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ユーザベース梅田氏が語る「自由」な企業文化【F17-3A #3】

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「最高の組織文化・ハイモチベーション組織を創る」【F16-3A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その3)は、ユーザベース梅田さんに事業戦略と組織文化のリンクについてお話しいただきました。目下、事業が多角化するユーザベースの貴重な組織論です。是非御覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


登壇者情報
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 3A
最高の組織文化・ハイモチベーション組織を創る
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)
青柳 智士
株式会社VOYAGE GROUP
取締役 CCO(Chief Culture Officer)

梅田 優祐
株式会社ユーザベース
代表取締役 共同経営者

梅原 一嘉
佐竹食品株式会社/株式会社U&S
代表取締役社長

長谷川 敦弥
株式会社LITALICO
代表取締役

(モデレーター)
麻野 耕司
株式会社リンクアンドモチベーション
執行役員

▶ 「最高の組織文化・ハイモチベーション組織を創る」 の配信済み記事一覧


麻野 梅田さんのところはいかがでしょうか。事業戦略と組織文化のリンクについて、重要なポイントがあれば、お願いします。

梅田優祐氏(以下、梅田) 梅田です。宜しくお願い致します。

梅田 優祐 株式会社ユーザベース 代表取締役(共同経営者)


梅田 優祐
株式会社ユーザベース
代表取締役(共同経営者)

1981年生まれ。2004年横浜国立大学を卒業。コーポレイトディレクション、UBS証券を経て、2008年に株式会社ユーザベース(UZABASE,INC)を設立し、代表取締役共同経営者に就任。2015年4月より株式会社ニューズピックス(NewsPicks,INC)の代表取締役に就任。企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA」とソーシャル機能も兼ね備えた、経済ニュースプラットフォーム「NewsPicks」を展開。東京、シンガポール、香港、上海、スリランカに拠点を構える。

うちの場合は先程の事例でいうと、3つのパターンがありましたが、それが全て融合してる、そんな会社だと思います。

ICC FUKUOKA 2017 Session3A Slide 9

まず事業がNewsPicksとSPEEDA、これはB to CとB to Bで、全然違うタイプのものがあって、まずベースにITというエンジニアの文化があるんですね。

そこに更に特徴的なのは、自分達でコンテンツを作っていまして、編集部があるので、メディアの文化が混ざっています。

更にSPEEDAの方は、証券会社等に勤めているアナリストがいるのでアナリストの文化もあれば、決算データやIRデータを非常に細かくきっちり正しく速く入力していくオペレーション部隊もあるので、イノベーション型、オペレーター型、プロフェッショナル型みたいなのが全部混ざっているというところがあります。

よく事例でいうのは、Google的なIT会社の文化と、ゴールドマン的な金融会社の文化と東洋経済的なメディア会社の文化が混ざってると。

今までそれが融合することは無かったんですが、ユーザベースが恐らく初めて融合させて、プロフェッショナルが活躍できる場にしていこう、としているのがうちのチャレンジだと思います。

麻野 フィンテック系の会社でも、金融系のバックグラウンドの人とIT系のバックグラウンドの人が折り合わずに組織が上手くいってないな、という会社が多かったりするのですが、その辺どうやって融合されているのでしょうか?

バックグラウンドが違う人同士の交差点を見つける

梅田 正しく折り合わなかったんですよね。

今も折り合っているのか?というと、折り合わない中で折り合っていこうとしてる、という形だと思うんです。

象徴的な出来事として、創業した時にエンジニアがいて、私は金融機関出身なので、全然会話が噛み合わないんですよね。

よくよく聞くとエンジニアは、そもそも会社が成長することに興味がない。

ましてや世界一の経済メディアになることに全く興味がないと言っていて、「ああ、そういうことか、それは話しが噛み合わないな」と思ったんですよね。

ICC FUKUOKA 2017 Session3A

一方で、エンジニアが一番興味があるのは、新しいテクノロジーにどんどんチャレンジできる環境であることです。

彼はSEとして大きなシステムインテグレーターの会社にいたので、なかなかエンジニアが主役になる会社ではなかったんですよね。

ですからエンジニア主体でプロダクトにどんどんチャレンジできていく、そういう環境さえあればいんだと。

それを知った時に、ビジョンは例え見てるところが違っても、交差する場所はあるなと思って、その交差する場所を1人1人見つけていくことがとても大切です。

そこで我々が力を入れているのは、まずこれだけのプロフェッショナルだったり、バックグラウンドが違ったりするメンバーが集まっているので、とにかく自由にするということです。

彼らのクリエイティビティ、エンジニアのクリエイティビティ、記者のクリエイティビティ、アナリストのクリエイティビティを最大限発揮するためには、絶対に統制しちゃいけないので、まず自由にするというのが1つ目です。

2つ目は、人それぞれのモチベーションの源泉を把握するのに時間とコストは使っていて、交差ポイントを見つけることをすごく丁寧にやっていると思います。

麻野 ユーザベースの場合は、金融系のプロフェッショナルがいたり、メディア系のプロフェッショナルがいたり、IT系のエンジニアのプロフェッショナルがいて、違うジャンルのプロフェッショナルが一つの組織に混在してますよね。今、そういった組織を成功させるための答えの1つが「自由な文化」だとおっしゃいましたが、自由にやらせて組織としてまとまるものなのでしょうか?

