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ICC KYOTO 2025開催目前、EVeMの新マネジメント講習で、ICC運営スタッフのチーム力を上げる!

ICCサミットの参加者の皆さんから、いつも感謝の言葉をいただくボランティアの運営スタッフ。普段からチームビルディングや運営力UPに熱心な彼ら・彼女たちのために、2025年8月7日、EVeMの長村 禎庸さんがマネジメント講習を開催してくださいました。オン・オフラインでなんと48名が参加し、大いに盛り上がったこの講習の模様をレポートします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


ICC KYOTO 2025まで1カ月を切ったきいいチームを作って運営力を上げることで場作りに貢献したいという成長意欲の高いスタッフが37人、オンラインで11人、合計48人の熱意あふれる参加者が集まりました。

前回に引き続いて運営チームの宍戸 直也さんが発起人となり、組織マネジメントのプロフェッショナル、EVeM長村さんにチーム力を上げるワークショップの開催を相談。長村さんはICCの運営スタッフのイベントにも頻繁に出席いただいていて運営チームをよくご存知のため、私たちにカスタマイズしたプログラムを作っていただいたといいます。

▶︎前回のワークショップ

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メンバーが自発的にイキイキと戦略を実行する組織になるには? ICC運営スタッフがEVeMのマネジメント研... ICC FUKUOKA 2024で、マネジメントのワークショップやスタートアップ・スクールの講師として、登壇いただいたEVeMを率いる長村 禎庸さんが、去る7月23日、ICC運営スタッフ向けにマネジメント講習を実施してくださいました。組織力を上げて高い目標を達成し続けたいと悩む経営者やリーダーに、今日から実践できるマネジメント手法をレクチャーいただき、運営チームはさらにやる気に満ち溢れています。ぜひご覧ください。
発起人の宍戸さん

講習の内容は、経営者や管理職が受講するようなもので、普通に受けるのならば一体いくらかかるんだろう……と思ってしまいますが、そんな学びの機会があるのが、運営スタッフに参加する魅力のひとつ。自分の所属チームが決まったら、さまざまなチームビルディングの試みが始まっています。

この日も、そういったことに興味関心の高い人や、リーダー層が中心となって出席しています。

マネジメント16タイプ診断、あなたのタイプは…?

参加者は、事前に「強みと弱みがわかるマネジメント16タイプ診断」で自分のタイプを確認した前提でこの研修に臨んでいます。それを踏まえて、相互理解とチームビルディングを進めるポイントを学んでいきました。

左上のブルーから時計回りに「推進」系、「戦略」系、「包摂」系、「創発」系。下の%はEVeMの集計による象限内の割合

ところで「相互理解」というと、誰もが大事だと思うところですが、具体的に相互理解があると何がいいかを考えたことがありますか?

EVeMのどの講習プログラムにも通じることですが、そういった1つひとつの要素を分解して、言語化して進んでいくところが、深く腹落ちできるポイント。本質的な意味を理解すると、学びも応用ができるものになります。

相互理解があれば、たとえば「わからないことが出てきたとき、相談ができて解決ができる」「アイデアがお蔵入りしない」。ICCの運営スタッフは、毎回新しいメンバーでチームを組成して運営にあたりますが、たった4日間という短期間ゆえに、相互理解が一層大事だとわかります。

そんな言葉の定義や具体例の解説を聞きながら、同じテーブルの仲間たちと話し合いながら、賑やかに講習は進んでいきました。

ICCの運営チームは「カリスマ」型に集中

リーダークラスのスタッフが多く集まったためか、出席者のマネジメントタイプの診断結果は表の右側、「包摂系」67%(しかも「カリスマ」に集中)、「戦略系」25%に寄った結果に。

この16タイプというのも、世の中のタイプを分類するのではなく特定の人物を想定して分析、それと逆のタイプなど、リアルに存在する人物を元にして類型を作っているそうです。それぞれのタイプ解説やエピソードもリアルで、会場からは何度も爆笑が起こりました。

なるべく違うタイプの3人1組で座ったどのテーブルでも、配布された資料を食い入るように見ています。そこで自分のタイプを示しながら、それに対する感想や、自己理解を話してみる時間が設けられました。

この4象限の座標軸には、相互理解のために、論理↔︎感覚、俯瞰↔︎詳細といった相対する傾向も示されています。長村さんたちが集めた4万のデータから、現在の分布が明かされましたが、これも興味深いものでした。 

リーダー、マネージャーといえば、論理が強いほうがよいというイメージがありますが、データから見える”今の”リーダー像は、論理49%:感覚51%というもの。人の気持ちに敏感で、ユーザーの体験重視、なぜ喜んでくれているか、言語にできないものを大事にする力がやや強めという結果でした。

