【NEW】ICC サミット KYOTO 2026 開催情報詳しくはこちら

2. 1,000兆円市場を勝ち取る戦略。要素技術を超えた「完成品」での勝負

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

単なる部品や要素技術で終わらせない——2050年に1,000兆円規模へ拡大すると言われる核融合分野で、日本が主導権を握るための「システムインテグレーター」戦略とは? 莫大な資金調達と柔軟なイグジットを見据えた、超リアルなディープテック経営論が交わされます。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2027は、2027年3月1日〜3月4日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 11C 最新テクノロジ゙ートレンド゙ 徹底解説(シーズン10) 
Supported by EVeM

(プレゼンター)

清水 映輔
OUI Inc.
代表取締役

スマートフォンに装着して眼科診療を可能にする医療機器「Smart Eye Camera」を開発・提供

田口 昂哉
Helical Fusion
代表取締役CEO

日本独自の「ヘリカル方式」による核融合発電所によって、2030年代に世界に先駆けたフュージョンエネルギー(核融合)の実用化を進めている。

秦 裕貴
AGRIST
代表取締役

ロボット技術やAIなどのテクノロジーで農業課題を解決するスタートアップ

林 正彬
LIFESCAPES
取締役副社長

BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)技術を応用し、脳卒中後の麻痺患者に向けたリハビリテーション医療機器を開発

(モデレーター)

尾原 和啓
IT批評家

『最新テクノロジートレンド 徹底解説(シーズン10)』の配信済み記事一覧


要素技術で終わらせず「完成品」で挑む理由

田口 ここは少し産業めいた話になりますが、我々Helical Fusionが創業時からこだわっているのは、我々は要素技術や素材とか部品とか、そういったことだけをやるのではないということです。

システムを全部統合して、核融合発電所という完成品を作れないと意味がないと考えています。

というのも、皆さんご存知の通り、半導体やスマホやロケットなど、最近大きくなっている産業分野でリーダーになっているのは、NVIDIAとかAppleとかSpaceXです。

彼らは結局いろいろなものを集めて、完成品を提供します。

それでエコシステム、プラットフォームを作るというプレイヤーが圧倒的に産業リーダーになって、当然時価総額も大きく、マーケットを支配できる力を持っているのですが、日本はここを取るのが非常に苦手です。

歴史的にも、日本がこのインテグレーターポジションを取れたのは、おそらく自動車ぐらいだと思っています。

それ以外の分野では残念ながら、主にアメリカ企業がインテグレーターポジションを取っていて、それによって部品や素材の使用価格を左右できるわけです。

日本は今、いかに優れたものづくりや産業の力があっても、ここを決められてしまって他の国と競争せざるを得なくなって、ご覧のような国々と主に価格競争に追い込まれてきたというのが、この30年ほどの日本の産業の苦しみだと我々は思っています。

尾原 そうですね。

振り返ってみると、NVIDIAとAppleが世界の時価総額の1位、2位を争うし、2026年のSpaceXの上場だけで1年分の新規IPOの金額を全部吸い上げると言われる上場をしてしまうぐらい、このインテグレーターポジションは大事ですよね。

田口 本当にそうですよね。

もう本当に文字通り桁が全然違って、多分桁2つぐらい違いますよね。

せっかく良いものを作っても薄利で売らないといけないから、日本企業はなかなか活躍できてこなかった歴史があると思っています。

新しい産業でまた同じことをやるとこの30年がまた続くだけなので、我々はこの核融合という新しい産業においては、インテグレーターのポジションも日本側で取らないといけないと思っています。

Helical Fusionが、仮に世界で唯一核融合発電所を作れるプレイヤーだという存在になれれば、プラントの仕様、価格など全部こちら側で決定できるわけですね。

そうすると価格競争だけではなくて、品質の競争に持ち込むことができます。

劣悪で安いものを持ってきても採用しません、きちんと良いものを作ってくださいと、こちら側から要求すれば、部品、素材で勝つのは自然と日本です。

ものづくりでは間違いなく日本が世界一ですから、そういった裾野の産業も含めて、きちんとした利益をマージンで取って、産業全体を活性化することができると考えています。

これが、インテグレーターポジションを取ることの一番のメリットだと思っています。

政策の追い風と1,000兆円市場への挑戦

田口 これは、国ももちろん認識しているでしょう。

フュージョンエネルギーという新しい分野は、この日本成長戦略の17分野の1つとして、エネルギー(資源・エネルギー安全保障・GX)から切り出して単独で項目化していただいています。

