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「イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論」【F17-2D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その3)は、スタートアップ・コンテスト「カタパルト」にもご登壇頂いたノバルス岡部さんが起業に至ったご経緯を、日本IBM大山さんに「IBM BlueHub」の始まりなどをお話し頂きました。是非御覧ください。
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、IBM BlueHub(日本アイ・ビー・エム株式会社)様に本セッションをサポート頂きました。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 2D
イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論
Supported by IBM BlueHub
(スピーカー)
大山 健司
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM BlueHub Lead事業開発担当
岡部 顕宏
ノバルス株式会社
代表取締役
(通信する乾電池「MaBeee」)
榊原健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役
徳生 裕人
グーグル合同会社
製品開発本部長
(モデレーター)
西村 勇也
NPO法人ミラツク
代表理事
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▶「イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論」の配信済みの記事
【前の記事】
【本編】
西村 今度は岡部さんにお伺いしたいのですが、最初の質問のビジョンかアイディアかという話ですが、このプロジェクトは最初どのように立ち上げたのですか。
▶ 内容を理解するためにノバルス 岡部さんが立ち上げた「通信する乾電池 Mabee」の動画をご覧ください。
部活動的なコミュニティからスタートアップが誕生
岡部 先程お話したように企業に勤めている時だったのですが、ヤミ研ワールド・カフェというコミュニティを作っていました。
そこでは、企業の中で実現出来ないものというのは(所属していた)セイコーに限らず、色んな会社ではどうなんだろうかということで、他の電機メーカーの方も含めて集まり、ワイワイガヤガヤと話す機会を作っていました。
その中で社内のプログラムを改革したほうがいいという考えもあり、例えば、今SONYさんがSAPという、SONYの中でのアクセラレーションプログラムをやられているようなケースもありますし、それが出来ていない会社もたくさんあります。
しかし、私達の場合はその社内プログラムをセイコーの中で取り入れていこうというのではなくて、そこから生まれたアイディアを自分達でやっちゃおうよ、と部活動的に始めました。
勿論いきなり事業化というわけではなく、3Dプリンターを使って試作品を作ったり、公民館に子ども達を集めてインタビューしたり、そういうことをずっと繰り返していき、これは確かにユーザーの評価も高いし、乾電池は色々調べていくと結構スケールすると面白そうだということもあり、会社を作って製品化していこうということになりました。
そのような部活動的なところから始めて、企業の中でやるのではなくそこからスタートアップとしてやっていこう、とちょっと変わったスタートをしていった経緯があります。
西村 なぜ会社の中では出来ない感じだったのでしょうか。
岡部 新基軸のイノベーティブなものってもしかしたらそういうものばかりかもしれませんが、やはり乾電池が通信して何になるのか、またどういう市場があるのか等、前例が無さすぎたり、なかなか検証しようにもしきれない部分も多分にあります。
また、始めようとしてもすぐに内部の工数がかかり、大企業では数千万、数億円というプロジェクト費用がかかってしまいがちですが、それに対してスタートアップであれば極めて小さく、同じような試作品が10分の1、若しくは100分の1ぐらいでできるというのを改めて体験しました。
お金をかけずに小さく高速に回すことができるとか、そんなところが大企業とスタートアップの大きな違いかと思います。
榊原 やはり皆さん「電池は電池だろう」って思ってしまうんでしょうね。
岡部 そうですね。
榊原 電池はものすごく売れているので、それを岡部さんのように活用できたらすごい、と僕は思うのですが、なぜなんでしょうね。
岡部 その前の時計に通信機能という時も、2005、6年でしたので、「何で時計に通信機能なの」とよく言われていましたが、そこも市場性がどうなのかということを当時は提案しきれなかった部分がありました。
今回も同じで、乾電池で通信するとどんなアプリケーションがあり、どれくらいユーザーベネフィットがあって、ということを説得しきれていない部分と、あとはやっている自分たちも本当にどこまでなのかというのが正直分からない部分があって、どこまでそれに賭けることができるのか、ということに尽きるのかなと思います。
榊原 逆にセイコーさんは岡部さんが辞られめて、今上手くいきそうなので後悔されていたりするんですかね。
岡部 まだそうはなっていないですね。
今セイコーはスマートウォッチとか新しい時計とか本業のところでどんどん新しいことをやろうとしています。電池の場合、日立マクセルさんや富士通さん、パナソニック等乾電池をやってらっしゃるところには、もしかしたら新しいイノベーティブな価値軸を変えるものをやりたくてもできなかったという方がいらっしゃるのかな、とは思っているところです。
榊原 ちなみに、社長さんとこの話は直談判されたんですか。
岡部 残念ながらそこまではいってないですね。
自分が社長だったらスピンオフしますか?
