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地域の規格外品や副産物を美味しく詰めこんで、ソーセージにあらたな価値をつくる「ハヤリソーセージ(流行)」(ICC KYOTO 2025)

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ICC KYOTO 2025 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、ハヤリソーセージ(流行) 村上 武士さんのプレゼンテーション動画【地域の規格外品や副産物を美味しく詰めこんで、ソーセージにあらたな価値をつくる「ハヤリソーセージ(流行)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。

【速報】規格外食材や地域課題を美味しく詰めこんだ“現代ソーセージ“をつくる「ハヤリソーセージ」(流行)がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング

村上 武士
ハヤリソーセージ(流行)
代表取締役社長・現代ソーセージ研究家
公式HP | 公式X

福島県いわき市出身。役者を目指して劇団を渡り歩くも料理の道に目覚め転進。様々な料理店の経験中ソーセージの奥深さに魅了され2009年東京恵比寿に世界のソーセージ専門店”hayari”をオープン。2012年『シャルキュティエのソーセージレシピ』誠文堂新光社より発刊。2015年翻訳版 経典香腸製作大全(中国民族攝影艺术出版社)2016年山梨県上野原市に移転。2023年DLG(ドイツ農業協会)国際コンテスト金賞受賞。2024年食品産業もったいない大賞 農林水産大臣官房長賞受賞。2025年ICCサミット FUKUOKA 2025 フード&ドリンクアワード アルチザン部門1位獲得。現代ソーセージ研究家としてメディア出演、執筆、レシピ開発などを手掛ける。日々、ソーセージ=筒形料理≪お料理としてのソーセージ≫を追求している。


村上 武士さん 現代におけるソーセージのアップデートを提案する。

現代ソーセージ研究家の、村上 武士です。

ソーセージとウインナーの違い、わかりますか?

皆さん、ソーセージは食べたことがありますか?

おそらく、ここにいるほとんどの方が、召し上がったことがあると思います。

それでは、ソーセージとウインナーの違いは分かりますか?

途端に、怪しくなりましたね。

答えはこちら。

ソーセージは食べ物の分類で大カテゴリー、ウインナーはソーセージの種類で小カテゴリーということになります。

簡単に言うと、羊の腸を使った小ぶりなものがウインナー、豚の腸を使った太いのがフランクフルトです。

ソーセージは腸に詰められているのです。

この親しみある詰め物を、現代の社会にフィットしたアップデートをしましょう!というのが私の提案です。

ドイツ農業協会で金賞受賞の自然派ソーセージ

弊社は2009年、東京・恵比寿で世界中のソーセージを手作りするレストランとして始まり、その後、山梨県上野原市で世界のソーセージ、創作ソーセージ合わせて34カ国300種類のソーセージを作り上げてきました。

ドイツ農業協会主催の品評会で金賞を受賞したのは、加工肉で常用される化学接着剤、発色剤、保存料、調味料としてのアミノ酸、酵母エキス等を一切加えない、自然派ソーセージです。

代表の私は、世界中のソーセージを発掘、研究したレシピ本を出版し、最近、生態人類学会において世界中に分布する土着ソーセージに関する論文も発表させていただきました。

▶︎シャルキュティエのソーセージレシピ 増補改訂版: ソーセージづくりの基本と世界のソーセージ(Amazon)

寝ても覚めてもソーセージのことを考えています。

よく、“ソーセージに取り憑かれた男”と言われています。

世界中で奪い合いになっている、ソーセージの腸

そんな中、ソーセージを取り巻く環境に由々しき事態が起こっております。

ソーセージ用に生成された天然腸は、最大の生産地である中国から世界各国へ輸出されるので、ここ日本では全く作っていません。

世界的な気候変動、紛争、経済動向による影響、人口増加により、何と世界中で奪い合いの状況になっているのです。

皆さん、ご存知でしたでしょうか?