今までフュージョンは研究開発が主だったのですが、今年度の補正予算から600億円の民間向け資金が用意されます。

これは経済産業省で初めて取り扱うということで、日本としても研究から産業、エネルギーへと舵取りが今まさに行われている状況です。

Helical Fusionとしては、開発していくだけではなくて当然マーケットの出口もきちんと示さないといけないので、昨年、日本で初めてフュージョンエネルギーによる電力の売買契約を締結して発表させていただきました。

アメリカではすでに3件あったのですが、これは世界で4件目で、日本初、アメリカ以外で初めての事例になりました。

フュージョンは今申し上げた通り、かなり大きな産業分野を構成していくポテンシャルがあり、現状でも数百兆円、2040年、2050年には1,000兆円を狙うようなマーケットが期待されています。

素材、部品、加工、組み立てや製造、建設といった日本の元々持っている力が生かされやすい分野です。

ここで先ほど申し上げた、ど真ん中にある設計統合技術さえ確立すれば、大きなバリューチェーン、サプライチェーンのかなりの部分を日本で構成することができるので、産業だけでなく国産のエネルギーを手に入れて、エネルギー自給率を飛躍的に向上させる可能性も出てきます。

ホルムズ海峡が閉鎖されても怖がらなくていいと言えるわけですね。

日本発の新エネルギーで地球の未来を支えたい

田口 このように、我々がやろうとしているのは、もちろん新しい発電方式を1つ立ち上げることではありますが、もっと根本的に言えば、産業構造の中でサプライヤーではなくインテグレーターとして、マーケットリーダーの立場を取りにいくことです。

それをやることによって、ものづくりを中心とした、元々日本が持っている産業力を再活性化する。

それができれば、1つの分野や1つの会社だけではなく、日本の産業全体を底上げすることができると思っているので、産業、経済、そして悲願であるエネルギーで世界一になることが目指せると考えています。

そのための研究の基盤は、日本が世界トップクラスなのは間違いありませんし、当然これをプラントとして仕上げていくための日本のものづくり、産業力は世界一だということで、地盤は相当に固まっている状況ですから、あとは本当に勝負しにいくかどうかというところだけです。

きちんと最後まで粘り強くやり切れば、日本はもう一度世界一になれると思っていますし、これは日本だけの話ではありません。

今、電力需要が世界中で相当伸びている中で、人類が地球上で暮らしていくのであれば、今のエネルギー源だけでは足りないのは明らかですから、日本発で新しいエネルギー源を地球に生み出して、持続的に責任を持った形で繁栄していくことが実現できると思っています。

以上が、我々がやろうとしていることです。

尾原 ありがとうございます。

開発競争の激化とイノベーションの背景

尾原 核融合は永遠の次の20年と言われること、もう40年みたいな技術なわけですが、突破できなかったものが、ちょっと本気で突破できた感があるわけですが、何がトリガーになってここまで進めるようになってきているのですか?

田口 技術的にブレイクスルーがあったかというと劇的なものがあったというよりは、ようやくこの70年ぐらいかけてきて、先ほどの主に人工太陽のところがようやく目処がついてきたというのが1つあります。

もう1つやはり大きいのは、これは良し悪しと言いますか、技術の進歩としては私はいいと思っているのですが、協調とか平和だけだと技術は進歩しないのです。

核融合の世界でも、ここ10年、15年ぐらいで、これまでの国際協調路線から明らかに競争フェーズに入っています。

尾原 なるほど。みんなで1つの方式をやろうというよりは、いろいろな方式があってもいいからガンガン競争しようよ、と。

田口 はい。やはり国際協調だけでは、そうはならないです。

核融合も大きな国際協調プロジェクトがありますが、進めてもインセンティブがないので、全然進みません。

誰が一番を取るのか、本当にできそうだという風になってくると、国でそれぞれものすごい必死になってやるのです。

アメリカと中国が特に顕著ですが、競争環境がかなり生まれてきて、みんな我先にやるんだ、負けていられないと言ってどんどん開発競争が激化している状況で、これがかなり開発を加速しています。

それから、これまで研究者しか関与していなかった業界にどんどんビジネス側、ファイナンス側の人も入ってきてより活性化し、政治も動いてみたいな風になっているので、この競争環境とそれによる新しい人材や文化の統合が一番大きなドライバーだと思います。

尾原 競争するという話があって、あとは各国からするとその国の社会課題である、と。

国単位だったり企業単位の競争と、自国の中で深刻な問題だから必死にやろうよというインセンティブが掛け算になるというわけですか?