「約半分の人は自分と違う、というのを理解するのが大事。自分と違う論理、違う感覚というのは、珍しいものではありません。ディレクションより実行するほうが上回るのは、プレイングマネージャーが増えている傾向ともいえて、多様な人と仕事できるタイプがやや多く、今後それがさらに強くなる傾向があります」

約半分の人は自分と違う考え方をする、という現実にどう対処するか

また、色分けされた4象限の対角線上にある相手は、ものの見方や対人、仕事の仕方がまるで違うので理解しようとする努力が必要とのこと。

たとえば、「推進系」が「包摂系」のぼんやりとした解像度、チームメンバーを重視した業務推進に違和感を覚える一方、その逆として「包摂系」は「推進系」にチームメンバーに配慮が足りず、個別最適な業務推進に大きな違和感を覚える、といった具合。これを「理解不能!」と決めつける前に、そもそもの違いを念頭に置いて理解しようと努めることが大切です。

真逆のタイプならば、お互いの強みを発揮できる役割ではっきり分けてしまうほうが、業務はスピーディーに進みます。それで短期的にはうまくいくけれど、根本的には考え方が違うので、長く続けていくうちに道が分かれていってしまうこともあるといいます。

それでもチーム内に3象限にわたるタイプがいれば、間にいる人が架け橋となって、さまざまなアイデアが出て議論が盛り上がり、アイデアを生むことができるとのこと。多様なメンバーとのチームビルディングに熱心なスタッフたちは、この方法にチャレンジしそうな雰囲気です。

仮想幹部チームで相互理解を深める

ここからテーブル毎に3人1組の「仮想幹部チーム」となり、相互理解のワークショップとなりました。前半で自分のタイプについてお互いに話しているため、「このチームの強みとは何か」からスタートです。続いて「その強みをさらに活かすには?」「チームに欠けているもの、それをどう補うか」についてディスカッション。

さすが幹部とあって、さまざまな意見を積極的に話し合っています。長村さんもところどころで上がる質問に答えつつ、議論に参加。なんだかみんな、めちゃめちゃ楽しそうです。

「革命家」「太陽」「カリスマ」がいるチームで、どんなピースを入れたら欠けているものを補えるか?という質問に対して、長村さんはどんな仕事をするかによると回答。たしかに、仕事の内容によって向いているメンバーを揃えれば、最強のチームができそうです。

議論は「1人では生めない解を生むため」にするもの

続いて議論のテーマは、少し抽象度の高い「議論は何のためにするのか?」について考えることになりました。振り返ってみるとここから先が、さまざまな角度から組織内で起こることを眺めて考えることで、「自分とは考えが違う人たちと協働するには」を理解していく内容だったように思います。

議論は「1人では生めない解を生むため」にするものですが、そのうえで、いい議論を産むための場作りのさまざまなTIPSが伝えられました。真剣に話し合いたいのに消極的で意見が出ない、という会議には、4人程度の少人数でレベル感を揃えたメンバーにする、というだけでも雰囲気が変わりそうですよね。

議論するときは、前半に学んだ4象限の強みや弱みを踏まえて、自分に欠けていること、相手の何が優れているかを意識するとより効率的な議論ができます。

たとえば自分が「包摂」象限にいるならば、「推進」メンバーには実現方法やオペレーション、「創発」には企画やサービスの具体性、「戦略」には戦略やロードマップなどが得意のためそういう議論を求めれば、「包摂」の人にとって必要な意見が集められるとのこと。

ちなみに、ファシリテーターあるあるだと思うのですが、議論で自分と違う意見に固執する人や、反論してくる人にちょっとイラっとしませんか? そういうときに面倒くさいなと思ってしまうのは、長村さん曰く、最後に自分が決定するという腹が座っていないからだそう。

議論におけるマネージャーの役割は「合意形成係」ではなく「決めること」であり、それを前提として宣言しておくことが重要。そう決めておけば、さまざまな自分にない意見はいい意思決定のための養分、と思って聞けるということでした。

「相手が受け取りやすい指示とは?」についても考えました

完全に相手を理解することは不可能だから尊重する

最後に長村さんは「タイプの前に知るべき根源的なこと」について、質問を投げかけました。

「人の内面を理解しようとしても、わかりきることはなくて、人は宇宙のようなもの。心底理解できることはありません。

長く型について話してきましたが、型に寄りすぎるのは危ない。ストレングスファインダーもタイプ診断による型も、人という宇宙を眺めるときのヒントであり、レンズのようなものです。レンズの先は自分で必死に理解しようとしないとわかりませんし、絶対に相手をわかることはない、という畏敬の念を持つことが大事です」