西村 徳生さんにもお伺いしたいのですが、岡部さんみたいなアイディアが出てきた時に、どう扱っていかれているんですか。
徳生 今お聞きしてて思ったのは、ものすごく合理的に進められているなということで、会社を辞める前に実際にプロトタイプを作ったりユーザーに見せていたりと仮説検証の部分をされているわけじゃないですか。
僕が逆にお聞きしたいのは、ご自分が親元の社長だったら、それでも合理的にスピンオフという形を選んだのではないかという気がするのですが、その辺どう思われますか。ご自分が社長だったら、社内事業として残そうとしたと思いますか?
岡部 長い時間をかけて形成された巨大な組織の様々な要素、品質保障等を含めた完成された体系が、コンパクトに高速に回っていくマネージメントが大企業の組織内でできればいいと思いますが、なかなかあらゆる要素においてプロトコル、価値軸が違うので、まだまだ極めて厳しいと思っています。
一方でそこを変えていくことができている会社さんも出始めていると思います。
IBMの「BlueHub」は”思いつき”でスタート
西村 大山さんにもお伺いしたいのですが、BlueHubというのは恐らくIBMが何かをするというよりは、IBMが持っているものを出していって外の人と何かをしていく、というプログラムだと思いますが、やはり中に持ち込んでしまうと難しいというのがあるのでしょうか。
大山 それはIBM自身の事業としてやるということですよね、実はそれをやりたいんです。
ご存知のとおりIBMはグローバル企業ですが、BlueHub自体は日本独自の取り組みで、グローバルの事業ではありません。
新しく立ち上がって今3年目ですが、ゆくゆくは皆さんに役立つ技術を自前で抱え込んでいきたいという思いはあります。
いつそういうお話ができるかはまだ分かりませんが、そこは目標としておいています。
最初のご質問に戻りますが、ビジョンを持ってやるか思いつきでやるか、でしたよね。IBM自身でいうと、このBlueHub自体が思いつきでスタートしました。
本業はグローバルから締め付けが厳しくて、こんなこというと怒られるかもしれませんが、やはり数字の会社です。
ですが、やはり危機感というのもあります。
重厚長大なイメージが皆さん多いと思いますが、やはりユーザーの裾野を広げていかないといけないということで、もっと新しいことをやりたいと思っているスタートアップの皆さんに我々のテクノロジーを使っていただきたい、という思いでスタートしました。
我々自身は思いつきでスタートしましたが、榊原さんのお話に通ずるところがあり、「変化を受け入れてください」という話もよくしています。
それは我々のクライアントである大手企業の皆さんとスタートアップの皆さんの両方に対して言っていますが、それは何故かというと、10年ぐらい前は大手企業の中で新規事業をやるとなると、これだけ儲かるということが保障されていないとなかなかトップから承認がもらえませんでした。
当時セイコーさんもそういうところは少なからずあったと思います。
しかしこの10年で大分環境も変わってきたと感じていて、大手の皆さんでも思いつきでクィックにアジャイルにまずはやってみようよ、というふうに考えられてこういったイベントに顔を出される方も非常に多くなったという印象があります。
自社だけではなくて、外部とのコラボレーションにより新しいことをやっていこうという気運がすごく高まっているな、というふうには感じます。
(続)
続きは TOEIC365点で単身飛び込んだイスラエル(サムライ榊原) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/城山 ゆかり
【編集部コメント】
ノバルス岡部さんが作られていた「ヤミ研ワールド・カフェ」FBページのリンクを張っておきました。なかなか凄いコミュニティ名だと感じました(笑)秘密結社っぽい…(榎戸)
続編も、是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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