田口 そうですね。

技術ブレイクスルーのためのパートナー戦略

尾原 他のスピーカーの皆さんも同じだと思うのですが、先ほどのインテグレーターになれるのか、コンポーネント(部品や構成要素)の技術屋になるのかみたいな分水嶺があります。

皆さんは今のところ、エンドサービスまで提供する立場でやっていらっしゃいます。

先ほどの話では、(低温)超伝導磁石を用いたプラズマ温度1億度を実現できたのは、それだけでもマジやばくないですか?と個人的に思いましたが、皆さんそれぞれいろいろな技術ブレイクスルーを抱えていらっしゃいます。

全部自社だけでは解決できないと思いますし、インテグレーターになると言っても、その技術ブレイクスルーを個別でパートナーを探すのか、資金提供するのか、そういうところの解決はどのようにしていらっしゃいますか?

田口 これは非常に深い話ですし、すごく大事だと思っているのですが、日本だと分散しがちだと思うのです。

尾原 そうですよね。

田口 特にスタートアップだと、自分たちで全部開発しきれないので、当然開発パートナーをたくさん作る必要があるし、必要があるのと同時に、やってくれる人がいるというのも、これはこれで実は恵まれた環境ですよね。

アメリカなどでは開発フェーズからやってくれるものづくりの会社なんて存在しないので、全部エンジニアを自分で囲って自社開発しないといけない状況にあります。

日本はものづくりの会社が親切なので、パートナーとしてたくさんやってくれるというのがあって、それぞれプロコン(メリット・デメリット)があります。

日本のパターンだと自分たちの会社の所帯はミニマイズした形で進められるのですが、今おっしゃったように、技術の肝の部分が分散してしまったり技術摩擦が起こってしまったりするので、これをどうスムーズにしていくかというのは一つの課題ですし、いろいろと打ち手はあると思います。

LIFESCAPESは技術ブレイクスルーをどう起こすのか

尾原 この辺りについて、残り10分で皆さんと議論できればと思いますが、例えば後で詳細を解説していただきますが、LIFESCAPESの脳とマシンを直結させるBMI(Brain-Machine Interface)はいろいろな技術のボトルネックがある領域ですよね。

▶︎諦めていた生活をもう一度、BMI医療機器で、脳卒中後の重度の手指麻痺を改善する「LIFESCAPES」(ICC KYOTO 2025)

こういうところをどこまで自分で解決して、どういうところを他社にお願いするとか、これから来るであろう技術解決を待つとか、加速させるみたいなところのバランスは、LIFESCAPESもAGRISTもどうされているのですか?

林 正彬さん(以下、林) すごく難しい問題ですよね。


林 正彬
LIFESCAPES
取締役副社長

BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)技術を応用し、脳卒中後の麻痺患者に向けたリハビリテーション医療機器を開発
慶應義塾大学理工学研究科を修了後、株式会社ディー・エヌ・エーへ新卒入社。ヘルスケア事業部にて、新規事業の立ち上げ、製薬企業向けサービスの企画、法人営業、アライアンス業務などを推進。在職中に慶應義塾大学大学院後期博士課程へ進学し、Brain-Machine Interface(BMI)に関する基礎研究に従事、博士(理学)を取得。2021年7月、慶應義塾大学発のスタートアップであるLIFESCAPESに参画し、取締役副社長として技術・事業開発をリード。神経科学研究とディープテック事業化の経験を基盤に、2024年には医療機器の上市を実現。研究成果と実社会の橋渡しを行い、中枢神経疾患領域における革新的医療機器の社会実装に挑戦している。

例えば私たちの場合だと、脳波データをいかにプラットフォーム化していくかという話になるわけですが、物を作るという技術的なハードルももちろんありますが、それをいかにディストリビューション(流通)していくかというところも、また同じくらいハードルが高い問題です。

特に医療というフィールドで戦っていますから、規制や医療業界特有のなかなか加速度的に跳ねづらい業界で、地道にコツコツ広げていくみたいなことが、やはり現状では王道でもあるところなので。

尾原 でも逆に言うと、地道にコツコツ積み上げることが日本人は好きだから、気づけばソリューションのパーツを提供するプレイヤーになってしまっているみたいな。

林 それは本当におっしゃる通りですね。

尾原 でも、今はエンドサービスにこだわってやられているわけなので、その辺りのバランスはどう取っているのですか?

