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日本各地に、土地ならではの風景と文化を継承する古民家宿をつくる「LOOOF(るうふ)」(ICC FUKUOKA 2024)

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ICC FUKUOKA 2024 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、LOOOF 丸谷 篤史さんのプレゼンテーション動画【日本各地に、土地ならではの風景と文化を継承する古民家宿をつくる「LOOOF(るうふ)」(ICC FUKUOKA 2024)】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。

【速報】古民家宿でその土地に根差した職人技と文化を継承する「LOOOF」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング

丸谷 篤史
LOOOF
取締役副社長
HP 

1986年、広島生まれ。新卒で野菜の生産から販売まで一貫して行う国立ファーム有限会社にて、店舗マネージャー、社長室、物流センターなどを経験したのち、全国数百拠点の発達障害の支援施設を展開するハッピーテラス株式会社(現 デコボコベース株式会社)で取締役を務める。2012年芦川ぷらす(現 LOOOF)の立ち上げより参画し、LOOOFでは事業企画、マーケティング戦略を担当。2019年より本格的にLOOOFを展開することを決め、古民家のチェーン展開、新規事業開発、ブランド構築など経営戦略を担う。


丸谷 篤史さん 私たちLOOOF(るうふ)は、このような自然豊かな集落で1日1組限定の古民家宿を運営しています。

古民家宿は地元の方のヒアリングフィールドワークを通して、企画から設計、施行、運用まで一括して行っています。

宿の運営だけではなく物づくりを行うことによって、地域に残る文化を最大限生かし、技術の継承を行っています。

こうして出来た宿は、その土地ならではの食事と体験を通して、地域の文化に触れる──そんな体験価値を提供しています。

そして、1日1組限定だからこそできるおもてなしを通してスタッフが地域を伝え、文化を語り、物語をつなげていくことでその地域にまた来たくなる、そんな宿を運営しています。

現在、山梨県に7店舗、千葉県に6店舗を運営しています。

その土地ならではの文化を伝える古民家宿、LOOOF

LOOOFは活動を始めて12年、創業して6年の会社で、夫婦二人三脚で経営しております。

代表の地元である、山梨県芦川村を盛り上げたいという想いと、世界中を旅してその土地ならではの文化を伝えることがしたい──そんな2人の想いが合わさって出来たのがLOOOFです。

私たち2人は、新卒のときから、農業ベンチャーで経験を積みました。

農業の生産から流通、店舗運営まで一貫して行っている会社で、ものづくりへのこだわりと、そしてそれを伝える大切さを体に叩きこまれた4年間でした。

ここで学んだことが地元の活性化に生かせるのではないかという想いから、12年前に活動を始めました。

人口300人の村に、年間3,000人が宿泊

芦川ならではの文化を探している時に見つけたのが木組みの古民家でした。

地元の素材を使い、職人の手で造られた木組みの家は土着文化そのものでした。

この古民家を活用して宿事業をスタートしようと、大工さんと一緒に造りながらちょうど10年前に1棟目をオープンしました。

観光地ではないこのようなところに人が来るはずがないと言われていたこの宿は、年間に3,000人が宿泊する宿になりました。

消えゆく木工大工の職人と、木組みの家

そんなある時、棟梁から、少し涙ぐみながらこう言われました。

「こういう、道具が喜ぶような手仕事をもっとしたい」。

調べてみると、現代の家造りはカットされた木材をパズルのように組み立てていくことが主流になり、ノミやカンナを使う手仕事はまったくないのが現状です。

木組みで造られた民家は総住宅数のたった3.18%しか残っていません。

しかもその大半が空き家です。

木工大工の就業者数はこの30年間で半数以下に、そして若手の担い手がいない状況にあります。

このままでは木組みの家、そして職人文化がなくなってしまう、こんなかっこいい職人さんの仕事をなくしてはいけないと強く思いました。

ではどうやって残していくのか。

それには、3つの課題をクリアすることだと考えました。

課題解決①木組みの家の高い耐震性を実証

まず1つ目は、耐震性がなく地震に弱いといわれていますが、実際は違います。

木組みの家は極稀地震(※)の実験でも倒壊することなく耐震性が高いと実証されています。

▶編集注:国土交通省の定める住宅の安定性において、地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさの観点から耐震等級が定められており、その指標となる数百年に一度程度、発生する震度6強から7程度の地震のこと。参照:構造の安定に関すること(国土交通省) 