最後のテーマはここで投げかけられたテーマを2人1組で話し合うことでした。

「仕事とは、人生でどのような意味合いを持つか」

「そのような意味合いを持つ仕事というものにおいて、どんな挑戦がしてみたいか」

「仕事を通じてどんな自分になりたいか」

「なぜ今日も、ICCのスタッフとして活動しているのか」

かなり深いテーマですが、堰を切ったように皆が話し始めました。

これは答えの出るものではなく、ただ、お互いを少しでも理解しようとするシンプルで根本的な会話でした。既にある程度知っている相手と、改めてこういう話をする機会は実はそんなになかったかもしれません。こういうことを考える人なのかと、またひとつ相互理解のヒントを得たような時間となりました。

これにて研修は終了。最後は参加者たちからの質問タイムです。

Q「上司もメンバーも同じタイプの場合、異なる意見をどうやって取り入れたらいいでしょうか?」

上司も自分もメンバーも同じタイプだとすると、盲点ができるのでは?というのが心配。それに対する長村さんの意見は…。

A「同じタイプが重なりすぎると同族嫌悪が起こる場合があります。違うタイプのオブザーバーを入れて、アドバイスをもらうようにしてみる、または自分たちのタイプにないことを意識して取り入れてみる。論理的に考えてみよう、細かいことを意識して考えてみようなど、呼びかけてみてもいいと思います」

Q 私は必殺仕事人タイプ、感覚が強いほうです。感覚で話をすると、合っているうちはいいが、そうでなくなるとロジックを求め始める。そういうときはどうしたらいいでしょうか?

A「そこまで自分でわかっているなら、いいと思います。感覚がすれ違っている自覚があるなら、言葉にするとどうなる、図にするとどうなるとか、論理で考えてみようと問いかけてみては」

Q 上司や周囲が自分と違うタイプの環境にいると、自分は仕事ができないと思ってしまいます。自分が『できない』ことと『違う』ことをどう分けて考えればいいでしょうか

A「逆に相手ができなくて、自分ができることについて自覚することが大切だと思います。相手のそれぞれの型で欠けているところが見えて、逆に自分はできると思うので、それに自覚的になる。自分の弱いところを鍛えるのも手ですし、そう考えてみようとしてできるなら、それでいいのではないでしょうか」

Qマネジメント研修は、だいたい壁に当たって悩んでから導入するように思いますが、いつどういうふうに導入するのがいいでしょうか? 

A「私たちの営業も同じことで悩んでいます(笑)。360度評価で納得感がなかったりする人も多いですよね。まずは『マネジメントができている状態』というのを決めておくことも大事です。そのマネジメントができている基準をもとに、採点していく方法があります。

マネジメントができていないと、こういう影響が出るということをブログに書いていますので、ぜひ参考にしてもらえれば」

▶︎マネージャーの評価基準(シート・動画付き)(長村さんのnote)

Q 1つの話題で議論するのは4人が限界ということですが、6人のチームで2人外すのは…と思ってしまいます。議論の過程も聞いてほしいし、蚊帳の外になってしまうと、参加意欲が下がるかもしれません

A  議論とは、何かしらのゴールに到達しようとするとき。6人は、込み入った議論や本質的な議論、意思決定をブラッシュアップするには難易度が高いですね。

一方で、納得感を醸成する、蚊帳の外感を出さないという意味では「対話」というのがあります。対話はゴールのない言葉の交換で、普段から対話は6人でするけれど、意思決定の議論はこの4人でやるということを決めておけばいい。

私は約20人の会社を経営していますが、決めるときは5人で議論するというのは伝えています。対話が欠けていると納得感がないと思うので、普段この20人と話していることはとても大事です。それがあれば、いざというとき5人で決めるということに納得感があると思います。

Q 意思決定のときに、なぜやるのか、目的は?など意見が分かれ、コミットしてもらえなかった経験があります。その場合、合意に時間をかけるのか、無理のないレベル感のメンバーに編成を変えるなど、どうしたらいいでしょうか?

A マネージャーが決めたことをやるというのはルールなので、その組織のルール、ポリシーとして、それが組織に共有されていることが大事です。

大事なことについて、議論することなく決めることはないとマネージャーが約束し、たとえ30分とか限られた時間でも必ず議論する。議論の機会は持つので、決めたことには従ってくださいと約束する。直接それを伝えにくいなら、人事の方や経営者から伝えるなど、組織のポリシーとして浸透させることが大事です。

*    *    *    *    *

こうしてICC運営チームとしてだけでなく、自分の仕事での悩みにも役立つ、さまざまな学びを得た講習は、あっという間に3時間が経過。最後は集まった全員、心からの感謝の拍手で終了となりました。

早速チーム作りに役立てたい、相互理解を深めるためのテーマをたくさん得たこの講習、ICC KYOTO 2025で早速活かして、実践しようとする意欲にあふれたメンバーで記念撮影です!

お忙しいところ、運営チームのために時間を作ってくださった長村さん、ありがとうございました!以上、ICCオフィスから浅郷がお伝えしました。

(終) 

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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