林 そこは我々はチャレンジしていこうということで、一家に1台、将来的には自分の健康を管理するツールとして持ってもらうくらいにはまずは作っていきたいなと思っていますね。

尾原 AGRISTの説明は後でしていただくのですが、最初は収穫ロボットみたいなところから始めて、むしろ総合ソリューションみたいなところに広げていかれています。

まさにソリューションプレイヤーからインテグレーターにというわけですが、今のような技術ブレイクスルーの話を聞いて、ご自身が同じようにやられている観点はありますか?

要件定義の上手さが競争力になる

秦 裕貴さん(以下、秦) あまりインテグレーターになろうという視点で技術の領域や深さを広げていっているわけではないです。

いわゆるレガシー産業というかフィジカル産業というか、そういう産業に新しい技術を導入していこうとした時に、建設現場のDXに取り組むQUANDO(クアンド)のように、建設会社を子会社として運営して、自分たちで現場を持ちながらやっていくみたいなことが、結局技術開発をやる上で(大事です)。

▶︎視覚的な遠隔コラボツール「SynQ Remote」で、現場業務を大幅に効率化する「クアンド」(ICC FUKUOKA 2023)

先ほどの話にもちょっと近いのですが、僕らの場合はインテグレーターというか、優位なポジションを取ろうとした時に、ひたすら要件定義が上手いかどうかみたいなところが非常に重要なポイントだなと思っています。

正直あまりロボット技術とか、そこにそんなに大差は生まれないのかなという仮説を持っているので、どれだけ現場を理解して、そこに必要十分な技術を当て込めるかみたいな要件定義の上手さが競争力というか、インテグレーター的なポジションになり得るかどうかなのかなと思います。

尾原 確かに。

そういう意味では、田口さんは日本独自のヘリカル方式において、要素分解や各自の研究が進むみたいなところをリードすることが大変な中、リードされているのでしょうか?

人に紐づくシステムインテグレーションの知見が最重要

田口 今おっしゃったことは、まさにそうだと思っています。

最後はソフトっぽいところが、競争優位性を担保できるのだと思います。

弊社で言うと、いろいろな超伝導技術とか個別の技術、部品とかはいろいろな会社が作れるのですが、誰もこれを核融合発電プラントにできないという、ここなのですよね。

部品や技術同士のインターフェースとか、例えば50MWの出力が欲しい時にどういうプラントを作ったらそれができるのかという、まさにその設計やインテグレーション、これをできるというのが、弊社の一番の競争力になります。

我々はたまに「コカ・コーラの原液」と言ったりするのですが、これは表にも出さないし、会社で一子相伝のように伝わっていくのが一番強いですよね。

尾原 コーラの原液は、創業者数人がそれぞれ秘伝のレシピを持っていて、それを合わせないと作れないから、この人たちは絶対同じ飛行機に乗らないとか、そういうレベルです。

そこもいわゆるソフトですよね。

田口 そうですね、めちゃくちゃ大事です。

尾原 トータルのものを引き出せるソフト部分を、全体設計からどう導き出すかみたいなところが重要だという。

田口 そうですね。

弊社もまさに今の話と同じで、正副CTOの2人がいないといけないので、基本的に同じ出張には行かないことにしていますし、危ない国には当然全員渡航禁止にしています。

ちょうどそのもやもやとしているシステムインテグレーションの知見が一番大事なところです。

今のところ、それはどうしても人に紐付くので一番大事なところですね。

尾原 そうですね。

ディープテックにおける資金調達とイグジット戦略

尾原 まだまだ話したいところですが、あと5分です。

スピーカーの皆さんに質問を考えていただいている間に、僕のほうから質問ですが、この手の話にもう1つあるのは、時間と資金調達のバランスだと思います。

期間が長いし資金も必要なので、どうバランスを取っていらっしゃいますか?