課題解決②小規模高収益モデルの実現

そして、2つ目は資産価値がないこと。

日本の建物は30年経つと、上物がほぼ0円になります。

そのため、古いものを残そうというより新しいものを造ろうという考えになってしまいます。

その問題を解決するために、古民家を通して小規模高収益モデルを実現しました。

そして、1棟1オーナー制度を取り、宿づくりに投資してもらい、その宿で上げた収益をオーナーに返していく文化価値経済モデルを構築。不動産投資をするかのように地域文化に投資できる仕組みをつくり上げています。

この仕組みをつくったことで4年前はたった2棟だった宿は今年3月には20棟になり、3年後には52棟に広がる計画です。

このように地方に残る文化価値を、経済を通して未来へ繋いでいきます。

課題解決③木組みの家専門のプロ集団が環境をつくる

そして3つ目が、かっこ悪くて居心地が悪いという問題を解決するため、3年前にものづくりチームを社内に内製化しました。

従来の受託中心の工務店とは違い、木組みの家専門のプロ集団として環境をつくることでほかにはない空間づくりを生み出します。

宿づくりは職人技の集合体。木工職人をはじめ、左官職人と瓦職人とハードをつくり、ロゴ製作から衣装製作、そして地場の酒屋さんまで様々な職人の方々と提携してソフトをつくることでその土地ならではの文化を繋いでいきます。

こうして築140年の茅葺(かやぶき)屋根の宿や

遊郭をモデルにしたような遊び心がある宿、

明治の洋館をイメージしたクラシックな宿、

第4代日銀副総裁の名家を宿にしたもの、

そしてモダンな空間づくりまで、様々なお客様に楽しんでもらえるブランドの展開を行っています。

次のステップは日本酒業界から学び、川上から川下まで自前でやること、今年工場をつくり第一歩を踏み出します。

ものづくりを始めてたった3年ですが、私たちが考えるクラフテッドは、伝統こそ今、もっとも新しいということです。

今ここに、自分自身の身の回りに残る素晴らしい職人文化に答えがあると信じています。

夢①仕組みを共有し、全国でその土地固有の文化価値経済をつくる

そして新たな夢が2つあります。

ひとつ目は文化価値経済を全国の地方へ広げていくことです。

全国に広げるために、去年(2023年)新たに株主を招き、仕組みづくりを強化しました。

LOOOFが10年培ってきたチェーン開発からバックオフィス機能を、それぞれの地域パートナーにシェアし、その土地ならではのブランドを広げていくという取り組みです。

実証地域として長崎県対馬市にRITO対馬国を、

群馬県前橋市に赤城宿というブランドを2024年4月にオープンいたします。

夢②その土地ならではの風景や、失われた街並みをつくる

そして2つ目の夢は、その土地ならではの風景をつくることです。

木組みの新築を複数棟つくることで風景をつくるというプロジェクトです。

今までは残すという選択肢しかなかったものに、増やすという選択肢をもつことで(埼玉県の)川越のような素晴らしい街並みを、いろいろな地域につくれるようになります。

また、災害などで失ってしまったかつての風景を再現することもできます。

まずは、代表の地元、芦川で風景をつくる準備を進めております。

最後に、審査員の皆様、お手元の封筒を開けてください。

ぜひ、皆様の力を貸してください。

地域パートナーや協業先を募集しております。

未来に、次の世代にその土地ならではの風景を残す

私たちLOOOFは、グローバルな時代だからこそ、その土地ならではの個性が大切になると信じています。

そしてバーチャルな時代だからこそ、職人が生み出すリアルなものの価値が高まる。

未来に、そして次の世代にどんな風景を残すのか。

ものづくりの力を通して、その土地ならではの風景をつくりたいと思います。

素晴らしい風景を共につくりましょう。

ご清聴、どうもありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/星野 由香里/戸田 秀成

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