美 発言もします。最近だと、エンジニアの人が入ってきて、「エンジニアは最近こう思ってる」とか、「そういうことをやるとエンジニアが結構嫌だと思う」とかそういうようなことを発言することもありますね。

曽山 年間4人ぐらいということでしょうか?

宇佐美 年間なので、6人から8人ですね。

曽山 結構多いですね。社員数が何人でしょうか?

宇佐美 現在300人ぐらいです。

曽山 すごいチャンスだな。

五十嵐 手を挙げればチャンスがあると考えると相当いい機会ですね。

宇佐美 この制度はすごくいい効果があるんですよ。組織がある程度大きくなってくると、役員が何を考えてるか分からないとか、結論だけ下りてくるみたいな、そういうふうになりやすいですよね。役員会でどのような議論がされているか分からないみたいな。

そういうところに、ボーディングパス制度で参加した人たちが入ってきて、「意外にちゃんとうちの役員は仕事してるよ」みたいになるんですよね。

曽山 よく考えてると。社員の目線で。

「ボーディングパス」には予算がつく

宇佐美 併せて、ボーディングパスに選ばれた人には、実はボーディングパスの予算が出るんです。その3か月間10万円の予算が出て、(社員と)積極的に「飲みましょう」という予算です。

曽山 いろんな人と「飲む」のでしょうか??

宇佐美 はい。もちろん機密情報はダメですが、そういった飲みの場を通じて、経営会議でどういうことを議論しているか、なぜこういった方針になったのかといった結論に至るまでのプロセス等を話すだけではなく、逆に積極的に彼らの声を聞いてきてリアルなフィードバックをくれたりします。

五十嵐 いいですね。それちょっと真似したくなりますね。

宇佐美 そうすると結構誘われるらしいんですよ。ランチでも飲みでも。

五十嵐 お金も持ってるし。

曽山 お金も持ってるし、情報は聞けるし。

宇佐美 あいつを誘えば財布があると。

曽山 それもいいですね。

五十嵐 Win-Winですね。いい仕組みですね。 ぜひこれ、真似させていただきたいと思います(笑)。

健全に中途者を迎える空気をどう創るか

五十嵐 次に小泉さんに角度を変えて質問させてください。最近いろいろな知人がメルカリさんにどんどん入社していってまして、しかもすごく優秀な方だったりとか、知る人ぞ知るある会社のキーマンだったりする方ばかりです。さすがユニコーン(編集注:時価総額1,000億円の未公開企業)の採用力だなと思って感服しています。

一方で、どんどんビッグネームが入って来ることは、組織的にある種、「外から入って来るビッグネームっていう異質なものをどう受け止めていいか?」っていう戸惑いだとか、あるいは、「いくら自分の会社だと思ってコミットしてても、もっとすごい人があとから入ってきて、自分の考えたこと変えちゃうんじゃないか」みたいな不安とかって生まれがちだと思います。

古参で頑張ってくれてる社員の方たちからすると、複雑な思いを感じたりとかして社内が難しくなったりって、結構いろんな成長企業が体験してきてる道だと思うんです。

メルカリさんではそこを予防されたりとか、あるいは奮闘されたりしてることって何かあったりしませんか。

小泉 そういう意味で言うと、まだ会社を創って3年なんですよね。サービスやって2年半で。ほぼ直近に入ってきたメンバーばかりなんですよ。

1年前とかから、人数も増えてますけども、健全に中途者を迎えるよっていう、そもそものカルチャーができてるって感じですかね。

「そもそもみんな中途だし」みたいな。

やっぱり僕らの会社は、「All for One」というバリューをすごい大事にしてるので。中途のメンバーに対して、情報をちゃんと与えるって言い方もなんですけど、仲間同士で受け入れようっていうカルチャーはすごいしっかり作っています。

滑り出しがスムーズに行くような仕事を任せる

小泉 意識しているのは、既存社員からお手並み拝見って思われてしまう可能性もあるので、そういう人が入ってきたら、まず分かりやすい成果が出やすいタスクというか、プロジェクトを任せるというのはやっていますね。

なるべく長いスパンの仕事を最初に与えしまうと、その人の評価がなかなか不確定のままずっとズルズルいくと、ネガティブな声とか出てきちゃうと思うんですね。「あの人結局何やってるんだろう」みたいな。

なので比較的短いスパンのものを与えて、1回みんなの中で評価を高めて、滑り出しがスムーズにいくような仕事の任せ方からスタートしていってるという感じですかね。

五十嵐 中途入社者の社内の信用残高をある程度形成してあげる手伝いをしてあげるということですね。

小泉 そうですね。そこだけは意識してますけど、あとはみんな優秀なので「成果が出るか出ないかはお前次第だよ」ということは、どんなに優秀なメンバーでも「失敗したらお前のせいだから」という話をして、普通にすごいプレッシャーをかけてやってますね。

五十嵐 なるほど。健全なプレッシャーとそういう仲間を迎え入れる空気が重要なわけですね。

小泉 結構、空気が大事かなって気はしますね。

曽山 実力がある中途の方が入ってきたときに、分かりやすいミッションというのは、誰が決めてるんですか? 小泉さんがほとんど?

小泉 僕が担当の部門であれば僕ですし、代表の山田が担当するところであれば山田だったりとか、それは役員陣で話しながら、「このぐらいが一番適切なんじゃないの」とか、「あれだったら◯◯さんがちょうどいいんじゃないか」みたいななことを経営会議で議論をしてます。

曽山 彼にこういうのやってもらおうかとか、そういう話をされる。

小泉 最初に採用するときにも、ある程度「この人にはこの仕事を最初やらせたいよね」というのが、もう決まっていますね。

五十嵐 ありがとうございます。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/根岸 教子

続きは 〔組織作り〕サイバーエージェント曽山氏が語る福利厚生制度を設計するコツ をご覧ください。

【編集部コメント】

続編(その7)では、制度のタダ乗りについて、それを防止する制度設計や止める決断等についてお話しいただきました。是非ご期待ください他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。