この分野では、VCマネーだと期間が合わないことも多いですよね。

田口 基本的には、クリエイティブにやりたいと思っています。

私には元々金融系のバックグラウンドが長くあります。

事業側と金融側と一緒に力を合わせてやるわけですが、我々はイグジットまで長い、発電するまで長い、VCはMAX10年しか持てないみたいなところで、これを所与にするとご一緒しにくいのですけれども。

尾原 ですよね。

田口 ただいろいろやり方はあると思っていて、我々も発電が例えば2035年だとすると、創業から13、14年ぐらいかかります。

尾原 そうですよね、そうすると、VCと尺が合いにくくなってしまいます。

田口 でも、必ずしもイグジットのタイミングを発電と同時にしなくてもいいですよね。

尾原 確かに。

また、私は金融サイドにも課題がたくさんあると思っていまして、別に10年と決まっているわけではないので、例えば20年のファンドを作ってもいいし、プラクティカルにはもっとセカンダリーマーケットを成熟させないといけないと思っています。

アメリカなどではセカンダリーマーケットがもっと活発で、アーリーの投資家が投資して、5年ぐらいで次の投資家にバトンタッチして、徐々に徐々に企業価値を上げながらイグジットに至るということが当たり前にやられていますが、日本だと大体持ちきりますよね。

尾原 うん。

田口 ディープテックのシードから入ってIPOまで持つというのは、全然いけてないですよね(笑)。

だから、どうしても企業価値が低くなったり、早くイグジットしてくれみたいな感じで100億とか200億円でイグジットしないといけなくなったりします。

尾原 どうしても圧力がかかりますよね。

田口 日本のIPO市場が全然盛り上がらないという風になるので、ちゃんとそこは粘り強く持てる投資家にどんどんバトンタッチをして、ちゃんと成長してからイグジットするようにすれば、ユニコーンは全然余裕でいくらでも出ると思っています。

金融サイドも、いろいろやり方があるのではないかと思います。

尾原 確かにそうですよね。

IPOこそないですが、医薬のマーケットは動物実験が終わって、フェーズII(第2相試験)と呼ばれる人での治験に入る手前だと確率論で読めているから、そこからライセンスアウトしましょうとか。

まさにモデルナは上場のタイミングで、まだフェーズIII(第3相試験)が終わっていない段階だったりとか。

確かに、他の産業では実はあるから、ディープテック領域でも全然いけるじゃないかと。

田口 もっとやったほうがいいと思います。

まさに医薬品やバイオの例を出して、フェーズIIとかで何千億円での買収などがありますよね。

尾原 ライセンスアウトもありますし、パートナーシップもあります。

田口 そういうのをもっと柔軟に取り入れたほうがいいと思いますね。

コンパクトなサイズで済む核融合発電所

尾原 なるほど。ご質問はありますか?

秦 シンプルな質問ですが、炉のサイズはどのくらいですか?

田口 今スライドに出ているのは、「Helix KANATA」と呼んでいる発電初号機ですが、この見えているところが炉の中心部です。

今の設計では、これで直径30m強ぐらいですね。

あとは冷却装置とか発電装置とかタービンとかをつけて、全体でだいたい普通の小学校1校に収まるぐらいのサイズです。

発電容量対比で他の発電所と比べると、実は割とコンパクトに収まります。

例えば石炭火力発電所だと、ものすごい量の石炭を貯蔵しておかないといけないですよね。

燃料ヤードと呼ばれる燃料を置いている場所も広大なので、敷地としたらものすごく大きくなってしまうのですが、核融合はほんのわずかな燃料でものすごく大きなエネルギーが出るので、燃料を貯蔵しておくところが非常に少なくて済みます。

それもあって、全体としてはかなりコンパクトにできると思います。

残された課題に対する開発の勝算

林 技術的なハードルとして、あと2つ残っていて、その他のところは70年かけて実証済みというお話があったと思いますが、多分ここにいるみんなが成功してほしいと願っているからこそ、本当にあと2つがうまくいくのかが気になるかなと思います。

そこの勝算みたいなところを教えてください。

田口 2つのうちの1つはだいたいできたので、あとは壁のところですが、これも今始めたわけではなくて、多分20年ぐらい核融合科学研究所で世界の最先端としてやってきました。

コンサバな設計だとできる見込みはすでに立っているのですが、ただ、その設計だと、例えば効率が若干悪くなったりとか、寿命が少し短くなったりといったところがありそうなので、さらに高性能化しようとしています。

仮に今のプランAが上手くいかなくてもプランEぐらいまで用意しているので、核融合発電所そのものがワークしないということはないと思っています。

尾原 結構この壁の部分も日本が強かったりするので、そういうところでインテグレーターとしてのポジションをどう作っていくかという話ですね。

田口 そうですね。

尾原 あっという間に30分経ちましたので、次に移りたいと思います。

拍手をぜひお願いします。

(会場拍手)

ありがとうございます。

(続)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!