また、主原料である豚肉の価格は過去最高値を記録しました。

これは、我々のような小規模事業者であっても大変な痛手であり、これまでの大量生産、大量消費ではもはや持続が困難です。

業界では、将来的には、天然羊腸のパリッとジューシーなウインナーは高級品になるという見方もあります。

肉以外のものでも作る腸の詰め物料理「現代ソーセージ」

そこで我々は、ある選択肢にたどり着きました。

それは、肉に固執せず、肉以外のものでもソーセージを作れないかという発想です。

加工肉の悪しきイメージを払拭し、価値ある腸の詰め物料理として、限られた腸を大事に使い、渾身の一本を作り上げる、我々はそのプロダクトを「現代ソーセージ」と読んでおります。

日本には、素晴らしい食材を作り出す生産者がたくさんいます。

一次産業で発生する規格外品や副産物をアップデートし、筒形のお料理まで昇華させることができないかと考えました。

数年前から試作をし、たくさんの生産者とつながり、その素材が一番輝くソーセージを構築したところ、生産者の名刺となるようなシグニチャープロダクトができました。

実例として、規格外だったぶどう、とうもろこし、ニンニク、米、副産物としてのわさびの葉、酒粕、ビールカス、ワインカス、マグロの筋、タコの頭などがございますが、本日ご用意したのは、右から、北海道苫前産のミズダコフランク、山梨県勝沼産ぶどうのソーセージ、新潟県弥彦村産枝豆ソーセージです。

▶︎編集注:ここで審査員席には試食のソーセージが配布されました。

どうぞお召し上がりください。

味への感動が、お客様、生産者から届く

生産者からは、こんなお声を頂いています。

「フランクの味への評価が圧倒的に高く、私たちにとって本当に涙が出るほど嬉しかったです。翌日も問い合わせがあり、『在庫ないの?販売しないの?道の駅に置かないの?』」など、美味しさに驚かれたお客様からの声がたくさん届いています。

「今まで捨てていた葉や茎の部分までソーセージに活用してくれて、とても感謝しています」

農家もお客様も喜んでくれる未来が少し見えて、とても嬉しく感じました。

ほとんどの方が、味に感動されていました。

食の感動から、料理人や生産者にも思いを馳せてくれることを実感できました。

“もったいない”を形にするサーキュラーエコノミー

皆さん、ソーセージは腸という包装材に包まれたメディアです。

現代ソーセージというこの美味しいメモリースティックには、味わい、香り、舌触りだけではなく、それが生まれた土地の肥沃さ、海の塩気、生産者の想いまでが情報として詰め込まれています。

さらに、私が思うソーセージの存在意義は、「もったいない」をカタチにすることです。

なぜドイツでソーセージが発展したかと言うと、ドイツではあまりの寒さに冬を越せない豚たちを屠畜し、加工することで冬の大事なタンパク源としたからです。

血の一滴まで無駄にせず、包装材として腸を利用しました。

腸は、細かくなった部位、筋、栄養満点な血液でさえ詰め込むことのできる、食べられる袋として重宝されました。

そうです、これがソーセージの根源的な役割であり、ソーセージは姿、味わいを変えて、世界中で愛されています。

現代ソーセージの原材料も規格外品や副産物なので、サーキュラーエコノミーの考え方にも合致します。

これらの取り組みが評価され、農林水産省からも表彰していただきました。

これまで添加物に頼らない自然派ソーセージ30万本以上を販売、価格は1本600円~1,600円まで幅広く設定していますが、百貨店ではアップサイクル&ブリゴラージュおせちとして、ソーセージのみで3万円で販売させていただきました。

決して安くはない価格ですが、なぜ作るか、どう作るかを訴求して認知を得た結果、さまざまな企業でお取り扱いを頂きました。

薄利多売から、高利少売型のソーセージへ

現在、製造拠点となるのは山梨、仙台、宮崎で、現代ソーセージを作る提携工場は着実に増えています。

また、あらゆる廃棄課題のハブとなる、環境課題解決企業Satisfactoryと共創し、規格外品、副産物を現代ソーセージ化する取り組みを全国規模で開拓し始めました。

九州の宮崎では、地域素材を美味しく詰めるエシカルソーセージにより、地域循環モデルをLFPにて発足させました。

▶︎地域食品産業連携プロジェクト(LFP)推進事業(農林水産省)

これからは、自然派ソーセージのその先へ、現代ソーセージを提案してまいります。

現代ソーセージを、生産者の、手裏剣のような飛び道具にしてほしいのです。

現代ソーセージで薄利多売から、高利少売型のソーセージの価値を構築し、人類最古の包装材として、土に還る包装材として、これからも研究を重ねてまいります。

ご興味を持っていただいた皆様、生産者の皆様、井手さん(ヤッホーブルーイング)、朝霧さん(COEDO BREWERY)、ビールと言えばソーセージですよね!

▶︎編集注:井手さん、朝霧さんはクラフテッド・カタパルトの審査員です。

きっとお役に立てるかと思います。

一緒に、新たなソーセージの価値をつくりませんか?

お声がけ、お待ちしております。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成

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