無理にまとめないというのが大切

梅田 無理にまとめない、というのが結構大切だと思います。

無理にまとめようと何かしなきゃいけないという先入観が僕も前あったと思うんですが、例えば会社で花見やります、BBQやりますっていうと、昔はみんな来てくれたんですけど、編集部だけは絶対に来ないんですね、見事に来ない。

無理矢理来たくないものに来させることの意味は何なのか、それは本質じゃないよね、ということをだんだん考えていくことによって、それだったら編集者や記者やエンジニアの能力を最大限に発揮できる、それは彼らも望んでいることなので、そっちに主眼を置くべきじゃないかと思うので、我々は強制しない、ということを会社イベントでも大切にしています。

麻野 社員に自由にさせていて、会社への興味や関心を持たせられるものなのでしょうか?

梅田 必ずしもユーザベースという会社に対してロイヤリティーを持て、ということは強制してないですし、重きを置いていません。

それよりも、例えばアナリストであれば世界を代表するトップアナリストになりたいと、それを叶えられるプラットフォームであることが非常に大切だと思っているので、まずユーザベースが目指す方向はしっかり発信していきます。

その発信していく方向に自分の夢を乗っけられるかどうか、ということですよね。

乗っけられなかったら一緒にいてもしょうが無いよね、という形でこの9年間、10年目に入りましたが、最初は家族的なウェットなことを重視して、僕もそういうのが大好きだったんですけど、少し変わってきたところがあるかなと思います。

会社が目指す方向に自分の夢を乗っけられるかどうか

麻野 あくまで個人のやりたいことがあって、それを支援する器としてユーザベースという組織がある、という感じなのでしょうか?

梅田 そうですね、交差する場所があるかないか、そこに尽きるところがあると思います。

ユーザベースのビジョンは変えることありませんし、個人に合わせることもありませんということははっきりしています。

後は自由にするということは、高い倫理観と責任感を持ったメンバーで構成されていることが大前提になりますので、そういう人達は自ら考えて自ら動けなきゃダメなんですね。

あとは自分たちで判断してくれ、という形にしています。

このデメリットというのは、我々は現在の組織規模は200人ぐらいになってきましたが、新卒がまだ本格的に採用できていないということがあります。まだ何も経験のない新卒にいきなり「自由にやれ」と言ってもそれは無責任だなとも思いますから。

そのため、新卒を本格的に採用していくとなった時はまた新たな文化を入れていかなければいけないと思っていますが、今はプロフェッショナル集団として成り立たせていくということがこの1、2年間は大切だと思っています。

ICC FUKUOKA 2017 Session3A

麻野 ユーザベースさんは弊社の「モチベーションクラウド」というツールで、組織状態のデータをとっているのですが、ユーザベースさんはかなり社員の方の会社に対するロイヤリティーが高いという結果が出ているんですよね。

自由にさせて、結果としてロイヤリティーが高い理由はなんでしょうか?

梅田 何でなんですかね。

今、麻野さんに見てもらってるのですが、何でですかね?(笑)

(会場笑)

僕たちとしてはそういうスタンスでマネージメントをしているので、結果として高いスコアが出たというのはあると思います。

結局は、自分たちが自己実現できる場であるか、というのが最終的にはロイヤリティーにも変わってくると思います。

自己実現できる場を好んで活躍する場を選んでいたりするので、そこが大きいのかなと思いますが、僕も良く分かりません。

青柳 思考実験なんですが、例えば「再現性」というキーワードで話した時に、ユーザベースで梅田さんが違うメンバーでやっても、ハイモチベーションな、同じような結果になりそうですか。

梅田 マネージメントが別ということですか。

青柳 はい。

モチベーションの源泉を知るには丁寧なコミュニケーションが必要

梅田 マネージメントは今のメンバーじゃないと実現できなかったかなと思っていて、この仕組を成り立たせていくために、まず自由にしています。

1人1人のモチベーションの源泉を知らなければいけなくて、そのためにはすごく丁寧なコミュニケーションが必要です。

3ヶ月に1回必ずコミュニケーションする場所があるんですが、それプラスアルファでなんだかんだいって重要なのが、非定型な飲み会だったり、非定型なコミュニケーションが作られる文化が大切だったりします。

先ほども話してましたけど、僕は非定型なコミュニケーションが社内でもすごく苦手で、社内の飲み会も全然行かないんですけど、もう1人稲垣という人間がいまして、彼は木曜日だけは休肝日にしてますが、毎日社員のメンバーと飲みに行って、そこでどういう温度感でみんなが思っているか、こういう話があったからこういう施策をしたほうがいいよ、という感じでちゃんとみんなのモチベーション系を吸い上げる経営メンバーがいるんですね。

彼がいなかったら今のような仕組みはできなかったというところもあるので、マネージメントが今のメンバーであることはすごく大切な要素です。

麻野 ユーザベースはプロフェッショナルな組織なので個人を大事にしていて、その分自由に働いてもらう。しかし、その分個人個人の状況把握やモチベーションはしっかりと見てる、ということですかね。

梅田 はい、そうですね。

麻野 ありがとうございます。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

続きは 「日本一楽しいスーパー」とは?-佐竹食品の挑戦 をご覧ください。

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【編集部コメント】

続編(その4)では、佐竹食品の梅原さんに事業の概略と目指しているビジョン等についてお話しいただきました。急成長のスーパーマーケットのストーリーです。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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