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メタジェン 福田 真嗣さんのプレゼンテーションを2回シリーズでお届けします。(その2)は、メタジェンの腸内細菌解析技術を活用し、腸内細菌から薬やサプリメントを創る「治療」アプローチをお話し頂きました。最後は、世界中の便を集めた先に目指す世界について語って頂きました。是非ご覧ください。
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017スタートアップ・コンテスト「カタパルト -リアルテック特集-」Supported by リアルテックファンド プレゼンテーションの書き起こし記事です。ぜひ御覧ください。
本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」「カタパルト・グランプリ」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。
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2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
CATAPULT(カタパルト) -リアルテック特集-
Supported by REALTECH FUND
(プレゼンター)
福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO
2006年明治大学大学院農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。2011年にビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、2013年には腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化誘導を促進して大腸炎を抑制することを発見。ともに「Nature」誌に報告。2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞、2015年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」を受賞。同年、第1回バイオサイエンスグランプリにてビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、慶應義塾大学と東京工業大学とのジョイントベンチャーとして株式会社メタジェンを設立。専門は腸内環境システム学、統合オミクス科学。著書に「おなかの調子がよくなる本(KKベストセラーズ)」。
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▶腸内細菌解析技術で病気ゼロ実現に挑む「メタジェン」の配信済み記事一覧
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最初の記事
注目”便”チャー「メタジェン」は腸内細菌解析技術で病気ゼロ実現に挑む【F17C-MTG #1】
本編
福田真嗣(以下、福田) メタジェンは、2015年3月、山形県の鶴岡市に設立しました。私達の主要事業は「茶色い宝石関連事業」です。事業のコンセプトは”Ben-efit”です。
腸内細菌の情報は便に含まれている
私たちのお腹の中には無数の腸内細菌が住んでいます。約1,000種類、数にしておよそ100兆個の腸内細菌の集団は、腸内細菌叢(そう)または腸内フローラと呼ばれています。
この腸内細菌叢のバランスが崩れると、様々な疾患に繋がることが近年の研究で続々と明らかになっています。その一方で、腸内細菌叢が良いバランスを保っていれば、私たちの健康維持、疾患予防に大きく貢献してくれることも分かってきました。
皆さんのお腹の中には無数の腸内細菌が棲んでいますが、彼らが腸内でどのような振る舞いをしているか?という情報が、実は便の中に含まれているのです。
皆さんのお腹の中にどのような腸内細菌がいて、彼らがどのような代謝物質を産出しているのか。これらが皆さんの健康、あるいは疾患のリスクと関連するわけです。
便の中には、私たちの健康状態をあらわす、いわば宝石と同じぐらい価値のある情報が詰まっているのです。そのため、私たちは便のことを「茶色い宝石」と呼んでいます。
メタジェンは、便の中に含まれる腸内細菌が作り出す化合物を一斉分析する「メタボロミクス」、そして、便の中に含まれる腸内細菌の遺伝子を網羅的に解析する「メタゲノミクス」、これら2つの生命科学分野における最先端技術を融合させ、「メタボロゲノミクス®」という新規解析技術を開発しました。
私達は最先端テクノロジーを用いて、便から健康維持に有益な情報を取り出し、その情報を皆さんが理解しやすい形でフィードバックすることによって、病気ゼロ社会の実現を目指しています。
病気ゼロ社会を実現するために、われわれは2つのストラテジーを持っています。
まず1つ目のストラテジーは「予防」。健康を長く維持するためのストラテジーです。そして2つ目は、病気になってしまった方に対する「治療」です。
まず1つ目、「予防」の観点でのアプローチを紹介します。
皆さんの腸内環境を分析し、ご自身の腸内環境の状態を知っていただくという事業です。
まず、皆さんからオーダーをいただくと、我々が採便キットをお送りします。そのキットを使って採便をしていただき、キットを送り返していただきます。そして先に述べた技術を用いて便を解析し、得られた情報を皆さんにお返しします。
私たちは、このような事業を通じて皆さん一人ひとりが自身の腸内環境のタイプを知り、健康維持のために活用していただきたいと思っています。
▲Part 1のハイライトはここまで▲
福田 2つ目は「治療」に関するテクノロジーです。
健康な人の便が、薬になる
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、便細菌叢移植療法、通称「便移植」という治療法があります。
これは、腸内細菌叢のバランスの乱れが発症に関わっていると考えられている、様々な腸管関連疾患や代謝疾患・免疫疾患の患者さんに対してのアプローチです。
健康な人の便を、生理食塩水などに懸濁(けんだく)してからフィルターで濾し、大腸内視鏡で患者さんの腸の中に移植するという方法です。
つまり、健康な人の便は薬になるのです。そんな時代がもう間もなくやってこようとしています。
となると、次の課題はどのように良い便を集めるかということに行き着きます。
そこで私たちは全自動“便”回収トイレ、BenSmartTMの開発を検討しています。
全自動「便回収」トイレで便を集める
簡単に「BenSmartTM」の解説をします。
排便後の便を便器がセンシング(センサーで計測、判別)し、それが健康な便であると判断されると自動でノズルが出てきます。そして便の一部を採取し、それが自動的にパッキングされるという流れです。
そしてそのままポストへGOです。
見ない、触らない、そして便が集まるというシステムです。
「腸内細菌カクテル」を薬やサプリメントに
先ほどお話した便移植についてですが、全ての人が気軽にできるできるわけではないので、我々は次のステップを考えています。
それは、皆さんの腸内環境に合わせた「腸内細菌カクテル」の開発です。
皆さんがトイレで便をします。繰り返しますが、これは宝石です。
どんどん便をして、採取された便がどんどん私たちのところに集まってきます。
私は腸内細菌の研究を18年やっていますし、実は日本国内には腸内細菌に関する知見やノウハウが蓄積されていますので、それらを駆使して便の中から有効な腸内細菌を特定することができます。
特定した腸内細菌を取り出し、培養してカプセルに入れます。このカプセルを皆さんにサプリメントとして摂取していただくという構想です。
これを患者さんに使えば薬になりますし、サプリメントとして使えば疾患の予防になるわけです。
便を活用した新規ヘルスケア産業。これを私たちは真剣に、事業化したいと思っています。
世界の便を集めて価値ある情報をフィードバックする
私たちが作りたい未来は、「病気ゼロ社会」です。
私たち人間は、日々食べ物を摂取し、排泄しています。つまり全世界で、今この瞬間にも茶色い宝石が作られているのです。ところが、今は全部捨てられてしまっています。
私たちは便の中に非常に価値があることが分かっていますので、病気ゼロ社会の実現のために、世界中の便をメタジェンの研究所へ集結させたいと思っています。
そして私たちのテクノロジーを使い、便から有益な情報や腸内細菌を取り出し、これらを全世界にフィードバックすることで、健康長寿社会を実現します。
私たちのターゲットは72億5千万人です。
前人未到のこの分野にマーケットがあるのかどうかは未知数ですが、私は便の持つ可能性を信じています。
便に価値を見出し、私の信念に共感していただける、即ちブルーオーシャンでもレッドオーシャンでもないブラウンオーシャンに一緒に飛び込んでいただける方がいらっしゃいましたら、是非ご協力いただければと思います。
(会場爆笑)
ご整腸ありがとうございました。
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(終)
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/城山 ゆかり
【編集部コメント】
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